アシュヴィンと祝言を挙げて、どれくらい経っただろう?
いつもいつも忙しそうで……

ねぇ、アシュヴィン

私は少しだけ……心配だよ








Senecio cineraria








后であるも、確かに忙しかった。
けれど、それ以上にも。


「アシュヴィン」


「すまない、 またしばらく忙しくなる」


それだけ言って、アシュヴィンは踵を返して歩き出した。
なるべくに負担が掛からないようにと、アシュヴィンは何でもかんでも一人で背負って仕事をしてしまう。



夫婦、なんだから……少しくらい頼ってくれてもいいのに



両手を組んで、少しだけふくれっつらをする。
唇を尖らせていじける姿は、もう何度も見せている姿。


「待って、アシュヴィン!」


慌てて駆け出して、アシュヴィンのマントをギュッと掴んだ。


「なんだ?」


「私は、あなたの何?」


「は?」


の問い掛けに意味が分からないと言わんばかりの表情を浮かべた。


「私は、アシュヴィンの妻……でしょう?」


「当たり前だろう?それ以外の何だというんだ」


「なら……アシュヴィンの苦労を、少しでも請け負いたい」


その言葉にアシュヴィンの目が見開かれた。
思いもしなかった言葉に、息を呑む。

良かれと思って、したことだった。


「夫婦って、支えあって生きていくものでしょ?」


マントを掴んでいた手を離す。
そして、はそのままアシュヴィンの背中に抱きついた。


「私は、アシュヴィンを支えたい 少しでも楽になるように、私も協力したい
 じゃないと……いつか倒れちゃいそうで……怖いよ」


回す腕に力がこもった。
行かせないとでもいうように、ぎゅっと。


……」


「立場だけじゃなくて、あなたを支えられるような……本物の后になりたい」


どれだけ望んだことだろう。
どれだけ悩んだことだろう。

ずっとずっと、支えたかった。
立場だけが輝く"后"じゃなくて。

夫を、国を。

考えられる"后"になりたかった。


……ごめん ありがと、な」


回されたの手に、アシュヴィンは自らの手を重ねた。
温もりが伝わって、抱きしめる身体がドキドキ言う。


「そんな風に考えてくれているとは……思わなかった
 いや……前にも、あんな風に心配してくれていたんだから、思っていても良かったのかもしれん
 なのに、また俺は……ごめん あんなに、お前の事を考えると言っていたのに」


「謝らないで、アシュヴィン だって……私のために頑張ってくれていたんでしょう?」


腕の力を緩めて、身体を離した。
そして、はアシュヴィンの前に立った。


「私に負担が掛からないように……一人で」


の言葉に何も返さない。
それはつまり、そうだと言っているのも当然で。


「嬉しいよ、そういう気持ち でも、私は頼って欲しかった、アシュヴィンに
 支えたかった、アシュヴィンを」


それは我がままかもしれない。
常世の事をあまり知らないに頼るなんて、支えてもらうなんて、重荷だったかもしれない。
だからこそ、アシュヴィンはを気遣った。


「……俺は、本当にお前の事をまだ全て理解していないんだな」


苦笑して、アシュヴィンはの顎に手を掛けた。
ゆっくりと顎を上に持ち上げ、口付けた。


「たまにで……いいか?どうしても、弱音を吐きたいとき、どうしようもないとき……
 そういう時に、お前に支えて欲しい、頼らせて欲しい」


「うん それで、構わない だから、今みたいに一人で全部背負わないで」


そう言って、また口付けた。
深く深く、何度も角度を変えて。

舌を絡ませ。
頬を紅潮させて。
息が上がる。

銀の糸が、互いの口を繋ぐように伸びた。


「愛してる、アシュヴィン」


「俺もだ、 愛している」









................end




一月三十一日はアシュヴィン誕生日!!
物語内では「お誕生日おめでとう」とは言ってなかったw(ぉぃ)
でも、誕生日に誕生日おめでとうはありきたりかなって……なら、ラブラブ度を上げよう!みたいな感じでw(言い訳)
しかし、サティと一日違いだとは……思わなんだ。






遙かなる時空の中で夢小説に戻る