ずっと必要だった……おまえの事が。

傍に居てくれるだけで、立ち止まらずに捜し求める事が出来たから。

凄く必要で……凄く、大切な人──────…











“BBSオンリー17万HITプロジェクト!”君に傍に……












「エドー?あったー?」
「いや…それっぽそうな本は見つからないな…」
大きくため息を吐きながら、がそう問いかけた。
エドワードは本棚を探る手を止め、視線をに向けてから答えた。
現在は、エドワードとアルフォンスと共に旅をしている
旅先の図書館で、賢者の石に関係ありそうな本を探していた。
「アルー?あったー?」
「ううんー…こっちにもなさそうだよー」
今度は違うところで探しているアルフォンスに問いかけてみた。
エドワードとの探している本棚にないのだから、運よければアルフォンスの所にあるかなーと考えた
しかし、返ってきた答えはYesではなくNoだった。
「…そっかぁ…3人で探せば何とかなるかと思ったんだけどなぁ〜」
ハァッと大きなため息を吐きながらガックシと肩を落とした。
エドワードもアルフォンスも、ある理由で賢者の石を欲している。
「賢者の石の情報…ほんの少しでも見つかればいいんだけどねェ…」
椅子をカタンと引き座りながらはポツリと呟いた。
錬金術についてなどの本は山ほど見つかるが、賢者の石の情報の本なんてなかなか見つかるわけがなかった。
「悪いな、。」
「それは言わない約束でしょ?」
机に突っ伏したままポツリと呟いたのはエドワードだった。
その言葉に、机に肘を付き頬杖を付きながら苦笑まじりには返事を返した。
「エドとアルと一緒に旅をするってのも、あたしが決めた事。エドとアルと一緒に賢者の石を探すってのも、あたしが勝手に決めた事。」
だから気にする事ないよ、と言うようにはエドワードの額をツンッと突付いた。
幼い頃に親を亡くしたは、宿を経営する者に引き取られた。
そこで受付嬢をやると申し出て懸命に生きてきた。
そんな時に、の住む村にエドワードとアルフォンスが現れたのだ。














「いらっしゃいませ。お2人様で宜しかったでしょうか?」
受付にやってきたのは1人の金髪の少年と大きな鎧だった。
親子か何かかと思いながらも、愛想笑いを振りまき問いかけると。
「ああ。1週間くらい滞在したいんだけど…」
「ええ、大丈夫ですよ。では1週間のご滞在という事で……」
金髪の少年の言葉にコクリと頷きと帳簿に名前を書き込むように頼み、部屋のキーを引き出しから取り出した。
「ええと…エドワード・エルリック様とアルフォンス・エルリック様ですね。こちら、お部屋のキーでございます。」
帳簿に書かれた名前に目を見開いただったが、すぐに心の整理をしてニッコリと微笑を浮かべた。
取り出した部屋の鍵をエドワードに手渡すと“ごゆっくり”と呟き部屋へと向かう廊下を指差した。
エルリック兄弟って…あの鋼の錬金術師の…よね。
なんて部屋へと向かう後姿を見つめながら、は内心考えていた。








「なーなー知ってっか?ボーズ。」
「何が?」
この宿は2階からが宿となり、1階が食堂となっていた。
夕飯時にエドワードとアルフォンスは食堂へとやってくると、食事の邪魔をするように他の客が声をかけてきた。
その問い掛けに、少し邪魔と言いたげな態度で問い返した。
「ここの宿の受付嬢って、この宿の経営者に引き取られたんだってよ。」
「…へーえ。」
客の言葉にあまり驚いた様子もなく、相槌を打った。
「あんま驚いてないな、ボーズ。」
「だって、経営者の人とあの受付のお姉さん見てれば顔似てないから何となく勘付くだろ?」
そう言いながら、黙々と食事を続けるエドワード。
アルフォンスと言えば全く食事を取る様子がない。
そんな中“お、噂をすれば来た来た”と他の客の声が聞こえた。
声の向かう方をエドワードは見ると、丁度受付に座っていたが階段を下りてやってくる所だった。
「義理の父母は優しいかい?」
ニヤニヤと笑いながら、宿に泊まっているわけではない…多分食事だけしに来ている客がに声をかけてきた。
「ええ。父も母も居ないあたしに凄く優しく接してくれています。」
受付に座っていた時とは打って変わって愛想笑いさえも浮かべずに答えた。
作った食事を前にフォークとナイフを持って食事を黙々と始めた
そんなの服の袖から見えた痣に、エドワードは眉を潜めた。
「じゃぁ、死んだ本当の父母さんを生き返らせようなんて思わないんだ?」
「ええ。生き返らせて母も父も喜ぶとは思えませんし、そんな知識も持ってませんからね。」
客の問い掛けに、淡々とした口調で返事を返した。
しかし、その返事の中には今の父母の事は入っては居なかった。
客も面白くないと思ったらしく、そのまま問いかけることを止め他の客と喋り始めた。










「っつー…」
夜、宿の裏手で何かをしているシルエットがエドワードの目に留まった。
丁度、エドワードとアルフォンスが借りた部屋から宿の裏手が見えたのだ。
「…何してるんだ?」
「!?」
いきなり掛けられた声に、驚き顔を向けたシルエット。
月明かりに照らされて姿が見えた。
「…あんた…この宿の受付の………」
、と申します。」
夕飯時に見たときとは打って変わって、愛想笑いを浮かべる
「その傷……」
「何でもありません。」
服で隠されて見えない場所に、点々とある痣。
エドワードは驚き問いかけようとしたが、がそれを許さなかった。
「アンタ、幸せな暮らしを送ってたんじゃないのか?」
「冗談。幸せだなんて思ったことなんてないわ。むしろ…地獄、よ。」
エドワードの問い掛けに、もう隠しても意味がないと分かった
1度大きくため息を吐くと、観念したように呟いた。











それから、エドワード達が滞在している間はエドワード達と色々な事を話した。
お蔭で、エドワード達が居る間は楽しい時間を過ごす事が出来た。
今までの暮らしが嘘みたいに楽しくなって、いつの間にかエドワード達の存在が大きくなっていた。
それから暫らくしてからの事だった。
がいきなり“一緒に旅がしたい”と言い出したのは。
にとってエドワード達は寂しい気持ちを埋めてくれる存在でいつの間にか必要な存在になった。
エドワード達もの家の事情を知っていた為に少し悩んだようだが、の意見を受け入れた。
そして今に至り───互いに必要な存在になっていた。
「まぁ、情報がなかなか見つからないのは仕方ないよ!それだけ貴重なものなんだからさ!」
いつも明るく、エドワード達を励ます
そんなの心遣いに、エドワード達はいつも助けられていた。
「てゆーかさ…アル、よくいつも図書館に何も言われずに入れるよね?」
「「は?」」
シンミリしていたかと思うと、いきなりのの言葉にエドワードとアルフォンスは素っ頓狂な声を上げた。
「だって鎧姿なんだよ?怪しさ大爆発じゃーん?」
「確かに、そう言われればそうだよなぁ〜」
頬杖を付いたまま椅子に腰掛けるアルフォンスを見て、は呟いた。
図書館なんてそう広い場所というわけではなかった。
そんな中に、結構な幅を持つ鎧のアルフォンスが何も言われずに入れるのも不思議なものだ。
「にっ兄さんまで同意しなくてもイイじゃないか!」
人間の姿だったら、プゥッと頬を膨らませていたんじゃないだろうかと思えるような口調でアルフォンスは声を上げた。
「お客様。他のお客様のお邪魔になりますので。」
そうやんわりと言いながらも、図書館から出るようにと視線で訴えられているのがすぐに分かった。
3人は顔を見合わせると、大きくため息を吐き図書館から出た。
「エドがうるさくするからよ!」
「兄さんが1番五月蝿かったよね。」
「なっ何でオレの所為!?」
宿への道中、とアルフォンスの言葉にエドワードは抗議の声を上げた。
どちらかと言えば、が言いだしっぺなのだから原因はにあるのかもしれないが。
「あれ?エドにアルじゃない。」
「「「へ??」」」
いきなり掛かった声に、3人は素っ頓狂な声を上げた。
声のした方へ視線を向けると───そこにはエドワードとアルフォンスの見知った顔があった。
「「ウ…ウィンリィ!?」」
だっ…誰!?
には誰なのか分からず、眉を潜めてエドワードとアルフォンスとウィンリィと呼ばれた少女を交互に見た。
「何でウィンリィがここに居るの!?」
「機械鎧の部品を買いに行くついでにちょっと寄ってみただけよ。」
アルフォンスの疑問に、ウィンリィは苦笑を浮かべて答えた。
「たまにはメンテナンスに来てよね、エド。」
「あー…行けたらな。オレ達ほら、忙しいから。」
腰に手を当て、頬を膨らませながらも心配そうに呟くウィンリィ。
エドワードはガシガシと頭を掻きながら、苦笑しながら答えた。
「そうだけど、でもメンテナンスはちゃんとした方がイイと思うよ、兄さん?」
「アルまでそんな事言うのかよー!」
「…ねぇエド、アル。」
アルフォンスまでもウィンリィの肩を持つようで、エドワードはちょっとムッとしながら呟いた。
そんなエドワードとアルフォンスをツンツンっと突付きながら声をかけた。
すると、エドワードは“あ。”と声を漏らして、の言いたいことが分かったようだ。
、こっちはウィンリィ。オレ達の生まれ故郷の…幼馴染だよ。オレの機械鎧を作ってくれたのもコイツ。」
そう言いながら、にウィンリィを紹介した。
すると今度はアルフォンスが口を開いた。
「ウィンリィ、こっちが。ボク達と一緒に旅をしてるんだ。」
「オレ達を支えてくれる、イイ奴なんだぜ。」
エドワードとアルフォンスが交互にウィンリィに紹介をした。
エドワードの、その言葉にはちょっぴり嬉しくて頬が赤くなったような気がした。
「初めまして、さん。私はウィンリィ・ロックベル。宜しくね。」
「あ…あたしは、。宜しく…」
スッと手を出して、改めて自己紹介してくるウィンリィに一瞬キョトンとした表情を浮かべた
ハッとして、も改めて自己紹介し、ウィンリィの手を握り返した。
「っと。オレ達もう1回図書館やっぱり行って来るわ。」
「え!?それならあたしも!」
はウィンリィとお喋りしてて?」
「え…でも……」
「いってらっしゃい、エド、アル。」
の意見など関係なしに、話が進んでいった。
ウィンリィはニッコリ笑みを浮かべて、図書館の方へと引き返していくエドワードとアルフォンスに手を振った。
「いいじゃない、たまには。一緒に2人を待ちましょう?」
ウィンリィはの手を引き、いきなり歩き出した。
「ど、どこに行くの…?」
「近くにね、公園があるのを見つけたの。そこで2人を待ちましょう?」
「…う、うん。」
何処となく引張り気味なウィンリィに、は少し戸惑いながらも手を引かれた。
エドとアルの…幼馴染…幼い頃の2人を…知ってる人………
前をズンズン歩いているウィンリィを見つめて、は内心思っていた。
そう考えてしまうと、チクリと胸が痛くてワザと考えないように空元気になり始めた。
「ほら、ここが公園。緑がきれいでしょ?」
そう言いながら近場のベンチに腰掛けるウィンリィ。
その言葉に、先ほど内心考えていた思いを再度考えないようには空元気に“そうだね!”と答えた。
「あ、ウィンリィさん。」
「ん?」
「あの鳥、何となくエドっぽくない?」
隣に座るウィンリィに視線を向けてから、鳥を指差し呟いた。
その鳥は、他の鳥とは違って少し派手な模様をしていた。
「あ、本当ね。それに、他の鳥より猛スピードで飛んでるし。」
クスクス笑いながら、の指摘した鳥を見てウィンリィが同意の言葉を述べた。
可愛らしい顔で笑うんだなーと、女であるも見とれてしまった。
「ねぇ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど…」
「え?何ですか?」
「あ。敬語じゃなくていいわよ。」
ウィンリィの言葉に、他人行儀な敬語で返事を返した
そんなに、ウィンリィは苦笑しながら敬語でなくていいと口にすると、はコクリと頷いた。
「どうして…エドとアルと一緒に旅をしてるの?」
「え?」
「どうして?」
ウィンリィのその問い掛けに、は過去の事をポンッと思い出した。
あの嫌な嫌な日々から逃げ出したくて、エドワード達と共に旅をしたようなものだった。
「…あたし…エドとアルに…助けられたから…だから…エドと…アルの手助けをしたくて…」
「それで一緒に旅をしてる…のね。」
の言葉を耳にし、そっかぁ〜と納得しながらウィンリィは声を漏らした。
「羨ましいな……」
「羨ましい?」
「ええ。だって…いつでもエドとアルの傍に居られる。1番…2人を見て支えられる。」
ウィンリィを羨ましいと思っていたからすれば、ウィンリィの発言は驚きのものだった。
からすれば、ウィンリィはエドワードの動く手足を作った訳で。
「…ウィンリィさんは、エドを支えてると思う……」
「え?」
「だって…!…だって、ウィンリィさんが機械鎧をエドに作ってあげなかったら、今のエドは存在しないと思うから。」
ウィンリィが羨ましくて、今でも支えているウィンリィが少し嫉ましい。
それでも、今が口にした思いは本当の言葉だった。
「…さんって、エドが好きなの?」
「え!?そ、そういうウィンリィさんこそ…エドの事………」
ウィンリィのいきなりの言葉に、は驚く声しか上げられなかった。
そして、自身の事から話題を逸らしたくて、1番避けなければならない話題を振ってしまった。
「…うん…最近気付いたんだけどね…」
苦笑しながらも、認めたウィンリィ。
頬をほんのり紅く染めるウィンリィは、女のから見ても恋する少女だった。
「あたし…は、エドを……支えて……」
そこまで呟くと、はそれ以上の言葉を紡げなかった。
支えるのは誰だって出来る事。
傍に居ないウィンリィだって、陰ながらエドワード達を支えているのが分かる。
にとって、エドワードはかけがえのない存在。
だけど、エドワードからすれば……どうなんだろうか。
「ごめんなさいっ!!」
「え!?」
これ以上ここに居てはいけない気がした。
は、そう一言口にすると一目散に公園の出口に駆け出していた。
「違うっ……違うっ………!」
走りながらも、口にするのはそれだけだった。
何が違うの………?あたしは……あたしはエドの事を………
は、走りながら心の中で自問していた。
!?」
そんな時、聞こえた声にはグッと立ち止まり振り返った。
「エ、エド!!アルは?アルはどうしたの!?」
いつの間にか瞳に浮かんでいた涙に気付き、は振り向き際に手で涙を拭いエドワードに問いかけた。
いつも一緒に居るアルフォンスの姿がなくて、疑問に思ったから。
すると、エドワードは荒い息を整えながらを真っ直ぐ見つめた。
「アルが…の所に引き返せって。ウィンリィは自分に任せろって…」
意味が分からないといわんばかりの口調で、エドワードは呟いた。
その言葉にはキョトンとしたまま、エドワードを真っ直ぐ見つめた。
「…エドってば、あんな可愛い幼馴染が居たんだね。」
「ばっ!あんな奴の何処が可愛いってっ!?」
の言葉に、否定の声を上げるエドワード。
しかし、には照れて否定の声を上げているように感じた。
「ねぇエド。あたしは…エドにとって、賢者の石を探すのに必要な存在なだけ?」
「何言ってるんだよ、。」
視線を1度だけ、地面に向けた
ゆっくりと視線を上に上げエドワードを見つめると、ギュッと拳を握り締め意を決して問いかけた。
しかし、エドワードは答えなかった。
「あたしは…賢者の石を探すエド達を支えるしか出来ない存在?」
「……。」
「あたしは…エドはあたしにとって、かけがえのない存在だよ?」
「それはオレだって!!」
の言葉に、エドワードは急いで同意の言葉を述べた。
しかし、は無言のままゆっくりと静かに首を左右に振るだけだった。
「エド…あたしの言ってる意味分かってる?」
「…?」
「…あたしは、エドが大好きなの。好きで好きで…仕方がないの。」
拳を作り、両手ともギュッと握り締めた。
決死の告白を今、こんな状況でしていいのか分からない。
それでも、今言わなきゃいつ言うんだろうと思った
「オレ…は…………」
そう言い、エドワードは言葉に詰まった。
今までのことを思い返し、自分の気持ちの整理をしようとしたのだ。
そして、視線をに向けると今にも泣き出しそうなそんな表情のが居た。
「っ!?ちょっ…エド!?」
俯き始めていたを、エドワードがいきなりの腕を引っ張った。
予想もしていなかった出来事についていけず、はバランスを崩しエドワードに抱きしめられる形となった。
「…好き…かもしれない…の事。」
近づきすぎて気付けない思いも時にはある。
きっと、それはとエドワードも当てはまるのだろう。


お互い、かけがえのない存在なのには変わりない───…

「凄く必要で、凄く大切な人。」

にとっては、エドワードが凄く必要で、凄く大切な人。

「好きで好きで…仕方がないの。」

エドワードにとっては、が凄く必要で、凄く大切な人。

「好き…かもしれない…」

気付けないなら、これから気付いていけばいい…─────








........The end





はい!終わりましたので、あとがきです!あとがきです!
1番最初にリクエストいただいたのに、最後になってしまってごめんなさい!

さて…話的にはこんな感じになりました。
内容的には、旅先でのちょっとした話に纏めさせていただきました。
みいさんのリクの内容からすると、長編なら結構全て入れ込むことが出来たのかもしれませんが…
今回は企画でのリクなので短編で纏めようと思いましたので。
とりあえず、過去を交えてリク内容にあったお互いが必要と感じている状態で、徐々にかけがえのない存在になっていくという部分を書かせて頂きました。
と言っても、夢リクして下さったみいさんのリク通りに…仕上がってるかどうか…(ドキドキ
むしろ、リク内容と掛け離れはじめている気もするようなしないような……(待
ごっ…ごめんなさぁぁぁぁぁい!!!何度謝っても謝り足りません!!m(_ _)m

ええっと…えっと…楽しんで頂けたら幸いです…はい。
という事で、“BBSオンリー17万HITプロジェクト”のリクエストもう1つ解消という事で!
みいさんのみお持ち帰りが可能です!






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