ずっと、いつも一緒だと思ってた
何があっても、変わらず私とあの二人は…いつも一緒だって








なの、に─────────────────…
















隠した思い















「光ー!馨ー!」


「げっ」


「うわっ やっぱり来た!」


明るい茶色のウェーブのかかった髪を靡かせながら、小走りで少女は双子へと駆け寄っていった。
少女の名は、


「ちょっと!その言い方はないでしょぉ〜!?」


そう言いながら追いかけるも、光と馨との距離は縮まる気配はなかった。
むしろ、引きはなされているような。


「だって、会いたくないんだもん な、馨」


「そうだよねー 会いたくない人に追いかけられれば当然の反応だよね、光」


楽しげに笑いながらも、逃げる足は止めたい。
そんな様子に、は下唇を噛みしめた。



どうして…?
どうして、逃げるの………?



いつも、何度も思う疑問。
何度、胸のうちで木魂した思いだろう。


「……らいになったの?」


「…?」


追いかける足は徐々にゆるまり、回る足はピタリと止まった。
そして聞こえた消え入る呟きに、足を止めたのは馨だった。
その馨の呟きで、その前を走っていた光が漸く足を止めた。



…私、何かした?馨と光に…何かした?
私…………



「嫌われるような事…しっちゃったかなぁ…」


ぐしゃっ、と前髪に手を差し込み手を握った。
それに合わせて髪も形を変え、の表情を隠した。
俯く顔は、余計に光と馨には見えず眉を潜めさせるものだった。


…どうしたんだよ」


「いきなり止まったら吃驚するじゃん」


そう言いながら、いつもの様に楽しげに笑いながらに近づいた。
の髪に、肩に触れようと手を伸ばした光。

パシィィィンッ!

けれど、代わりに響いたのはその手を弾いた高い音だった。


「光!?」


「…ってぇな 何すんだよ、!」


手を弾かれた光に、慌てて意識を向ける馨。
けれど、当の本人の意識はに向いていた。


「何?手を弾いただけだよ?」


「んな事くらい、分かるっつーの!何で手を弾くんだよ!」


の言葉にカッとなった光は、声を荒げた。
けれど、その様子にビクつく様子も見せず俯いていた顔を上げた。


「………っ!?」


「……!?」


そこで、光も馨も気がついた。
の瞳に浮かぶ、透明な雫に。
頬を濡らす、雫の正体に。


「私を嫌っている人に、触って欲しくなんかない!
 もう、知らない!もう、あんた達となんて関わらない!」


そう捲くし立てるように叫ぶと、は踵を返し駈け出していた。
瞳に浮かぶ涙を拭いながら。



そうよ 嫌ってる相手を追い掛けても…私が傷つくだけ
だったら…最初から関わらない方がいいんだわ



まるでそう言い聞かせるかのように、は何度も何度も心のうちで呟いていた。
ぐるぐると、何度も何度も。

ギュッ、と胸が締め付けられるほどに。
忘れようと、気持ちを締め出そうと。


「待て………って!」


「嫌っ!離して!」


勢いよくの腕を掴んだのは光だった。
けれど、の口から紡がれたのは光を拒否する言葉だった。

その言葉に、光が傷ついているなんて事をは気付いていなかった。


「離さない!」


「どうしてよ!?私が嫌いなんでしょ!?
 そうなんでしょ!?光、馨!」


光の言葉に悲鳴に近い声を上げた。
嫌われていると思っていたからこその行動だったから。
嫌われていると思ったからこそ、忘れようとしたのだ、何もかもを。



嫌いなのに、どうして離さないって言うの…!?
もう、自由にしてよ…私をこの辛い感情から解放してよ…!



叫びながらも、頭の中でも違う言葉が響いていた。


「誰がお前を嫌いだって言ったんだよ!?」


「そうだよ 僕らがを嫌ってるって?
 そんな事あるわけないじゃん」


光と馨のそんな言葉に「でもっ!」とは声を上げた。



嫌いだったら、どうして逃げたりするの…
ずっと一緒だって思ってたのに…離れていって…
どうやったら嫌いじゃないって言えるのよっ



ぐるぐると、否定の思いばかりが廻っていった。


「何?僕らを信じられないわけ?」


「っ!」


鋭く細めた瞳で問いかける光に、息をのんだ。


「それ、は…」


「じゃぁ、は僕らが嫌い?」


「違っ!嫌いなわけないじゃない!
 嫌いだったら、追いかけたりしな…!」


馨の問いかけに勢いよく答えた
けれど、ハッとして言葉は途中で途切れたが、結局大切な部分は全て口にしてしまっていた。


「ふーん じゃぁ」


「「好きなんだ?」」


二人のその言葉には顔を真っ赤に染め上げた。
その様子に、光も馨も「お」と小さく呟きながらを見つめた。


「馬鹿!今の二人は嫌いだよ!」


「待てって、!」


気持ちを隠すように強く言いながら歩き出すを、今度は光と馨が追いかけた。



本当は好きだよ?
大好き、二人とも…選べないくらいに…選べないほどに…私は…二人が………










.....................end






二十万HIT謝礼フリー夢小説です!

しっかし…双子夢だと、片方と恋愛に発展する事って滅多にないですよね。
どっちも好き、選べない。みたいな?
てか、二人とも好き。二人と付き合うなんて…二股じゃん!(笑)

私的に、双子はテレ隠しにヒロインにいぢわるしそうなイメージがあります。(うわ)

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