私は、分かってる
自分がどれだけ美しいかってことを
でも、自分で言ってしまうと……それが嘘っぽく聞こえてしまうことも知っている

だから、私は人に言われることが凄く好き










閉月羞花










「お前ってさー、ほんとブッサイクだよなー」


その言葉に、ズキリと胸が痛む。
誰でも、可愛いと、美人だと言ってもらえることが嬉しいのは当然だ。
だからこそ、不細工だという言葉に傷つくのだって、当然の摂理。


「ちょっと、光!そういう事言っちゃ可哀相でしょ!」



ハルヒ……可哀相ってのも、結構悲しいよ?



けれど、それを止めることなく、微苦笑を浮かべ聞いていた。



そう
私は確かに、人から可愛い、美人だと言われることが凄く好き
だからこそ……不細工なんて言葉は悲しくて悔しくて……



「光に言われたくない」



そんな風に、可愛くない言葉を発してしまう



は不機嫌そうな表情を浮かべ、不機嫌そうな声色で呟いていた。
その言葉に、光の表情がピシリと固まる。


「どういう意味だよ?」


「そのままの意味」


売り言葉に買い言葉。
光と見詰め合うのは好きだけど、こうやって喧嘩腰でするのは凄く嫌いだった。


「可愛くないなー」


「どーせ可愛くないですよーだ」


ベー、とベロを出し背中をすぐに向けた。
腕を組み、唇を突き出して不機嫌丸出し。



ほんとうは……光のこと、かっこいいと思ってる
そう言えないのは……光が不細工だって言うから



素直になりたいのにならせてもらえない。
そう思うのは、ただの我侭だとは分かっていた。
それでも、やっぱり嫌なのだ。


「あ、光!、行っちゃうよ!?」


「別にー」


「素直にならなきゃ、いつまで経ってもそのままだよ!?ほら、行って行って!」


教室を出て行くを追わせるように、慌ててハルヒは光を送り出した。









!」


「何?」


掛けられた声に、振り返らなくても光だと分かった。
だからこそ、は不機嫌な声色のまま振り向きもせず問い返した。



怒ってるんだからっ
謝らなきゃ、絶対許さないんだからっ



そんな、自分の高いプライドが嫌になるのか、は唇を噛み締めていた。


「ごめん、 本当は、凄く美人だと思う」


「へっ!?」


いきなりの光の言葉に、は驚きの声を上げた。
慌てて振り返り、光の顔をまじまじと見てしまう。


「そんな驚くなってば……綺麗だし、可愛いし……学年関係なく、みんなに好かれてるし」



まぁ、確かに……



光の言葉を否定しなかった。
それはもよく知っていることだったから。


「だから、凄く悔しくて、凄く嫌で……不細工だって……」



それってつまり、ジェラシー感じてくれたってこと?



光の言葉を聞き、いい方いい方へと取ってしまう。
けれど、呟く光の表情を見ていると見当違いでもないように思えて。


「僕、本当はが好きなんだ ただ……ずっと素直になれなかった」


ごめん、と小さく呟く光がとても愛しくて。
はそのまま光に駆け寄っていた。
腕を回し、ギュッと抱きしめる。


!?」


「私も、好き ずっと不細工だって言われ続けてきたから……どうしても素直になれなくて」


耳元で聞こえるの言葉に、光の心臓がドクドクと脈打っていた。
そんな心臓の音が聞こえ、の心臓も同じようにドクドクと脈打った。


「凄く、好き 大好き 愛してる」


凄く凄く欲しかった言葉。
でも、今は凄く凄く言いたい言葉。


「僕、が美人じゃなくても好きだよ」


「なにそれ じゃあ、自分磨くのやめていい?」


光の言葉に、はあははと笑った。
抱きついた身体を軽く離し、光を見つめた。


「や、やっぱり磨いてて」


美人じゃなくても好き。
けれど、やっぱりそばに居てくれるなら美人ながいいなと、光は思った。
どんなでも好きだけれど、その性格、その見た目のが好きだから。


「うん、分かった」














......................end







二十六万ヒットありがとうございました!!
感謝の気持ちを込めて、この夢はフリーです!
そして、四字熟語を引用しました。
意味は「美人を形容する言葉。月は雲間に隠れてしまい、花も恥じらってしぼんでしまう。」でございます。

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