恥ずかしがり屋のあなたのために…









To usual you of the tone of the flute









「あ……また笛」


学校帰り必ず聞こえてくる笛の音色。
それはの知っている音色で、いつも学校の教室の窓辺から瞳を閉じて耳を澄ませていた。

それが、の日課。

そして、笛を奏でている永泉の日課でもあった。


「そうだ!今日はバレンタインだし、日頃の感謝の気持ちを伝えようかな」


勿論それだけではないのだけれど。

思い立ったら即行動、なは慌てて立ち上がり駆け出した。
向う先は近所のデパートだった。










「よし これでよし…あとは、永泉さんの所に行くだけ!」


そう叫ぶと、一度学校の方へと戻っていった。
すると聞こえ始める笛の音に耳を傾け、は音のする方へと歩みを向けた。


「ええと……どこに居るのかな」


あまり人通りの少ない場所。
そこで永泉は笛を吹いているらしく、音色はよく耳に届く。

カサ…


「神子?」


「あ、永泉さん!ここに居たんですね!」


姿を現し、掛けられた声には嬉々とした声を上げた。
微笑み掛けより、永泉の瞳を見つめた。


「探していたんですよ」


「あ、すみません、神子 いつも、この時間は来られないので…驚きました」


「あ、私の方こそごめんなさい
 笛の演奏の邪魔をしてしまいましたよね」


永泉の言葉には慌てて謝罪した。
そう、いつもこの時間はは音色に耳を傾け、永泉は笛の演奏に没頭している時間だった。

いつもと違った行動に、驚かせてしまったのは申し訳なかったと。


「あっ、構わないのです、神子 私は神子が来て下さったことが嬉しいのです」


頬を染め、永泉はそう言葉を紡いだ。
その言葉にも嬉しそうに微笑み、永泉を見つめた。


「それで…どうかされたのですか?私を探していたと仰っておられましたが」


「あ 実は、永泉さんに渡したいものがあるんです!」


永泉の言葉で漸く思い出した
慌ててそう切り出した。


「私に渡したいもの…ですか?」


「はい!えと…これなんですけど……」


そう言って差し出したのは、紫色の包装紙に包まれた箱だった。
その箱をオズオズとした手つきで永泉は受け取った。


「ありがとうございます これは……いったい何なのでしょうか?」


「バレンタインデーに女性が男性に渡すプレゼントです
 これと一緒に、気持ちも伝えるんですよ?」


「そう……なのですか?」


永泉の問いかけに答えたは、頬を染めながら言葉を続ける。


「はい 私は、いつも永泉さんにお世話になっていますし…いつもいつも笛の音を聞かせてくれて感謝しています
 それに何より…私は、永泉さんがとっても大好きです だから…どうしても今日渡したくて」


紅潮させた頬、潤んだ瞳。
それで見上げれば永泉だって男の子、ドクンと脈打つものがある。

ドキドキと高鳴る鼓動を何とか抑え込みながら、嬉しそうに微笑んだ。


「ありがとうございます、神子 とても…嬉しく思います
 私も、神子が好き、です」


その告白にはより一層頬を紅潮させた。
ポリポリと恥ずかしそうに頬を掻き、エヘヘと笑みをこぼした。


「ハッピーバレンタインデー、です」








............................end




バレンタインのフリー夢です。
永泉は恥ずかしがり屋だから、人のあまりいない場所で笛を吹くんだろう!なんて…(笑)
でも、神子にはどこに居るのかばれちゃうよ!w

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