「認めたくないんですか?その気持ちを…………」
「何のことかな?」
指摘された言葉に、首をかしげて気付かぬフリをするのは桜蘭学院2年生の鳳鏡夜だった。












観念して 私を好きになって…











「いらっしゃ………来たのか。」
「…悪い?」
ホスト部である第3音楽室へと来ると、扉を開いた。
すると、中で受付をしていた鏡夜がに笑顔で言葉を向けると───
すぐにだと確認し、不機嫌そうに呟いていた。
「…今日は誰をご指名で?」
「そうね……ハルヒくんでお願いするわ。」
鏡夜の笑顔に負けじと、もニッコリ笑顔で返事を返し指名する相手の名前を告げた。
「…ハルヒ。」
「…何ですか、鏡夜先輩。」
呼ばれ、トコトコと待機していたハルヒが姿を現した。
を見てハッとした顔をしてすぐに軽く微笑み“いらっしゃい”と声をかけた。
姫が、おまえを指名だ。」
「ああ…分かりました。姫、こちらへ……」
鏡夜の言葉に納得し、スッと指先を席へと向けた。
差された先へ“分かりました。”と返事をして歩き始めたの斜め後ろをハルヒが歩いた。
「…何をお飲みになりますか?」
「え…あ…ミルクティで…」
「じゃぁ、少し待ってて下さいね。」
ハルヒの問いかけに少し考えてから答えると、一言置いてハルヒはミルクティを取りに第3音楽室の準備室へ向かった。
「……ハァ、私…何やってるんだろう。」
ソファーに腰掛けたままポツリと呟いた。
まるで彼を試すような行動に、嫌気が差す。
「はい、お待たせしました。」
カチャッと音が聞こえ、視線を向けるとトレーにカップと和菓子を乗せてやってきたハルヒの姿があった。
少し間を空けたソファーに座り、カップをの前に置く様子をジッと見つめていた。
─…女の子にしか見えないんだよなぁ〜…ハルヒくんって。
クイッとカップに注がれているミルクティを口内へ少し流し込みつつ、そう考えていた。
「…姫?どうかしましたか?」
呆然とハルヒを見つめるに、見つめられた痛い視線を感じて問いかけた。
すると“あっ!”とハッとした声を上げ、カップをテーブルに置いた。
「な…なんでもないわ。」
ふるふると首を左右に小刻みに振りながら答えた。
そんな行動をするを、密かに見つめる視線が1つある事にハルヒは気づいていた。
しかし、黒い黒い怖いオーラに気付き言い出すことが出来ずに居た。
「…姫って…鏡夜先輩が好きなんですか?」
「えっ!?なっ何言ってるの!?」
ハルヒの言葉に、慌てて大きな声で返事を返す
その様子に、クスクスと笑い声だけが漏れていた。
「何って…気付いていないんですか?自分の気持ちに…」
「………気付いているわ。ちゃんと…」
「なら…どうして鏡夜先輩を指名しないんです?」
ハルヒの指摘に、誤魔化しようがないと理解すると俯きながら小さな声でポツリと答えた。
その言葉に、疑問に思った内容をに問いかけてみた。
すると、ギュッと膝の上に置かれた手に力が入ったのがハルヒには見て取るように分かった。
「…鏡夜は…私の事…好きじゃないし…むしろ嫌ってるだろうから…」
その言葉にハルヒは驚きの表情を浮かべた。
あの受付の時の態度、今の視線やオーラを見ればヤキモチを妬いているとすぐに分かる。
しかしにはそれは分かっていないようで、ハァッとため息を付く姿が目に留まった。
「…と言っても…全ては私の責任なんだけれどね。」
3年生であるからすれば、年下の鏡夜と会う時間は少ない。
だからこそ、ホスト部に顔を出しハルヒが居ない初めの頃は鏡夜を指名しまくっていた。
しかし、一緒に会話するうちに他の人と会話している時と態度や雰囲気が違う事には気付いた。
“ああ、鏡夜は私が嫌いなんだ…”という結果に導かれたようだ。
「…姫の…責任、なんですか?」
少し寂しそうに見えるの顔を心配そうに見つめ、軽く首をかしげた。
ハルヒの言葉にコクリと頷くと、俯いたまま“実は…”と言葉を紡いだ。
「ハルヒくんがホスト部に入部する前まで…私、ずっと鏡夜を指名していたのよ?」
「そ、そうなんですか…?」
「ええ…でも、一緒に会話するうちに…きっと鏡夜は私が嫌いなんだって…気付いたのよ。指名してたの、迷惑がってただろうに…すぐに気付けなくて…迷惑掛けて…だから、きっとホスト部に来られるのも嫌なのよ…」
大きなため息と共に、振るえる声では語った。
最後にホスト部に来るのが嫌…という言葉にハルヒは眉を潜めた。
あの受付での態度は他の人を指名するのが分かっているから、嫌がっていたのではないのか…とハルヒは考えた。
しかし、はそう考えられず勘違いをしてしまっているようだ。
「…それは違うんじゃないですか?」
「どうして?何故、そう思うの?」
ハルヒの言葉に真っ直ぐ見つめ問いかけた。
そんなの瞳には今にも溢れそうな涙が浮かんでいた。
「!」
驚きの表情をいきなり上げたに、ハルヒは首を傾げるが──
そのときが向けていた視線の先はハルヒではなく、ハルヒの背後だった。
「…ハルヒ。」
「あ、はい。」
「少しの間、交代だ。環と合同接客だ。」
淡々と喋る鏡夜にハルヒは“ハァ…分かりました。”と短く返事を返し失礼しますと一言添えるとその場を立ち去っていった。
「…一体何の用?」
「…姫…いや、先輩。」
真っ直ぐを見つめる鏡夜の目は、が気付いた態度の違いのある時の目だった。
「…そんな目で見ないで。…より嫌われてるって…実感させられるから。」
今までは何も言わなかったの、唐突な言葉に一瞬鏡夜は驚きの表情を浮かべた。
今、に向けている視線はお客様に向ける──姫に向けるときの視線とは違っていた。
しかし、その視線は鏡夜が心を許すメンバー…ホスト部のメンバーに向けるときの視線と同じだった。
そのことには全く気付いていなかった。
「…嫌われている?誰に?」
「…何を言ってるの?鏡夜が私を嫌ってる…に決まってるでしょう?」
「嫌ってはいない。」
「…好いていないもの、鏡夜は私を。」
「嫌っていないが、愛してるの好きではない。」
の言葉に、淡々と意味不明な理解不明な解釈の言葉を向けてくる。
だから、結局は嫌いなんでしょ?とは内心思い大きくため息を付いた。
「…鏡夜先輩。認めたくないんですか?その気持ちを。」
「お客様はどうした?」
突如後ろから掛かった声にピタリと動きが止まり、上半身ごと後ろを向いた。
そこに立っていたのはハルヒだった。
他にも光も馨も、環も光邦も崇も立っていた。
「…それどころじゃないと思ってね。お客様には悪いが帰っていただいたよ。」
「余計な事を。」
環の言葉に鏡夜は視線をに向けなおしつつ呟いた。
「先輩。答えてください。」
「何にだ。」
「「その気持ちを認めたくないのか…って質問だよ、鏡夜先輩。」」
ハルヒの問いに鏡夜ははぐらかした。
しかし、光と馨が同時にハルヒが聞きたかった内容を口に出した。
「何のことかな?」
少しの間を空けて、首を傾げつつもはぐらかそうとする鏡夜。
「いつもそう…」
「?」
ポツリと発されたの言葉に鏡夜は首をかしげた。
「そうやって、何も知らないと言わんばかりにはぐらかすの。」
「!」
気付かれていたなんて!という表情を浮かべる鏡夜。
その姿を見て、はフッと笑みを浮かべた。
「…鏡夜、貴方の負けよ。」
「な…何がだ?」
「…観念して、私を好きになりなさい…」
あの表情を見て気付かないほども鈍感ではなかった。
つまり、の指摘した“はぐらかす”という事が事実だと表情で鏡夜は語っていたようなもので。
鏡夜の肩に両手を乗せ、ゆっくりと鏡夜の唇に顔を近づけた。
その様子を見て、鏡夜と以外はハッとして回れ右であさっての方向を見た。
その瞬間、鏡夜の唇にの唇が重なり合っていた。


…大好きだよ…鏡夜。
だから……認めなさい、その気持ちを…








観念して、私を…好きになりなさい……ね、鏡夜───────







..........The end



て事でー…初の鏡夜夢書いてみちゃいました!!!
いやぁ〜…はぐらかす鏡夜に、先輩なヒロインが「私を好きになりなさい…」って言う所を書きたかったんですよね〜♪
しかし、何も考えずに書いたから話が繋がっているかどうか…
というか、面倒な事に後半がぐちゃぐちゃになった気がします……
訳分からなくなった方居ましたら…ごめんなさい?






桜蘭高校ホスト部夢小説に戻る