不安な気持ちは、誰にも話さずにいると……どんどん積もってしまう
だけど、どうしても話せない
一人でどうしても……背負ってしまおうとしてしまう

大好きだからこそ、私はあなたに話せない








累卵之危








?」


名前を呼ぶ声。
けれど、今のには聞こえていなかった。


、聞いてる?」


「え?」


視線を上げると、家の前でずっと佇んでいた
そして、隣にはいつの間にか来ていた制服姿の那岐。


「最近、寝てないんだろ?」



うっ
ばれてる……



悩み続け、誰にも話さずに頑張ってしまう
限界になると、どんどん不眠症になってしまうのだ。


「今の、凄く不安定で不安なんだけど」


「ごめん……心配かけて」


記憶が戻ってこないことが、凄く不安。
けれど、それを相談することなんて出来なかった。



だって、同情されるのが落ちだろうから
私は同情されたくて話すんじゃない……解決策を一緒に見つけて欲しいだけ
同情なんてされても……悲しくなるだけじゃない



そんな事を考えていたら、那岐の手がの頭を撫でていた。
優しく、その髪を梳くように。


「那岐?」


「そんなに僕は頼りない?」


「そういうわけじゃないよ、那岐」


「じゃあ、なんで?」


「これは……私が乗り越えなきゃいけないことだから」


那岐の言葉には微笑んだ。
ニッコリと微笑み、大丈夫だとアピールする。


「ふぅん がそういうなら……いいけど」


那岐の性格上、あまり踏み込んでこないのはよく知っていた。
人と距離をとるというか、あまり親しい人を作らないというか。
だからこそ、那岐がそういうのは予想済みだった。


「うん」


だからこそ、終わらせようと簡潔に頷いた。


「でも、見るからに駄目そうになったら……容赦しないからね?」


「へ?」


それは、まるで宣戦布告のようだった。
那岐の目には、今でも駄目そうに見えていた。
限界で、身体が心が悲鳴を上げているように見えていた。
それでも、まだには大丈夫だと虚勢を張る元気があるから。


「僕は、が辛い思いをするところ、見たくないからね」


そういうと、頭を撫でていた手をのけた。
その手をひらひらと振りながら背中を向ける。


「それじゃ、僕はこの辺で」


「あ、うん」


踏み込んでは来ない那岐。
だけど、後一歩で踏み込んできそうな那岐。
その距離がもどかしく感じるのは、気になっているから。

そして、この距離が徐々に縮まっていくのは……まだもう少し先の話。
そして、また違う話でもあった。










ねぇ、那岐
そんな風に優しくされたら……私はきっと、期待しちゃう
いいの?
年上で、そして得体も知れない私なんかが……あなたを好きになっても












....................end









二十六万ヒットありがとうございます!
という事で、フリー夢って感じで……またもや四字熟語を。
意味は「卵を積み重ねたように崩れやすく、きわめて不安定で危険な状態にあること。」です。

ちなみに、mixiにてやっているフリー夢の主人公を引っ張ってきました。
ので、あまりラブラブな恋愛展開には持って行きません。(笑)
まだまだ恋愛の「れ」の字にも発展してないけど、確実にこの二人は惹かれあってる感じでw

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