隠されしセレトの秘石 第三話
















「う・・・・」
「目が覚めたかね?」
がゆっくりと目を開けると軍服の男が一人枕もとの座っていた。
その後ろに佇む形で、もう一人軍服の女が立っていた。
「軍・・・・服・・・・?」
ややボーっとした頭のままで男を見つめる
男は口元にフッと笑みを浮かべた。
その笑みが素敵で一瞬はドキッとした。
しかし、相手は軍人。
そのことを思い出し、ハッとした。
「大丈夫か?」
「あなた・・・軍人?」
男の気遣いの言葉に返事もせずに、は問いかけた。
の口調は軍人に何か感情を持っている、そんな口調だった。
「そうだが?それがどうかしたのかね?」
男がそう言った瞬間、の目つきが、態度が変わった。
「帰る。」
「その体でか?」
男がそう言った途端に、はキッと男をにらみつけた。
「関係ない!!軍人と一緒に居るくらいなら!!」
ギッと男を睨みつけながらは怒りに任せて叫んだ。
しかし、男も、そして女も微動だにしなかった。
「相当軍人が・・・いや、軍事態が嫌いなようだね、。」
「・・・っ!?どうしてあたしの名前をっ!?・・・・あんた、何者?」
「私はロイ・マスタング。階級は中佐だ。そして、二つ名は焔だ。」
ロイの言葉を聞くと、ピクッと肩を震わせ、は反応した。
「軍人で・・・国家錬金術師・・・か。」
「君が人体錬成を行ったのは、私とホークアイ少尉しか知らない事。・・・国家錬金術師になるつもりはないか?」
ロイのその言葉にはまともに反応した。
心底嫌そうな顔をしてはロイをにらみつけた。
「馬鹿な事言わないで!!」
「馬鹿なことではない。君の実力は私が認める。何しろ・・・人体錬成の公式さえも簡単に導き出してしまうようだからな・・・その歳で。」
はロイにそう言われ、さすが中佐の階級持つわけね・・・と小さく内心呟いた。
普通だったら、の錬金術を見ずして『君の実力は私が認める。』などと言葉は出てくるはずは無い。
の家で見た人体錬成の錬成陣を思い出しただけで、そこまで考えるとなると、何処まで頭の回る奴だろうとは考えた。
「何を聞いていたの!?あたしは軍の狗なんかになるつもりは無いわっ!!」
はロイを睨みつけたまま、机を力いっぱい叩いた。
「拒むのであれば君が人体錬成を行った事を上の者に報告するが?」
「くっ・・・きっ汚いわよっ!?」
ロイの『上の者に報告』という言葉を聞いて、は顔色を変えた。
「あたしを・・・脅すの?殺人兵器にならなきゃ上の者に報告し、逮捕するって・・・・」
「簡単に言えばそういう事だ。君くらいなら分かるだろう?人体錬成がどれほど禁じられているのか・・・」
「そっ・・・それはっ・・・・」
クッと声を漏らし、は下を向いた。
「勿論、この条件を飲むのであれば、上の者には報告しない。勿論、ここに居るものたちだけの秘密という事にしておこう。それに・・・君にとっても、私にとっても損のない条件だが?」
そういうとロイはニッコリとに微笑んだ。
ここには、ロイ・マスタング、リザ・ホークアイ、マース・ヒューズ、ジャン・ハボック、アレックス・ルイ・アームストロング達が居た。
その全員がロイの顔を見つめ、同時に頷いたのだ。
「皆頼りになる人たちだ。」
「・・・本当にあたしにとっても損はないんでしょうね?」
「あぁ、損はない。約束しよう。」
そういわれると、はしばし、ジッとロイを睨みつけ、諦めたかのように殺気を振りまくのをやめ、顔の表情を穏やかにさせた。
その表情は、さっきとは全く違い、その場に居るもの達の視線を集めるほどの魅力の持ち主の表情だった。
すなわち・・・可愛いということだ。
「・・・分かったわ。資格・・・取ってやろうじゃない!」
バンッと両手でロイに向かって拳をぶつけようとした。
パシッ・・・
「甘かったな。」
「一発くらい良いじゃない。」
ロイに掴まれた手に力を入れて振りほどく
真っ向からはロイを睨みつけていた。
は資格は取ると約束したが、軍人を嫌っているという事実は変わらなかった。
「女性に嫌われるのは悲しい事だね。」
ポリポリと頬を描きながら呟くロイ。
はハァと大きく息を吐いた。
「11歳の子供をんあ目で見るなんてサイテー。てか・・・変態?」
のその一言で部屋に居た人たちが全員噴出し、笑い始めた。
ただしリザのみ平然を装っていた。
「で?」
いきなり真面目な目つきでに見つめられたロイは一瞬反応に遅れた。
「・・・・え?」
「だから、資格を取るにはどうしたら良いわけ?」
「あぁ、そうだったな・・・話しておこう。」
そう言うと、ロイは真剣な顔をして説明をしてくれた。
ロイの話によると試験は三つ。
筆記試験と精神鑑定と実技試験。
「───という訳だ。分かったかね?」
「えぇ。すーっごく分かりやすかったわ。」
無愛想の表情でロイにお礼を言う
「で、特権だが・・・」
「高額な研究費の支給。特殊文献の閲覧。国の研究機関、その他の施設の利用など・・・でしょ?その代わり、軍の要請には絶対服従のみになる・・・だったわね。」
の言葉を聞いてロイは目を丸くした。
「あら?違うところでもあった?」
「い、いや。完璧だ。その通りだよ。」
「大佐〜。押されてるっすね〜」
ロイのほうを見ながら笑みを浮かべるハボック。
「試験はいつ?」
「三日後だ。」
「三日後っ!?・・・ありがと。ちょっとやりたい事があるから・・・えーっと、リザさん以外咳を外してもらえます?」
「あぁ、分かってぜ嬢ちゃん。と、俺たちに気使って敬語じゃなくて良いぜ。」
の言葉に一番に反応したのはハボックだった。
ハボックはニッと笑いながら部屋を出て行った。
この時は不思議に思っていた。
これからすることは一人でもいいのに、何でとっさに軍人であるリザの名前が出たのだろうと・・・
軍人が大嫌いなにとって軍人であるリザも嫌いな存在のはず。
なのに、何故はリザを呼びとめたのだろうかと・・・
そんなことを考えたとリザの二人だけとなった部屋で、リザが口を開いた。
「右目・・・大丈夫?」
リザから出たのはの体を気遣った言葉だった。
の右目は人体錬成を行ったときに持っていかれた。
そう、何も無いのだ、の右目には。
それは不自然で、傍から見ると凄く不気味な姿に見えた。
「あ、はい。大丈夫・・・ホークアイ少尉。ありがとうございます。」
ペコリと頭を下げる
ちらっとリザに視線を向けた。
「それより、何をするつもりなの?ちゃん。」
「あ、これです、少尉。」
そう言いながらは自らの右目を指差した。
「右目?」
「何も無いんじゃ、傍から見ると不気味ですよね?それに、アイパッチをつけるのも何か嫌だし・・・偽物作ろうかと思って・・・」
はニッコリと笑って呟いた。
「それに・・・この目を見て、良い顔する人・・・居ないでしょうから・・・・」
付け加えるかのように小さく呟くは、寂しそうな顔をしていた。
「そう・・・大変ね、ちゃん。」
「少尉こそ・・・大変そうですよね。」
リザの言葉に苦笑しながら言い返す
「それより、始めないで平気なの?」
「あ・・・始めます。」
リザに指摘され気付いたは、頭をポリポリとかいた。
「あ、少尉。プラスチック製の何かここにあります?」
リザはにそう言われ、目に付いたプラスチック製のものをに手渡した。
「ありがとーございます。」
ニッコリ笑みを浮かべる
しかし、すぐにその笑みは消え、真剣なの表情が出現した。
パンと両手を合わせ、リザに渡されたプラスチック製の物に触った。
バチバチバチと錬成反応を起こし、目の前に一つの丸い球体が現れた。
球体が濃い青色、の左目と同じ色に染まっていた。
「これでよしっと。」
そう言うと、は球体を手に取った。
「少尉。ちょっと手伝って貰えますか?」
「良いわよ。どうすれば良い?」
リザに聞き返され、しばし考える
「じゃあ・・・あたしの両足、抑えておいて貰えます?」
そう言われ、一瞬首を傾げたが、すぐにコクリとリザは頷いた。
自分の前に鏡を置いて、自分の姿を見ながらは右目に球体を入れ始めた。
それは凄い激痛だった。
もともと瞳があった場所から無理やり、瞳を持っていかれ、そこには真っ赤に染まった傷が広がるばかり。
そこにプラスチック製の球体・・・偽りの目を入れるのだ。
「う・・・・あぁぁぁぁっ!!!」
激痛に負けずと、自然に声が漏れる
ズブズブと嫌な音を立てながら球体はの右目に入っていった。
「どうした!?」
ドアの向こうからロイの声がした。
「入って・・・・入って来ないでっ!!お願いっ来ちゃ・・・だめぇぇぇぇ!!」
は痛みに任せて叫んだ。
その痛みに合わせて球体は右目に進入していっていた。
「大丈夫です、中佐。」
リザの冷静な声を聞き、ロイは入ることをやめ、ドアの向こう側で待つことにした。
「うあぁぁああーーーー!!」
の叫び声が部屋中に響き渡った。
そして、球体はの右目にすっぽりと入りきった。
傍から見ると、その偽物の右目は本物の右目のように見え、一瞬見たからには偽物だとは分からなかった。
「中佐・・・入っても良いですよ。」
その言葉を聞き、ロイは画チャットドアを開け、駆け寄ってきた。
「何があったのだっ!?」
「これ・・・よ・・・」
だるい体を起こし、はロイに右目を見せた。
「目の偽物・・・・入れてたの。資格を取ったら・・・あの家出また・・・・一人で暮らすために・・・」
目を細め、は呟いた。
その表情はやけに悲しそうに見えた。
「そ・・・そうか。」
ロイはそう呟くことしかできなかった。
「試験・・・三日後よね?それまでに、この目・・・慣らすわ・・・痛み・・・無くす!」
そう呟くと、はフッと意識を失った。
「中佐・・・今のうちにちゃんを中央に運んでベッドに寝かせましょう。」
「あぁ・・・そうだな。」
リザの言葉に賛成し、意識を失ったを抱きかかえ、ロイは軍の車へと足を向けた。
試験があるのは中央。
意識を失い、寝ている間に連れて行くのが懸命だろうと考えたのだ、リザは。




























中佐に脅され資格を取る・・・・・それは変わらぬ真実。
あたしは軍人が嫌い。軍が嫌い。国家錬金術師も嫌い。
でも・・・あたしは気付いたの。
資格を持っていれば、元の体に戻る方法が分かるかもしれないって。
方法が見る駆るかもしれないって・・・
だから・・・嫌でもそれにすがるしかない・・・
それがあたしの生きる希望になるなら・・・・
あたしは軍の狗にでもなってやろう───
あたしは針のムシロに座ってやろう・・・・
本望じゃないけど・・・・





















「う・・・くっ・・・・!?」
ガバッと起き上がる
周りを見渡すと、気を失ったときとは違う部屋。
そして、外を見ると、イーストシティとは似ても似つかない風景。
そして枕元を見ると、ロイが疲れて眠っていた。
「ずっと・・・見ててくれてたんだ。」
意外だという顔でロイを見る
ベッドから体を起こし、立ち上がる。
そっと布団をロイに掛けるとはカレンダーに目をやった。
「・・・・・試験って今日!?」
いきなりの出来事に声を上げ、は急いで支度をした。
ちゃん、目が覚めたのね。じゃあ、会場まで送るわ。」
そう言うと、リザはに背を向け歩き始めた。
置いていかれないように小走りではリザの事を追いかけた。
「あ・・・」
「どうかしたの?」
いきなり声を上げたにリザは問いかけた。
「いや・・・全く勉強してなかったなって・・・」
「今まで習った事や覚えた事を思い出しながら試験を受ければ大丈夫よ。」
の心配を解消してやるかのように、リザはニッコリ微笑んで言った。
「自分に自身を持つのよ、ちゃん。」
リザのその最後の言葉を聞いて、は心配を解消する事が出来た。
「ありがとう。少尉。」
「っと・・・ここから先は一人よ。気をつけて行ってらっしゃい。」
「はい・・・」
リザに向かって一礼してから元気に返事をした。
は復習するまもなく嫌いな国家資格を得るために、試験を受ける事となった。
















「さて・・・・あとは実技試験、か。」
ハァと息を深く吐きながらは渡された地図を見つめた。
ズキッ・・・・
「うっ・・・・たぁ〜・・・やっぱり無理やりだったから・・・右目痛い・・・」
自らの右目を右手で覆い隠した。
そして、痛みに耐えるようにギュッと左手を握り締めた。
しかし、そんなことをしても右目の痛みは消える事はなかった。
「失明じゃなくて目玉そのものを持っていかれたもんだからな・・・・失明だったらまだましかも・・・」
ハァと大きく溜息をつき、いつの間にか目の前にあった大きな扉の取っ手を掴んだ。
「さ、入りたまえ。」
そういわれると、は一瞬目を閉じ、心を落ち着かせた。
ガチャ・・・
「踏む・・・君がだな?」
その問いかけには静かに頷いた。
「ほう・・・・右目が見えないのか・・・・」
「〜〜〜っ!?」
右目が見えないということを見破られたは目を丸くした。
「・・・・誰?」
「キング・ブラッドレイ大総統だよ。軍事最高責任者!」
「へぇ〜」
一体誰だろうと興味がわき、は近くに居た軍人に問いかけた。
そして、その答えに感嘆の声も漏らした。
まさかこんな所に、そんなお偉いさんが居るなんて・・・と思い。
「さて・・・試験を始めようか。」
「錬成陣を描く道具は?・・・忘れたのか?」
「そんなもの必要ないわ。」
そう言うと、はパンと両手を胸の前で合わせた。
壁についてるパイ負を両手で触ると、青い錬成反応を起こし、そこからタガーを作り出した。
「一つじゃない!?」
会場にそう声が響いた。
よく見ると両手にタガーを持っていたのだ。
「錬成陣梨で錬成するとは・・・・」
「一度に二個も錬成していたしな・・・・」
「ふむ・・・錬成陣なしとは・・・やるな。結果報告・・・・楽しみにしていたまえ。」
そう言うと、ブラッドレイは大きく笑いながら会場を後にした。
が結果報告を受けるのはイーストシティにある東方司令部のロイ中佐だった。
そのため、また東方司令部のあるイーストシティに戻らなければならなかった。





















「はぁ・・・終わったぁーー・・・・」
とぼとぼと一人で歩きながらは呟いていた。
!」
ちゃん!」
そう呼びかけたのはロイとリザだった。
「なんで呼び捨て?」
キッとロイを睨みつけて言う
「呼びやすいだろう。それに、君のままでは・・・ね。」
「あっそ。じゃぁ、もし受からなかったら、あたしのことって呼び捨てにしないで。」
「では、憂かったら良いのだね?」
「だ・め。そうね〜受かったら・・・二つ名の方で呼んでね。」
「なっ・・・・分かった、いいだろう。」
少し寂しそうな表情でを見つめるロイ。
「試験お疲れ様。錬成陣なしで錬成していたから驚いたわ。」
「少尉・・・ありがとうございます。」
にっこりとお礼の言葉をはリザに素直に返した。
「資格が取れれば君は軍属になる身だ。大総統に対する忠誠心なしと見られれば、あっという間に資格を剥奪される。気をつけるのだよ。」
「それくらい、あたしでも分かるわ。それに、資格をとっても自由に資格を捨てられるのでしょう?」
「まぁ・・・イシュヴァールでの戦いの後、資格を捨てたものが居たわけだしな・・・まさか、やめるつもりかっ!?」
ロイのその言葉を聞き、前を向いていたは顔をロイの方に向け、フッと笑った。
「あたしがいつまでも、脅されていると思った?」
「ふむ・・・頭はさえているは・・・まだまだ甘いな。」
「え?」
アゴに手を持ってきて、くすくすと笑いながら呟くロイを見て、は首をかしげた。
「『人を作るべからず』『金を作るべからず』『軍に忠誠を誓うべし』。国家資格を持つ者の三大制限だ。」
そう言うと、意味ありげにロイは笑った。
何の事か一瞬分からなかっただが、次のロイの言葉を聞いてハッとすることとなるのだった。
「君は不完全とはいえ人体錬成を行ったのだから、ばれればタダではすまない。さて・・・やっと気付いたのかね?」
「あたしは・・・脅されて受けたとはいえ・・・過去を隠し何事も無かったかのように資格を取る。」
「私は有能な錬金術師を水洗した事で評価が上がる。」
そう言われ、はキッとロイをにらみつけた。
「結局は人体錬成を行ったという事で最初に脅して、資格を取らせる。そして、あたしが資格を捨てるみたいな発言をしたら、同じ事で脅すって事ね・・・?」
「そういう事だな。私が君の過去を口外しなければ、全て丸く収まるって事だ。」
「さ・・・最初から仕組まれてたって事ね・・・・・あたし・・・もっと軍を・・・軍人が嫌いになったわ・・・・」
そう呟くと、はギッとロイを今まで以上の形相でにらみつけた。
「このやろぉ〜〜〜!!」
結局ははめられたのだ。
どうやらロイは、より一枚上手のようだった。
「はっはっは。合格発表まで時間はまだある。それに、イーストシティでの発表だ。ゆっくりしていきたまえ。」
そう言うと、ロイの事を睨みつけているを置いて、ロイとリザは軍施設へと戻っていった。
「こっこ・・・・こんちくしょぉ〜〜!!」
両手を前に持ってきて、グッと握り締めて叫んだ。





















がちゃ・・・・・
合格発表を聞くために、は東方司令部、イーストシティに来ていた。
扉の先の机に座っていたのはロイだった。
「またあなたなの?」
ハァと息を吐きながらロイをにらみつけた。
座っていいとイスを勧められ、はしぶしぶ席に着いた。
「来たようだね。では、発表するとしよう。・・・・君は合格だ。」
そう言うとロイはいろいろな物を書類を取り出した。
「まず、これが国家資格の証である銀時計だ。そして、拝命証と細かい規約はこれだ。」
そう言うと、ロイは資料をトントンと整えると一枚の封に入れた。
「読み上げるのは面倒だね・・・・内容は自分で読んでくれたまえ。」
「・・・分かったわ。────それで?」
「おめでとう。これで君は軍の狗・・・いや、国家錬金術師だ。」
コホンと一つ咳払いをして、ロイはの表情を見ながら言いなおした。
「えーっと・・・」
は封の中から一枚の拝命証を取り出した。
「大総統キング・ブラッドレイの名において汝に銘"盲目"を授ける。」
「それが君の背負う・・・国家錬金術師に与えられる二つ名だ。君の場合は盲目との事だ。」
「・・・・あたしの右目の事を指しているのね、これ。」
は自らの右目を右手で覆った。
作り物の目の入っている右目を。
「そのようだね、盲目の。」
「ぷっ・・・」
「どうしたのだね?」
「いや・・・なれないなーって思って。」
「なら──」
「変える気はないわ。せめて、あたしがあんたを嫌いじゃなくなれば変わるかも・・・だけどね。」
フッと不適の笑みをは浮かべた。
「好かれるよう努力しよう・・・」
「はいはい・・・ガンバッテ下さいね、中佐。」
そう言うと、は部屋を出た。
──まぁ・・・資格を取ったらメリットもあるわけだし・・・そりゃ、デメリットもあるけどさぁ・・・
そんなことを考えながらは東方司令部を後にした。





















あれから四年が経った。
は既に15歳となっていた。
イーストシティや付近で起きた事件に首を突っ込み、事件に巻き込まれて、事件を解決したりしては物凄く有名になっていた。
表にも、裏にも。
あの『鋼の錬金術師』同等なくらいに。
は、自らが犯した過ちを忘れないように、取り壊しになりそうだった血塗られた家に今も住んでいた。
その家には、人体錬成を行ったときの名残が残っていた。
「ねぇ、聞いた?ここに殺人鬼があらわれるんだって。」
その言葉を聞いてはピクッと体を振るわせた。
「そいつ、国家錬金術師ばかり狙ってるんだってね。」
ドクンドクンと脈をうつ心臓を押さえながらは家路を急いだ。
急に雨が降り出したのだ。
大雨・・・・そんな中傘を差しながら歩く人々の噂をする声が酷くの耳に入ってきた。
「あら、ちゃん。」
「あ・・・どうも。」
「最近どう?」
「あ、大丈夫です・・・あの、急いでいるので・・・」
そう言うとは礼をしてその場を去った。
「────・・・・・・・・盲目の錬金術師か?」
「そ・・・そうだけど・・・・何?」
目の前に現れた一人の男を目の前に、は後ろへ後ずさりをしていた。
何かを感じたのだ、この目の前の男から。
「神に背きし者・・・」
そう言うと、ギッと睨みつけてきた。
ゾクッ・・・
は背筋に悪寒を感じた。
の第六感が『危ない。逃げろ。』と叫んでいた。
「────っ!?」
急いでは男に背を向けて駆け出していた。
なんとか男をまいたは、そのまま東方司令部へと向かった。
男の事を報告するために・・・
















To be continued...



という事で、とうとう鋼の錬金術師本編へと足を伸ばしてしまいました!
しかし、本編にそって進むのは、ちょっと先までの話。
ちゃんと途中からオリジナルに走りますのでご安心下さい♪
しかし・・・どうですか?
エド夢だと言うのに未だ、15歳のエドが出てきません。
とエド・・・一体どんな出会い方をするのでしょうねぇ・・・www

さて、一応一息つけるような・・・段階じゃねーーー!!!!
危ないって危ないって!!
殺人鬼殺人鬼っ!!
一応東方司令部のロイに報告しに行ってるけど・・・・
どうなるっ!!
どうなるイーストシティ!!
どうなる国家錬金術師!!!
という事で、次回に・・・続くぅ!!!
っと、その前にこの話の『セレト』ですが、最後のという部分は、ヒロインの名前が入っております。
お父さんのへの愛情の表れでしょうね。石に自らの娘の名前を入れるのですから・・・
という事で、次回に続くぅ!!!






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