「ねぇ、兄さん。どうして2人共嬉しそうな顔してるの?」
アルフォンスがいきなり切り出してきた。
そりゃ、嬉しい顔するなぁ〜と思いながらも苦笑する。
「エド・・・言っちゃおうか。」
「・・・そうだな。アルに隠し事したくないしな。」
「????????」
の言葉に、エドワードの言葉。
アルフォンスは何の事かと思考を掻き巡らせるが何も思いつかなかった。
しかし、2人の様子は以前とは違う。
何かが変わったような・・・
「私達付き合うことにしたの。」
「オレ達付き合うことにしたんだ。」
「えぇぇ!?」
2人同時に言った言葉にアルフォンスは驚きの声を上げた。
その声に驚き、エドワードとも驚き目を見開く。
「アルがそんなに驚くなんて・・・・ビックリ。」
「だな。」
「ふ、ふふふ、2人が・・・付き合う?」
「「そう。」」
クスクス笑いながらいうに同意の言葉を漏らすエドワード。
そんな2人を見つめながら、アルフォンスは震える手で2人を指差し問い掛けた。
その問いにも2人同時に答えた。
SILVER BREEZE ALCHEMIST 第八話
「で、クールディーファって・・・どこだ?」
「「あ・・・」」
エドワードはポケッとした表情でとアルフォンスの方を見つめた。
エドワードの言葉を聞き、とアルフォンスは同時に声を漏らした。
「ピナコばっちゃんに、クールディーファに行けば分かるって言われたけど・・・・場所・・・・」
アルフォンスは座り込み、考え始めていた。
それをよそに、は余裕な笑みを浮かべていた。
「じゃっじゃじゃーーーーーーーーーーーーーーんっ!!!」
そう言いエドワードとアルフォンスの目の前に突き出したのは───
「「クールディーファまでの地図!?」」
だった。
エドワードとアルフォンスはプルプルと手を震わせながら、の持っている地図を指差していた。
「そっそれ、どどどどど、どうしたの!?」
「ん〜とねぇ、ロイ大佐の本から地図だけ拝借してきたの〜」
「それって盗んだって言うんじゃねーの?」
慌てて問い掛けるアルフォンスは、ガタガタと鎧を揺らしていた。
そんなアルフォンスとは真逆に普通にこたえる。
そして、そんなに鋭いツッコミをするエドワード。
「うぐっ・・・・そ、そうとも・・・・言うね。」
「ァッァ〜〜〜〜〜!!!!」
エドワードの言葉を認め、苦笑を浮かべているを見て、アルフォンスが声を上げた。
アルフォンスからしたら、盗んできたなんて一大事。
「だっ大丈夫よ!ロイ大佐は優しいんだから!!きっと分かってくれるわ!」
グッと手を拳を握り締めながら、は大きく呟いた。
しかし、の額には汗が流れていた。
「ま、あって損はしないんだし・・・いいんじゃないか?」
「に、兄さんまでぇ〜〜〜」
のピンチに気がつき、エドワードは同意の言葉を述べる。
本当はいけない事だと分かっている。だが、好きな人が困ってる。
そう思いエドワードは同意の言葉を述べた。
アルフォンスは頭を抱え、泣きそうな震えた声で嘆いた。
「ま、良いじゃない。ちゃんと返すときに謝れば。ッてことで、この地図を見て進みましょう!」
「そーだな。えーっと・・・大体の位置は・・・・ココ当たりか?」
「うん、そうだね。じゃあ、ココからあっちの方向に進んでみると良いのかな?」
「だろうな。」
エドワードとだけでペラペラと話、進めていく。
そんな2人を見てアルフォンスはハァッと溜息を付いた。
「ちょっと貸して。」
そう言い、アルフォンスはヒョイッと2人の頭の上から地図を取り上げた。
「わぁっ!?」
「どわぁつ!?」
「今の居場所はここ。で、進む方向はこっち。全然逆方向だよ。」
アルフォンスは地図を見て大きく溜息を付いた。
地図をアルフォンスはに渡し、
「ちゃんと後で皆で謝って返しに行くからね。」
「それくらい分かってるよ〜〜〜〜!!アルのいぢわるぅ〜」
アルフォンスの言葉にふてくされる。
だが、その顔が笑っていたため、アルフォンスはふてくされていないと判断する。
「さて、行こうか。ゼフィアの待つ・・・・かもしれない、クールディーファまで。」
「ああ、そうだな。」
「うん。あまり無茶はしないでね、2人とも。」
「う、うん。」
「お、おう。」
は地図をポッケットに折りたたんで入れると、意気込んで言った。
エドワードも呟き──
アルフォンスのビシッとした一言で、とエドワードは同時に頼りない声を出した。
それに反応し、、エドワード、アルフォンスの3人はプッと噴出し笑い始めた。
軽い微笑だったが・・・
「本当にこの先にあるのかよ・・・・凄い草むらだぜ?」
エドワードは周りを見渡し呆れた声で呟いた。
周りは腰の辺りまで来るボウボウと生えた草ばかり。
「だって、ピナコばっちゃん曰く『滅び去った町』だから、周りがこうなってても納得出来るんじゃない、エド?」
「そうだね・・・」
の言葉にアルフォンスは静かに呟き返した。
エドワードは身体にまとわり付く草に『むきぃ〜〜!!』と叫んでいた。
ザワッ!!!!!!!!!!!!
「「「!?」」」
何者かの気配を感じ取り、、エドワード、アルフォンスの3人はハッとした表情をして、辺りを見渡した。
「さすがだな・・・エルリック兄弟に、そして俺の妹である。」
3人の視点が一点に集中した時、1人の男の声が・・・ゼフィアの声が響いた。
ゼフィアは土の錬成で地面の土を固め、それを連結させて一つの山を作り、その上に立っていた。
「ゼッゼフィアッ!!!」
ゼフィアの姿を見て、は大きな声を張り上げた。
「どうして・・・・どうして、クールディーファの人達を・・・クールディーファを滅ぼしたのっ!?」
はキッとゼフィアを睨みつけ言葉を続けた。
「どうして・・・どうして母さんと父さんを殺したの?」
「そんなの、決まっているだろう。が物心ついた時に、こんな騒動起こしたら大変だからな。だからが赤ん坊の時に全滅させた。そして、ピナコというババアにお前を預けたんだ。」
の問いかけに、鼻で笑いながらゼフィアは答えた。
「全ては俺とが1つになる為だ。」
「そっそんな事で町1つを滅ぼしたと言うのっ!?どうしてっどうして母さんと父さんをっ・・・・返せっ父さんと母さんを・・・返せぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
泣き叫び、今にもゼフィアに攻撃をしそうなをエドワードとアルフォンスが両側から抑えた。
悲痛のの叫びが響いた。
「俺はを食べるいや、身体を融合させる。そして1つになるのだ。」
「「!!!!!」」
ゼフィアの言葉にエドワードとアルフォンスは驚きの目でゼフィアを見つめた。
は怒りの表情で2人に抑えられたままゼフィアを睨みつけていた。
ブワァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!
「どわっ!?」
「えぇ!?」
いきなり中心に起こった強風。
円を描いて強風は吹きつつけた。
「「っ!!!!」」
風に吹かれから離れる事になったエドワードとアルフォンス。
2人は同時に強風の中心で立ち尽くしているに呼びかけた。
しかし、全くの反応は見られなかった。
「俺とが1つになれば、強力な力を手に入れられるのだよ!!!!!」
「そんな・・・そんな事・・・・させない。ゼフィア、あんたの自由になんかさせないっ!!!!!!!私は私はゼフィアにあんたに喰われたりしないっ!!!!!!!!!」
「くくく・・・・それはどうかな?」
ゼフィアが両手を上に挙げ、力強く叫ぶ。
その一方睨みつけたままのが強い強い意志をゼフィアにたたきつけた。
だが、ゼフィアはクスクスと笑い始めた。
ザァァァァァァァーーーーーーーー・・・・・・・・・・・・
「・・・雨?」
風は止み、代わりに雨が降り始めた。
その事にアルフォンスは気付き、小さく呟いた。
「終わったな・・・。後は俺の思うがままだ。」
雨の振る中、ゼフィアは呟いた。
「どこが?土の錬金術を使うんじゃ・・・ゼフィアの方が今は不利なんじゃない?」
ゼフィアの言葉を聞き、クスッと笑い、言い返す。
「次第に分かるさ。」
そう言うと、ゼフィアはニヤリと微笑んだ。
「!」
ガクンッ!!!!!
ゼフィアがニヤリと微笑んだ瞬間、何かがを襲い、地面に膝を着いた。
「!?」
即座にエドワードがの方に駆け出した。
「セリ・・・・・!?」
駆け寄り触るエドワード。
だが、の身体は熱く燃えるように熱くなっていた。
紋様が赤く輝きだした。
「なっなにがっ!?」
「お前たちは土を扱う俺にとって雨は良くないと思っているだろうが・・・・」
そう言うと、ゼフィアは倒れるとそのに駆け寄りったエドワードとアルフォンスを見つめた。
「この、シトロンという紋様を持つ者はその逆なんだよ。」
「「え?」」
「それ、で・・・そんなに余裕な顔を・・・して、たのね。」
切れ切れの口調ではゼフィアに言い放った。
「全、て予測してた、のね・・・・」
「くくく・・・・これで楽々と1つになれる。」
の切れ切れの言葉を聞き、ゼフィアは笑いながら答える。
「どういうことだ・・・・?」
「つま、り・・・雨がに、が手だと思われ、ている・・・土を扱、う錬金術師で、も・・・この、シトロンの紋、様を持っていると、逆、に力が強ま、るの・・・その逆に私は、雨に弱、い・・・」
エドワードの問いかけに、静かに答える。
紋様が輝くたびにの身体に痛みが加わる。
「さぁ、そこを退け。」
「誰が退くかよ・・・・俺とアルは・・・コイツの友達で家族でもある・・・そして、オレはコイツの彼氏だ!」
細い目でエドワードとアルフォンスを睨みつけるゼフィア。
しかし、エドワードもアルフォンスも退かなかった。
ギロッとゼフィアを睨みつけ、エドワードは力強く叫んだ。
そして、最後に叫んだ言葉に少し照れながらもゼフィアを睨みつける。
「なら・・・・貴様ら2人、死ね。」
そう言うと、土の中からブクブクと二体のゴーレムが出現した。
「ハイラ、ゲルマ、奴らの相手をしてやれ。」
そう言うと、ゼフィアはストンと作られた山の上から飛び降りた。
ゼフィアの言葉に答えるようにハイラゴーレムとゲルマゴーレムはエドワードとアルフォンスに向かって突進して言った。
「くそっ・・・アルっ!!2人で同時に2人を相手するぞっ!!!絶対に離れるなよ!!」
「勿論!!兄さんもボクから離れないようにね!!!」
襲い掛かるハイラゴーレムとゲルマゴーレムを目の前にエドワードとアルフォンスは意気込んで叫んだ。
その2人の後ろではが1人痛みに耐えながら地面にうずくまっていた。
パンッ
エドワードは両手を合わせ右腕の機械鎧の一部を甲剣に変化させる。
アルフォンスは戦闘体勢になり、相手を見つめた。
「来るぞっ!!!」
「うんっ!!!」
エドワードはハイラゴーレムとゲルマゴーレムが動き出した事に反応し、叫んだ。
アルフォンスもエドワードの声に反応し、返事をする。
ハイラゴーレムはエドワードの方に駆け寄っていた。
ざしゅっ!!!!
エドワードは反射的にハイラゴーレムの攻撃を避け、甲剣で攻撃を仕掛ける。
が、雨の降った土で現れたハイラゴーレムには打撃攻撃は聞かないらしく、エドワードの甲剣はハイラゴーレムの身体を突き抜けた。
「なっ!?」
一方アルフォンスに駆け寄ってきたゲルマゴーレム。
シュンっとアルフォンスを殴ろうとするゲルマゴーレムの腕を持ち投げようとするアルフォンス。
だが、ハイラゴーレム同様のゲルマゴーレムの腕は持つ事が出来なかった。
「にっ兄さん・・・・どうするの・・・・?」
「くそっ・・・・」
アルフォンスの問いかけに、何の解決方法も見つけられず言葉を吐き捨てるエドワード。
「さぁ・・・抵抗せずにをこちらに渡せ。」
「誰が・・・渡すかよ。」
そう言うと、エドワードはパンッと両手を合わせた。の周りに沢山の壁を錬成する。
そして、アルフォンスに「のこと頼む。見ててくれ。」そう伝えると、ゼフィアの方へと駆け出した。
「なろぉ〜〜〜〜!!!余裕な顔をしてんのも、今のうちだぜ!!!!!」
そう叫び、甲剣をゼフィアに向かって突き出す。
がきんっ!!!!!!!!!!!
「くっ・・・・」
しかし、甲剣はゼフィアの手の平で抑えられていた。
手を開き、手の平でエドワードの甲剣を受け止める。
「お前も・・・・ゴーレムなのか・・・・」
「そうだ。」
エドワードはギリギリと甲剣を突き出し続ける。
が、いっこうに動く様子のない甲剣。
エドワードがボソッと呟いた言葉にゼフィアは何の感情もなく答えた。
その直後、鈍い痛みがエドワードの腹部を襲った。
「ぐっ・・・・」
「兄さんっ!?」
ズルリとその場に膝を着くエドワード。
「何もせずに見ていれば痛い目も見ずにすんだものを・・・・」
そう呟くとゼフィアはめがけてゆっくりと歩き始めた。
「エ、ド・・・・エド・・・・」
そう呟き、倒れているエドワードを見つめる。
「エ・・・エドォォォオォォオォーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」
体全身が痛みながらも懸命に叫ぶ。
しかし、ゆっくりと身体を起こすエドワード。
だが、痛みに負け、ガクッとまた地面に突っ伏す。
それの繰り返しをしていた。
を守ろうとアルフォンスはハイラゴーレムとゲルマゴーレムの相手をしていた。
つまり、ゼフィアの行く手を阻む物が何もないのだ。
「エドが・・・アルが・・・頑張ってるのに・・・私が何もしないわけには・・・・」
そう言うと、は震える足を両手で押さえ、ゆっくりと立ち上がった。
身体には鋭い痛みが絶え間なく与えられる。
だが、懸命に立ち上がり、ゼフィアをにらみつけた。
「あんたはゴーレム。私の・・・兄さんじゃない。あんたと・・・1つになる気は・・・ゼロよっ!!」
そう叫ぶと、は───────
To be continued................
さて・・・次巻で最終回!!!のSILVER BREEZE ALCHEMIST 第8話!!!
如何でしたか?
とうとう戦闘シーンとなりました。
次回は一体どんな感じで終わるのでしょうか!!!!!!!
それを楽しみにしてて下さいね♪
ちゃんとは活躍します。エドとアルも活躍します!!!
では、この辺で(^^)
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