いつもはあまり見に来ない練習場
だけど今日は特別だから……少しだけ、少しだけならいいよね?

だって、譲くんの弓を撃つ姿は何度も見ていたもん










power of the whole families of the star










「すみません、先輩 少し先に休憩貰ってもいいですか?」


「ああ 構わないぜ?」


「ありがとうございます」


譲はペコリと頭を下げ、練習場から姿を消した。
弓は弓道室の片隅に立て掛け、道着のまま外へと姿を現した。



そろそろ来るころだな



そう予想出来たのは、譲が星の一族だったから。
たとえ役目が終わっても、その力は受け継がれたまま。


「あ!譲くん!?どうして!?何で!?休憩中なの!?」


練習姿を見れると思っていたは、予想外の出来事に目を丸くした。
その様子に、譲は予想的中と言わんばかりの苦笑を浮かべた。


「先輩は俺が星の一族だって忘れていませんか?」


「あ」


その一言で、思い出した。


「もしかして……私が来るのが、見えた?」


その問いかけに、譲は静かに頷いた。
あちゃー、とは肩を落とし譲を見つめる。


「でも、それ以外は見えませんでしたよ」


「本当!?」


「ええ」


譲の言葉に、パァァァァっと表情が明るくなった。
ならば、バレンタインのチョコを渡しに来たのは譲は知らないって事だとは考えホッとした。


「あのね、譲くん はい!」


もじもじと躊躇っていた
そしてパッと譲の目の前に差し出したのは、緑色の包装紙に包まれた箱。


「ハッピーバレンタインデー!私の大好きな気持ちを込めたチョコレートだよ!」


「…あ、ありがとうございます、先輩
 ええと…これは…手作り、なんですか?」


の言葉に有り難く受け取る譲。
しかし、ちょっとだけ笑みがひきつっていた。

気になるのは市販のものか手作りか。


「違う違う!市販のものだけど…ちゃーんと気持ちは込めたから!」


「そうですか…ありがとうございます」


にこりと微笑み、譲はあたりをキョロキョロ。


「譲くん?」


その問いかけに視線を戻した譲。
ゆっくりと、譲はに近づいた。

を抱き締め、徐々に顔が近づいていく。



キキキキキ、キス!?



そう思った瞬間、は慌てて譲と自分の間に手を持ってきた。
その手が譲の顔を阻止した。


「先輩?」


「だ、駄目だよ、譲くん!恋人同士って言っても…こんな場所で…」


「大丈夫ですよ 先輩たちもどうやら休憩に入ったようだから、誰にも見えませんよ?」


その言葉には顔を真っ赤に染め上げた。
その表情が、とても可愛らしく愛しくて。


「俺の嬉しい気持ちを……受け取ってはくれないんですか?」


そう言われれば、頷く事しか出来なくなる
二つの地面に伸びたシルエットが、太陽の光を浴びて静かに重なり合った。







.................end




バレンタインフリー夢です。
神子のお願いに弱い譲だけど、いざって時に強くなってほしいな。
ほら、譲の思いが爆発したシーンがあるじゃないですか…あんな風に爆発してくれればなーって。(笑)
でも、基本神子には弱くあって欲しい。

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