「のひゃぁ〜〜〜!!!すっご〜〜〜いっ!!!」
「そんなに驚く事かね?」
感嘆の声を大きく上げたのは、勿論だった。
の反応に、苦笑しながらロイは問い掛けた。
はコクコクとロイの問いかけに何度も何度も答えた。
しかし、そんなの視線は目の前にある沢山の本棚に向けられていた。
文献、文献、文献、文献、文献、文献、文献、文献、文献、文献、文献、文献・・・・・
書物、書物、書物、書物、書物、書物、書物、書物、書物、書物、書物、書物・・・・・
資料、資料、資料、資料、資料、資料、資料、資料、資料、資料、資料、資料・・・・・
古い機関紙、古い機関紙、古い機関紙、古い機関紙、古い機関紙、古い機関紙・・・・・
論文、論文、論文、論文、論文、論文、論文、論文、論文、論文、論文、論文・・・・・
の目の前には、それらの本が沢山本棚に入れられていた。
その量は驚くほどの物だった。
も読んだ事のある本もあるが、全く知らない、全く聞いた事のない本もあった。
「ここの本は、自由に読んでいい。何かの役に立てば良いのだが・・・」
「こんだけあれば・・・大丈夫!!ロイ大佐・・・ありがとっ!!!」
そう言うと、は一つの本棚に駆け寄った。
その姿を見て、ロイは苦笑を浮かべた。
・・・」
名を呼べば振り返るかと思ったが、ロイの思いとは裏腹に集中しているようで、の耳に声は聞こえていなかった。
「何処かの誰かと同じだな・・・・も天才、か。」
そう呟くと、近くのイスに腰を掛けた。
その頃は本棚の上の方からしらみつぶしにそれらしい本を読み始めていた。
「えーーーっと・・・・」
ペラペラペラとページを捲り、これは違うと判断するとすぐに本棚に戻す。
だが、ビンゴの本を手にした時は、それらしい内容の部分を手帳のメモ部分に書き込む。
「っと・・・あ、これは────」
高い本棚のうえのほうから取り出した一冊の本。
ページを捲ると、ある言葉が書かれていた。
『クールディーファ、一夜にして滅びる。』という言葉が・・・・
ジッと目を凝らし、その言葉を見つめ、はその本を持ってロイの元に駆け寄った。
「ロイ大佐っ!!!テーブルとかない!?」
「テーブルか?それなら、少しおくに行った所に置いてあるぞ。」
「ありがとうっ!!!」
息を整えながら、はロイにテーブルのありかを聞いた。
すると、ロイは首を一瞬傾げたが、すぐにの問いかけに答えてくれた。
はその答えを聞き、嬉しそうな表情をすると、大きな声でお礼を述べ駆け出した。
「よいしょっと・・・・」
イスを引き、テーブルにつく
本をテーブルの上に置き、さっきのページを開く。
必要な事はメモれる用に、傍に手帳のメモの部分を開いてペンをはさんで置いておく。
「クールディーファ、一夜にして滅びる。」
そう呟くと、その続きの内容を静かに読み始めた。









SILVER BREEZE ALCHEMIST 第五話









───クールディーファ、一夜にして滅びる


クールディーファに住むゼフィア・という錬金術師の元を訪れようとした。
土を使った錬金術を扱う錬金術師で、我々は彼の錬金術に興味を示した。
だが、我々が訪れたクールディーファは、凄まじい姿となっていた。
あちこちの家が燃え、または壊れ・・・・・
そして、クールディーファの町のあちらこちらには、今まで生きていたはずの人間の死体が転がっていた。
バチバチという木の燃える音が響き渡る中、1人の男が街中に立っていた。
『ゼフィア・』だった。
しかし、彼は既に人ではなくなっていた。彼は我々を見つめ、笑みを浮かべるとそのまま土の中へと消えていった。
そんな彼の額の紋様に我々は気が付いた。見覚えのある紋様・・・
それは我々がクールディーファに来る前に見かけた一人の赤ん坊の首元にも描かれていた。
その紋様について我々は調べる事にした。
何か、その紋様にも意味があるはずだと踏んだからだ・・・───






「うわぁ・・・・もしかしてこの赤ん坊が私なのかな?」
本の一部を見つめながら呟く
「ゼフィアが・・・私の故郷を・・・・故郷の皆を、そして母さんと父さんを・・・殺したんだ。」
ギュッと手を握り締める
「そして・・・既に、ゼフィアはこの時土に・・・人間ではなくなってたんだ・・・」
そう呟くと手帳のメモ部分にペンを押し上げた。
──クールディーファを一夜にして滅ぼしたのは、ゼフィア。クールディーファの町の人々を殺し、私の両親も殺した。そして、既にこの時ゼフィアは人間ではなくなっていた。土の中へと消えていったのだから・・・──
「っと・・・・これで良いかな?」
そう呟くと、本をパタンと閉めた。
「あとはー・・・この紋様の事について記されている本か・・・」
そう呟くと、本をとって来た本棚へと向かって歩き出した。
「ふ、ふぇ〜〜〜!?」
素っ頓狂な声を上げ、はバランスを崩した。
どうやら、何かに躓いたようだ。
っ!?」
の声に気がつき、ロイが声を張り上げた。
即座にの声のした方へと駆け寄っていくロイ。
「・・・・大丈夫かね?」
「・・・いひゃい・・・・顔、打っら・・・・」
ロイの問いかけには短く呟いた。
その声は凄く痛がっている感じだった。
「見せてみなさい。」
そう言うと、倒れているを抱きかかえ、起こした。
ロイの腕に抱かれ、顔をジッと見つめられる
「顔が赤いが・・・どうかしたのか?」
「なっ何でもないっ!!!」
の顔が赤い事に気が付いたロイは、の瞳をジッと見つめて問い掛けた。
は慌てて大声で答えた。
ロイの胸に抱かれて居る事に照れているだなんてばれたくないっとは内心呟いていた。
「ふむ・・・鼻を床に強打したようだな・・・少しココから出るか。リビングまで案内しよう。」
「ふへっ!?」
ロイは即座に判断し、をお姫様抱っこし歩き始めた。
「軽いんだな・・・は。」
「そーよ!私は軽いわよ!」
は照れた気持ちを隠そうとして、力強くロイの言葉に答えた。
「ははははっ。自ら『軽い』と言うと、嘘っぽく聞こえるぞ?」
「ロイ大佐の意地悪ぅ〜〜!!」
の言葉を聞き、ロイは笑いながら言い放った、嘘っぽいと。
その言葉にピクンと反応し、手足をバタつかせながら声を絞りながら呟く
「暴れるな。」
「やだ。」
「暴れるのであれば・・・」
「暴れるのであれば?」
手足をバタつかせるに、ピシッと一言言い放つロイ。
しかし、はプゥッと頬を膨らませて短く一言言った。
ロイは、フゥッと溜息を付くと話し始め・・・途中で言葉を切った。
それが気になりは問い掛ける。
ニヤリ・・・
の問いかけにロイは口元に笑みを浮かべた。
「暴れるのであれば・・・キスをするぞ。」
「っ!?」
ロイは笑ったまま、をジッと見つめる。
ロイのいきなりの言葉には驚き、目を見開いた。
驚きのあまり、バタつかせていた手足の動きは止まり、視線はロイに注がれたままだった。
「初めから静かにすればよかったのだよ。」
「むぅ〜・・・・」
静かになったを見て、ロイは静かに苦笑しながら呟きかけた。
そのロイの言葉に反応して、は声を絞り出した。
















「鼻だけでなく、膝もすりむいているようだな・・・・」
ロイはそう呟くと、薬をの鼻と膝に付け始めた。
じわぁ・・・
「ひゃぁっ・・・・」
薬が傷口に沁みるのか、は片目を閉じ、声を漏らした。
「・・・よし。コレで大丈夫だ。」
「・・・ありがと、ロイ大佐。」
「コレくらい、構わないさ。」
ロイはきゅっと薬のふたを閉め、呟いた。
はロイを見つめ、お礼を言うと、立ち上がろうとした。
そんなの事を見ながら、構わないと言ったロイ。
「さて・・・・本探しの続きしないと・・・・」
「その紋様の本だろう?それなら探しておいたぞ。」
「え!?」
ポンポンと服を叩きながら、呟く
そんなの言葉を聞き、ロイはニッコリと微笑んだ。
ロイはを見つめて、本を探しておいたと告げた。
はロイの言葉に驚き、声を上げた。
そしてロイをジッと見つめる。
「これだが・・・・違うかね?」
そう言い、ロイは後ろに手を回し、1冊の本をに見せた。
するとは即座にその本をとり、中を確認する。
「紋様・・・・2つに分かれた魂が1つになる時・・・・・うん!!これよっ!!!」
は叫んだ。
自身に描かれた紋様と本に描かれた文様を見比べる。
そして、以前ゼフィアに聞いた言葉と同じ言葉が本に書かれていることに気付いた。
そして、はこれが求めていた本だと確信した。
「ロイ大佐、助かったわ。ありがとう!」
ギュッと本を掴み、はロイに大きな声でお礼を言った。
「じゃあ、テーブルに戻るねっ!!メモしなきゃならないからっ!」
そう言うと、は小走りで手帳の置かれているテーブルへと駆け出した。
駆け出したを見つめる視線が一つ・・・ロイだ。
優しい眼差しでを見つめ、微笑むロイ。
がイスに座ったのを確認すると、ロイは近くのイスに腰掛、他の錬金術の本を読み始めた。
「えーっと・・・紋様・・・紋様・・・っと。」
そう言うと、ページを開いた。
左のページには大きく、の首元に刻まれている紋様と同じイラストが描かれていた。










──紋様の名前:シトロン


左の図の紋様な名前はシトロン。
この紋様シトロンには、ある言い伝えがあった。
『1つの魂が2つに分かれる。すると、その2つの魂にシトロン紋様が刻まれる。』
『2つに分かれた魂が1つになる時、最大の力を手に入れることが出来る。これは、シトロン紋様が描かれている者のみに言える事だ。』
以上の2つの言い伝えがあった。
シトロン紋様を持つ者は、元々普通の人よりも何かの才能に優れ力を持っている。
シトロンという紋様は、その紋様を持つ者に力を与えるものだという事が判明された。
が、言い伝えに関しては、本当かどうか、いまだ判明されずにいる。──








「なーるほどね・・・つまり、この言い伝えどおりだと、私の魂とゼフィアの魂は元々は1つだった。が、その1つの魂が2つに分かれ、シトロンの紋様が刻まれた。そして、ゼフィアはこの言い伝えを本物だと思い、2つに分かれた魂を1つに戻し、最大の力を得ようとしている・・・って事か。」
は本を見つめながら呟いた。
伏せ目がちになりながら、は呟いた。
「でも・・・私は私。ゼフィアはゼフィアよ・・・どうして・・・1つにならなきゃならないのよ・・・」
そう呟くとははっとした顔をした。
「土っ!!!土の人形というか、土の人間というか・・・そーいう資料はあるかな?」
必要な事を書き出しておいた本を手に持ち、はガタンと立ち上がった。
「ロイ大佐。この本、何処に片せばいいの?」
「あぁ、さっきと同じ本棚だ。一箇所隙間の開いている場所があるから、そこに閉まっておいてくれないかね。」
「了解〜〜」
ロイに本の片し場所を聞いた
すぐにロイは反応し、分かりやすく片し場所を説明する。
ロイの言っている場所が何処なのか理解したはニッコリ微笑んで小走りで本棚に近づいた。
一箇所隙間の開いた場所を見つけ、そこに本を差し込む。
そして、土の人形等について書かれている本を探し始めた。
「・・・・ない。これでもない・・・・・」
一冊一冊目を通していくが、全く見つかる様子がない。
「ロイ大佐。錬金術とかについての本とかってどこら辺にあるの?」
「それなら、の使っているテーブルの近くのNo.18からNo.27の本棚辺りにあると思うが。」
「そっそんなにあるのっ!?」
ここの持ち主であるロイに聞くのが一番早いと思ったは、ロイの元に駆け寄り、問い掛けた。
何が何処にあるのか把握しているらしく、ロイはの問いに即座に答えた。
錬金術の本だけで9つの本棚を使っている事に、は驚き声を上げた。
「難しい錬金術や、私の専門の錬金術などになるとNo.28からNo.40辺りの本棚になるぞ。」
その言葉を聞き、ガックシと肩を落とし、はロイに言われたNo.18からNo.27の本棚を探し始めた。
そこに土の錬金術に関しての本があればいいな・・・と願いながら歩き始めた。
「大変な作業になりそう・・・・エドとアルはどうしてるかな・・・・」
ハァッと溜息を付きながら呟く
目の前にはドーーーーンと構えた沢山の本棚、そして本があった。
その本の量に、そして本棚の量に驚き、は呆気にとられていた。
カリカリと頭を軽く掻き、意を決したかのように次々と本を取り出し、目録を見始めた。
しかし、どれもの見たい本ではなく、違うと判断した瞬間、本は本棚に戻され新しい本がの手に取られる。
「う〜〜〜〜・・・全然見つからない〜〜〜〜」
本のページを捲り、目録を読み、それらしいタイトルがあるとそのページを捲り読み始める。
が、違うと即座に判断するとはパタンと本を閉じ本棚へ・・・
その作業を長い時間やっていた。
。」
ロイの言葉にハッとし、はロイの声がした方に視線を移した。
「もう外は暗い。そろそろ鋼の達と泊まっている宿に戻った方がいいのではないか?」
「えっ!?もうそんな時間なの!?」
も鋼のと同等、集中力があるのだな。まあそんな事はどうでもいい。窓の外を見てご覧。」
ロイは腰に手を当て、話し始める。
はポケーッとロイを見て、話を聞いている。
そしてはっとした顔をして、早口で叫んだ。
ロイに言われ、外を見ると既に日は沈んでいて月や星が浮かんで光り輝いていた。
「うわぁ〜〜〜エド達に怒られる〜〜〜」
しゃがみ込み、そう呟く
ロイはそんなの姿を見て、クックックと笑い声を押し殺しながら笑っていた。
、君たちが泊まっている宿はどこだね?」
「え?」
ロイの問いかけに一瞬驚き、疑問系の声を漏らす
そんなを見て、苦笑を浮かべるロイ。
「君達が泊まっている宿はどこだい?」
「あ、コンククスホテルっていう宿だけど・・・」
「では、そこまで私が車で送ろう。」
「え!?いいの!?」
「ああ。構わないさ。そのまま残っている書類の整理をするのに東方司令部に行けるだろうしな・・・」
ロイの2度目の問いかけに、素直に答える
だが、少し戸惑いがあった。
ロイに泊まっている宿の名前を教えると、ロイからある言葉が発された。
その言葉にすぐに反応し、は驚きの声を上げた。
「・・・ありがと、ロイ大佐。」
「構わんよ。」
そう言うと、ロイはに微笑んだ。
「さて・・・行こうか。」
ロイはそう言うと、の背中を押し外に出ようとした。
、君は先に玄関の外に出ててくれ。私は車庫から車を出してくる。」
「はーーーい!」
ロイはハッとした顔をして、すぐにいつもの表情に戻し、に指示を出した。
は笑みでそれを還し、小走りで玄関の方へと駆け出した。
パタン・・・
玄関の扉を閉め、外に目をやった。
道路のど真ん中に、何かがあった。
ブクブクブクブク・・・・・
道路から黒い何かが浮き出てきた。
その正体は───
「〜〜〜〜〜!?」
・・・・殺ス・・・・」
突如現れたのは、の実の母親、ハイラだった。
だが、今目の前に居るのは土人形の母親だったハイラ。
右手を左手の甲に添え、左指を擦り合わせる。
すると、土人形ハイラの体全身を氷が覆いつくした。
「・・・・やっぱり・・・土、なんだ・・・にしてはちょっと硬めだけど・・・」
凍りつく土人形ハイラを見つめは呟いた。
ぐわんっ!!!!!!
「!?」
物凄い音を立てて、目の前で凍り付いていた土人形ハイラが動き出した。
そう、あの氷を割り外に出てきたのだ。
──うそっ!?
は心の中でそう叫んだ。
「セ、リナ・・・・コ、ロス・・・・・コレ・・・メイ、レイ・・・・」
そう呟き土人形ハイラは、ゆっくりとの方に歩み寄っていった。
スッと両手を鋭い刃物に変化させ、に振り下ろした。
「・・・っ!!」
シュッ・・・・・
何とかは土人形ハイラの攻撃を右に飛びのき避けた。
が、土人形ハイラの刃の先がの左腕を掠った。
真っ赤な血がの腕から流れ出た。
「・・・ロッ!!!!!」
ロイの事を呼ぼうと声を張り上げた瞬間、土人形ハイラの両手が素手に戻りの口を押さえつけた。
「むぅ〜〜〜ん〜〜〜!!!!ムイはいは〜〜〜〜!!!!」
口を押さえつけられながら、は懸命に叫んだ。
しかし、その声はロイには届かなかった。
「オ前ノ、探シ、テイタ土ノ錬成・・・私タ、チ土人形ニツイ、テノ情報ヲ教エテア、ゲル・・・」
「っ!?」
土人形ハイラの言葉には驚き目を見開いた。
の口に手を押し当てたまま、土人形ハイラは言葉を続けた。
「土人形ノ事ヲコ、ウ言ウノ・・・『ゴーレム』ト・・・土ヲ錬、成デ強化シ、テマタソ、ノ硬クナ、ッタ土デ『ゴーレム』ヲ錬成スル・・・ソ、レニ誰カノ骨、ト墓土ガ入ル、ト、ソノモ、ノノ姿ヲ保、ツ事ガ出来、ル。」
・・・ゴーレム?
は土人形ハイラの言葉を聞き、聞きなれない言葉『ゴーレム』に反応した。
・・・でも、骨と墓土があれば、そのものの姿を保てるって・・・今の土人形ハイラとゲルマは母さんと父さんの骨と墓土を使って・・・って事?
は静かに土人形、否ゴーレムハイラを見つめ心で呟いていた。
でも・・・夢の中にゴーレムじゃない母さんと父さんが出てきた・・・それは、どうなってるの?
そう思っていた時、重い振動がのお腹の辺りを襲った。
「ンブッ!!!!!」
ゆっくりと視線を下へ下ろしていく。
すると、ゴーレムハイラの素手がの腹部を殴っていたようだ。
続いて2度めの重い振動がを襲った。
「ムグッ!!!!」
さすがゴーレムというか・・・硬い土いうか、ゴーレムハイラの拳は硬く、殴られるたび鋭い痛みに襲われる。
「ムイはいは〜〜〜〜!!!!むふへへぇ〜〜〜〜〜!!!」
は懸命に叫んだ。
痛むお腹を我慢し、何とか口に押し付けられた手を外そうとしながら、は叫んだ。
「ムイ〜〜〜!!むふへ・・・んぐっ!!!」
再度ロイに助けを求める声を上げようとした瞬間、3度目の重い振動がの腹部を襲った。
「ん〜〜ん〜〜・・・・」
そう叫ぶと、何とかゴーレムハイラの手を外す事に成功した。
「ロイ大佐!!!助けてぇ〜〜〜〜うぐっ!!」
っ!?」
の声に気がつき、ロイは車から降りの声のした場所へ駆け出した。
「・・・!?」
駆け出し、玄関のところにロイはたどり着いた。
そこにある光景は凄まじかった。
の口を左手で塞ぎ、もう右手での腹部を思いっきり殴っていた。
を見ると、痛々しい表情をし、涙を流しているようだった。
「例の奴かっ!!!」
そう言うと、ロイは発火布を手に装着し駆け出した。
だが、うかつに焔を錬成する事は出来ない状態だった。
「ムイはいは〜〜〜!!!はふへっ・・・グゥッ!!!」
助けを求めるの声。
しかし、4度目の腹部を襲う重い振動により、声は悲鳴に変わった。
エド・・・・アル・・・・・助け・・・・て・・・・
心の中でそう呟いた瞬間、の意識がフッと遠ざかっていった。
ガクンと首を垂らし、ゴーレムハイラの腕を掴んでいた両手がダランと下に伸びた。
っ!?」
どうやらは気を失ったらしい。
の意識がなくなったのを確認したゴーレムハイラは、ゆっくりとを地面に置いた。
そして、片腕を鋭い刃に変化させ、へと振り下ろした。
「くそっ!!」
そう言うと、ロイは上手く調節をすると心に決め指を擦り合わせた。
その瞬間ゴーレムハイラを焔が襲った。
「グワァァァアアーーーーーーーーーーーーー!!!」
ゴーレムハイラは悲鳴を上げると、ゆっくりと地面へと溶け込んでいった。
「消えたか・・・」
ロイはゴーレムハイラが消えたのを確認すると、気を失い倒れているに駆け寄った。


















「ん・・・・・」
声を漏らし、は瞳をゆっくりと開けた。
視界がぼやけ、腹部の痛みに意識がはっきりとする。
「んくっ・・・・」
っ!起きたのか、大丈夫か?」
の悲痛の声を聞き、声をかけてきたのはロイだった。
「ここ・・・・は?」
「私の家だよ。玄関先で気を失って倒れていたのだよ。・・・1人にさせないべきだったな・・・すまなかった。」
「そんな事ないよ・・・ロイ大佐。私が非力だっただけ・・・」
の問いかけにロイはロイ自身の家だと答えた。
そして、1人にさせてしまった事を良くなかったことだと考えに謝った。
しかし、はそんな事気にしていなかった。
「今日はココに泊まって行くといい・・・明日鋼のの所に連れて行く。」
「ん・・・・ロイ・・・大、佐・・・ありが・・・と。」
そう言うと、痛みに襲われながらも静かには夢の中へと入り込んで行った。
「・・・本当にすまなかったな・・・。」
眠った事を確認すると、ロイはゆっくりともう一度謝り、眠るの額にロイ自身の唇を落とした。













To be continued................










はいっ!!!
SILVER BREEZE ALCHEMIST 第5話が完了!!!
いやぁ〜エド夢のはずなのに・・・今回エドの出番なしww
ロイばっかが活躍〜〜ww
しかも最後wwwwウフフフvvv
さて、話の最中に『ゴーレム』という名前が出てきましたが・・・
コレは鋼の錬金術師 赤きエリクシルの悪魔から取らせてもらいました。
一応ハガレンワールドで存在するって事でw
しかし・・・ゼフィアにより錬成されたハイラとゲルマ。
実はゴーレムだったと・・・・
そして、赤きエリクシルの悪魔に出てきたエルマ同様、本当の意志もあるということ。
それがわかりましたねぇw
どうですか?楽しかったですか??
楽しんでいただけたのならば・・・本望です(^^)






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