前ばかりを見なくてもいいんだよ
たまには後ろを振り返って
たまには下を向いてみて
きっと何か、見つかるから・ ・ ・ ・
『探しモノ ・ 忘れモノ ・ 落としモノ』
「あ、おかえりエド!ア、ル ・ ・ ・」
ある宿屋の前で、 は帰ってきたエドとアルを見つけた。
しかしその顔は暗く、足取りも遅かった。
「 ・ ・ ・ ・ ダメだった、の ・ ・?」
聞かずとも、 には分かっていた。
でも、少しでも意外な言葉を聞きたいという希望があった。
いくら顔が暗くても、足取りが遅くても、聞いて『また一歩進めた!』と笑顔で言う
2人を見たいという・ ・ ・ ほぼ無に近い希望を ・ ・ ・ ・ 。
「 ・ ・ ・わりぃけど、ちょっとまた行ってくる」
「あ、エドどこ行くの!?」
持っていた荷物をその場に置き、エドはまたどこかへ行ってしまった。
「 、兄さんならきっとすぐ帰ってくるよ。ちょっと寒くなってきたし、中に入ろ」
エドが置いていった荷物を持ち、アルは宿屋の扉を開けた。
「・ ・ ・ ・ぅん」
「エド、本当に大丈夫なのかな、、」
あれから暫く経っても、エドは帰ってこなかった。
窓の外は雲が空を覆いつくしてきて、今にも雨が降りそうな天気だった。
「兄さんなら大丈夫だよきっと。
空振りだって今までもいっぱいあったし、僕らは前だけを見て進んでいこうって決意してるんだから」
「・ ・ ・ 前だけを、見て――― ・ ・ ・ ・ ・」
早く元の体に戻りたくて、必死に探し続けている
しかしその捜し求めているモノは、ただの伝説や幻かもしれないモノ
ただの噂だったり、全然違うものだったりする
それでもくじけずに、ただ2人は
暗闇の中で手を動かしながら
決して振り向かず、前だけを見ていて・ ・ ・・
「・ ・ ・ ・ ・ !」
「風邪、ひくよ」
雨が降り出し、エドはそんな中公園の階段で丸まっていた。
その時、突然体に雨が降り注いでこない事に気付き、顔を見上げるとそこには傘を持った がいた。
「こんなとこにいないで、とりあえず立ちなよ」
『ほら』と はエドの腕をひっぱり、無理矢理立たせた。
エドは下を向いたままで何も話さなかったが、雨音に紛れて小さく呟いた。
「 ・ ・ ・ ―― んで、うまくいけねぇんだろうな ・ ・ ・ ・ 」
「 ・ ・ ・ ・ ・ 」
突然呟いた言葉に、 は驚かなかった。
ただ黙ったまま、小さく笑うエドを見ていた。
「なかなかうまくいかないって事なんか、分かってる。
それでも俺達は・・前を向いて、諦めずに進んでいこうって決意したのにっ・ ・ ・ ・!」
右手の拳を強く握り締め、エドは悔しそうに言った。
賢者の石を求めて、決していい事ばかりがあるわけじゃない。
むしろ、悪魔のような事の方が多い。
幼い2人は、それも全て見て受け止めてきた・ ・ ・ 。
「 ・ ・ ・ ・ なんで、2人もそう言うのよ ・ ・ ・ 」
「 ・ ・ ・?」
下を向いたまま、エドは聞いていた。
「アルも、エドも ・ ・ ・ なんで前だけしか見ようとしないのよっ ・ ・・ ・ ?
前だけ見てたら、全部が上手くいったりするの!?」
の言葉に、エドが始めて顔を上げた。
「前を見るのも、いい事だよ?
でも ・ ・ ・ たまにでいいから ・ ・ ・ ・後ろとか下とか、見て欲しいの ・ ・ ・ !」
そう言われて、エドは自分の足元を見た。
でも、 が言っている本当の意味はそうじゃない。
エドだって、それは分かっていた。
「きっと、もしかしたら ・ ・ ・見落としてたモノとか、忘れてたモノがあるかもしれないから ・ ・ ・
だからっ ・ ・ ・・ !!?」
「もう、何も言わなくていい――― ・ ・ ・ ・ 」
エドは、涙を流していた を抱きしめた。
その瞬間、 の手から傘が落ちた。
自分が雨によって濡れている。
自分が ・ ・ ・誰かの流している雨によって濡れている。
「っ ・ ・ ・ わりぃ ・ ・ ・ ・ ありがと、なっ ・ ・ ・ ・!」
「もういいよ。エドも、もう何も言わなくていいから―――― ・ ・ ・ ・」
彼の背中に腕をまわし、抱き返した。
雨の雫が降り落ちる
あなたの涙の雫が降り落ちる
前だけを見ないで
時々でいいから違う方向を見て
後ろを 下を 上を
色んなところを見て
きっと、何かが見つかる
小さな探していたモノ
すっかり忘れていたモノ
うっかり落としていたモノ
きっと、何かが見つかる――――――― ・ ・ ・ ・ ・
+END+
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エリ様へ、相互リンク記念として送ったものです。
エリ様のみ、お持ち帰りOKです。
葉山沙希さんより相互リンク記念に頂いたドリー夢小説です!!
いやぁ〜〜最高ですねぇ〜vv
もう、読んでてキュンッとなりました♪
本当に、こんな素晴らしい小説をありがとうございますっ!!
・・・私も記念に何か贈ったほうが良いかなww
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