お兄ちゃんを好きになるのは、そんなにいけない事なのですか…?

「──…。好きだよ?」

お兄ちゃんのその言葉が、LoveではなくてLikeだって知ってるから…素直に喜べない───

「私もお兄ちゃんが大好きだよ?」

この言葉は、お兄ちゃんにとってLoveではなくLikeに変換されるって知ってるから…











この声が枯れるくらいに 好きと言えば良かった












「ねぇ、ハルヒくん。」
「はい?」
いつものようにホスト部に顔を出すと、ハルヒを指名した。
その姿を見つめ、環は少しつまらなそうな顔をした。
「…好きって…気持ちはどうして簡単に言えないんでしょうか…」
「…へ?」
唐突な、真剣な言葉にハルヒは驚きの表情を浮かべた。
まさか、ホスト部に来て自分を指名してそんな問いかけをする人が入るとは思って居なかったから。
「…ちゃん、何かあったんですか?」
俯きつつあるの顔を覗き込み、ハルヒは問いかけた。
今にも泣き出しそうなの顔を見て、ハルヒは軽く片付けられない内容だと分かった。
「「なになにー?何かあったのかー?」」
いつもの如く、からかいにやって来たのは1年の常陸院兄弟の光と馨。
しかし、そんな軽々しくやって来た光と馨にハルヒは少しいつもとは違う鋭い目つきでにらみ付けた。
「…何?何かマジな話でも?」
「僕等でよければ、力になるよ?」
ハルヒの対応にハタッと立ち止まると、いつもとは違った雰囲気を感じ取った。
静かに近寄り、ニッコリ微笑みながら光と馨はを両側から挟みこみ声をかけた。
「…いえ、やっぱり…いいです。」
ギュッと膝の上に置かれた両手を強く握り締め、声を絞り出すように呟いた。
「…ちゃん?」
「…そろそろ…失礼しますね。」
そう言い笑顔をハルヒに向ける表情は、無理に笑っていることがよく分かった。
「…ちゃん…何かあったんですかね。」
立ち去るの後姿を見つめポツリと呟くと、環の方へ視線を向けた。
「環先輩。姫、何か元気なかったんですけど…何か知りませんか?」
「いや…俺は何も知らないけど。」
ハルヒの言葉に、環は首を左右に振って答えた。
その様子から、本当に心当たりのある事がないと分かりため息を吐いた。












「沙ー絢っ!」
「…あ。お兄ちゃん…どうしたの?」
1-Aにヒョッコリ顔を出した、の兄である環。
「車まで、一緒に帰ろうかなって思って……あ、ハルヒも途中まで!!」
に声をかけていると、ふと見えたハルヒの姿に環はハルヒにも誘いの声をかけた。
一度の顔を見やると、ハルヒはため息を吐き“はい。”と返事を返した。













「…で、ハルヒはそんな大変な境遇にあってるんだよ〜」
「…環先輩。少し大げさすぎです。」
にハルヒの話をする環に、ハルヒはすかさず突っ込みを入れた。
「…ソレくらい、同じクラスだから知ってるもん。」
ぷぅ〜っと頬を膨らませて、は返事を返した。
兄の環と2人っきりで帰れると思ったため、少し不貞腐れているようだ。
「そうかそうか。はハルヒと仲がいいのか〜v父さんは嬉しいぞ〜♪」
えへえへvとデレデレ微笑みながら、ハルヒとを交互に見つめ呟いた。
その様子を見て、はピタリと立ち止まってしまった。
「…ちゃん?」
「…どうしたんですか?」
立ち止まったことに気付き、環とハルヒも立ち止まり振り返り問いかけるとの瞳には大粒の涙が溜まっていた。
!?」
「お兄ちゃんの…お兄ちゃんの馬鹿ぁ!!!」
駆け寄り、の肩に手を触れようとした瞬間、環の頬をの平手打ちが襲った。
「っ!?」
「お兄ちゃんなんか大っっっ嫌い!!!」
そう言うと、先に待っている車の方へと駆け出していた。
!?」
「先輩!自分はいいですから、早くちゃんを追ってください!」
「あ…ああ、すまない!」
ハルヒの言葉でやっと駆け出すことが出来た環。
ハルヒにお礼を述べると、急いで駆け出したを追いかけた。













!」
「っ!?」
パシッとの手を掴み、環は自分の方へ引き寄せた。
を抱きしめる形となり、そのまま立ち止まる2人。
「…な、によ…今さら。」
「嫌いとか…言わないでくれ。」
震える声では呟くと、同じく震えた声の環の声が上から聞こえた。
その声に“え?”と思い視線を上げると、何処となく悲しそうな表情をした環が居た。
「お兄ちゃんは、が好きなんだぞ?」
「それは妹としてでしょ?」
「…?」
環の言葉には、ムッとした表情で問いかけた。
その言葉は環からすれば当たり前のことで、首をかしげた。
すると、はドンッと環の胸板を押し距離を取るとにらみつけた。
「私はっ……お兄ちゃんを兄としてじゃなくて…男性として…好きなの!」
「!!!」
その言葉に環はハッとした。
今までに向けていた言葉が、脳裏を過ぎる。
兄ではなく男として意識していたのであれば、にとって今までの言葉は残酷な言葉だったのかもしれない。
「…。」
「…分かってる。お兄ちゃんが私を妹としか見ていないって事は。」
声を漏らし、1歩前へ出て近寄ろうとする環にはポツリと言葉を向けた。
「だけど…私はお兄ちゃんを兄として見れない!」
そう言うと、の瞳からはボロボロと涙が零れ落ちた。
どうすることも出来ずに、泣き続けるを見つめるしか出来なかった。
「…ごめん、…」
「今更…どうすることも…出来ないもんね……ごめんね…お兄ちゃん。」
ゴシゴシと目蓋を擦りながら、は謝り続けた。










もっと早くに好きだと、声が枯れるほど叫べばよかった。

そうすれば、結果は違っていたかもしれないから…

「好きだよ…昔も今も…これからも。」

好きって気持ちはそう簡単には消せないから────…


この声が枯れるくらいに…好きと言えれば…良かったのになぁ………













...................The end






はい!初の桜蘭ホスト部のドリー夢です!
初夢のクセに、悲恋モノってどーよ?(笑
とりあえず、兄と妹って設定で…環夢です。
でもね…?恋って…叶っても叶わなくても恋って言いますからね。
だから悲恋も“恋”って漢字が入ってるわけですし…w
次回はちゃんとしたHAPPY ENDも書けたらいいなぁ〜…と思いますw
この後、沙絢ちゃんと環がどーなったかは…貴方のご想像にお任せしますw
最終的にHAPPY ENDになってもよし!
最終的に悲恋のまま終わってもよし!
それは全て……夢を読む貴方次第vvv
私的には……今後の展開は───…ウフフv(///





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