ハッピーバレンタイン!
大好きなあなたに、私からの大切な気持ちをプレゼント!










Only to you










「帰ってこないなぁ……今日、帰ってくるって連絡あったのに…」


は自分の家のリビングの椅子に腰掛け、テーブルに肘をつき足をぶらつかせていた。
折角帰ってくると思い、楽しみにしていたのに外はすでに真っ暗。

一日を待ちくたびれることに使ってしまったは、ちょっとだけ不機嫌だった。


「何よー ずっと待ってたのに来ないなんて!」


、少しは落ち付きなさい エドワードさん達だって忙しい人たちなんだから」


「お母さんに言われなくたって、それくらい分かってる!」


は母の言葉に少しだけムッとした。
誰よりもエドワード達の忙しさは理解していた。
国家錬金術師というのが大変だというのも、エドワード達の話を聞いて知っていた。


「ちょっと外見て来る!」


そう言い、は急ぎ足で駆け出していた。
早く早く、と急かすようにの足はクルクルと回る。


、あまり遠くへは行っちゃ駄目よ!」


「分かってるぅ─────!!」


母の言葉にそう返事をしながら、リゼンブールに一番近い駅のある方へと駆け出した。










必死に走っていると、見覚えのある凸凹コンビが見えてきた。


「─────!」


ハッとして、は慌てて両手を上げた。
ブンブンと必死に振り、自分がここに居ることを知らせる。


「エド───!アルゥ───!」


「おお、じゃん!」


「迎えに来てくれたの?」


駆け寄ってくるに気付き、エドワードとアルフォンスはそう言葉を漏らした。
アルフォンスの問いかけに、は満足気に微笑み頷いた。


「だって、二人とも遅いんだもん 心配したよ?」


「悪い悪い 列車が遅れやがってよ」


「仕方ないよ、兄さん これでも急いできたんだし……」


「そう言う事なら、許すよ エドの寝起きの悪さが原因で列車に乗り遅れたわけじゃないみたいだしね」


クスクスと微笑みながら、は二人の顔を見る。
エドワードは少しばかり成長したようなのは、すぐ分かった。
けれどアルフォンスは鎧の姿。
成長する事などあるはずもなかった。


「二人とも、相変わらずみたいで安心したよ」


だから、は二人に気を使いそう言う事にした。


…」


「はは!そりゃ、少し合わないだけで変わりまくってたら怖いだろ
 あ、でもオレ的にはもっと身長が伸びて欲しかったな!」


「エドは牛乳飲まないから無理──!」


気を使うに嬉しさを感じるアルフォンス。
そして、エドワードは自分の欲を笑いながら口にした。

が、のツッコミにエドワードは「何を────!?」と声を上げた。


「ほら、うちでお母さんがごちそうつくって待っててくれてるんだ!行こう!」


「うん!」


「ああ!」


の言葉に頷き、立ち止まり会話していた三人はの家に向けて歩き出した。












「「ごちそうさまでした───!」」


お腹が膨れたエドワードとは満足気な声を上げた。
アルフォンスはその横で嬉しそうな声を漏らし、笑っていた。


、二人に今日泊まってもらう部屋を案内なさい」


「はーい」


母の言葉に楽しげに声を上げ頷くと、は二人を手招いた。


「すんません、おばさん」


「お世話になります」


「いいのよ」


ペコリと頭を下げるエドワードとアルフォンス。
その姿を見て、の母親も二人が内面的に成長したなと思った。












「ここだよ」


「うわー、凄い大きい部屋だよ、兄さん!」


案内された部屋を見て、アルフォンスは嬉しそうに駆け出した。
その様子をとエドワードは見つめ、微笑んでいた。


「そうだ、エド 実はね、エドにだけ渡したいものがあったんだ」


「あ?オレにだけ?アルには?」


「…………内緒 ダメ?」


の言葉にエドワードは不思議な表情を浮かべた。
けれど、首を傾げ上目使いで見つめて来るを見ていたら頷くしかなかった。


「じゃあ、あとで私の部屋に来て そこで渡すから」


「ああ、分かった じゃ、またな」


「うん アル、おやすみ!」


「うん おやすみ、!」


そう挨拶を交わすと、エドワードとは最後に一度視線を交わし扉を閉めた。











「よし!あとはチョコを渡すだけだ!」


意気込むの手には、真っ赤な包装紙に包まれた箱が握られていた。

コンコン



来た!



そのノックの音を聞き、はゴクっと息をのんだ。


「開いてるよー どうぞー」


その言葉を耳にし、扉がゆっくりと開かれた。
扉の向こうに居るのは、やはりエドワードだった。


「いったいなんだよ?渡したいものって」


「こ・れ!」


エドワードに近づきながら、微笑み、手に持っていた箱を手渡した。


「………箱?」


しかし、それが何なのか分からないエドワードは首を傾げるだけだった。


「今日、バレンタインでしょ?だから、エドにプレゼント!」


「………へ?オレに?」


「そ 私が好きなのはエドだけだもん!だから、エドにだけ!
 …………ね?」


その様子に、エドワードの頬は真っ赤に染まった。
こんなに嬉しい出来事はこれ以上ない。


「……サンキュー、 すげー嬉しい!」


年相応の嬉しい笑顔を浮かべ、強くそう言った。
その顔を見て、も何だか嬉しくなる。



その顔が見れれば…私はそれで十分!
その笑顔だけで、また逢えない日が続いても頑張れるんだよ!










............................end




バレンタインデーのフリー夢小説です。
エドはある程度書いた数も多かったので、確率しつつあるようです。
今扱ってるもので似たようなのはあまりいないようですし……(多分)
ああ、でもまだ書いてないキャラいるからな…なんとも言えないか…(汗)

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