隠されしセレトの秘石 第四話


















早くっ!!早くしないと・・・・・
そう内心焦りながら東方司令部へとは走っていた。
後ろには額に傷のある男。
どうやらの事を狙っているようだ。
そのことに気付いたからこそ、は急いだ。


















「大佐っ!!皆!!」
声を張り上げては扉を開けた。
すると、中で仕事をしていた東方司令部の皆が驚いた顔をしてを見つめた。
ビショビショに塗れた体。
濡れた髪から雫が零れ落ちるように、水が滴る。
か・・・どうした?」
「はぁはぁはぁ・・・・ひ、額に大きな・・・傷のお・・・男がっ!!」
その言葉を聞いた皆は一瞬にして氷ついていた。
どうやら、丁度それ関係の話をしていたようだった。
!?それは本当か!?」
「会った本人が・・・・そう言ってるんだか・・・・ら。」
ロイの問いかけに、ウインクして答える
気付いただろうか。
ロイのの呼び方が変化した事に・・・
「ホークアイ中尉!!あの兄弟は今どこにっ!?」
「私が司令部を出るときに会いました・・・そのまま大通りの方に歩いていったのまでは見ています。」
。傷の男・・・スカーと会ったのは何処だ?」
「・・・・大通り近くの路地よ。」
そうの言葉を聞くと、ロイはチッと舌打ちをした。
「車を出せ!!手の空いているものは全員大通り方面だ!!」
そう叫ぶと、ロイは歩き始めた。
「あたしも行く!!」
「危ない!やめておけっ!」
「嫌っ!!」
止めたロイの言葉を無視し、真剣な顔をして答える
その真剣なの顔を見て、ロイは溜息をつくと仕方なく頷いた。
「分かった・・・・だが、無茶はしないように。」
ロイの心配するが故の言葉に、はゆっくりと小さく頷いた。
そして、雨の振るイーストシティに現れた傷の男、スカーに会うべくロイたちは大通りへと足を向けた。





















「何言ってんだよ・・・・・兄さん何してる!!逃げろよ!!立って逃げるんだ!!・・・やめろ・・・・やめてくれ・・・やめろぉぉぉぉおおおおぉぉぉ!!!」
幼い少年の声が路地の方から聞こえてきた。
その聞き覚えのある声に反応して、一人駆け出していた。
「──!?」
路地に入るとは知っている、というより懐かしい顔を見つけた。
「エドっ!?」
「「「!?」」」
の声にエドワード本人、鎧の人、スカーがの方に向き直った。
「こ・・・・のっ!!」
そう言うと、は腰に刺さっている剣を抜き、スカーに切りかかった。
「またお前か、盲目の錬金術師。鋼の錬金術師を助けに来たか!?」
ヒュンッ・・・・ガッ・・!
スカーの攻撃を避けながら、は攻撃を仕掛けていった。
「その名で呼ばないで!!それに・・・鋼のって二つ名・・・・まさかっ!?」
そう叫びながらはしゃがみこんだ。
しかし、見抜かれていたようでスカーの手がに迫った。
「!?」
エドワードが国家錬金術師だなんて・・・・と考えていた事があだとなったのだ。
ドンッ!!!
銃の音がしてスカーの動きが止まった。
「そこまでだ。」
「大・・・・佐・・・・」
エドワードは、ペタンと腰を地面についた。
怖かった。
それは誰でも思ったことだろう。
スカート戦ったもまた、同じ事を思っていた。
「危ないところだったな、鋼の。」
「大佐!!こいつはっ・・・・」
銃を握り締めたまま、ロイはエドワードに話しかけた。
右肩を左手で抑えながら、エドワードはロイに何かを伝えようとしていた。
「その男は、一連の国家錬金術師殺しの容疑者・・・だったが、この状況から見て確実になったな。」
そう言うと、ロイはスッと目を細めた。
「タッカー邸の殺害事件も貴様の犯行だな?」
ロイの言葉を聞き、エドワードはスカーをにらみつけた。
は話を静かに聞くことしか出来なかった。
「錬金術師とは、元来有るべき姿の物を異形のものへと変成する者・・・それすなわち、万物の創造主たる神への冒涜。」
そう言うと、スカーは自らの右手を顔の前で握り締めた。
「我は神の代行者として、裁きを下すものなり!!」
「それが分からない。世の中に錬金術師は数多いるが、国家資格を持つ者ばかり狙うというのは、どういう事だ?」
「どうあっても───っ!?」
スカーがそこまで話した時、誰一人として動けなかった緊迫感の中から、タダ一人スカーに向かって攻撃を仕掛ける姿があった。
「盲目の錬金術師・・・・懲りぬのかっ・・・」
スカーはを迎えるため、戦闘態勢に入った。
しかし、この時は考えていた。
真っ向勝負ではスカーに適わない・・・だから、危険だが自分が女である事を最大に活用してやろうと。
はスカーめがけて駆け出した。
「なっ!?武器なしっ!?何を考えてやがるんだ、あいつ!?」
エドワードはの事を見つめて叫んだ。
どうやら、が誰なのか全く分かっていないようだ。
フッと笑みを浮かべたスカーだったが、すぐにその笑みは消えた。
そして、そこに居る人全員が何故、笑みが消えたのか、次の瞬間知る事になる。
がしっ!!
「きゃぁ〜〜!!スカー様ぁ〜〜!!」
黄色い声を上げ、ニコニコと笑いながらはスカーに抱きついていた。
「なっなっ・・・・!?」
何が起きたのか理解できないスカーは、ピタリと行動を止めて、困っていた。
ガウンッ・・・・
その瞬間、の足がスカーの急所に直撃した。
「〜〜〜っ!?」
すさまじい痛みにスカーはを引き剥がし間合いを取った。
そして右手を上に挙げ、地面に勢いよく手をつけると、スカーのいた辺りの地面がへこみ、スカーは地下へと逃げていった。
「!」
ロイは逃げたスカーよりも壁の近くで、グッタリと倒れているに急いで駆け寄った。
「大丈夫かっ!?」
一部始終を見ていたロイはの方に手を置き、声をかけた。
「大・・・・佐。我ながら面白いこと・・・・したわ。」
「何を笑っている!?もしかしたら殺されていたかも知れないのだぞ!?」
「そ・・・・そんなに怒る事無いじゃない・・・・ごめん。」
笑いながら言うに対し、怒りの声を上げるロイ。
その言葉を聞き、初めはなんでそんなに・・・・と文句をたれたが、すぐにロイの表情に気付き、罰の悪そうな顔をして誤った。
「エイティ・・・」
「ごめん・・・今だけ二つ名で呼んで。」
苦しそうなの顔を見て、ロイは頷いた。
の耳に、エドワードと鎧の人の言い争いの声が聞こえていたが、気にせずロイのほうに意識を戻した。
「盲目の・・・・大丈夫か?」
「なんとか・・・・ね。でも、ちょっと・・・・スカーに蹴られた所と、背中が・・・痛い。」
「全く・・・もう無茶はしないでくれたまえ、盲目の。」
ロイの言葉を聞いて、苦しそうな表情を無理矢理笑顔に変えた。
「もうあんな事するつもりはないわ。そこまで馬鹿じゃないし・・・やってみて、自分でも嫌だなって思ったし・・・」
「全く・・・驚いたよ、君の行動には。」
「あはは・・・あ、そうだ、大佐。」
「何だね?」
「東方司令部にエドも来るんでしょ?」
の行き成りの声に首をかしげながら問い返すロイに対し、は目を細め問いかける。
「あぁ。それがどうかしたのか?」
「あたしも連れてって。大佐にも話あるし・・・」
「分かった・・・・良いだろう。」
そう言うと、ロイはを背負おうとした。
「自分で歩く。」
冷たい声で言われたロイは、寂しそうな顔をして立ち上がるを見つめていた。
は壁づたいに、からだの痛みに耐えながら東方司令部へと足を向けた。






















「あれはどういうこと!?」
はバンと大佐の机を叩いた。
本当なら戻ってすぐにエドワード達と話をするはずだった。
しかし、がちょっと話があると言っていたため、ロイは皆を待たせて、大佐の部屋へと向かったのだった。
「あれとは何の事だね?」
「エドよ。エドの腕と鋼の二つ名。大佐なら知っているんでしょ!?」
「さてね。」
「ごまかしても駄目。」
グイッと横を向いたロイの頬に手を持っていき、ロイの顔をの方に無理矢理向きなおさせた。
「では・・・私の質問と、頼みを聞くというのであれば。」
「・・・・何よ。」
の言葉を聞き、ロイはにやりと笑った。
「まずは、何故さっき、と呼ばせてもらえなかったのか、教えてもらおうか。」
「・・・・エドが・・・・エドが居たからよ。あたしだって気付いてなかったからちょっと・・・意地悪しようと思って。」
「ふむ、なるほどね。」
ロイの質問に正直に答えるを見て、微笑んだ。
そして、ロイは可愛いと思った。
「では・・・頼みの方だが・・・ここにキスをしてくれれば鋼のの事を話そう。」
「なっ!?」
ロイの指差す場所は頬。
それでも、ファーストキスを済ませていないにとって、それは重大な事だった。
「・・・・本当に教えてくれるんでしょうね?」
「あぁ、約束しよう。」
「───分かったわ。」
そう言うと、は背伸びしてロイの頬にキスをした。
「このセクハラやろう・・・・」
最後にボソッと呟いた事にロイは気付いていないようだ。
「さて・・・本題だが、君がそこまで怒るという事は、鋼のの機会鎧の事、多少は予想できているのではないか?」
ドキッ・・・・
ロイの図星の一言を聞き、はドキッとした。
は自分の予想が外れればいいと願っていた。
「ちなみに、鋼のは右腕だけでなく、左足もだ。これだけは言っておくよ。後は本人に聞くほうが良いだろう。」
ロイの言葉にショックを隠せない
小さく頷き次の話題を待った。
「鋼のが国家錬金術師になったのは、あの子自身の決断だよ。私は背中を押して、前へ進めさせたのみ。」
「嘘っ!!」
「嘘ではない。軍の狗だと、悪魔だと、人間兵器だとののしられても、国家錬金術師の特権をフルに使って探し物を見つける、自分たちの夢を叶えると決めたのは鋼の自身だ。私にも君にも止める権利はない。」
真剣に話すロイを見つめていたは、今の話が真実だと認識した。
「分かった・・・ありがとう。」
そう言うと、は大佐に背を向け歩き出そうとした。
「あ、そうそう。ちょっとエドをからかうから、あたしだってバレルまで二つ名で呼んでてね。」
そう言うと、は本当に大佐の部屋を出て行った。


















ガチャ・・・・
「w、話は終わったのね。」
リザはホッと胸をなで下ろした。
「あ、はい。」
そう言うと、はエドワードの方へと歩み寄った。
「ん?」
が近づいてきた事に気付いたエドワードは顔を上げた。
「初めまして、エドワードさん。」
「あ、初めまして。俺のこと知ってるんだ。」
「エドワードさんは、凄い有名ですからね。」
「そりゃどーも。貴方こそ有名ですよね、盲目の錬金術師と。」
「えぇ・・・でも、私の事を知っているようで、嬉しいです。」
「えーっと・・・・確か名前は・・・・」
「あら?名前の方は覚えていませんか?」
はスッと目を細め、エドワードを見つめた。
の事を知っている人から見ると、エドワードは遊ばれていると人目で分かっていた。
それでも、遊ばれているエドワード本人は気付いていないのだ。
・・・・でしたっけ?」
「えぇ。」
「実は俺の幼馴染も同じ名前・・・・・なん・・・・だ・・・・・よ・・・・・」
と話していくうちに気付き始めたエドワード。
「あら。それは奇遇ですね。あたしの幼馴染にも同じ名前の人が居るんですよ。エドワードさん。・・・それに、アルフォンスさん。」
エドワードの横に居る鎧の人に視線を移し、静かに呟いた。
「も・・・しかして、本当に本人の・・・・・?」
「えぇ・・・・やっと思い出してく・だ・さ・っ・た・の・ね!」
ギロリと二人を睨みつけては呟いた。
は見てすぐにエドワードの事を思い出したのに、エドワードとアルフォンスはどうして気付いて、思い出してくれなかったんだろうと思いながら。
「んだよ。ならもっと早く言ってくれても良いじゃねーか。」
プゥッと頬を膨らませるエドワード。
「っと。スカートの時は助けてくれてサンキュー!強くなったな。」
パッと笑顔で振り返ったエドワード。
お礼の言葉の後に待っていたのは、の平手打ちだった。
パシィィーーーーンッ!!
大きな音が部屋中に響き渡った。
「ってぇな!!何すんっ・・・!?」
叩かれた頬を押さえ、に怒鳴ろうと顔を向けたとき、の瞳から涙が流れ出ていた。
「心配・・・したんだから・・・・会いたかったんだから・・・・手紙だしても・・・宛先不明で戻されるし・・・・」
涙を堪えるために、唇をかみ締める
エドワードもアルフォンスも何も言えずにただ見つめる事しか出来なかった。
「それに・・・なんで資格取ってるのよ!!」
「それはっ!!」
「自分たちの夢を叶えるため?ある探し物を見つけるため?」
「なんでそれをっ!?」
「大佐から聞いた・・・夢って・・・その体に関係してるの?」
の言葉にエドワードは肩をビクンと揺らした。
「その右腕と左足・・・そしてアルの体全部って・・・人体錬成で持っていかれたんじゃないの?」
「!?」
に図星をさされて、カッとなったエドワードは左手の拳を振り上げ、の事を殴った。
「鋼の!?」
「大佐っ!!大丈夫・・・予想してたから。」
叱咤するように叫ぶロイに笑顔を向ける
だって資格取ってんじゃねーか!!」
「大佐に脅されたんだから仕方ないでしょ!?それに・・・話をそらすなっ!!」
「・・・・ねーよ・・・・」
「え?」
だってと話題を切り返してきたエドワードに叫びながら答える
そして、話がそれた事を指摘した瞬間、エドワードはポツリとつぶやいた。
その言葉を聞き逃したは問い返した。
に俺の気持ちは分からねぇよ!!」
「えぇ分からないわよ!!何も教えてくれなきゃ分かりたくても分からないでしょ!!」
「兄さん・・・は僕達を心配して・・・」
「分かってるよ・・・・悪かったな、。」
「ううん・・・元気で・・・良かった。久し振り・・・・」
そう言うと、は笑顔でエドワードを抱きしめた。
「エド。」
「あ?」
「あたしも一緒に旅させて!!」
「え!?でも、には家族が───・・・」
アルフォンスの言葉を聞き、は寂しそうに笑った。
「皆死んだよ。母さんと父さんが死んだのはエドもアルも知ってるよね?あたしを引き取ってくれたおじいさんも・・・・死んだ。というより、皆殺された。」
「───っ!?」
から聞いた真実にアルフォンスもエドワードも驚愕の顔をした。
「だから連れてって!!」
「なまはんな旅じゃねーかもしれないぜ?」
「構わない。それに、エドたちが何かを捜し求めてるって事を知ったときから、あたしも一緒に旅したいって思ったの・・・だから・・・・」
の真剣な目を見て、エドワードは小さく笑って頷いた。
「エドの・・・捜し求めてるのって・・・賢者の石でしょ?実は、あたしもそれを探してるというか・・・賢者の石を求めてるから、そういう書類などを集めてたんだ。」
「えっ!?もなの!?」
の言葉を聞き、アルフォンスは驚きの声を上げた。
「うん。」
「それより、話のこしを折って悪いが、エドたちはこれからどうする?」
ヒューズに問いかけられ、エドワードはポリポリと頬をかいた。
「うん・・・アルの鎧を直してやりたいんだけど・・・俺この腕じゃ術を使えないしなぁ・・・」
「それなら我輩が直してやろうか?」
エドワードの言葉を聞き、ムキムキと筋肉をあらわにしたアームストロングが現れた。
「遠慮します。」
アルフォンスは率直に断っていた。
「アルの鎧と魂の定着方法を知ってんのは俺だけだから・・・まずは俺の腕を元に戻さないと。」
「そうよね・・・・錬金術の使えないエドワード君なんて・・・・」
エドワードをジッと見つめ、何やらポツリポツリと話し始めるリザが居た。
「ただの口の悪いガキっすね。」
「くそ生意気な豆だ。」
「無能だな、無能。」
「い〜じ〜め〜だぁ〜!!」
酷い言われようにエドワードは情けない声で叫んだ。
「これくらいでショック受けるなんて・・・・背も中身も"ちっちゃい"こと・・・」
「!!」
の要らぬ一言がエドワードに更なるショックを与えたのだった。
「しょ・・・しょーがない・・・・うちの整備師の所に行ってくるか・・・」
立ち直れて居ない状態でヨロヨロと立ち上がるエドワード。
「では、我輩がアルフォンス・エルリックを運ぶとしよう。」
「「・・・・え?」」
アームストロングの発言にエドワードとの声が重なった。
「俺ぁ仕事が山積みだからすぐ中央に帰らなきゃならん。」
ヒューズは眉を潜めて言った。
「私が東方司令部を離れるわけにはいかないだろう。」
「大佐のお守りがあるし・・・」
ロイの発言の直後にリザはフゥと溜息をつきながら言った。
「あーんなやばいのから守りきれる自身ないし。」
「という事は・・・」
「決まりだな。」
「勝手に決めるなぁぁぁーーー!!」
ニカニカと笑みを浮かべるアームストロングに向かってエドワードは叫んだ。
「子供は大人の言う事を聞くものだ!」
「子供扱いするな!!それに護衛なんていらねーよ!」
「同感。子供扱いされたくないわね、あたしも。それに、エド同様、護衛なんていらないわ。」
アームストロングに文句を言うエドワードを見て、コクコク頷きながらも参戦した。
「スカーがいつ襲ってくるかも分からないのだぞ!?」
すぐに飛んできたのは、ロイの滅多に聞けない怒鳴り声だった。
「そんなの俺たちで・・・」
そこまで言うと、エドワードは止まった。
「その体でか?」
「あたしだって居る!!」
「一人で二人を守れるのか?」
ロイの真実をついた言葉は、エドワードもも黙らせた。
「そ・・・それは・・・・」
「兄さん。。大佐の言うとおりだよ。」
「でも・・・」
「・・・・・なぁ・・・・」
アルの一言で何も言い返せなくなった二人。
「〜〜〜っ分かったわよ!」
「そうと決まれば早速用意を始めようではないか。」



























「あ〜〜あと少しだね、リゼンブールまで・・・」
「そだな・・・」
大きなあくびをしながら呟くとエドワード。
「アル・・・・大丈夫かな?」
「羊も一緒だ。大丈夫であろう。」
「そ・・・そういう問題か・・・・?」
アームストロングの言葉を苦笑しながら軽くあしらうエドワード。
「!」
「うわっ!?」
いきなり窓の方に身を乗り出したアームストロング。
その行動にエドワードは驚き、身を沈めた。
「ドクター・マルコー!!ドクター・マルコーではありませんか!?中央のアレックス・ルイ・アームストロングであります!!」
アームストロングがそう叫んだ瞬間、ドクター・マルコーと呼ばれた男は、アームストロングの顔を見た瞬間、駆け出した。
「知り合い?」
「うむ・・・中央の錬金術研究機関にいた、かなりやり手の錬金術師だ。錬金術を医療に応用する研究に携わっていたが、あの内乱の後、行方不明になっていた。」
アームストロングのその説明を聞き、エドワードはピクンと肩を揺らした。
スッと立ち上がり荷物を持ち、歩き出した。
「降りよう。」
「え?降りるのって・・・リゼンブールでしょ?」
エドワードの言葉を聞いて、は首をかしげた。
「そういう研究をしていた人なら、生体錬成について知ってるかもしれない!」
「なるほどっ!!・・・あたしの家にあった資料は全く役に立たなかったわけだし・・・今回はビンゴだと良いね、エド。アームストロング少佐!急いで!」
エドワードの後を追って、は少し出遅れているアームストロングに呼びかけた。
「あの・・・さっきここを通った・・・・」
「えっと・・・どう説明すれば・・・」
エドワードとはドクター・マルコーの居場所を聞こうと近くの人に声をかけた。
しかし、どう聞けば良いのかと悩み頭を抱えていた。
「こういうご老人が通りませんでしたかな?」
「あぁ!マウロ先生!」
「知ってる知ってる!」
アームストロングの描いたドクター・マルコーの似顔絵を見た瞬間、ポムッと手を打った。
「マウロ?」
さっきとは違う名前を出されエドワードと顔をあわせる
「この町は見ての通り、皆ビンボーでさ、医者に掛かる金も無いけど、先生はそれでも良いって言ってくれるんだ。」
「治療中にこう・・・・パッと光ったかと思うと、もう治っちゃうのよ。」
町の人皆がドクター・マルコーことマウロの事を褒めていた。
「光って・・・」
「錬金術の事よね?」
「でしょうな。」
そう言うと、その人たちから道を聞き、ドクター・マルコーの元へと急いだ。
エドワードもも期待を胸に、ドキドキしながら、その道を急ぎ足で歩き始めた。














To be continued.................






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