時ヲ切リ裂ク雷ノ……… 第9話














「で。こいつに蹴られた後は、もう覚えてない。」
ポツリと、自分で書いた絵を見せながらエドワードは呟いた。
アルフォンスとは、気を失っていたエドワードを運んできた時にその絵の者を見ただけ。
ここはエドワードの説明に頼るしかなかった。
「魂のみの守護者…貴重な人柱…生かされている…エンヴィーなる者…」
うーんと腕を組みながら、アームストロングはエドワードが語った内容を自身の中で整理し始めていた。
も眉間にシワを寄せたままエドワードの側に、人型のまま立って話を静かに聞いていた。
「マルコー氏曰く、東部内乱でも石が使われていた…ウロボロスの刺青に賢者の石の錬成陣…」
エドワードの描いた絵を見ながらポツリポツリと言葉を口にした。
「ただの石の実験にしては…謎が多いですな…」
「これ以上調べたくても今や研究所は瓦礫の山だしなァ…」
アームストロングの言葉にヒューズは顎に手を当てたまま首を軽く斜めに傾けて呟いた。
これでもし、研究所が崩壊していなければ分かることも多々あっただろう。
「うーん…軍法会議所の犯罪リストでも漁れば何か出てくるかもしれねーな。」
「我輩はマルコー氏の下で石の研究に携わっていたと考えられる者達を調べてみるとしましょう。」
コンコン。
エドワードの描いた絵を見ながら、そしてそれをまとめながらヒューズとアームストロングが呟くと。
いきなりドアをノックする音が聞こえ、アームストロングはそちらへ意識を向けた。
「誰か来た………の………」
「失礼するよ。」
首をかしげてそちらへ視線を向けると、見知らぬ人が1人ドアの前に立っていた。
「「「「!!」」」」
「?」
を除く全員が分かっているのだが、は誰だか検討も付かず眉を潜めていた。
「「「「キング・ブラッドレイ大総統!!」」」」
「ああ静かに。そのままでよろしい。」
4人が名前を述べても、実際この国の住人ではないには分からなくて。
微笑みを浮かべる大総統を見つめてキョトンとしていた。
「大総統閣下、何故このような所に…」
はっ、と声を上げて敬礼するアームストロングの向かい側に立っているヒューズ。
ペコリと会釈をしながら大総統にヒューズは問い掛けると“何故って…”と声を漏らすと。
「お見舞いだよ。メロンは嫌いかね?」
そう言いながら、ヒョイっとメロンの入った袋をエドワードへと手渡した。
そのメロンをエドワードは何の違和感もなく“あ、ども。”なんて呟いて受け取ると───
「じゃなくて!!」
そう1人で突っ込みを入れた。
「…で、そちらのお嬢さんはどちら様かな?」
「「!」」
大総統の言葉にエドワードとアルフォンスがハッとした表情を浮かべた。
「見たところ、普通のお嬢さんとは違うようだが…」
「ええと……」
問い掛けには、どう答えたらいいのかと困ってしまう
大総統と呼ばれている為、何となくは偉い人だと理解できて。
だからこそ、簡単に話していいものか…と考えてしまっていたのだ。
「…ハッハッハ。そう固くなる必要はない。」
笑いながらそう言うと、それ以上に問い掛ける事はなかった。
「軍上層部をイロイロ調べているようだな、アームストロング少佐。」
「はっ!?あ…いやその…何故それを…」
「私の情報網を甘くみるな。そしてエドワード・エルリック君。」
大総統の言葉にアームストロングは驚きの声を上げた。
上層部を調べて居る事は1部の者しか知りえないことだったから。
「“賢者の石”だね?」
「!」
大総統の率直な言葉にエドワードは無言のまま目を見開いた。
そこまで見透かされているのか…と。
「どこまで知った?場合によっては───」
そこまで呟くと大総統は、わざと言葉を止めた。
その言葉の先を紡がれなければ、人は勝手に言葉を想像してしまう。
そして、がそんな感じでまるで睨みつける様な視線を向けていた。
「冗談だ!そう構えずともよい。」
「は?」
大きな口を開けて笑い声を上げながら大総統は気軽な口調で呟いた。
その言葉に素っ頓狂な声を上げたのはエドワードだった。
「軍内部で不穏な動きがある事は私も知っていてな。どうにかしたいと思っている。」
そこまで紡ぐとアームストロング達が調べた書類の束を手にし“だが…”と声を漏らした。
「ほう…賢者の石の研究をしていた者の名簿だな。よく調べたものだ。」
ペラペラペラペラ。
呟きながら、大総統は書類の束をめくりながら呟くとカサっとめくる手を止め。
「この者達全員…行方不明になっているぞ。」
「………!!」
まさか───そんな思いだった。
「第5研究所が崩壊する数日前にな。敵は常に我々の先を行っておる。そして、私の情報網をもってしてもその大きさも目的も…どこまで敵の手が入り込んでいるのかも掴めていないのが現状だ。」
見ていた書類を元の場所へ置きながら、真剣な眼差しを全員に向けて大総統は言葉を発した。
その重々しい空気に押しつぶされまいとも懸命に大総統の言葉に耳を傾けた。
──なんだろう…この人………
は大総統から嗅ぎ取れる心の匂いに眉を潜めた。
たくさんの思いが、大総統の心の匂いから嗅ぎ取れてしまい混乱してしまっているようだ。
「つまり…探りを入れるのはかなり危険である…と?」
「うむ。」
ヒューズの問い掛けに大総統は相槌を打つように返事を返した。
「ヒューズ中佐、アームストロング少佐、エルリック兄弟。君達は信用に足る人物だと判断した。そして君達の身の安全のために命令する。」
そういう大総統の言葉は重々しかった。
ゴクリと生唾を飲む感覚が咽喉に残る。
「これ以上、この件に首を突っ込む事も、これを口外する事も許さん!誰が敵か味方かも分からぬこの現状で何人も信用してはならん!軍内部全て敵と思い謹んで行動せよ!」
眉間にシワを寄せ、真剣な面持ちで命令を下した。
その言葉にそこに居る全員が目を丸くして驚きを隠せなかった。
「だが!!時が来たら君達には存分に働いてもらうので覚悟しておくように。」
「は……はっ!!」
最後にニッと笑みを浮かべた大総統は、柔らかい口調でひと言付け加えた。
ヒューズ達の敬礼と声と同時に外から大総統の部下達の声が聞こえてきた。
「閣下ーーーー!!」
「大総統閣下はいずこーーーーー!!」
「む!いかん!うるさい部下が追って来た!」
声に気づき、ハッとした大総統はすぐにそそくさと窓辺へと足を向けた。
ガラガラと窓を開け、片足を外へ出し窓辺にまたぐと右手を軽く掲げた。
「仕事をこっそり抜け出して来たのでな!私は帰る!また会う事もあろう。ではさらば。」
そういうと、窓から外へ出て行きトコトコと歩き出した大総統。
そんな後姿と言葉を耳にしながら全員唖然としていた。
「あれ。」
ガチャと病室のドアを開けて声を漏らしたのはウィンリィだった。
「どうしたの?皆。外の2人も固まってるし。」
「えっと…嵐が通り過ぎたの……」
ウィンリィの問い掛けにが唖然としたまま、呆然と外を見つめている全員に代わって答えた。
しかし、その場に居なかったウィンリィには何のことか理解できず首を傾げた。
「あ…これ、頼まれた列車の切符買って来たよ。」
「おっ、サンキュー。」
「あ、ごめん。エド、アル。」
切符を渡されるエドワードを見つめ、ハッと思い出しは呟いた。
しかし、その言葉の意味が分からずに眉を潜めるだけのエドワードとアルフォンス。
の事は少し俺が借りるぞ〜」
「「ヒューズ中佐!?」」
ヒューズのいきなりの言葉に、今度は視線がからヒューズへと移った。
しかし、その表情は今だ驚きと変わらなかった。
「ちょっと…調べたい事があるから…ヒューズ中佐のお手伝いを少しの間させてもらうの。」
「でも!?」
「大丈夫だよ。私は鼻が利くからすぐに追いつけるって。」
の説明に、ちょっと待ってよと声を上げたのはアルフォンスだった。
わたわたと両手を忙しなく動かしながら、鎧で声が響き渡る。
その言葉にはただ笑顔で平気平気と返すだけだった。
「まぁ…なら1人にしても安心と言っちゃあ安心だけど…」
「でしょ?なら、ちゃんと後で追いつくから…お願い♥」
エドワードの腕組みながらの言葉にが思い切り食いついた。
瞳を輝かせ、了解を得ようとしているその姿は─────本来の姿である犬。
ズボンからはみ出る尻尾をブンブン振りながら、許しを請うていた。
「仕方ないな……ヒューズ中佐。少しの間を宜しく頼んます。」
両太ももの上に手を置きながら、ヒューズを見据えてエドワードは頼んだ。
その言葉にヒューズはただ“おうよ”と返すだけだったが。
「しかし…忙しないな。ケガも治りきっていないだろうに。」
「いつまでもこんな消毒液臭い場所にこもって居られるかよ!明日には中央を出るぞ!」
アームストロングの言葉に眉間にシワを寄せて少しムッとした表情のまま力強く呟いた。
この調子なら、ケガはだいぶいいのだろう。
「今度はどこへ行くの?エド。」
「ダブリス?」
「どこそれ。」
の問い掛け、切符を見てのヒューズの問い、全く場所の分からないウィンリィの言葉。
その言葉にアルフォンスは地図を見ながら“えっとねぇ…”と相槌を打った。
「……南部の中央辺り。」
「あーーーーーーーーーーー!!」
地図の中央を指差しながら呟くアルフォンスに、地図を見つめたままのウィンリィが突如声を上げた。
一体何かと驚きの視線を向ける一同の目など気にせず、ウィンリィはビシッと地図のある1か所を指差した。
「ここ!ダブリスの手前!」
「…何々?ラッシュバレー?」
「何かあるの?」
ウィンリィの言葉にが地図を覗き込み、そこに書かれている地名を読み上げた。
それに便乗するようにアルフォンスが首を傾げてウィンリィに問い掛けた。
すると、突如辺りに薔薇の背景がセットされた。
「…?」
「機械鎧技師の聖地、ラッシュバレー!!1度行ってみたかったの〜〜〜♥」
その言葉には、あはははは…と空笑いを浮かべた。
ああ、ウィンリィは本当に機械鎧と言うか機械が好きなんだなぁ…
なんて内心思っていると、聞こえてきたのはうずうずとしているウィンリィの心の声。
ハッとして急いでエドワードの方へ視線を向け“逃げて”と言おうと途中まで声を漏らした。
しかし、ウィンリィの言葉にその声はかき消されてしまった。
「連れてって連れてって連れてって連れてけ!」
「1人で行け、そんな所。」
ウィンリィの激しいアプローチに、エドワードは眉間にシワを寄せ“へっ”と唾を吐きながら呟いた。
「誰が旅の費用を払うのよ!」
「オレにたかる気か!」
「いいんじゃない?ついでだし。」
「ラッシュバレーに滞在してくれるなら、私そこに向かえるし…」
ウィンリィの旅の費用のことに突っ込みを入れたエドワードだが、まさかアルフォンスとから“いいんじゃないか”という言葉が返ってくるとは思って居なかったらしく。
少し悩むような物悲しそうな表情を浮かべるとひとつため息を吐いた。
「しょーがねぇなぁ…」
「やったーーーーーーーー♥」
結局折れたエドワードに、ウィンリィは大喜びをするのであった。
「リゼンブールにすぐ戻るつもりだったけど、予定変更!」
そういうと、ウィンリィは病室のドアをガチャッと開けた。
ドアの向こうを指差しながら明るい表情を浮かべ。
「ばっちゃんに電話してくるね!」
そう言いながらドアを閉め、鼻歌を歌いながら公衆電話(?)のある場所へと駆け出していた。
「元気だねぇ〜ウィンリィは。」
「うん。いい嫁さんになるぞ。うちの嫁さん程じゃないけどな。」
出て行ったドアの方を見ながらは苦笑交じりに呟き、それにヒューズが同意した。
さり気に家内自慢が入っていたが…
「オレに言うな!そしてさり気に惚気るな!」
そんなヒューズに鋭くエドワードが突っ込みを入れた。
うん、息ぴったりだなぁ…
なんて内心は思っていた。













結局の元の世界へ返る方法など、軍にある資料で見つかるはずもなく────
現在は他の事について調べる、ヒューズの手伝いをし始めているだった。
「リオールの暴動?」
ヒューズの口から漏れた単語に、は聞き覚えがあるはずもなく気にせずに資料をヒューズの基へ運んだりしていた。
「ええ。レト教とかいう新興宗教が住民を騙していたってヤツですよ。やっと治まったらしいですよ。」
「あ。本当だ。」
コーヒーを持ってきた同じく軍法会議所勤めの人の言葉を聞き、ヒューズは新聞のある一面に目を留めた。
そこには確かに、今話された内容の事が書かれていた。
「あーあ…やだねぇ。死者多数だとよ……イシュヴァールやら暴動やら東部も大変だな。」
肩を竦めながらヒューズはそう呟き、コーヒーを受け取り啜った。
「東部だけじゃないですよ。北も西も暴動だ国境線だと急ににぎやかになって、そのうち国家転覆するんじゃないですかね。」
同じく語る軍法会議所勤めの人も肩を竦めながら、現状をヒューズへ伝える。
その言葉にヒューズは少し止まっていたのだが、いきなりその資料を持ったままガタンと立ち上がった。
「行くぞ。」
「あ、はい。」
短く言うヒューズには慌てて返事をしてついて行った。
「中佐どちらへ?」
「昔の記録を調べに書庫に行って来る。」
そういうとを連れてその場を離れ、バタバタと急いだ足取りで書庫へと向かい始めた。
どこか、話しかけてはいけないようなそんな雰囲気がかもし出されていた。












「イシュヴァール内乱……リオールの暴動……そして…」
そういうと、その資料にヒューズの目は釘付けになっていた。
しかしには今だよく分からず首をかしげ見つめていた。
「おいおい。どこのどいつだ、こんな事考えやがるのは…早く少佐と大総統に……」
ギィ……バタンッ!!!!!!!!!!
ヒューズがそう呟いた瞬間、扉が開き大きな音を立ててしまった。
「っ!?」
何故…この気配に気づかなかったの、私!!
ドアの前に立ちふさがる女性の姿を目にしたが、第1にそう思った。
何故匂いに気づかなかったのか、と。
「初めまして。それとも“さよなら”の方がいいかしら。」
不適な笑みを浮かべる黒髪の女性の胸元にウロボロスの刺青。
ヒューズとはそれに気づき目を見合わせた。
「……イカす刺青してるな、ねぇちゃん…」
恐怖…と言うよりかは、今現在の身の危険を感じて表情を強張らせるヒューズ。
そんな様子をよそに黒髪の女性はバシッと黒い鋭利なものを指先から延ばした。
「知り過ぎたわね…ヒューズ中佐。それに…異世界のお嬢ちゃん。」
そう呟いた瞬間、ヒューズは腰にある投げナイフを手にしは急いでヒューズを庇う様に盾になった。
そしてそれと少し遅れてから黒髪の女性の鋭利なものの攻撃。
の庇う勢いで、黒髪の女性を残し2人は書庫の外へ飛び出た。
ヒューズは肩を押さえ、も腹部を押さえながら歩き出した。
「つ……っ…くそっ!」
「だ…いじょうぶ?」
「…とりあえずな。は平気か?」
前を歩くヒューズを気に掛けて問い掛けると逆に帰ってきた問い。
は後ろを気にしながら“大丈夫”と答えヒューズの後を追った。
「あら。ヒューズ中佐。また家庭自慢の電話で……中佐、血が!!!」
「なんでもねぇ。電話借りるぞ。」
カツカツと電話のある場所へと歩みを進めながら何でもなかったかのように振舞うヒューズ。
“大総統府に──────”と呟いた瞬間、ピタリとヒューズの動きが止まった。
は荒い息をしながら、ヒューズの様子を見ていた。
激しく動き回っている所為か、傷の治りが人型になっているのに遅い。
チッと舌打ちした瞬間、ガンッ!とヒューズが受話器を置いた。
「悪い。邪魔したな。」
「え?中佐!!」
ツカツカと来た道を救急箱を持つ女性の横を通り過ぎながら呟いた。
はすれ違う際に、軽く会釈をし追いかけると向かった先は外だった。
「ヒューズ中佐?外に来て一体どうする……」
「内部は…盗聴されている可能性がある。」
「!」
問い掛けた言葉への意外な緊迫感のある答えには目を見開いた。
そうしているうちに到着したのは、公衆電話。
中にヒューズが入り電話を掛けている間、は外で奴らが追ってこないか確認していた。
──…手伝いと私の帰る方法を探すはずが…とんだ事件に巻き込まれたわ…
大きくため息を吐きながら、傷を癒すように身体を動かすのを止め空を少し見上げた。
『はい、東方司令部。』
「ロイ…マスタング大佐に繋いでくれ!」
『外線からの電話は繋げない決まりになっておりまして……』
「中央のヒューズ中佐だ!緊急で外からかけてる!!」
東方司令部で電話を取った相手との、なかなか進まない話。
それにいらいらしながらも命の危険を感じているヒューズ。
も早く早く…と思いながら場所を移動した。
ヒューズの背後、ではなくヒューズの顔の見える横へと。
『コードをお願いします。』
「ああ、もう面倒くせぇ!!」
そう呟くと手帳をパラッと捲った。
その際に手帳から写真が落ちたことなど気づきもせず、で電話の事が気に掛かってしまい集中が途絶えた。
「“アンクル”“シュガー”“オリバー”“エイト”“ゼロ”“ゼロ”」
『コード確認しました。しばらくお待ち下さい。』
「早くしろ!軍がやべぇ!!」
そう叫んだ瞬間、ヒューズの背後で何か音が聞こえた。
その瞬間────
「受話器を置いて頂けますか、中佐。」
「「!」」
銃口をヒューズとに交互に向けるロスの姿があった。
「さぁ、受話器を。」
「ロス少尉………じゃねぇな。誰だあんた。」
銃を向けるロスを見つめ、一瞬唖然としたヒューズ。
しかし、その顔を見つめていて違うと気づき引きつった表情を浮かべ呟いた。
だが、もヒューズも迂闊に動ける状態ではなかった。
──早く傷が回復すればっ…!!
「誰って…マリア・ロス少尉ですよ。病院で何度も会ってるで……」
「いいや、違う。」
眉間にシワを寄せ、何を言ってるんですか?と言いたげに呟くロス。
しかし、その言葉をヒューズは遮り確実にハッキリと違うと言い切った。
「ロス少尉は、左目の下に泣きボクロがあるんだよ!」
その言葉に目の前に居る偽者のロスはキョトンとした表情を浮かべ、ニヤリと笑みを浮かべた。
「ああ、そうだっけ?うっかりしてたよ………これで、いいかな?」
パキンと小さな音を立てながら、左手の指を添えた左目の下に突如ホクロが現れた。
その様子にヒューズは“なっ!?”と声をあげ、は息を呑んだ。
「……何だってんだ、畜生。夢でも見ているみたいだ……」
公衆電話にもたれ掛かりながら右手で頭を掻き毟るヒューズ。
そんなヒューズににこやかな表情のまま銃口を向けている偽者のロス。
「そうだね。最高の悪夢を見て貰おうかな。彼女にも。」
微笑みながら視線をへと向ける偽者のロス。
その様子にハッとして、は息を呑み後ずさりをする。
それでも歩みは後ろに行きながらも偽者のロスの視界の外に回り込むように動こうとしていた。
パンッ!!!
「つあっ!?!?!?」
ダンダダダダンッ!!!!
「っーーーーーーーーーーー!!」
連続に銃弾を身体に埋め込まれ、苦痛の表情を浮かべはしゃがみ込んだ。
先ほどの傷の回復も間に合っていないのに、さらに深手を負わされたは動けない。
その様子にニヤリと偽者のロスは笑みを浮かべ、ヒューズへと視線を向けなおした。
「頭の回転が速いばかりに、とんだ災難だったねヒューズ中佐。」
「おいおい勘弁してくれよ。家で女房と子供が待ってるんだ……」
を気遣いながら呟くヒューズは、密かに隠していた投げナイフを取り出した。
「ここで死ぬ訳にゃ、いかねぇんだよ!!!」
そういい投げナイフを大きく振り切ろうとしたヒューズ。
しかし、振り向いた瞬間待っていたのは偽者のロスの姿ではなく…………
「その女房を刺そうっての?」
ヒューズの最愛の妻であるグレイシアへと変身した姿だった。
「いい演出だろう?ヒューズ中佐。」
「駄目!!やめて!!逃げて!!!ヒューズ中佐!!!」
銃口を向けられ、しかも最愛の妻の姿で。
ヒューズの身体は完璧に硬直してしまっていて、目の前の攻撃から逃げられない。
パァァァァンッ!!!!
「い……」
その瞬間、の目の前で惨劇が巻く開けられた。
「いやあぁぁぁああぁぁああぁああああぁぁあああああああ!!!!!!!!」
















To be continued................









という事で……時ヲ切リ裂ク雷ノ……… 第9話をお送りします!
いやぁ〜…最後まで迷っちゃいましたよ、ヒロインを最後エドワードルートで進めるか…ヒューズルートで途中合流させるかに。
軍がヤバイという事を知ってしまったヒロインちゃん。
一体どーなってしまうのかぁ!?!?(マテ






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