あいつはいつも、馨ばかり…あいつはいつも、光ばかり…
二人はいつも……ハルヒばっかり……










relations that got twisted up










「「ハールヒ!今日が何の日か知ってるよなー?」」


「はぁ?バレンタインでしょう?それくらい庶民だって知ってるよ」


光と馨の言葉に、ハルヒはちょっとだけムッとした。
自分で自分を庶民と言ってしまったあたり、ちょっとだけ諦めているのかもしれない。


「「じゃぁさ、誰かにチョコあげるの?」」


「自分が女だって知ってるのは、ホスト部員のみんなとさんくらいでしょう?」


「「じゃー、部員の誰かに上げるの?」」


「だから、どーしてそーなるの?自分はそういうのには興味ないから」


双子の問いかけに、呆れながら返すハルヒ。
その様子を教室の自分の席に座ったまま、は見つめていた。



光も馨も……いっつもハルヒばっかり
ハルヒ〜ハルヒ〜って……何よっ



ちょっとだけジェラシーを感じている
けれど、それは双子の目論見でもあった。


さん、さん」


「へ?」


さんは誰かにチョコあげるんですか?」


掛けられた声に視線を上げた。
そこに居たのは、先ほどから光と馨と喋っていたハルヒだった。


「………どーしよっかな 馨か光のどっちかに上げてもいいけどー…二人セットではあげたくないな」


それはちょっとした意地悪だった。
ハルヒばかりを可愛がる二人に、ちょっとした意地悪を。



……やっぱり、は光ばっかり……



これは一度の事ではなかった。
何かとイベントがある時には、こういう事が起きていた。



…今回も、は馨ばっかかよ…



そしては必ず、二人が一人の時にコッソリと『うるさいから上げるだけ それ以上でもそれ以下でもない』と片方ずつに渡していた。
そしてそれを口止めすれば、二人は片割れが本命を貰ったと思ってしまう。


はいっつも意地悪だもんなー
 その気持たせておきながら、なんでもない気持ちでプレゼントくれるんだもんな」


「え?光もそうだったの?」


光の発言で、馨は驚きの声を上げた。
だって、それは馨も同じことだったから。


「「………へぇ ふぅーん」」


そこで何かに感づいた双子。
を見つめ、ニヤリと笑みを浮かべた。


「「何、焼きもち?だから気持ち偽って個別に口止めして渡してたんだ?」」


二人は双子。
違う人間でも、一卵性双生児は通じるものがある。
だから、分かる事もある。


「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ」


「じゃ、お・し・お・き 今回は僕等二人に本当の気持ちを伝えてチョコを上げる事!」


「もちろん、個別に渡すのも口止めするのもなし!」


光と馨の交互に交わす言葉に、は見る見るうちに真っ赤な顔になった。
本当の気持ち、という事はつまりはバレンタインに相手に伝える気持ちの事だ。

そういう意味だと分かっていながら、遠まわしに光も馨も指示を出した。
自分で気付いて言いなさい、という意味を込めて。


「や、ヤダ!」


「「に拒否権があるとでも?」」


「う…」


無敵な光と馨に勝てるほど、は口は達者ではなかった。












「あ、の……」


「「うん?何?」」


放課後の教室。
その教室の生徒は全員帰宅した後で、そこに残っているのはと光と馨の三人だけだった。


「………ずっと、ハルヒに嫉妬してた
 もっと……二人には、私を見て……欲しかった、の」


そう言いながら、必死に二つの箱を渡す。
それがの、今の精一杯だった。











本当は好き
どっちが────?
……分からない
どうして?
それは───











多分、どっちも好きだから────────…








............................end




バレンタインのフリー夢です。
双子はきっとこういうイベの時は、意地悪するんじゃないかという妄想から。(笑)

お持ち帰りと掲載自由、リンクと報告特に必要なし。
再配布や修正加筆等はしないで下さい。
掲載される際は管理人名の記載をお願いします。
コピペでお持ち帰り下さるのが一番手っ取り早いかと思います。





桜蘭高校ホスト部夢小説に戻る