「……」
「あ、那岐」
聞こえた声に、は顔を上げた。
助けが来た、と喜ぶような笑顔。
「『あ、那岐』じゃないよ……まったく
僕は、の子守をするために一緒に居るわけじゃないんだからな」
盛大な溜め息をつく那岐。
その表情に、は微苦笑を浮かべるしかなかった。
ほんの小さな優しさ
「足、怪我してるのか」
「うん ちょっと捻っちゃっただけだから大丈夫だけど……」
座り込んだまま動かないに、那岐は眉尻を下げると目の前に座り込んだ。
の怪我をしているという足首に手を当てる。
「────っ」
「ちょっと、って感じがしないんだけど?」
「う」
図星を指され、何も言えない。
確かに那岐の言うとおり、動けなくなるくらいの重大さだ。
「どうやったら、この天鳥船でこんな怪我するかな」
足首を捻っている他に、結構切り傷があった。
その傷を指先でなぞる。
「────ぁっ」
しびれる痛みに、の眉が寄る。
「な、那岐!!痛いよ!」
「が悪い ほら……」
痛いということを主張するに、はっきりと言い放つ那岐。
面白くないとは頬を膨らませむくれると、那岐は微笑を浮かべ立ち上がりつつ手を差し伸べた。
「無理だよ 動けないのに」
手につかまって立ち上がり、そのまま手を借りて歩いて自室へ向かうのだとは思った。
だからこそ、首を左右に振りながら言った。
けれど、那岐はそんなの言葉も聴かず一行に差し出そうとしないの手を取った。
「痛っ……」
「これでも痛いわけ?」
反射的にもれた言葉に、苦笑しながらも呆れた口調で呟く那岐。
恐る恐る閉じてしまっていた目を開くと、間近に那岐の顔。
「!?」
なぜ、と驚いたがすぐに理由は分かった。
……私、那岐に抱きかかえられてたんだ
俗に言うお姫様抱っこ、というものだった。
ほんの少しだけ恥ずかしくて頬が赤くなる。
「本当には昔っからドジだよな」
「そこまでドジじゃないよ!」
笑いながらの自室へ向かう那岐。
そんな那岐に講義の声を上げる。
その表情は嬉しそうだった。
...................end
今回は短くしてみた。(ぉ)
初の那岐夢だぁぁぁ!!
自室に送り届けた後は、やっぱり足の治療かな……?
やっぱり、自室に送り届けた後は読者の皆様に想像を委託しますw
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