大好き・・・・

私のお兄ちゃん・・・・・

でも・・・・

お兄ちゃんを好きになっちゃ・・・いけないの??
















Brother___

















「はい、起きる!!」
バサッと布団を取り上げ、ベッドでゆうゆうと眠る私の兄、ロイ・マスタングを起こそうとする。
私の名前は・マスタング。
ロイの妹だ。
全く・・・・兄さんってば、今日朝早く家出るって言ってたのに・・・・
はそう内心呟くと、
「馬鹿兄ーーーー!!!遅刻するわよーーーー!!!」
ロイの耳元で叫んだ。
その声に気付いたのか、ロイはうるさそうに身をよじらせ、に背を向けた。
・・・兄さん・・・・
大きな溜息と同時に、呆れた思いが心を巡った。
このまま放っといてやろうか・・・・
そう脳裏に言葉が浮かんだが、プルプルプルとは首を振った。
「兄さんってばぁ〜〜!!遅れるよ〜本当に!!リザさんに怒られても知らないわよ〜?」
「っ!!」
の最後の"リザ"という言葉にロイはピクッと反応した。
その動きを見逃さなかったはニヤリと口元に笑みを浮かべた。
「さてと・・・兄さん起きないみたいだし・・・リザさんに連絡入れておかないと・・・『兄さんが遅刻します』って・・・」
ロイをちらっちらっと横目で見ながら呟く
その言葉を聞き、ロイは飛び起きた。
「悪かったっ!!すぐに支度をしようっ!」
「すぐにそう行動すればよかったのよ!」
しかし、の声はロイには聞こえていなかった。
振り返った先には既にロイの姿はなかったのだ。
全く・・・困った兄さんね・・・本当に。
愛しそうな表情を浮かべ、はさっきまでロイが眠っていたベッドを見つめた。
決して適わぬ恋・・・・か。ふふっ・・・笑えるわね、自分が。惨め過ぎて・・・・
っ!!すぐに車を回してもらえるか?」
「えーー!?私が運転するの!?」
「当たり前だろう。」
「兄さん、車の免許持ってるじゃない。」
いきなりの言葉に驚き、文句をたれる
それでも、心の片隅では『嬉しい。』と思っているのだ。
「持っているが・・・兄妹の時間が減るではないか。」
「・・・・そういうことね。」
ロイの言葉を聞き、乾いた笑いを漏らす
「それ以外に何があるというのだね?」
「なんでもない!!!」
そう言うと、はバタンっとドアを閉め、自室へ入っていった。
!!車〜〜〜」
情けない声を出すな、兄さん!!
そう叫びたくなるほどロイの声は情けなかった。
「車出すなら、私着替えないとダメでしょ!?」
「なるほど。では、リビングで待っているからな。」
「りょーかい。兄さん。」
馬鹿か・・・
と内心呟きながらも、声は優しい声で呟く
ロイはその言葉を聞き、リビングで待つとにつげ、足を向けた。
なんで私と兄さんは・・・兄妹で生まれたのかな・・・・
そう考えた瞬間の瞳から涙がこぼれた。
ポロポロと止まらない涙。
「あ・・・あれ??」
は服を両腕の間に挟み、顔を覆った。
涙が床にこぼれない様に───
が実の兄であるロイに恋心を抱いてしまったのは、約2年前。
が17歳のときである。
その歳になっていれば、実の兄と結婚できないという事ぐらいは知っていた。
だからこそ、辛く悲しくなるときがある。
そんなときは、ロイに気付かれないようには、一人静かに自室で泣いていた。
バタンっ!!!
「!?」
その時、部屋のドアが閉まる音がした。
驚き、視線をドアに向けると、ドアの前に・・・閉まっているドアの前にロイの姿があった。
下着姿のまま、ワイシャツをわきに抱えたまま座り込んだ姿のを見つめ、ロイは静かに歩みだした。
「な・・・何、兄さん?」
「何故泣いているんだ?」
「なんでもない。」
「何でもないわけないだろう!!!」
涙を拭いながら、何もなかったかのように呟くの腕をグッと掴み、自らの方に抱き寄せるロイ。
その行為には驚いた。
密着する体。
ワイシャツは床にフワリと落ちていった、時を刻むように。
「・・・・によ。私の事、何も知らないくせに!!早くしないと遅刻するでしょ!?離して!!!」
何もない。と言い張るように、強く言い放つ
この気持ちは気付かれてはいけない・・・
本能的にそう思ったは心にしまい込み、早く車を───とロイに言った。
「遅刻など、どうでもいい!!!今はお前の話をしてるんだ!」
「だから、何でもないって!!!柱に頭ぶつけてうずくまってただけなの!!!」
ロイが叫ぶなど珍しい。
そんなロイを睨みつけながら、頑として意見を譲らない
「それとも、私なんかに時間とって、リザさんに・・・中尉に銃で撃たれたいの?」
「・・・っ・・・・」
の言葉にロイはビクッと肩を震わせた。
ドンッ・・・
その隙を突いて、はロイの身体を突き放し、床に落ちているワイシャツを掴んだ。
ワイシャツの袖に腕を通し、ボタンを閉める。
「用意は出来たわ。車を出すから、早く家を出て。」
白いワイシャツにジーパン。
そして、銀色の丸い輪になったベルトを身に着けたは静かに部屋を出ようとした。
「何故・・・泣いていた?」
「まだ聞くの?いい加減にしてよ。何でもないって言ったでしょ?遅刻するから車のところまで急いでね。先に行ってるわ。」
そう言うと、ロイの質問に答えずに、は車の鍵を取り、車のある所まで歩き始めた。
私の事なんてどうでもいいでしょ?兄さんは・・・上に行く事だけ考えれば・・・・
後ろで佇むロイを見ることなく、ロイに言いかけるように内心呟いただった。























「兄さん、車用意できたよ。乗って。」
車を走らせ、家の前に到着した
家の前にはかばんを持ったロイの姿があった。
窓を開け、そこから伝える。
すると、ロイは助手席のドアを開け、乗り込んだ。
ブブンッ・・・・・
車を発車させ、静かに東方司令部へと向かうとロイ。
東方司令部に近づき始めたとき、が口を開いた。
「兄さん・・・私、今日家を出るわ。」
一緒に居ると、辛いから・・・けじめをつけるために家を出て、自分で暮らす。そう決めたから・・・
最後の言葉は飲み込み、最初の言葉だけをロイに伝える。
すると、ロイは愕然とした顔をした。
なんでそんな顔をするのよ・・・?
「っどうしていきなりっ!?」
「だって、私もうすぐ20歳よ。いつまでも29歳直前の兄さんの所で厄介になってられないわ。」
「私は別に構わなっ・・・」
「私が嫌なのっ!!」
ロイの言葉を遮って、の言葉が響き渡った。
ロイが静かにを見つめる。
は静かに車の運転をする。
東方司令部に着き、車を停止させる。
ロイはバタンと車のドアを開け、降りるとドアを閉め・・・ずにを見つめた。
早く・・・・行ってよ・・・・
は苦しそうな表情をしていたことに気付いていなかった。
バタン・・・・
ドアの閉める音がやけに大きく聞こえる。
「本当に・・・・家を出るのか・・・・?」
「・・・うん、決めたから。」
「・・・・・そうか。分かった。私はもう何も言わない。」
そう言うと、ロイは静かに東方司令部の中へと入っていこうとに背を向けた。
そんなロイの背中を見つめ、は無意識に叫んでいた。
「兄さん!!私、兄さんが好きなの!!だからっ・・・・適わない恋でっ・・・辛いからっ・・・だから家をっ・・・」
その言葉を聞き、ロイはカバンをその場に落とし、の元へ駆け出していた。
ギュッと車の外からを抱きしめ、
「私だって、が好きだ。一緒に暮らしていて、理性を保つのが大変だった・・・・」
「私だって、兄妹で結婚できないから・・・辛くて辛くて・・・泣いてるときあった。」
「知っていたよ。」
「っ!?」
「辛い思いをさせたね・・・・兄妹なんて関係ない。法律が何だ。」
そう言うと、ロイはを静かに見つめた。
の唇に静かに軽く口付けると、ロイはニッコリ微笑み───
「結婚しよう───。」
「〜〜〜〜っ!?」
いきなりの言葉には驚き、口元を両手で覆った。
「でもっ・・・兄妹で・・・私達はっ・・・・」
混乱した頭で呟く言葉は、文になっていなかった。
「そんなことはどうでもいい。何なら、兄妹じゃなかったということにすればいい。」
「〜〜〜〜本当に私でいいの、兄さん?」
「私にはしかいないよ。」
そう言うと、ロイはもう一度触れるくらいのキスをの唇に落とした。
















兄妹だから無理だと思ってた

だから 無理してでも諦めようと思ってた

兄さんにも 気持ちを伝えずに家を出ようと思ってた

そうすれば いつかこの気持ちは薄れ消えていくだろうから

そうすれば 気持ちが楽になるだろうから

そうすれば 泣く日が少なくなっていくだろうから

だから

だから・・・

だから諦めようと思った

だから気持ちを伝えないでいいと思った

でも 言ってよかった

兄さんの言葉を聞いて 嬉しく思った

それだけ私は 兄さんが好きなんだ

それだけ私は 兄さんを愛しているんだ

大切にしよう 私の思い

大切にしよう 今までの時間を

大切にしよう これからの時間を

大切にしよう 兄さんの事を

大切にしよう 二人の時間を────










...The end






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