「……くろ……うさ……ん」


眠っていると、聞こえてきた呟き。
九郎は閉じていた瞳を開き、隣で眠るを見つめた。
かたくなに閉ざされた瞳。
規則正しく動く胸と呼吸。


「……寝言か」


が九郎の夢を見ていると理解すると、嬉しさがこみ上げてくる。
瞳を和らげ、愛しい人を見るその瞳での寝顔を見つめていた。


「……ん」


「!」


小さく声を漏らしたかと思うと、は九郎のぬくもりを探り当て擦り寄った。
そのことに、九郎は顔を真っ赤に染め上げ固まってしまった。










ずっとこのまま










「九郎さ……ん 温かい……」


瞳は閉じられたままなのに、その顔には笑顔が張り付いていた。
微笑み、すりすりと九郎に擦り寄る姿は愛しくて。


「…………」


「……んぅ」


つい、九郎は眠るに口付けをしてしまった。
抑えられない衝動。
抑えられない感情。


「ん……九郎……さん?」


紡がれた言葉は、ハッキリとしていて。
視線を向けると、そこには目を覚ましたの姿。
けれど、九郎はそこで止まることなど出来なかった。


「あの?」


「……誘ったのは、お前だ」


「え?」


身体を起こした九郎を見て、はようやくキスの嵐から解放されたと認識した瞬間。
聞こえた言葉に、自らの耳を疑った。


「──っ!!ちょ、九郎さ……あっ!」


頬に、額に、指先に、首筋に、胸元に。
徐々に降りていく九郎の唇に、制止の声を上げるも九郎は止まらない。
チリリと熱い痛みを感じた瞬間、の首筋には赤い花が咲いていた。


「……いいだろ?」


問いかける九郎の言葉に戸惑ってしまう。
けれど、愛しい人のぬくもりを感じられることに嫌という感情は一切ない。
愛しい人に与えられる心地よさを、拒否する理由もない。
なにより、日付が変わった今は。


「……九郎さん」


「なんだ?」


「お誕生日おめでとうございます 誕生日のプレゼントに……ど、どうぞ……」


顔を真っ赤に染め上げ、視線を逸らす。
誕生日の意味やプレゼントの意味は、すでにから聞いて知っていた九郎。
だからこそ、それが承諾のサインだと分かり苦労は大きな手での肌を撫でた。


「……っ」


甘い吐息が零れ落ちる。
汗がにじみ出て、世界がと九郎の二人だけだと錯覚してしまう。


「……


「九郎……さん」


愛しい人のぬくもりを感じることが、快感だと、二人は肌を重ね合わせるようになって初めて知った。
愛しい人を呼ぶ声。
切羽詰った声。
伸ばされた手は首に周り、肌を滑る手は快感の波をに与えた。
そして、そんな感覚に反応を示すを見つめ、九郎も快感を感じていた。










「…………」


隣で眠るの顔を見つめ、九郎は微笑んだ。
その長い髪を指先で梳くように扱う。


「無理をさせたな」


それでも、誕生日プレゼントにと捧げてくれたことが嬉しかった。
いつも以上に、そのぬくもりを強く感じ、感じるものも大きかった。
まるで、本当に特別のように。










to be continued................




簡単な描写だけ。(笑)
しかも、台詞も普通……けどちゃんとした描写をすれば十八禁になりそうな話。
十一月九日、九郎さんの誕生日、おめでとう!てな事で、パーッと書き上げてみた。

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