何も知らない白龍に……今日だけは驚かせたい!








初めての×××








「……神子は?」


姿の見えない
白龍は首をかしげ朔に声を掛けた。


「出かけているわ 白龍ならば、居場所が分かるんじゃないかしら?」


「うん」


朔の答えに白龍は大きく頷いた。
けれど、が言っていた言葉を朔は思い出した。


「あ、でも白龍」


「うん?」


「少しだけ……そっとしておいてあげて?」


何故だろうと、白龍は首を傾げた。
けれど純粋な白龍は朔の言葉を素直に受け取った。


「うん、分かった 神子、帰ってくるの、待っているよ」


「そうするといいわ」


大きな白龍は、浮かべる笑顔でさえ美青年。
昔はあんなに可愛い笑顔だったのが、今では想像すら出来ない。











「よし 折角九郎さんに借りたんだし…張り切るぞ!」


先輩」


「あ、譲くん これ作りたいんだけど、どうすればいいのかな?」


九郎邸にて、はガッツポーズ。
そこに現れた譲には問い掛けた。

本日の講師。


「ええとですね、これは──────」


朔の家では白龍が居るから、と無理を言って借りた台所。
譲に教えてもらいながら、は自らの手で料理を作っていった。

ケーキ、はちょっと無理だったから和菓子。
沢山の、白龍が好みそうなものを作っていった。


「……先輩にしては、いい出来なんじゃないですか?」


その言葉に、は嬉しそうに笑顔を浮かべた。
それからそれを包みでくるむと譲に満面の笑み。


「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」


に思いを寄せる譲には、鼻血が出るほど衝撃的な笑顔だった。
美化されたの笑顔に、譲はクラリ。

けれど、はそんな事とはつゆ知らず。


「ありがとう、譲くん!これから、朔の家に戻るね!」


「えっ?せんぱ────!?」


言うや否、は即座に駆け出していた。
譲の呼びとめる声など聞こえていない様に。


「……この片付け、俺一人でやるのか…?」


目の前の惨劇に肩を落とした。
天使に見えたが、一瞬にして小悪魔に見えた瞬間だった。











「あら、 早かったわね もういいのかしら?」


「うん、ありがとね、朔」


「いいのよ 私との仲じゃない」


包みを持って姿を現したに、満面の笑顔で優しく呟く朔。
嬉しそうにも笑顔を向けた。


「神子ぉ!」


「あ、白龍!」


の気配を察知し、駆け寄ってきた白龍。
その様子には苦笑を浮かべた。

大人になっても、子供っぽさの抜けない白龍。
それが何だか可愛くて。


「白龍、誕生日おめでとう はい、これ」


「え?私に誕生日はないよ……?」


手渡す包みを受け取りながらも、キョトンとする白龍。
不思議そうな瞳がの瞳を見つめた。


「うん でも、皆は祝っといて白龍だけ祝わないのはおかしいでしょ?
 だから…ここでは新年に皆一緒に年を取るんでしょ?だから……白龍も」


「…ありがとう、神子 私は、凄くうれしいよ」


微笑みながら包みを抱き締める。
その様子には慌ててた。


「ああ!白龍、それ抱き締めちゃ駄目!潰れちゃう!」


慌てた声に白龍は慌てて押し当てた胸から離した。
済まなそうな表情を浮かべを見やる白龍に、は苦笑を浮かべた。


「いいよ、言わなかった私がいけないんだし それより、開けてみて?」


「うん」


「いったい何を作ったの?」


包みを開ける白龍の横で、朔が首を傾げた。
広げられた包みの中から現れたのは、沢山の和菓子達。


、上手じゃない」


「あー…うん 譲くんに教えてもらいながらだったからね」


朔の言葉に肩を竦めた。
けれど、白龍は聞いておらず歓喜に満ちていた。


「神子、ありがとう!嬉しいよ!」


包みを持ったまま、白龍はに抱き付いた。


「神子、大好きっ!」


「ちょっ…白龍っ!!」


その言葉に、その行為に、は真赤になった。
そんな二人を朔は、クスクスと見つめていた。


「朔ぅ〜〜〜」


「はいはい 白龍、その辺にしてあげて?」


「あ、うん」


朔の言う事を聞き、を解放した。
真っ赤な顔を浮かべ、は離れた白龍を見つめた。

そして、すぐに満面の笑みを浮かべた。
言う言葉は、言いたい言葉はただ一つ。


「お誕生日おめでとう、白龍」


「…ありがとう、神子」











....................end







白龍の誕生日フリー夢小説です。
和菓子は何を作ったのか…皆様の想像にお任せしますw

さて、白龍は誕生日は不明なのですが…昔は新年に歳を皆取るという事で…一月一日に誕生日フリー夢小説をUPしました。

お持ち帰りと掲載自由、リンクと報告特に必要なし。
再配布や修正加筆等はしないで下さい。
掲載される際は管理人名の記載をお願いします。
コピペでお持ち帰り下さるのが一番手っ取り早いかと思います。






遙かなる時空の中で夢小説に戻る