───嫌だ・・・・・エドが死ぬなんて・・・・ヤダ!!絶対にヤダ!!
















隠されしセレトの秘石 第七話

















びがぁぁああーーーーーーー!!!
ピカピカチカチカと輝く何かがエンヴィーを直撃させた。
その直後には、鋭い何かで切られたかのように、女の方が上半身と下半身とに切り分けられた。
「!?」
「エドに・・・・近寄らないで・・・それ以上・・・エドを傷つけないで!!!」
そう叫び現れたのはだった。
!?」
「あららーー・・・・盲目のお嬢ちゃんまで来ちゃったのか・・・・」
「!?」
いきなり駆けられた声に驚きは真っ黒にこげていたはずのエンヴィーを見つめた。
すると、半分に切り離された女の方も傷がふさがり、何事もなかったかのように現れた。
「確か盲目のお嬢ちゃんの専門錬成だったよね?雷と風の錬成は。」
エンヴィーの言葉に身体をビクッと振るわせる
「さてと・・・どうする?この始末・・・・」
「ぐはっ!!」
エンヴィーはエドワードの髪の毛を掴みエドワードの腹に蹴りを食らわせる。
「っ!!」
その瞬間は両手で身体をギュッと掴んだ。。
そして、そのままうずくまり始めた。
しかし、その行動は何を示すのかわからずエンヴィーもエドワードも女もをただ見てることしか出来なかった。
「やめて・・・・エドをこれ以上・・・・・これ以上傷つけないでぇぇぇーーーーーーーー!!!!」
がそう叫んだ瞬間、何かの力が爆発するかのようにの身体から真っ赤な光が放たれた。
「あなたっ・・・・身体の中にセレトの秘石を隠し持っていたのっ!?」
今だ力を放出し続けるを見つめて、女が呟いた。
それを聞いていたエドワードは驚いた。
行方不明となっていた秘石が自身の中に入り込んでいたということに。
そして、この光景を昔に一度見ていたことを思い出し、驚いていた。
「これは・・・・覚醒したってことね・・・・セレトの秘石の力がっ・・・・」
そう言うと女はエンヴィーの方に視線を向けた。
「この場所を破壊して逃げるのが先決よ!!今の私たちではセレトの秘石の力には適わないわっ!」
「わかったよ〜」
そう言うと、女とエンヴィーはエドワードとを置いて姿を消した。
その瞬間を待っていたかのようにの周りを覆っていた真っ赤な光は消えうせ、宙に浮かんでいたは地面にゆっくりと降りてきた。
!?」
「エドっ!?大丈夫・・・・?」
「オレは・・・・でも、は?」
「うん・・・あたしは全然大丈夫だよ。ここに来る前に一人の鎧に魂を定着させた囚人に会ったけど・・・」
右指全てにはめた尖った爪を持つ指輪を外しウエストポーチに入れながら呟く
「あたしの体の中に・・・・」
「あぁ・・・・セレトの秘石だろ?」
「うん・・・・それに、これが証拠だよ・・・・」
今にもなきそうな口調で呟くの指差す先は、首の真下、そして胸の中央辺りにあるセレトの秘石に埋め込まれていた紋様と同じイレズミのようなもの。
「力の爆発による一時的なものだと思うけど・・・・あの刺客と同じ紋様だから・・・・間違えないと思う。」
「あぁ・・・・もう何も言わなくて良い。後でアルにも説明しないとな・・・・」
そう呟いたときだった。
!!」
「アルっ!?」
後ろからアルフォンスの声が響き渡った。
「アル・・・・大丈夫?」
「ボクは・・・・それより今の話・・・・」
「あ、聞いてたの?」
アルフォンスの切り出しに、キョトンとした顔をしたままは問いかける。
その問いかけにアルフォンスはゆっくりと頷いた。
「本当だよ・・・あの日・・・あたしの体の中に封印されたみたいなの・・・・それで・・・今・・・」
「じゃあ・・・あの刺客たちは・・・・」
「たぶん、あたしの体の中にある秘石を手に入れるために動いているんだと思う。」
「おい、オレを無視するな。」
「あ、ごめんごめん。」
アルフォンスとだけで話を進める二人の間に割り込んできたエドワード。
は笑いながら軽く謝るが、アルフォンスに関しては何もなかった。
エドワードの言葉が聞こえなかったかのようにそっぽを向く。
「あ!!!それより、ここ、さっきの女の人破壊するって言ってなかった!?」
「「!!!」」
のその言葉を聞き、一大事だと思い出し駆け出す三人。
何とかギリギリ建物崩壊直前に外に出る事が出来た事に三人は心のなで下ろしていた。




















「あ、エドワードさん!起き上がれるようになったんですね。」
「ここは?」
エドワードはむすっとした顔でベッドに横になりながら、部屋に入ってきたロスとブロッシュに問いかけた。
「ロス少尉の知人の病院です。軍の病院だといろいろ聞かれたときにまずいだろうと判断しまして・・・ここなら静かに養生できますよ。」
ニッコリとした微笑を浮かべてロスは説明した。
その間もエドワードはずっとわき腹を摩っていた。
「あーくそ、痛ぇ・・・・もう少しで真実とやらがつかめそうだったのに・・・・入院なんてしてる場合じゃないよな・・・・」
頭を抱えながら、それでも達の心配も怠らないエドワード。
今、一番辛いのは誰でも一緒だと自分に言い聞かせながらも悔しさを隠し切れないエドワード。
そんなエドワードを見て、ロスとブロッシュは顔を見合わせ頷きあった。
「「鋼の錬金術師殿!先に無礼を詫びておきます!!」」
びしっと敬礼してエドワードに伝える二人。
「へ?」
何の事だか分からず間の抜けた声を漏らすエドワード。
そんなエドワードを待っていたのはロスからの力強いビンタだった。
「あれほどアームストロング少佐が勝手な行動をするなと言ったのにそれを貴方たちは!!今回の件は貴方たちに危険だと判断したから宿で大人しくしていろと言ったのに!!少佐の行為を無視した上に下手したら命を落とすところだったのよ!!まず自分はまだ子供なんだって事を認識しなさい!そしてなんでも自分達だけでやろうとしないで周りを頼りなさい・・・もっと大人を信用してくれてもいいじゃない・・・」
俯いたまま聞くエドワードに強く言い放つロス。
その傍らでブロッシュは「うんうん」と頷き続けていた。
「「以上!!下官にあるまじき暴力と暴言お許しください!!」」
二人は同時に敬礼し、大きな声で謝った。
「あ・・・いや・・・オレの方が・・・悪かった・・・です。」
「ビンタのお咎めは?」
「そんなもん無い無い。」
冷や汗を垂らしながらエドワードに問いかけるロス。
その言葉に軽い言葉でパタパタと手を振りながら答えるエドワード。
それを聞いて、心から息を吐くロスとブロッシュが居た。
「なんでそんなに気ぃつかうんだよ。」
「一般軍人ではないとはいえ、国家錬金術師は少佐相当官の地位を持っていますからね。貴方の一言で我々の首が飛ぶ事もあるんですよ。」
ロスの言葉を聞き、「ふーん」と呟くエドワード。
「そんなピリピリすることないよ。オレは軍の地位が欲しくて国家資格を取った訳じゃないし。もそうだろうし・・・それに敬語も使う事ないじゃん。こんな子供にさ。」
「あらそう?」
「いやーー実は年下に敬語使うのえらいしんどくてさー!!」
エドワードの一言で一気に敬語を使わずに話し始めたロスとブロッシュ。
エドワードは内心、順応早っ!!と思っていた。
「そういえば、アルとは?」
「アルフォンス君はさっきオレがゲンコツかまして同じように説教した!」
ちゃんは、私がね。」
「いや、そうじゃなくて、どこにいるのかって・・・・」
エドワードの問いかけに、ロスとブロッシュは勘違いをして行った行為について述べた。
しかしエドワードの問いかけていた事は、とアルフォンスの居場所だった。
「それが、何処にいるのか分からないんだよね。夕方には戻って来るって二人とも言ってたけど・・・」
「そっか。分かった、ありがとう。」
エドワードはロスの言葉に礼を言って、窓の外を眺めた。
外は晴れて、キレイな空が広がっていた。




















「はーーーーーーあたしの体の中にセレトの秘石が・・・・・あるの、か。」
病院の屋上のど真ん中にごろんと横になりながら呟く
「ッてことは・・・・・・・・あたし人間なのかな?それとも・・・・・石なのかな?」
ふと思った疑問を口に出す
しかし、その疑問に答える声はない。
むくっと起き上がり空を眺める。
「なんで・・・・こんな事になってるんだろう・・・・あんなに平和に暮らしていた頃があったのに・・・」
そう呟くと、エドワード達と初めて出会った頃の事を思い出した。
まだ両親とも近くに居て、友達も元気に一緒に遊んでいて。
「あたしは・・・・こういう運命を辿りたくて生きてきたんじゃない・・・・どうして思い通りの生き方は出来ないんだろう・・・人って。ってか、あたしは人なのかも疑問なんだけどさ・・・」
はははと笑いながら呟き続ける
それでも泣きはしなかった。
泣いたらエドワード達に心配掛けると心の奥底で思っていたから。
「これ以上・・・二人と居たら・・・二人の命、危なくなるのかな・・・・やっぱり。」
そう呟くと、右手を上にかざし、ゆっくりと自らの右目に置いた。
「あたしは・・・・自分の歩いてきた道は間違ってないと信じたい・・・・だから、これからすることも・・・間違っていないと・・・信じたい。」
小さく呟く声は風に流れ、空の中へと溶け込んでいった。
「悔やむことなくあたしは人生を過ごしたい・・・・だから・・・・今のうちに終止符を・・・・打つ!」
そう叫ぶと、グッと拳を握り締めた。
「さてと・・・そろそろ日も沈むし・・・戻るかな。」
そう呟くと、は駆け足でエドワードの病室に向かって行った。




















「嫌いなものは嫌いなの!だいたい牛乳飲まないくらいで死にゃしねぇっつーの!」
病室に近づくとエドワードとアルフォンスの会話が聞こえてきた。
「こう見えてもちゃんと伸びてんのによ、皆小さい小さい言いやがって!」
そんなエドワードの言葉を聞いて、はまた言ってらーと思いながら病室の扉に手を掛けた。
「アルはいいよな。身体がでかくてさ。」
「ボクは好きでこんな身体になったんじゃない!!!!」
丁度が扉を開けたときだった。
アルフォンスの悲痛の叫びが病室中に響き渡ったのは。
「好きで・・・こんな身体になったんじゃ・・・・ない。」
「あ・・・悪かったよ・・・・そうだよな・・・こうなったのもオレのせいだもんな・・・・だから一日でも早く元に戻してやりたいよ。」
二人の間で始まった出来事。
は初め、二人のいい合いを止めようとした。
だが、口を挟める雰囲気ではなくなっていたのだ。
「本当に元の身体に戻れる保障は・・・・?」
「絶対に戻してやるから、オレを信じろよ!」
「『信じろ』って!!この空っぽの身体で・・・何を信じろって言うんだ・・・・!!!錬金術において人間は肉体と精神と霊魂の三つから成ると言うけど!それを実験で証明した人はいたかい!?」
アルフォンスはエドワードの『信じろ』という言葉に反応し、叫び始めた。
「ア・・・アルッ!!待ってっ!!アルっ!!」
は黙っててよ!!」
二人の喧嘩を止めようとしたの声を聞くと、ビシッと右腕を右にビュンッと伸ばすと、そう叫んだ。
「記憶だって、突き詰めればただの情報でしかない・・・人工的に構築する事も可能なはずだ。」
「おまえ何言って・・・・」
アルフォンスの言葉を聞き、驚愕した表情を浮かべるエドワード。
そんなエドワードに目もくれずアルフォンスは言葉を続けた。
「・・・・兄さん前にボクには怖くて言えない事があるって言ったよね。それはもしかして、僕の魂も記憶も本当は全部でっち上げた偽物だったってことじゃないのかい?」
「「!」」
アルフォンスのいきなりのその言葉に、エドワードとは驚き息を呑んだ。
「ねえ、兄さん!アルフォンス・エルリックという人間が本当に存在したって証明はどうやって!?そうだよ・・・皆でボクを騙してるってこともあるじゃないか!!どうなんだよ兄さん!!」
ガンッ!!!
アルフォンスの叫び声と同時にエドワードの机を叩く音が響き渡った。
「ずっと・・・それを溜め込んでたのか?言いたい事はそれで全部か?」
エドワードの静かな問いかけにアルフォンスは静かに頷いた。
「────そうか。」
そう言うと、エドワードはベッドから降り、ゆっくりとした足取りで病室を出て行った。
「エドっ!!」
は急いで病室から駆け出した。
そして去っていくエドワードの背中を見て、涙を貯めた。
「アル・・・・あたしとの記憶まで・・・作り物だなんていうの・・・?」
泣きながらはアルフォンスに問いかけた。
しかしアルフォンスは何も答えようとしなかった。
「エドが・・・エドが怖くて言えなかった事は・・・もっと違う事よ!!アルをっ・・・アルを思ってこそ悩んでたことなのよっ!!なのに・・・あんな言い方ないじゃない!!」
はそう叫ぶとアルフォンスに抱きついた。
「あたしは、アルとの思い出・・・偽物だなんて思わない。作り物の思い出のために・・・泣いたりしないよ、あたしは。それに・・・エドだって、片腕なくしてまで偽物の弟を錬成してどうするのよ!!」
「────っ!!」
の言葉にアルフォンスはビクンと肩を震わせた。
「あたしだって、エドだって・・・皆辛いんだよ?アルだけがこういう思いにぶつかってるんじゃない!!アルはこういった形で・・・・エドはそのいえなかったことを言えずにずっと辛くて・・・あたしも・・・辛いことにぶつかって・・・アル・・・自分で聞かなきゃ。エドの辛い気持ちを。」
そう言うと、は涙でぬらした顔をニッコリと微笑みに変えてアルフォンスを見つめた。
ギュッとアルフォンスの手を握って、急いでエドワードの出て行った方向へと駆け出す二人。
行き先は屋上しかなかった。
「兄さん・・・・・」
「アル・・・・・・・」
「エド・・・言ってあげて!」
「!!」
のその言葉で、が何を言おうとしているのか想像がついた。
目を丸くしてエドワードはを見つめた。
「エドのためていた辛さ・・・アルに話してあげて!!」
「・・・・アル。お前・・・オレの事恨んでるか?」
「!?」
「お前の身体・・・・そうなっちまったのは、オレの所為だ・・・・だから・・・・オレを恨んでるか?」
エドワードの辛かったこと・・・それは鎧に定着した魂という姿にさせてしまったエドワードを恨んでいるのかということだった。
「恨んでなんかないよ・・・・ボクは・・・・兄さんを恨んでなんかない!!」
エドワードの問いかけに必死に答えるアルフォンス。
「言わなきゃ・・・言わなきゃ分からない思いだってあるのよ!!だから・・・たった二人の兄弟なんだから・・・隠し事なんてしないで・・・・仲良く生きなさいよ!!それで・・・それで元の身体に戻るんでしょ!?辛いのはあんたたちだけじゃないんだからね!!」
はエドワードとアルフォンスの姿を見つめながら、見下ろしながら呟いた。
その言葉は、自身にも言えることだった。
「なら・・・・の辛さってなんなの?」
「!!」
墓穴を掘った───
はすぐにそう思った。
「ああああああたしの辛さはどうでも良いのよ!!」
「そんな事ない!!今ははオレ達の仲間で・・・・」
「ボク達の家族だよ。」
「!!」
二人の言葉を聞いた瞬間、の瞳から大粒の涙が流れ出てきた。
「リリリリリリ!?」
「・・・ったし・・・・・怖いの・・・・」
「え?」
ポツリと呟き始めたの言葉をエドワードは問い返した。
「あたし怖いの・・・自分の周りで起こっていることが・・・セレトの秘石を巡っての出来事が・・・・あたしと関わった人達の命を奪っていきそうで・・・あたしは怖い。」
・・・・」
「そして・・・自分が怖い・・・・秘石を身体に持っていることで主に狙われるのはあたし・・・でも、あたしは人間なの?石なの?そういう疑問が頭を離れなくて・・・」
「そんなの、は人間に決まってるよ!」
「当たり前のことだよな、アル。」
「二人とも・・・・ありがとう・・・・だからこそ・・・・」
そう言うと、はスッとエドワード達から離れて行った。
?」
「だからこそ、一緒に居られない。」
「「!?」」
「だって・・・あたしと居る事で二人に迷惑がかかる。二人の命を奪う事になるかもしれない!・・・・だから・・・一緒に居ちゃいけない。」
はそう言うと、エドワード達に背を向けた。
「なんでそうなるんだよ!!!」
「!?」
行き成り叫んだのはアルフォンスだった。
「ボク達の危なくてついて来ちゃダメだっていうところにはのこのこついてくるくせに・・・・ボク達が危ないからって今度は離れてっ・・・・」
「オレ達の身にもなってくれ!!今度はオレ達が・・・オレ達がを支える!それじゃダメか!?」
「ボク達は・・・そんな簡単に死んだりなんかしない!だから・・・・」
その言葉を聞いていたは空を見上げ、涙を堪え、一気に振り返ると二人に抱きついた。
「馬鹿っ!!命無駄に・・・しないでよ・・・・」
そう言い、少し間を空けて言った。
「ああ言ったんだから・・・・・・・もう離さない・・・・もう離さないからね。そして・・・・・・もう離さないでね。」
「ああ。勿論だ。」
の弱弱しい呟きにエドワードは力強く頷いた。
・・・・ごめん。オレ達、の優しさに甘えすぎてた・・・だって人間で、辛さを持ってるのに・・・なのに、の気も知らないで・・・本当にごめん。」
「そんな事・・・聞きたくて・・・・言ったんじゃないのにな。」
二人に抱きつき、泣いたまま呟く
そんなを抱き返す二人。
この三人は、この出来事をキッカケに強い絆で結ばれなおされた。
兄弟という絆。
友達という絆。
家族という絆。
仲間という絆。
沢山の絆で三人は結ばれた。
「エド・・・・アル・・・・」
「「ん?」」
「・・・・・・ありがと。」
「「こっちこそ・・・」」
そう呟くと、三人は静かに流れる空を、オレンジ色の光を帯びた夕焼けを眺めていた。
「ねぇ、エド。元の身体に戻るの・・・・セレトの秘石にかけてみる?」
「え?」
「あたしの体内からセレトの秘石を取り出せれば・・・もしかしたらっ・・・・」
「そっか・・・・その手があったなっ!!」
の言いたい事を理解したエドワードはガバッと起き上がり、ポムッと手を打った。
「そうなると、のお父さんとの接触、刺客との戦闘が確実にあるね。」
「うん。父さんにも聞きたいことあるし・・・刺客だってちゃんとした人間って訳じゃ・・・・わけ・・・じゃ・・・」
「大丈夫!刺客だって倒していける!」
「・・・うん!」
は『ちゃんとした人間じゃない』という言葉に戸惑い、最後まで言えずに終わった。
しかしエドワードが変わりにちゃんと言ってくれ、は嬉しそうに笑みを浮かべて頷いた。
「ちょっと大佐の所に行って話しいろいろ聞いてみようぜ!」
「大佐のところに行って?」
「そだね。大佐とかならいろいろ知ってるかも知れないし・・・」
「あ・・・そうだね。大佐に頼るってのが・・・・嫌だけど。」
「そんなちっさいこと言わないのー。」
「ちっさい言わないでよ!!!」
アルフォンスの言葉を聞いて、は大きな声で反論した。
「兄さんとおんなじ反応だぁ〜あっはははああははは。」
そしてアルフォンスはの反応がエドワードと一緒だと気付き、笑い始めた。
「ほらっ!!大佐ん所行くぞ!!」
ぶっきらぼうに右手を後ろに差し出し言うエドワード。
「〜〜〜〜っうん!!」
そう叫び、は勢いよくエドワードの右手にしがみついた。
「仲いいな〜二人とも〜」
「アルとだって仲良しでしょ〜〜」
ニコニコと笑いながら答えるを見つめながらアルフォンスもエドワードも笑みを零していた。
























!!アル!!急げ!!列車行っちまう!!!!」
そう叫ぶと、エドワードは発車しかけている列車を追いかけた。
何とかエドワードとアルフォンスは列車に飛び乗れたのだが、一瞬手が滑り、列車の手すりを掴んでいたの手が離れてしまった。
「「「!!!」」」
この出来事に本人も勿論、エドワードとアルフォンスも驚きの目を向けた。
やばい───三人がそう思ったとき、ははっとした顔をした。
「大丈夫!!ちゃんと追いつくからっ!!」
そう叫ぶと、は走りながら両手をパンと合わせた。
そして、後ろに顔を向け両手を口元にもってくると、フゥッと息を吐いた。
その瞬間、爆風がの後ろから襲った。
風に乗ってが宙に浮き、列車から手を伸ばすエドワードの手にの手が届いた。
そしれ、何とかは列車に乗ることが出来た。
「ふぅ・・・・何とか出来た〜」
が行ったのは、自らの場所と風を吹かせ始める場所の気圧の差を調節しただけだった。
後は人体錬成を行った身であるにとって錬成陣は必要なく、パンと手を打つだけだった。
って、ボク達みたいな錬成だけじゃなくて、風の錬成も出来るんだ!!」
「まあね。風の錬成って行っても、今みたいに強風の風を吹かせることも出来るし、弱風の風を吹かせることも出来るし。勿論、相手を傷つけるほどの威力を持つ風を吹かせることも出来るのよ。」
「へぇ〜・・・んじゃあ、の専門錬金術って風って事か?」
「ううん。もう一つあるんだ。」
エドワードの言葉にはブンブンと首を左右に振った。
「もう一つ?」
「うん。でも、その錬成は特殊でね、錬成するときに必需品があるんだ。」
笑いながらエドワードの問いかけに答える
荷物を柵の上に乗せ、席に座るとは頬杖をついて外を眺めた。
「それから・・・空中を漂っているプラスとマイナスの電気・・・」
「え?」
「なんでもないよー。」
小さく呟いたの言葉を聞き逃したアルフォンスはの顔を見つめて問い返す。
が、はしらけた顔をして軽く呟いた。
のもう一つの錬金術。
それは雷の錬成だった。
雷の錬成に必要なのは、プラスとマイナスの電気と、その間に散らす火花。
たったのそれだけだった。
プラスとマイナスの電気であれば、空中のいろいろな濃度などを調節してやれば簡単に出てくる。
火花はの身につけているウエストポーチに入っている右指全てに嵌める爪の形と成っている物で左手についている鋼のリストバンドを軽くギギギと傷つければいいだけだった。
「つーか・・・本当に暇だな。」
「うん・・・・暇すぎるーーーー・・・・」
とエドワードは外を眺めたまま同じような事を同時に呟いた。
「二人とも、本当に似てるねー」
「似てないよ、アル。・・・・全然ね。」
ニコニコと呟くアルフォンスに対し、クスクスと笑いながら答える
どごぉんっ!!!
そのとき、いきなり列車の後部から爆発音が響いた。
「何だ何だ?」
「こら、エド。あまり嬉しそうな顔をしないの!」
何か出来事がおき、暇つぶしが出来ると思ったエドワードは嬉しそうな顔をして飛び起きた。
「アルは下から、オレは上から後部に向かう。はー・・・・」
「あたしは前部を見てくるわ。」
「分かった。気をつけてな!」
エドワードがパッパと仕切る中、にどう指示を出そうか悩んでいた。
そんなエドワードを見て、後方は任せたから前方見てくると伝えた
それを聞いて安心したエドワードはニッと口元に笑みを浮かべてそれぞれの方向へ足を向けた。


















「さーてと・・・・・前方はなんともないかなーー・・・?」
はそう呟きながら、は前への扉を開け放った。
「うわっとっ!?」
するといきなりあけたドアの方から攻撃を受けた。
「なななな、何!?」
「お前がだな?」
その言葉を聞き、は目の前に現れた人物の姿を嘗め回し見た。
そして、右手の甲にあるセレトの秘石と同じイレズミには気付いた。
「あなた・・・・父さんからの刺客ね?」
「ほう・・・状況は察しているか。」
「まぁ、一度襲われているしね。あたしの中に眠っているセレトの秘石が目的なのでしょう?」
「ほう・・・そこまで分かっているとはーー・・・・」
「残念ながら、秘石の力は目覚めたわよ。」
そうは刺客に言い放った。
「で、貴方の名前は?」
「クレイム。・・・・・お前の中に眠る秘石の力が目覚めようとも、我々の目的は変わらない。」
「あたしの命を狙い、セレトの秘石を手にいてるーーー・・・とか言わないでしょうね?」
「勿論そううだが。」
の問いかけに素直にそうだと頷くクレイム。
そんな馬鹿げた答えにはクスリと笑った。
「冗談。あたしを殺しても秘石の力を手に入れようと・・・?違うでしょ?あんたたちの狙いは、あたしの中に眠る秘石の力を復活させる事、でしょ?」
のその言葉にピクッとクレイムは身体を揺らした。
「ビンゴ・・・?」
「その通りだ。隠しておく事もないだろう。我々の目的は、お前を殺す事にあるのではない、お前の中に眠る秘石の力を完全に復活させる事。」
「完全に・・・・?まだ完全に復活していないという事?」
「力が発動するときに現れる紋様があるだろう?完全復活をすると、その紋様が常に身体に現れるようになる。」
「そう・・・いい情報をありがとう。これで、あたしは殺されないという事が分かったわ。」
のその発言を聞いてクレイムはフッと口元に笑みを浮かべた。
「何がおかしいのかしら?」
「オレ達は、お前を本気で殺しに架かる。殺す寸前で引いたりなんぞはしない。オレ達に殺されるのならそれまでという事で、秘石の力もそれまでと判断し、新たな研究に移るのみだ。」
クレイムの言葉を聞き、は一瞬にしてクレイムをただならぬものと判断し、凝視し始めた。
「なるほど・・・・あたしを殺さずに完全に秘石を復活させるか・・・・あたしを殺し、邪魔者を排除して次の新たな研究にはいるか・・・そのどちらかという事ね?」
そう呟くと、は腰を低く落とし、戦闘態勢に入った。
「そういうことだ。我々を甘く見て殺されるでないぞ。我々はこの計画を無駄に終わらせたくないのでね・・・・」
そう言うと、クレイムは右手を前にかざし、一瞬にして右手を鋭い刃へと変化させた。
「今頃は・・・あのチビと鎧も同じ状況に陥ってるだろうよ。今、オレから聞いたことと同じ事を聞かされている頃だろう。」
「!?」
ハッとしては後方に視線を一瞬移してしまった。
それがあだとなり、相手の攻撃を受けてしまう事となった。
「あぐっ!!」
クレイムの鋭い刃へと変化された右手では右わき腹を切られた。
深く切られたわけではなかったため、は安堵の溜息をついていた。
「別に構わないだろ?お前たちの状況はこうだって教えてあげてるだけなんだしよー。お前から二人に伝えないだけ楽だと思うけど、オレは。」
「あたしとしては・・・言わないで欲しかったわね。あんたたちが・・・実の父親が、実の娘を本気で殺そうと刺客を仕掛けてくるなんて・・・あいつらは知らなくても良かったのよ。」
そう呟くと、はギッとクレイムをにらみつけた。
「かっかっか。甘っちょろい事言ってるねー。何?知らなくてもいい?いずれあいつらは自分で気付くさ。その前に教えたって別に何かが変わるもんじゃないだろ?」
「ふざけないで!!」
そう言うと、はウエストポーチから鋭い爪を取り出し右手に装着した。
パンと両手を打ち合わせ、その後すぐに右手の鋭い爪で左手についている鋼のリストバンドをギギギと傷つけた。
ずどごぉぉおおおぉぉおーーーーーーー!!!
すさまじい音と共に、クレイムに雷が落ちた。
「くくく・・・・これしきでオレを倒そうなどと思っていないだろう?」
「当たり前よ・・・あんたの右手の甲にある紋様を切り付けないと・・・ね。」
「はっはっはっは。本当にいろいろと気付くお嬢ちゃんだね。じゃぁ、本気で行くぜ!」
「あんたなんかにあたしは負けない!!」
そう叫ぶと、はパンと両手を打ち合わせ、鋼のリストバンドを甲剣へと変化させた。
勿論右手の指に鋭い爪をつけたままで。
がぎんっ・・・・・
クレイムの振り下ろしてきた刃をは甲剣で受け止め、右足でクレイムの腹の部分を蹴り間合いを取った。
「あたしは、あいつらの約束したの!!もう離れないって!!だから・・・・・だからあたしはここで死んでられないの!!」
そう叫んだ瞬間、の首の真下、そして胸の中央辺りにセレトの秘石と同じ紋様が浮き上がってきた。
「感情が高ぶると現れるのか・・・セレトの紋様は・・・・」
クレイムがそう呟く間も、はパンッと両手を打ち合わせ、両手を口の前に持ってきた。
そして、フゥッと息を吹くと、の前辺りから鋭い風が生まれ、クレイムの身体を切りつけた。
「ぐはっ!!・・・・・なっ・・・風を・・・使うだと?・・・っ!!!」
そう呟き、前を見た瞬間、目の前にはの姿があった。
振り上げてきた甲剣を刃で受け止め、を見つめるクレイム。
「なるほど・・・・秘石の力はお前の思いの通りに使えるようだな・・・・」
そう呟くと、クレイムは空いている左手での腕を掴み放り投げた。
「くあっ!!!!!」
壁に激突したは声を漏らした。
「っ・・・・さすが殺すつもりでかかってくるだけあるわ・・・・」
はそう呟くと、静かに右わき腹を押さえクレイムをにらみつけた。
「でも・・・秘石の力を完全に復活させるのと、あたしを殺すつもりで襲うのと・・・・何が関係しているの?」
「お前が成長するだけ秘石も成長する。お前の感情が高ぶるたび、秘石の復活度が増す。お前が危険な目に会えば成長する。そう考えたのだよ、お前の父様はね。」
「────っ・・・・何それっ・・・すっごいはた迷惑。あたしの中に眠っている秘石を完全復活させるために、あたしとエドとアルは危ない目にあってるって?ふざけないで!!」
「ふざけてなんか居ないさ。それにさっきも言っただろ?俺たちごときニ殺されるんじゃ、お前の中に眠っている秘石もそれまで・・・邪魔者も邪魔となる秘石も排除出来てオレ達は一石二鳥だと。」
「っ・・・・」
「とにかく、あんたたちは殺されないようにせいぜいのた打ち回ってれば良いのさ。」
「・・・・っざけないでぇぇーーー!!」
そう叫ぶとは甲剣を低く構えクレイムに突っ込んでいった。
「馬鹿めっ!!」
ざしゅっ!!!
の甲剣はクレイムの右手の甲の紋様を捕らえていた。
クレイムの刃はに届く前に砕け散り、クレイムは人の姿を持つことが出来ず、崩れていった。
「はぁはぁ・・・・なんなのよっ・・・・父さんっ・・・・貴方は何を考えているの・・・・?」
はそう呟くと、傷み始めた右わき腹を押さえ、その場に座り込んだ。
の身体の中に眠る秘石。
その力を完全復活させるためにの父親は刺客をに向けてきた。
の成長が秘石の成長、完全復活へと繋がると考えたらしい。
そして、刺客によってが殺されれば、それだけの力だったと、邪魔者は排除され、新たな研究へと映ると。
ただ達は殺されないように刺客たちを倒し、秘石を成長させなければならなかった。
「絶対に殺されたりなんかしない・・・・あたしは・・・・あたしは生きるっ!!生きて生きてっ・・・・」
そう言ったとき、ハッと思い出した。
エドワードとアルフォンスのところにも刺客が来ていると。
二人がそうやすやす倒されるわけがない、と分かっていてもは無償に二人が気になった。
特にエドワードの事が。
ゆっくり立ち上がり、は後方部分の方へと歩いていった。
「「!!」」
そこに、一番訊きたかった声が響き渡った。
「エ・・・ド。アルっ・・・・!!!!」
は扉の方を見つめたまま嬉しそうな顔をしてその場に崩れ落ちた。
「だ、大丈夫か!?」
「うん・・・・大丈夫。」
「わき腹怪我してるじゃないかっ!!」
駆け寄ってきたエドワードに心配され、微笑んで答える
そんなの怪我に気がついたのはアルフォンスだった。
「これくらい大丈夫よ・・・・それより、聞いたんでしょ?」
「「・・・・何を?」」
「へ?奴らの目的をっ!!」
の言葉を聞き、エドワードとアルフォンスは顔を見合わせ首をかしげた。
「いや。オレ達何も知らないぜ。」
「うん。話す余裕なんてなかったしね。行き成り遅いかかって来るんだもん。」
「・・・・そっか。分かった。・・・・エド達に大切な話がある。」
そう言うとはジッと真面目な顔をしてエドワードとアルフォンスを見つめた。
「・・・分かった。まずは席に戻ろう。話はそれからだ。」
エドワードのその言葉にとアルフォンスはコクリと頷き立ち上がった。
そして、三人の荷物の置いてある列車の席へと歩き始めた。























「で・・・・大切な話って?」
真剣な顔をして言葉を発したエドワード。
はエドワードとアルフォンスの顔を交互に見て息を呑んだ。
「奴らの目的・・・何だけどね。」
「ああ。」
「あたしの中に眠るセレトの秘石の力を完全復活させることらしいの。」
「完全・・・復活?」
の言葉にアルフォンスは首をかしげながら呟いた。
「うん。そのために、あたしも成長しないといけないらしい。だから奴らは秘石を完全復活させるためにあたしを殺しにかかるの。それであたしが成長して秘石が完全復活に近づけば、計画はよし。それであたしが殺されれば、邪魔者が排除され、新しい研究へと映る。そういうことみたい。」
「「!!」」
の言葉にエドワードもアルフォンスも息を呑んだ。
「つまり・・・奴らはの中に眠る秘石の完全復活のためにを殺そうとするんだろ?」
「うん。」
「・・・・その主催者っていうか、中心にいるのは?」
「・・・・・・・・・あたしの父さん。」
「「!!」」
の小さな呟きはエドワードとアルフォンスを黙らせるのには十分な力を持っていた。
実の父親が自らの娘を殺そうと刺客を送り続けている。
そのことにエドワードとアルフォンスは息を呑んだのだ。
「でも・・・あたし、殺されるつもりない。父さんに会って・・・あたし、一発ぶん殴ってやりたい!」
「あぁ・・・それくらいしてもいいと思うぞ。」
は拳を握り締め、強く呟いた。
「ボクもいいと思う。だって、普通、自分の娘を殺そうとするなんて・・・・おかしいよっ!!」
アルフォンスも同意見だったらしく、強く呟いた。
「二人とも・・・まだ巻き込んじゃうけど・・・一緒に戦ってくれる?」
「「もちろん!」」
「・・・・ありがと。」






















隠されしセレトの秘石

その隠し場所はの体内だった

の父ティッドは秘石の力を完全復活させようと、に刺客を送り続ける

それは、過酷な戦いだった

の戦いの中での成長が秘石の完全復活に繋がる

しかし その戦いの中が死ねば 父ティッドは新たな研究へと移るのみと考えている

を巡った悲劇は 今 幕を開けたばかりだった─────











To be continued...




という事で、隠されしセレトの秘石!!
秘密がどんどん明らかにされていきますねぃ!!
てか、話の中で何度も何度も説明入っちゃってますよね、ごめんなさい。
話書いてる私が理解できていないんです(ダメジャンw)
一応、の父はの身体の中に眠るセレトの秘石を求めているんですよね。
それで、を戦わせる事で成長し、早く秘石が完全復活するのでは───なんて考え、実行に移したと。
そしたら、それは成功だったぁぁっと!!!
したらもう、刺客はバンバン送っちゃいますよ、父さん。
勿論を殺すつもりで───・・・てか、殺してもいいやって気があるんでしょうね、父さん。
いやぁ、実の娘なのに殺してもいいやって・・・ダメでしょう!!(笑)
ま、の父とが対面すれば全ての秘密、どうしてこんな事になったのか・・・などが明かされることとなるでしょう!
さて・・・その明かされるのは・・・・・いつになるのやら(笑)
それまでは殺されずにガンバッテ刺客を倒さなきゃねぇw
という事でっ!!!
セレトの秘石 第八話をお楽しみに!!!






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