「神子、無理はいけない 休んでいなさい」


その言葉に、は布団を深く被りながら頷いた。
ただの風邪だと侮っていたのが運のつきだったようだ。










かぜのひ










「ふえっくしょん!」


大きなクシャミをしながら、ぶるると身体が震えた。
悪寒がするのか、熱いのかよく分からなくなっていた。


「大丈夫か?」


「大丈夫ですよ、先生」


ずびずびと鼻を啜りながら、は笑顔で返した。
本当は全然大丈夫じゃないけれど、大丈夫だと言わないと絶対にリズヴァーンを心配させてしまうとは思った。
元の世界ならば病院だとか、風邪にすぐ効く薬だとかがあった。
けれど、こちらの世界となってしまえばそうもいかない。
風邪というだけで、下手をすると亡くなってしまう事だってあるのだから。


「そうか ならば、少し眠るといい」


さらりと髪を撫で、リズヴァーンは柔らかく瞳を細めた。
大人の包容力とでもいうのだろうか。
その手の温もりが、その口調が、を安心させた。


「は……い……おやすみ、なさい……」


呟きながら、は重い瞼を閉じた。
ズンッと一気に意識を持っていかれるような感じを覚えながら、意識は闇へと落ちていた。


「眠ったようだな」


規則正しい寝息を聞きながら、リズヴァーンはポツリと呟いた。
そばに座りながら、あいも変わらずの髪の毛を撫で続ける。


「私はここにいる だから……十分に身体を休めなさい、神子」


愛しい人を見つめる優しい目。
愛しい人を気遣う優しい口調。

そんなリズヴァーンの温もりを間近に感じながら、はすやすやと眠り続けた。









「ぅ……ん……」


小さく声をあげ、はゆっくりと瞳を開けた。
先ほどまでリズヴァーンが居た場所を見つめ、一瞬目を見開き。


「……先生」


嬉しそうに瞳を細めた。
ずっとそばに居てくれたことが嬉しくて。


「目が覚めたようだな」


「はい ずっと、ここに居てくれたんですか?」


「ああ 私はいつでもお前のそばにいる」


真っ赤になるようなリズヴァーンの言葉。
今は、すでにの顔は熱で赤く染まっているため顔色は変わらないけれど。


「ありがとうございます 凄く……安心します」


好きな人がそばに居るというだけで、心は凄く和む。
ホッとして、その空間がとても大事に思えて。


「先生が寝込んだ時は、私がずっとそばに居ますからね」


「……うむ」


の言葉に驚いたような表情を見せたリズヴァーン。
けれどすぐに微笑み、頷いた。



先生がこうしてそばに居てくれるなら……
たまには、こうやって風邪を引いてみるのも悪くはない……かな?



なんて、リズヴァーンを見つめながらはそんな事を考えていた。












..................end






一月九日がリズ先生の誕生日だったので、こういう話を書いてみたり。
全く生誕祝いって感じの夢じゃないけど……(笑)
あれだ!!きっと、「先生が寝込んだ時は私がずっとそばに居ます」って発言が、リズさんには誕プレなんだよね!(ぉ)
たぶん、リズさんのことだからそういう事で喜んだりしてくれそうな気がする!(^−^)
ということで、一月九日はリズさんの誕生日でもあり"風邪の日"でもあったので、こういう話にしてみましたとさw






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