あなたの運命を……私は何度恨んだことだろう








curse








「私、貴方を助けられて本当に良かったと思う」


何度そう思ったことか。
そして、愛しいと囁かれるたびに、愛を重ね合うたびに、何度そう伝えたことか。


「神子様、いえ…さん
 ……私も、貴方に出会い、そしてお傍にいられることを幸せに思います」


そう言い、その度に銀は優しくを抱き締めてくれる。
愛しいと瞳で訴え、確かめるように華奢な身体を抱き締めてくれる。


「銀は……自分の運命を恨んでる?」


「何故、そのような事をお聞きになるのですか?」


ソファーに腰掛け、銀の肩に頭を乗せる。
そうして、知盛と似ているが全く違う雰囲気を纏うその顔を、その瞳を見つめた。


「だって……私は、あなたの運命を何度も恨んだから」


さん…」


銀は、悲しげな声色で告げるの額に静かに唇を落とした。


「確かに…私は呪詛のために記憶を失っていました
 貴方の言う事が正しいのなら、私は一度…あなたを救うために自我を失いました
 それでも……遠回りをしても今の私と貴方があるのは……あの運命が存在したからだと、私は思います」


優しい紫はを静かに見つめる。
時折悲しげな色が混ざり合い、けれどすぐに愛しいものを見つめる瞳に変わる。

ぎゅっ

不安そうなを、銀は静かに抱き締めた。


「ですから、さん
 私を早く救いだせなかった事を…私がああなってしまったことを…悔いないで下さい、後悔しないで下さい
 私はどんな運命でも…今がある事を幸せだと思っています だから……さんも」


「…そう、ですよね
 私も……私も、今がある事がとても幸せだって思います 辛くても…悲しくても…消えない過去でも…
 それがあるから……今の私達なんですよね」


抱き締めてくれる銀の背中に、は腕を回した。
しっかりとその存在を確かめるように、強く抱き締め合う。


「愛しております…さん 私は何よりも誰よりも…貴方の事を 貴方の事だけを……愛しております」


耳元に囁かれる優しい声は、優しくの頭を揺らした。
陶酔するように、胸が静かに脈を打つ。


「私も…銀を愛してるよ ずっとずっと……私は貴方を求め続ける」


そう言うと、二人の顔は近づいた。
重なる唇から感じる、二人のぬくもり。

温かく、そこに確かに存在しているという証。


「……ハッピーバレンタインデー、銀 永遠の愛を……ここに」


そう言うと、はにかむように微笑んだ。



あとで……渡せたらいいと思う
今は……もう少し、この温もりを………感じていたい









重衡さん……ううん、銀
私はどんな貴方でも………ずっとずっと…愛してる










........................end




バレンタインフリー夢です。
銀に甘い台詞を言わせたかったのに、甘さが足りない;
神子や銀が言っている通り、あの運命がなかったら今の二人はないんだろうなぁ〜と思いました。

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