喜んでくれることを想像しながら選んだの
あなただけのために────…
equal sign
「どうしよう……詩紋くんのお菓子は美味しいからなぁ
やっぱり喜んでくれるようなお菓子を選ばなくちゃ」
デパートのバレンタインコーナーに入り浸りの。
そこには美味しそうなお菓子が沢山ディスプレイされていた。
うう…これだけあると、悩んじゃうなぁ……
内心、そう溜め息が零れてしまう。
紫芋で作られた紫色の生チョコレート、ハート型のチョコレートケーキ。
箱一面にビッシリと敷き詰められた生チョコ、苺のドライフルーツをコーティングしたチョコレート。
どれにも目移りしてしまうほど、美味しそうなものばかりだった。
「んーと…何がいいかなぁ」
ジーッと視線を這わす姿は、なんとも必死そのものだった。
だから、まさか知ってる人に見られているとは知らず、必死に選び続ける。
「これ……うーん、でもこれも捨てがたいなぁ」
「………ちゃん?」
「あっ、これは……あー でも、こっちもいいなぁ」
「ちゃん?」
「へ?」
漸く聞こえた自分を呼ぶ声に、は視線を上げる。
そして、振り返るように視線を流すと隣にはいつの間にか詩紋が立っていた。
「どうしたの?そんなに必死に……あ、チョコレートだ」
必死なの後姿がそんなに気になったのか、詩紋は首を傾げていた。
そして、目に留まったのは、の前にディスプレイされていたバレンタインのチョコレート達。
「ちゃん、誰かにあげるの?」
そう聞く詩紋は、まさかが自分のために選んでいるなんて思いもしていなかった。
二人は恋人同士。
けれど、そういう風に思考が向かないのは詩紋がいつもにお菓子をつくってあげているからだろうか。
「誰かにって……詩紋くん、自分だとは思わないの?」
「──────え?」
のその言葉に、詩紋はキョトンとした。
それは予想外の言葉だった、という反応。
「やっぱり もー詩紋くんは私の何?」
その問いかけに、まだ中学生の詩紋は顔を赤くした。
それは問い掛けの答えが分かっている証拠。
「私の……何?」
再確認するように、詩紋の口から答えを聞こうとする。
オズオズと、詩紋は唇を動かし始めた。
「ボク、は……ちゃんの……彼、氏………」
そう言った瞬間、爆発音でもするんじゃないかという勢いで詩紋の顔は真っ赤に染まりあがった。
「うん、正解 なら、私がバレンタインに詩紋くんにプレゼントするのはおかしくないでしょ?」
「う、うん そう……だよね」
照れながらも、の言葉に同意した。
確かに、と今ならそう思う。
年齢差はあるにせよ、確かに詩紋はの恋人、彼氏なのだから。
「だから、詩紋くん?」
「何?」
「どれが欲しい?」
結局、詩紋まかせな。
その様子に、詩紋は苦笑を浮かべつつ視線を落とした。
美味しそうなお菓子が目にとまり、詩紋の表情に楽しさが滲み出てきた。
「えっとね……ボクは───────」
「えへへ ありがとう、ちゃん」
嬉しそうに金と青のストライプの包装紙に包まれた箱を抱きかかえる詩紋。
その嬉しそうな笑みに、も嬉しそうに微笑んだ。
「喜んでもらえたなら良かった
詩紋くんはお菓子作り上手だからさ…何なら喜んでもらえるかなぁ〜って心配だったんだ」
「何言ってるの、ちゃん
ボク、ちゃんからのプレゼントなら、何だって嬉しいよ?」
どうやら、の心配は無用だったらしい。
詩紋の言葉に、は苦笑しながら「ホントだね」と言った。
「そうだ、ちゃん」
「どうしたの?詩紋くん」
「ホワイトデー、楽しみにしててね?
ボク、腕によりをかけて美味しいの作るから」
その言葉には嬉しそうに満面の笑みを浮かべ、大きく頷いたのだった。
........................end
バレンタインのフリー夢です。
詩紋は神子と恋人同士という事に、かなり照れまくってくれれば私は嬉しい!という欲望から。(笑)
絶対、詩紋はホワイトデーは手作りだろうなぁという個人的な考えから、最後はそれで締めました。
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