何か言って・・・

何でもいいから教えて・・・

私は・・・貴方にとって・・・何?

どうして そんなに求めるの・・・?

もう・・・いいから・・・

私が居るんじゃ ダメなの??───

















grief …貴方を思って…


















。わりぃ・・・ちょっと行ってくる。」
「え?」
エドワードがそう言ったと思ったら、アルフォンスと一緒にエドワードは駆け出していた。
はどうする事も出来ず、ただ二人の背中を見つめる事しか出来なかった。
・・・どうしていつも何も教えてくれないの?
は二人の背中を見つめながら内心そう呟き───
カチャ・・・・
キッチンへと足を運んだ。
「今日も・・・賢者の石の情報収集かな・・・・?」
そう呟くの声は、寂しげに聞こえた。
静かな家に響くの声。
出来上がった朝食をテーブルに並べ、時計に視線を移す。
いつも何も教えてくれない・・・いつも何も言わない・・・私はエドにとって・・・何?私の存在価値って・・・何?
ポツリポツリと降り出す雨は、の家の屋根をいろいろな音色で音を立てる。
そんな音を聞きながらは心の中でいろいろと考えていた。
私はエドが好き・・・でも・・・でも、エドは?
昔に好きと言ってくれたエドワード。
でも、それは子供の時の友情としての好き。
今は・・・今はどうなの?と聞きたいが、聞きたくない言葉を言われそうで聞くことが出来ずにいた。
ガチャ・・・・
広いベランダの扉を開き、外に出る。
空から落ちてくる沢山の雨はに降り注ぎ、雫となって顔に落ちる。
雨に打たれながらベランダでエドワード達の帰りを待つ
なんでまだ帰ってこないの?・・・嫌な感じがする・・・・
はドクンと脈を打った胸を右手で押さえ、嫌な感じのする空を見つめた。
何かを感じたようだ。
それでも、一行に帰ってくる様子のないエドワードとアルフォンス。
そういえば・・・雨に打たれて帰りを待ったこと・・・前にもあったなーーー・・・・
はそう言うと、空を見つめ昔を思い出し始めた。
その思い出とは、約3年前──エドワードが12歳、アルフォンスが11歳、が12歳の時の事だった。


















「ただいまーー。」
「おかえっりぃ〜〜!?」
「何素っ頓狂な声、出してんだよ。」
「そっそっそっ・・・・」
元気な声で家の中に入ってきたアルフォンスとエドワード。
その二人を元気に迎え入れようと、出迎えに行っただったが・・・エドワードの右腕を見て後半部分の言葉が揺れた。
「その腕っ!!!!」
「あーー・・・何でもねーよ。」
「兄さん!!!森で動物に襲われて、機械鎧壊れちゃったんだよ・・・」
の指差す先にあるのは、エドワードとアルフォンスとの幼馴染のウィンリィの手によって作られた機械鎧だった。
エドワードはボリボリと後頭部を掻くと、プイッとそっぽを向いて呟いた。
しかし、アルフォンスがエドワードの変わりに説明した。
アルフォンスの言葉どおり、エドワードの右腕の機械鎧は肘の少し上の部分辺りから破壊されていた。
「どうすんのよ、その機械鎧〜〜〜」
「ん〜〜・・・やっぱりウィンリィのところで直してもらうしか・・・」
「どれくらいかかるんだろうねぇ・・・」
は頭を抱えながらエドワードに問いかける。
そのの問いかけにエドワードとアルフォンスは静かに呟き──
「貸して。」
「「へ?」」
のいきなりの言葉に意味が分からず首をかしげた。
はそんな二人を見つめ、大きくハァッと溜息を付き───
「いでっ!」
ベチンと機械鎧を一発叩き、右腕・・・エドワードの壊れた機械鎧を掴み、自らの方に引っ張った。
「壊したってので修理に言ってんじゃ、ウィンリィに怒られるでしょ?」
そう言うと、は首にいつもかけている銀色の鎖を掴んだ。
ジャラジャラと服の中から一つの大きな丸い石を取り出した。
その石には何かの錬成陣が描かれていた。
・・・見た事ない。
エドワードとアルフォンスはそれを見て、率直にそう思った。
「静かにしてて。動かないでね。」
そう言うと、は静かにゆっくりと瞳を閉じた。
丸い石をギュッと掴み、ゆっくりと離し、エドワードの機械鎧に両手をついた。
ぱぁぁ〜〜〜〜〜〜
白い眩しい光が機械鎧との首に架かっている石を包み込んだ。
「「??」」
エドワードとアルフォンスは訳が分からず、眉間にシワを寄せ首をかしげていた。
しかし、そんな二人の様子を気にすることなく、は機械鎧に神経を集中させていた。
「・・・・よっし!」
のその言葉と同時に、白い眩しい光が消え去った。
につかまれ伸ばされた右腕の機械鎧を見つめると───
「「え!?」」
エドワードとアルフォンスは驚きの声をあげた。
「私の錬金術よ。機械鎧が刻んできた時間を戻しただけよ。」
の言葉にエドワードとアルフォンスはパクパクと口を動かす事しか出来なかった。
どんな物にも刻んできた"時間"がある。
の首にかけた石を媒介に時間を戻した。
しかし、この錬成にもデメリットはあった。
石を媒介にするため、"機械"しか錬成する事が出来ないのだ。





















!!!」
エドワードの声が響き、はハッとした。
声のした方は、家の中。
そちらを振り向くとエドワードとアルフォンスの姿があった。
が、頭が麻痺していたは二人の姿をボーっと見つめるだけだった。
するとアルフォンスは部屋の方へ歩き始め、エドワードだけがベランダへと出てきた。
「何してるんだ!?風邪引くぞ!!」
エドワードはそう叫びながらの方へと近寄った。
しかし、は一行に反応する様子がなかった。
エドワードは、フゥッと息を吐くとの腕へと手を伸ばした。
「ぃやっ!!!」
バシッ!!!
はエドワードの手を拒んだ。
いつも優しくエドワードの右手を包み込んでくれたの手がエドワードを拒んだ。
「・・・?」
「・・・・して?」
「え?」
いつもと様子の違うに驚き、エドワードは静かに名前を呼んだ。
すると、が掠れた声で小さく呟いた。
しかし、その呟きは雨音にかき消され、エドワードの耳に届かなかった。
「どうしていつも何も言ってくれないのよ!!!!」
「!?」
のいきなりの叫びにエドワードは驚き、一歩後ろに下がった。
「怪我をしてもっ!!機械鎧を壊したときの理由だってっ!!賢者の石を探すって言い出したときだってっ!!どうして一言でも何か言ってくれないのよ!!」
の言葉にエドワードは何もいえなかった。
の言うように、エドワードはに心配をさせないように、何も言わなかったりしたことがあった。
「アルには・・・ウィンリィには話すのに・・・どうして私には話してくれないの!?何でも話して欲しいっ・・・いろいろ語ってほしい・・・苦しい事でも、楽しい事でも、嬉しい事でも、何でも良いからっ・・・」
「・・・・・・ごめん。」
「謝らないでよ!!惨めになるじゃない!!!」
の言葉を聞き、エドワードはうつむき、小さく呟いた。
はジッとエドワードを見つめた。
雨に打たれながら、涙をボロボロ流しながら。
そして、ガクッと膝を折り地面に膝をついた。
「・・・なの。」
「・・・?」
の小さな呟きに首をかしげ、エドワードは静かにに駆け寄り、肩に手を置いた。
「好きなの・・・・今でもエドが好きなの・・・だから、何でも話して欲しいし、言って欲しい・・・」
・・・」
「本当は賢者の石を求める事で、エドが傷つくなら、賢者の石を探す旅なんてやめて欲しい・・・でも、好きだから・・・好きだから待ってたいの。」
静かにの言葉に耳を傾けるエドワードは、しばしを見つめるとギュッと右手を握り締め──
「!?」
の身体はフワリと浮き、エドワードの腕に抱かれていた。
服はビショビショに濡れ、の肌を透かしていた。
そんなを抱きしめるエドワード。
ギュッと、力強く抱きしめるとエドワードはの耳元で──
「ごめんな・・・オレも好きだよ。もっと早く・・・言葉にしていればよかったな。」
「エド・・・・バカァ・・・・」
そう言うと、エドワードの背中には腕を回し、エドワードの服をギュッと掴んだ。
「ずっと・・・それを溜めてたのか・・・」
「苦しかった・・・言ったらエド達の重荷になるんじゃないかって────」
「馬鹿。」
雨に濡れながら抱きつくを見つめ、エドワードは優しく声をかけた。
その言葉にビクッと反応しながらも、心の中に溜まっていた思いを吐き出し始めた
そんなの言葉を聞いて、エドワードは短く一言、言った。
「オレ達にんな気を使う必要ねーだろ?」
「あはは・・・そだよね。なんでだろ・・・なんでだか分からないけど・・・エド達が賢者の石を探す!って言い始めた頃から・・・言えなかった。」
の言葉をエドワードは何も言わずに静かに聞いてくれる。
私は自分の話を聞いて欲しいんじゃない・・・何か話して・・・何か言って・・・声を、聞かせて・・・・
はそう心の中で呟いた。
「ごめんな・・・本当に悪かった。寂しい思いをさせて。オレは・・・に心配かけたくなかったんだ。」
「!!」
エドワードの言葉を聞き、は目を丸くした。
「アルにも言われたんだ。『兄さんは何も言わなさ過ぎる!!』とか『ちゃんと話さないと分からない事もあるんだよ。』とかな・・・」
「その通り・・・だよ、エド。エドは・・・私に心配かけたくないって思ってそうしてくれたんだろうけど・・・私としては何でも話して欲しい!どんな事でもっ!!」
ギュッとエドワードの服を掴み、はエドワードを見つめた。
「だって私は───」
の紡ごうとした言葉はそこで止められた。
エドワードの唇がの唇に重なり合っていたのだ。
「んっ・・・ふ・・・・」
短いキス。
唇が離れ、息を吸い込む
その頬は赤く火照り、すわった瞳がエドワードを見つめる。
「何も言わなくていい・・・」
そんなの顔はエドワードに無理矢理、エドワードの胸に押し付けられた。
嬉しそうな笑みを浮かべながらはエドワードにしっかりとしがみついた。
小さく、エドワードに聞こえるか聞こえないかくらいの声では、
「大好きだよ・・・本当に、昔から・・・・ずーーっと、ね。エド。」
幸せそうな声で呟きかけた。


















何でも話して欲しい

何でも言って欲しい

欲するものを探す事をやめろとは言わない

だから何でも話して・・・何でも言って

私は

何があっても側にいるから

何があっても受け止めてあげるから

何があっても受け入れてあげるから

何があっても待っているから────・・・・










...The end





葉山沙希さんへ、相互リンク記念に書いた小説です!
葉山沙希さんのみお持ち帰り可能です♪
で、どうですかねぇ・・・この話。
内容微妙だし・・・時の錬成って何よってなりますよねw
ちょっと私、無能になっちゃいましたかな?
えーっと・・・分からない人も居ると思うので説明!
時の錬成というのは、人間や動物のような生き物、命あるものには使えない錬金術。
機械など生き物じゃない、命のないものの時を動かす事の出来る錬金術なんですよ。(自分で考えましたw)
それで、そのモノの周りを渦巻くのが、そのモノの司る時間。
その時間というモノ事態を"理解"するんですね、まず。
これが錬金術で言う『理解・分解・再構築』の『理解』にあたります。
それで、その時間というものを理解し、その時間を分解するんです。
まぁ、言ってしまえば、そのモノの時間を壊すという事ですね。
コレが『理解・分解・再構築』の『分解』にあたります。
そして、最後に時間を戻すという錬成を行います。
これが一応"再構築"となるのですが・・・
ちょっと再構築とは違うんじゃ?って思う人も居ますよね?
壊した、分解した時間でも、元はといえば過去という時間がありますよね。
分解した、壊れた時間を再構築し、過去という時間だったものを作り出す。
これが時の錬金術の簡単な説明です。
この錬金術が命のない機械などと限定されているのは、命あるもの、動物は一歩違えば運命が変わりますよね。
全く違うものになる事だってある。そういうことで錬成できないというのもありますが・・・
もし、人間などを錬成できたら・・・死んだ人を生き返らせることも可能になっちゃいますよね?
だから命あるものには使えない錬金術なんですよ。
理解いただけたら嬉しいですv
という事で、この辺でvv
楽しんでいただけたら嬉しいですv






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