───・・・身体がフワフワする───

  ───頭が痛い───

         ───身体が熱い・・・───

   ───胸が痛い・・・───

───何かが・・・・あたしに巻きついてくる・・・・───

     ───身体が・・・・痛・・・・い・・・・───















隠されしセレトの秘石 第十一話
















ふと遠くから聞こえる声には目を覚ました。
目を開けると渦巻く模様の天井が目に入り、窓から漏れる光が眩しくの瞳に入ってきた。
「ここ・・・・は・・・・」
目を何度か瞬き、見える範囲でキョロキョロと目を動かし状況を見る。
白いキレイな壁があり、少し狭めの部屋。
窓は開け放たれており、薄緑色のカーテンが風に揺られはためいていた。
部屋には誰も居なく、温かいベッドに一人が横になっていた。
「どこかの・・・部屋?」
なんでこんな所に一人で居るんだろう・・・・あたし
そう内心呟き、はゆっくりと起き上がろうとした。
「っ・・・・」
その瞬間、身体に走る沢山の激痛。
身体に走る沢山の痺れ。
それがの身体をいっきに走り抜けていった。
「はぁはぁ・・・・そっか・・・・あたし、アイツを倒した後・・・・気を失ったんだっけ・・・」
ようやく状況を把握したは静かに呟いた。
その声に気付いたのか、バンッと勢いよくドアを開け放ちエドワードが駆け込んできた。
!!!」
「・・・・エド。」
「起きたのか・・・・大丈夫か?」
「うん・・・なんとか平気。」
エドワードの顔を見つめ、安心したかのようにホッとした笑みを浮かべる
そんなの顔を見て、エドワードは同じく安心した顔をした。
「あたし・・・・アイツ・・・倒したのよね?」
コクリとの問いかけにエドワードは静かに頷いた。
「そっか・・・良かった。」
そう呟くと、はエドワードから視線を外した。
窓の外を見つめ、遠い瞳をして───
「あたし・・・エドとアルの・・・・・・二人の足手まといになってない?二人に・・・・迷惑かけてない?」
のいきなりの問いかけにエドワードは驚き、目を丸くした。
こう言う戦いが起こったからこそ、の脳裏を駆け巡る疑問。
「足手まといなんかじゃねーよ!それに、は強いっつーの。」
そう呟くと、一息ついてエドワードはを見つめた。
イスに腰掛け、両手を組みその上にアゴを乗せる。
「それに・・・迷惑だなんて思っちゃいねーよ。オレも、アルも。」
その言葉を聞いた瞬間、が何とも言いづらい表情でエドワードの方に振り返った。
嬉しそうな、悲しそうな、どっちとも取れる表情。
そして、の瞳に浮かぶ涙。
「エドォ・・・・・・ありがとぉ・・・・」
そう言うと、ギュッとエドワードの服の裾を掴み涙を押し殺し、泣き始めた。
そんなの姿を見ていたエドワードは、考えるよりも早く行動に出ていた。
いきなりの腕を掴み、エドワードは自分の方へとを引き寄せて、抱きしめていた。
「エッエド!?」
驚きの声を上げるだったが、内心では『嬉しい・・・』と呟いていた。
そのの驚きの声に全く気付いていないのか、エドワードはギュッとを抱きしめていた。
力強く、を離したくないといった風に───
がちゃ・・・
「〜〜〜〜兄さん!?」
の部屋のドアを開け、入ってきたのはアルフォンスだった。
思いもしない光景を目にして、アルフォンスは声を上げていた。
その声に気付き、ハッとしたエドワードはバッとの身体を自分の体から引き剥がしそっぽを向いた。
その顔は真っ赤になっていた。
「ア・・・・アル・・・・・こ、ここって何処?」
何か話題をと思ったは思い出した疑問をアルフォンスに投げかけた。
「あ、。大丈夫そうだね。ここはね、病院だよ。目的地だったサフィルの病院にを急いで連れて行ったんだ。」
「そうなん・・・だ。ありがとね・・・・」
が思ったよりも元気そうで安心の息を吐くアルフォンス。
その後の問いかけにきちんと答えた。
その言葉を聞き、理解したは───
ここ・・・病院だったんだ・・・・って事は・・・ここ、病室かぁ・・・・
キョロキョロと周りを見渡して、心の中でそう呟いていた。
はここで一応身体の調子整えてね。ボク達で聞き込みはしてくるから。」
「ちょっ!!あたしも行けるよっ!!」
アルフォンスの言葉を聞き、はガシッとアルフォンスの手を掴み叫んだ。
ツンッ・・・
「あひゃぅっ!!!」
「これで聞き込み出来るというか・・・出かけられるの?」
アルフォンスはにつかまれなかった方の指でのわき腹を軽く突っついた。
すると、そこから身体中に痛みが響き渡り、は素っ頓狂な声を上げた。
「・・・分かった。二人に聞き込み・・・任せるよ。」
「うん。だから、はゆっくり休んで傷早く治してね。」
「うん。」
何とかを言い包め、アルフォンスは優しくに呟きかけた。
ニッコリと微笑み、はアルフォンスの言葉に強く頷いた。
アルフォンスのを思いやっての優しさ。
それが分かったは凄く嬉しかった。
自分をこんなに心配してくれている人が居るんだ・・・
そう心の中で思った。
「それじゃ、兄さん。」
「あぁ・・・・行ってくる。」
「うん、気をつけてね。いってらっしゃい。」
ドアを開き、外へ出て行くエドワードとアルフォンス。
その二人の背中を見つめ、は嬉しそうな笑みを浮かべた。
エドワードもアルフォンスもの事を凄く心配していた。
その事が今のにはとてつもなく嬉しい事だった。
布団を口元まで持ってくると、ニッコリ微笑み嬉しそうに笑った。
そして、二人が早く帰ってこないかと時計をチラチラと見始めた。























「兄さん、今日は一段と大胆だったねぇ〜」
クスクスと笑いながら、エドワードをからかう様に呟くアルフォンス。
その言葉を聞き、エドワードは思い出したかのように顔を真っ赤に染めた。
「なっ何言ってんだ、アル。」
「何って・・・言っていいの?」
「ダメ。」
そんなアルフォンスの言葉に慌てながら答えるエドワード。
傍から見ていると、凄く笑える行動をしていることにエドワードは気付いていなかった。
「それよりアル。き・き・こ・み!」
「あ、そうだね。それしないで帰ったらに・・・・」
「怒られるな。」
「・・・・・うん。」
二人は顔を見合わせ、ブルブルっと身震いをすると近くを通りかかった人達に聞き込みを開始し始めた。
『サトリート砂漠に突如現れた建物について〜〜〜』と問いかけてもいい情報は得られなかった。
『サトリート砂漠に??一体何のことだい?』『あぁ・・・気がついたらそんな建物が建っていたねぇ・・・でも、詳しい事は知らないよ。』
そういう答えしか得られなかったのだ。
ただ、それだけでも実際にサトリート砂漠に建物があるという事実は得られたのだ。
「アル、何か情報は得られたか?」
「僕のほうは全然・・・・兄さんは?」
「オレの方も全然・・・だけど、」
そう言うと、エドワードは右手を胸の辺りに持ってきて、拳を握り締めた。
「だけど??」
途中で止めた言葉に首を傾げながら問いかけるアルフォンス。
そんなアルフォンスの顔を見ずに、ニヤリと笑みを浮かべエドワードは───
「サトリート砂漠に建物が本当にあるって事は分かったな・・・」
その言葉を聞き、アルフォンスは呆然とエドワードを見つめ、コクリと頷いた。
「そだね・・・前の町じゃ全然情報も取れなかったんだもんね・・・進歩だよ、兄さん!」
「そりゃ、進歩しなきゃこっちが困るっつーの。」
両手を胸の前に持ってきて、拳を握り締めるアルフォンスは、嬉しそうに語っていた。
まぁ、鎧の姿なのだからその様子は分からないのだが・・・
そんなアルフォンスに苦笑を浮かべた顔を向け、エドワードは笑いかけた。
「さて・・・と。まだまだ時間もあるし、バンバン聞き込みすっぞ!!!」
そう言うとエドワードはアルフォンスを置いて先に駆け出していった。
「あっ!!待ってよ兄さん!!!」
一歩出遅れたアルフォンスは急いでエドワードの後を追いかける。
ガシャガシャと音を立てながら、急いでエドワードに追いつこうと足を速める。
「アル、急げよっ!!!」
「分かってるよぉ〜〜〜!!」





















「あーーーーーーー・・・・暇暇暇暇!!!!」
病室に一人取り残されたは、エドワードとアルフォンスの帰りを待ち続けていた。
が、日はまだ落ちる様子もなく、二人はまだ帰ってくる様子もなかった。
身体がまだ痛むは動く事もろくに出来ず、ベッドに横になり、天井、病室のドア、窓を順番に見つめながら暇をもてあそんでいた。
「あーーー!!!もうっ!!早く帰って来い、このやろうっ!!」
そう言いながらも何も出来ないは寂しそうな表情をしていた。
「てゆーか・・・こういう時にあたし襲われたらどうすればいいわけ??」
ふと頭を横切った疑問。
こんな昼間っから奴らが、しかも病院に奇襲しに来るわけがないと言い切れない。
その場合、動く事の出来ないはどうする事が出来るというのだろうか。
「あーもぅ!!一人くらいここに残ってけっつーの!!!あだだだだっ・・・」
力強く叫ぶ
しかし、身体の痛みが全身に響き、身体を丸める。
「こんな所で暇持て余してる時間なんてないのに・・・・」
そう呟くとは無理に起き上がろうとした。
しかし、身体の痛みが酷く身体を動かそうとするたびに、全身に痛みが響いた。
「少し・・・・寝ようかな・・・・」
どうせまだ二人は帰ってこないだろうと考えたは眠りにつこうと考えた。
身体の力を抜き、目を閉じ闇に飛び込んでいくように眠りにつく
身体の痛みに耐えていたはすぐに眠りに溶け込んでいった。
二人の帰りを待ちながら───






















「ゼーーハーーゼーーハーー・・・・・アル・・・・・情報・・・・全然ねぇな。」
荒い息で呟くエドワード。
その逆に全く疲れた様子のないアル。
「兄さん大丈夫??」
「ああ・・・・何とかな・・・・」
そう言うとエドワードは、いっきに息を吸い込み、深く息を吐いた。
「全く。兄さんの後先考えの行動は相変わらずだね。」
「んなこたねーよ・・・」
「それより、そろそろ戻ってみる?の様子も気になるし・・・」
「ああ、そうだな。」
アルフォンスの言葉に頷き、ぐったりと肩を落としたままエドワードは歩き始めた。
「あ、兄さん!」
「あ?」
ドンッ!!!
「うどわぁっ!?」
「きゃぁっ!!」
そんなエドワードの反対側から駆け出してきた女に気付いたアルフォンスは急いでエドワードに声をかけた。
その声に気付いたエドワードはアルフォンスの方に振り返った。
その瞬間、駆け出してきていた女とエドワードはぶつかり合った。
「あったたた────・・・」
「ったぁ〜〜〜〜」
地面に転がっている二人はお互い地面に打った場所を摩っていた。
「大丈夫ですか?」
「え?えぇ・・・・」
アルフォンスはエドワードの事はまず平気だろうと考え、地面に倒れている女に声をかけ、手を差し伸べた。
「わりぃ、オレがよそ見してた。大丈夫か?」
「兄さんが人を心配するなんてめっずらしぃ〜」
素直に地面に倒れている女に謝るエドワード。
そして、相手の事を心配する言葉を発するエドワードに、アルフォンスは苦笑しながら毒舌を吐く。
アルフォンスの手を握り、立ち上がる女は見た感じ20歳前後でピンクの ふんわりギャザー&リボンのカットソーに白いクリンクルスカート、透明なピンク色のクリスタルガラスのロングピアスをつけていた。
何処かの令嬢さんかな?とアルフォンスが首を傾げたくなるほど、美しい女性だった。
「ありがとうございます。あの・・・お名前は?」
助け起こされた女はキレイに一礼すると、アルフォンスに名前を尋ねた。
「ボクはアルフォンス。アルフォンス・エルリック。こっちが・・・」
「"兄"のエドワード・エルリック、だ。あんたは?」
兄という事を強調しながら呟くエドワードを見て、アルフォンスはクスクスと笑っていた。
「私はルイ・ネビアです。」
そんなエドワードとアルフォンスを見つめながら、ニッコリ微笑み名乗るルイ。
そんなルイを見て、エドワードは何か違和感を感じていた。
「何か急いでいたようですが・・・どうかしたんですか?」
アルフォンスは急いで走っていたルイの姿を思い出し、問いかける。
「あ・・・ちょっと追われていまして・・・逃げていたのです。」
「追われていた?こんな所でゆっくりしてていいのか?」
ルイの言葉を聞き、無関心な感じに言い放つエドワード。
「あっ!!あのっ!!!」
エドワードの言葉を聞き、ルイはアルフォンスにすがりついた。
「なっ何?」
「私をかくまっては頂けませんか!?」
「「えっ!?」」
いきなりの言葉に驚き、エドワードとアルフォンスは同時に声を上げた。
「で・・・でも、それは・・・・」
「オレ達目的があって旅してるから・・・ここにずっと居るって訳にはいかねーんだよ・・・」
「こちらにいる間だけでもいいのです!!お願いです・・・かくまって下さい・・・・」
「「〜〜〜〜っ・・・」」
ルイの懸命な言葉を聞き、エドワードとアルフォンスはどうしたものかと顔を見合わせた。
地面に座り込み、キラキラとした星を回りに散りばめながら二人を見つめるルイ。
そんなルイを見て、むぅ〜〜〜と悩むエドワードとアルフォンス。
「病院に連れが居るんです。その人にも聞いてみてOK貰えれば、サフィルに居る間だけかくまいます。」
「「!!」」
アルフォンスの言葉に驚いたエドワードとルイは、アルフォンスに注目した。
「いいでしょ、兄さん?」
「〜〜〜言っちまったもんは変えられねーだろ。」
アルフォンスの問いかけに、ハァッと溜息をつく。
そんなエドワードを見てアルフォンスは嬉しそうに笑みを浮かべた。
「ありがとうございますっ!!!!」
ルイも嬉しそうに歓喜の声を上げる。
そんなルイの表情を見て、アルフォンスは嬉しそうに笑っていた。
しかし、エドワードの違和感はいっこうに取れなかった。
ルイを見ていると、何かが引っかかるのだ。
そんな違和感を抱えながら三人はの居る病院へと向かい始めた。



















コンコンコン・・・
〜〜〜」
そう言いながらアルフォンスは病室の扉を開けた。
その先には静かにベッドに横たわったまま瞳を閉じているの姿だった。
「寝てるみたいだな。」
「うん。どうしよう・・・・」
「あの・・・」
が寝ている事に気付いたアルフォンスとエドワードは戸惑っていた。
に聞こうにも聞けない状況となってしまったからだ。
そこに声をかけるルイ。
「え、あ何か?」
それに答えたのはアルフォンスだった。
「どうかなさったのですか?」
「いや・・・病院に居る奴ってのが・・・今寝てるんだよ。」
ルイの問いかけに静かに答えるエドワード。
そんな会話をしているとき──
「う・・・ん〜〜〜〜」
声を漏らし瞳を開けた
チラッと見えた姿を確認するため病室の扉の方に視線を移す。
するとそこにはエドワードとアルフォンスと見知らぬ女の姿があった。
「あれぇ・・・?エド・・・アル・・・いつ帰ってきてたの?それに、そっちの女性は・・・誰?すっごぉぉーーーーーいキレイだけど。」
首を傾げたいが傾げることの出来ないは、視線を二人に向けたまま問いかける。
そして後半部分の言葉を呟くとき、エドワードは背筋に悪寒を感じた。
「うん。ついさっき帰ってきたんだ。で、こちらはルイ・ネビアさん。」
エドワードがと視線を合わせようとしていないことに気付いたアルフォンスが、代わりにルイの事をに紹介した。
アルフォンスに紹介され、ルイは無言で静かに一礼した。
その一つ一つの仕草は完璧でキレイでは何ともいえない衝動に駆られた。
「でね、。相談があるんだけど・・・」
そうアルフォンスが呟いた瞬間──
「私をしばらくかくまっていただけませんか!?」
ルイの一言が病室を響き渡った。
「・・・・はぇ?」
「何間抜けな声出してんだよ。」
「いや・・・その。」
いきなりの事に驚き素っ頓狂の声を漏らした
そのの声に対して突っ込みを入れたエドワードを見つめながら、何とも言えない
それでもエドワードはと視線を合わせようとしなかった。
「いや・・・あのね、かくまって頂けませんかって、いきなり言われても状況も何も分からないし・・・あたしたちだってずっとここに居るわけじゃないし・・・」
そう言いながらルイに話しかける
「私・・・追われているんです・・・だからサフィルに居る間だけかくまって欲しいんです!!」
「かくまって欲しい・・・ねぇ・・・・追われているなら軍の所に行ったほうがいいんじゃない?」
「それは・・・・」
「軍の所にいけない理由がある・・・とねぇ・・・」
はルイを見つめながら呟く。
ルイは地面を見つめたまま微動だにせずに立ち尽くしていた。
もベッドに横になったままルイを見つめていた。
「貴方・・・・ルイさん、何歳?」
「え?あ・・・21歳ですが・・・」
「大人じゃない。」
「え?」
「頼みに来てるんでしょ!?もっとシャキッとしてって言ってるの!!」
全くといった風に、溜息を付きながら叫ぶ
「エドとアルはどうなの?かくまう気はあるの?」
「ボクは・・・かくまってもいいと思う。勿論サフィルに居る間だけだけど・・・」
「オレもいいと思う。それに奴らが襲って来ないとも言い切れないし・・・誰か一人居た方がいいし・・・だから。」
いきなり話題を振られたエドワードとアルフォンスだったが、すぐに意見をきっぱりと言い切った。
それを聞いては少し俯くとルイを見つめ──
「サフィルに居る間だけ・・・・だからね。」
「それじゃぁ、かくまってくれるんですねっ!?」
「そう言ってんの!!!」
そう言うと、はプイッと病室の扉とは逆にある窓の方に視線を移した。
「あ、ありがとうございますっ!!!」
しかし、そんなルイのお礼には全く返事をする気配はなかった。
「一応今日はもうボク達聞き込みに行かないから。」
「って事は、宿に行くの?」
「いや。の様子も気になるし、病院の人に頼んでここに居させてもらう。」
アルフォンスの言葉を聞き、顔を三人の方に向ける
の問いかけに答えるようにエドワードが静かに答えた。
その言葉を聞き、はニッコリ微笑んだ。
「じゃぁ、二人ともずっとここに居られるかもしれないんだね。」
「お、おうっ。」
ニッコリと微笑みながら、嬉しそうに語るの表情を見て、エドワードは一瞬戸惑いながら答えた。
頬は赤く染まり、エドワードは照れているようだった。
「ルイさんは、そこのソファーで寝てもらえますか?」
「はい。分かりました。」
アルフォンスはソファーに置いてあった毛布を手に取り、ルイに渡しながら問いかけた。
アルフォンスから毛布を受け取ると、ニッコリと微笑み頷き返した。
「エドとアルは?」
「オレ達は床に座って寝るよ。」
「でも・・・」
「女の子を床で寝させるわけにはいかないでしょ?」
「・・・うん・・・」
エドワードの言葉は確かに正解だった。
その後のアルフォンスの言葉を聞き、何も言えなくなったは、静かに頷いた。























「もう行くの?」
「ああ。早く情報手に入れたいしな。」
が目を覚ましたのはお昼近く。
が目を覚ますまでエドワードとアルフォンスは町に出ずに病室で待っていた。
ソファーではルイがまだ眠っていた。
「気をつけてね、二人とも。」
も。ルイが居るとはいえ、奴らは───」
「分かってる。」
アルフォンスの言葉を遮って呟く
その表情は、何かを悟ったかのような表情にも見えた。
そんな表情をしたを見つめて、エドワードもアルフォンスもゴクリと息を呑んだ。
「大丈夫だよ、あたしは。」
「・・・・じゃぁ、行ってくるね。」
大丈夫だと本人が言ってしまっては、何も言う事の出来ないエドワードとアルフォンス。
静かにを見つめ、行ってくると切り出した。
に背を向け、扉へと向かう二人。
この時、はある事に気がついていた。
エドワードとアルフォンスが気がついていなかった事に。
エドワードが引っかかっていた違和感に、は気がついていた。
しかし、あえては背を向けた二人にこう言った。
「行ってらっしゃい。」


















「なんか、今日の様子がおかしくなかった?」
「いつもと違うというか・・・何かを決心したような感じがあったな。」
アルフォンスの言葉を聞き、やっぱりか───と心の中で呟きながら答える。
しかし、何度考えても何故様子がおかしかったのかという理由が思い当たらなかった。
「まぁ・・・なら大丈夫だろ。」
「そだね。」
苦笑しながらそう言うと、エドワードは「さて、さっさと聞き込み開始しよーぜ。」とアルフォンスの肩を叩いた。
そんなエドワードを見て、アルフォンスは───
「勿論ボクも最初からそのつもりだよ。」
と返し、エドワードの横に並んで歩き始めた。
それから、町を歩く人達、宿の人、食堂の人、いろいろな店の人達に聞き込みをしたエドワードとアルフォンスだったが・・・
いっこうに情報は得られなかった。
得られるとすれば『砂漠の中に建物がいつの間にか現れていた。』という分かっている現状の情報のみ。
それ以外の情報は全く得られなかった。
「だぁぁーーーー!!!んで、こーも上手く行かねーんだよぉ!!!」
「にっ兄さん落ち着いてっ!!!」
今にも暴れだしそうなエドワードの腕を掴み、落ち着かせようと声をかける。
が、アルフォンスの言葉に耳を傾けずにエドワードは叫び続けた。
「兄さんってばぁ〜〜〜!!!」
「うがぁあーーーーー!!!」
しかし、そんなエドワードを落ち着かせる、というよりも、二人を注目させる出来事が起きた。
「あ、あれっ!!!」
アルフォンスが先に気がつきエドワードに知らせる。
アルフォンスの指差す先には、の秘石の力が開放された時に発される紅い光が漏れていた。
場所は───病院の窓からだった。
「「っ!!!」」






















さん・・・身体は大丈夫ですか?」
「えぇ。何とか動かずに居るので大丈夫。」
を心配し声をかけてくるルイ。
そんなルイを軽くあしらう様に接する
「それより・・・早く正体現したらどうなの?」
「・・・」
のその言葉にピクリと反応するルイ。
しかし、何事もなかったかのように笑みを浮かべると──
「何の事ですか?」
まだしらを切るかこの女・・・・
いけしゃあしゃあと言い放つルイを見て、内心呟く
「その様子だと、あたしが眠りについたときに襲ってきそうね・・・」
「何がです?」
「しらばっくれるのも今のうちよ。」
そう言うとは傷む身体を無理矢理窓の方へと向けた。
ルイはそんなの背中を見つめ、不適な笑みを浮かべていた。
しかし、笑みを浮かべ、そのままソファーへと向かい座った。
は窓の外を見つめながら、ルイの気配を読んでいた。
しかし、いっこうに動く様子のないルイ。
そんな状態が長時間続いた。
そしていつの間にかは不覚にも眠りについてしまったのだ。
「この時を待っていたわ・・・」
が眠りに完全についたと確認したルイはスッと立ち上がると、スカートをめくり、太ももに装備しておいたナイフを取り出した。
ざくっ!!!!
「!?」
ルイはそのナイフを持ち、の元へと歩み寄った。
そしてナイフを振り上げ、勢いよくベッドに──に向かって振り下ろした。












To be continued...








エリ:はーい!!!十一話まで続きました、『隠されしセレトの秘石』!!!ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!!!すっごい嬉しいですvvv

ロイ:私の出番はないのかね?

エリ:あ、この回のあとがきは「大佐」が相手なんだーvv

ロイ:それで、私の質問には答えてくれないのかな?

エリ:っとと、大佐の出番はーーーーこの分だとないねぇ〜〜(笑)

ロイ:そうか・・・・どうすれば出る事が出来るのだね?

エリ:そうだねぇ・・・・やっぱり決闘現場に現れて、達を助ける───見たいなシチュエーションがないと無理だねぇ。

ロイ:私はヒーローではないぞ。

エリ:あっはははwそりゃ分かってるってばぁ〜〜(爆笑)

ロイ:分かっていないと思うのは、私だけだろうか・・・・

エリ:とにかく、もしかしたら出番はあるかもしれない。とだけ言っておきましょか。

ロイ:はっきりと言い切ってはもらえないのかな?

エリ:だって、つまらないでしょ?簡単に答えが出ちゃったら。それに、読者の皆さんの楽しみにも・・・うふふw

ロイ:ふむ・・・確かに簡単に答えが出ては面白みがないな。

エリ:ん〜〜大佐、よく分かってるぅ〜〜vvv

ロイ:まぁ、私の出番があるかないかは、作者であるエリ、君にかかっているということだね。

エリ:ま、そういう事。というか、既に呼び捨てっ!?

ロイ:そこを突っ込むか(笑)

エリ:だって〜〜〜ろくに話した事もないのに〜〜〜呼び捨てなんだもん〜〜〜

ロイ:では、君はどうなのだね?ろくに話した事もない相手にため口ではないか。

エリ:うぐっ・・・・ったぁ〜〜痛っい所つくねぇ〜〜大佐。

ロイ:という事だ。エリと呼び捨てさせてもらうよ。

エリ:どーぞ、ご自由に(にっこり)

ロイ:エリはとは違って素直なのだね。

エリ:ま、は軍や軍人を嫌ってるからねぇ〜〜

ロイ:そういう設定出なければ『』と呼べたかもしれぬというのに・・・・

エリ:まで毒牙にかける気?

ロイ:毒牙とは酷い言われようだね。

エリ:だって大佐って、女ったらしじゃん。

ロイ:(ガックシと肩を落とし)別に女ったらしという訳ではないのだが・・・

エリ:あたしにはそーみえる。てか、そーとしか思えない。

ロイ:では、君もその一人になりたいのかね?

エリ:そーは言ってないでしょ?

ロイ:女ったらしという事は、沢山の女性を手玉に取らなくてはな(笑)君にもその一人となってもらわなければ・・・

エリ:だぁぁーーー!!分かった!!分かったから!!!さっきの言葉はなしにする!!!だぁぁかぁぁらぁぁ近づくなっ!!(妄想開始w)

ロイ:分かってくれれば嬉しいよ。

エリ:全く・・・・どうして今回に限って大佐が相手なのさ・・・・(ぼそっ)

ロイ:何か言ったかね?

エリ:何でもありませーん。

ロイ:それより、そろそろ終わりにしなくて良いのか?

エリ:あ、そうだね。うん。もうそろそろ終わりだね。

ロイ:では、私もこの辺で失礼するよ。

エリ:お相手感謝です(^^)またお相手願えますか?(にっこり)

ロイ:貴方が望むのであれば(にっこり)

エリ:という事で、この辺で〜〜〜

ロイ:次回の『隠されしセレトの秘石』もお見逃しのないように(にっこり)

エリ:後書き、楽しんでいただけたら嬉しいです。それではっ!!!






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