こういう日くらいは……私があなた達を驚かせたいの










surprise










「お願い、鏡夜先輩!」


部室である第三音楽室の準備室で、は両手を合わせ鏡夜に何かお願いをしていた。
必死にペコペコと頭を下げる。


「しかしだな……」


渋る鏡夜に、は必死にお願いをし続ける。
常陸院兄弟の誕生日である今日は、客がより入る日にもなる。
そんな日に、常陸院兄弟を貸してくれ────というのは、鏡夜の渋る理由にもなる。


「こういう日でもないと、光も馨も……驚かせる事が出来ないんだもん
 お願いします、鏡夜先輩!」


「……仕方ないな 今日だけだぞ」


鏡夜のその言葉に、は嬉しそうな表情を浮かべた。

パアアアア……

そんな効果音が合いそうな表情だ。


「ありがとうございます、鏡夜先輩!この御恩、忘れません!」


一つペコリと勢いよく頭を下げると、鏡夜に一枚の紙を差し出した。


「なんだ?」


「これ、光と馨に渡してもらえますか?」


「……それでいいのか?」


紙を受け取りながら鏡夜は問い掛けた。
その問い掛けに、コクンと一つ頷くとくるりと踵を返す


「それじゃぁ、宜しくお願いします」


そう告げ、ホスト部を後にした。
向うのは調理室だった。












「すでに、調理室は調達済み 鏡夜先輩の承諾、うまく貰えてよかったぁ〜」


貰えなかったことを全く考えていなかったは、渋る鏡夜を見て少しだけ焦っていたのだ。
それでも一応は承諾を得られた事にホッと胸を撫で下ろした。

ガラガラガラ

調理室の扉を開け、中へ入る。
静かに足音を鳴らし、は調理準備室にある冷蔵庫へと歩みを向けた。


「いい感じに冷えたかなぁ〜」


楽しそうにリズミカルに呟きながら、冷蔵庫を開けた。
そこには、綺麗にトッピングされた真っ白なケーキが皿に乗せられ冷やされていた。


「うんうん、オッケーオッケー!」


ニコッと嬉しそうに笑みを浮かべ、は皿を取り出した。
パタンと冷蔵庫を閉じて歩みは今度はテーブルの方へ。

テーブルマットも何もない殺風景なテーブルの上に、綺麗に盛り付けられたケーキが一つ。


「お皿ってどこにあったっけ……ええーと」


ポツリと呟き、は調理室の準備棚を探し始めた。
扉を開けては閉めての繰り返しを幾度かした後、ようやく見つけた真っ白なお皿。
三枚分そこから取り出し、同時に近くの引き出しからフォークを取り出した。


「早く準備済ませないと、光と馨が来ちゃうよね 急がなきゃっ」


慌ててテーブルに駆け寄りお皿とフォークを並べた。
最後に用意するのは、ロウソクとナイフだけ。
すでに調理台に置かれたそれを手に取りテーブルに置くと、は席に着いた。

あとは光と馨が到着するのを待つだけだ。














ガラガラガラガラ

開けられたドアの音に、はパッと視線を上げた。
ドアの向こうに見える同じ顔に、は笑みを浮かべた。


「いったい何?僕らに用って」


「僕ら、今日ホスト部で指名率上げようと思ってたんだけど?」


呟く表情は少しだけ不機嫌。
けれどは気にする様子もなく、手招きをした。


「いったい何がし────」


「ハッピーバースデイ、光!馨!」


何がしたいの?と問いかけようとした二人の言葉を遮った
パンパンパンとクラッカーを鳴らし、満面の笑みで迎える。


「「……それ、が一人で作ったわけ?」」


「そうだよ?」


席へとたどり着いた光と馨の瞳に止まった大きなケーキ。
首をかしげ問い掛けると、から帰ってきたのは肯定の言葉だけ。


「驚かせたくて、秘密に練習してたんだ きっと美味しくできたと思うの!」


食べて食べて、とは二人に席を進めた。
テーブルに置かれたナイフを手に取り、ケーキ入刀。
綺麗に切ると、それを二人の皿に乗せた。


「ふぅん……結構いい出来じゃん?」


「見た目と味は別物だけどねー」


楽しげに笑いながらも、光も馨もフォークを手に取りケーキを突いた。
フォークに乗ったケーキをパクリと一口。


「「うん 美味しいんじゃない?」」


二人の言葉は、にはとても嬉しいものだった。


「良かった!本当におめでとうね!これからも宜しく!」


「「もちろん、宜しくしてあげるよ ありがとね、」」












.............end





六月九日は常陸院兄弟の誕生日!
ということで、フリー夢だあああ────!!(*^^)v
サプライズ的な誕生日パーティを……と。(自分と重ねてるよ、おい;)

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