敵対する者同士───…

本来ならば、きっと仲間同士で好き合うのが1番なんだろう───…









“BBSオンリー17万HITプロジェクト!”愛の逝くままに












「…ふぅ、やっと仕事が終わったわ…」
空中にプカプカと魔力で浮き上がったまま、呟く1人の少女。
名は、と言う立派な魔族である。
「全く…楽じゃないわね…魔族ってのも。」
なんて呟くなんて、きっともっての他なんだろうけれどもは気にする事なく肩を落としていた。
どちらかと言うと、何もせずにボウッと過ごせる方が好きなからすれば仕事は嫌なもので。
1番が嫌っているのは、好きな人との対立…そして、好きな人との敵対。
だからこそ、仕事をするのがあまり好きではないのだ。
「何をしてるんですか?そんな所で、無防備な。」
「なっ!?ゼッ…ゼロス!?」
いきなり背後から聞こえた声に、不意打ちだと言わんばかりの表情で振り返った。
驚きの声を上げては居るが、とりあえずは礼儀として?上げたようなもの。
気配を探っていればすぐに分かるし、何よりは声でゼロスだと分かっていたようなもの。
「…相変わらず後ろから声をかけるのが好きね。」
ハァッと大きくため息を吐きながら、はゼロスを真正面から見つめて呟いた。
その言葉にただただクスクス笑いを浮かべるゼロス。
「目の前に出現して、いきなり攻撃されるよりかはマシですからね。」
クスクスと相変わらず笑いながらも、ゼロスの口からは失礼な言葉が連発された。
「だっ…誰がいきなり攻撃をするってっ!?」
「おや、違うと言い張るんですか?」
抗議の声を上げただが、ゼロスの首をかしげて問われた言葉に“うっ…”と言葉が詰まった。
実際に、前科であるのだ。
の目の前にゼロスが意地悪気に出現した瞬間、あまりにも驚いてがゼロスを攻撃したという前科が…
「…あんまり、ひょいひょい私の前に現れない方がいいんじゃない?」
いつもよりも低いトーンでそう呟けば、真剣さがゼロスに伝わったらしく。
珍しく、ゼロスは閉じていた瞳を薄っすらとだが開いた。
「そうですね。魔竜王様の身体を傷つけた僕は、あなた方魔竜王様側の人から見れば…」
「敵、よ。」
「はい、分かってますよ。」
真剣に淡々と呟くゼロスの声を遮って、がポツリと真実の言葉を呟いていた。
獣王側のゼロスと、魔竜王側のは言ってしまえば敵対同士。
しかも、ついこの間ゼロスが魔竜王の身体を傷つけたばかり。
そんな中に2人が会っていれば変に見る輩も出てくるだろう。
「ですけどね、今まで頻繁に会ったりしてたんですから…あの事件をキッカケに会えなくなるのは寂しいですよ、僕としては。」
「!」
いけしゃあしゃあと言い放つ言葉に、は顔が火照るような感じがした。
「な、に言ってんのよ。会うって言っても、いつも仕事のついでじゃない。」
フイッと視線を外し、はポツリと呟いた。
そう、確かにゼロスは仕事が近場での気配を感じたから来たとか、そんな理由をつけてしか会いに来なかった。
そんな理由をつけてしか会いに来ないなら、仕事がなければ会いに来ないんだろうななんて考えるようになっていた。
“ああ…私、やっぱり末期かも…”ハァッと大きくため息を吐きながら、は自分の心の中に潜む気持ちを認めた。
「まぁ…仕事のついでがなければ来れませんしね。」
「う…それはそうだけど……」
ゼロスの図星の言葉に何も言い返せなかった。
理由なんてなくても会いにきてくれてもいいのに…なんて思う
しかし、実際は上司の命令は絶対で自分自身の用事だけでそう簡単に出歩けるほどの権力なんて持ち合わせていなかった。
「…ねぇゼロス…」
「なんですか?」
「………。」
声をかけるに、ニッコリ笑顔に戻って首を傾げるゼロス。
その返された言葉に、返された笑顔にあてられては言葉が続かなかった。
こんな言葉を言ってしまってイイのかな…
ポツリとそう内心思い、上目遣い気味にゼロスを見つめた。
「…何ですか?さん。早く言っていただかないと…そろそろ僕、戻らないと…」
ポリポリと頬を掻きながらゼロスは急かすように呟いた。
仕事も終わったのになかなか帰らないのは上司に何かを勘付かれてしまう可能性がある。
「…何があっても…私達は仲良くすることなんて…出来ない、んだよね…?」
「何を言ってるんですか?」
のポツリポツリと呟く言葉に“ハァ?”と言うような口調でゼロスは呟いた。
その言葉を聞き、胸の奥にチクリと痛むものを感じた。
「いい!やっぱり言わない!!!」
「…イイんですね?さんがそう言うなら、僕は聞きませんよ?」
ブンブンと左右に顔を振るにゼロスはため息混じりにそう問いかけた。
その言葉は今ならばまだ聞くよ、という優しい言葉だった。
「さっさと…獣王様の所に戻りなさいよ。」
「…さん。」
「何よ。」
ポツリと投げやりに呟くにゼロスは、再度また大きくため息を吐いた。
掛けられた声に不機嫌そうには返事をして振り返ると、先ほどとは違った雰囲気のゼロスが立っていた。
いつもニコニコとした笑みを浮かべているのに、スッと閉じている目を開けているゼロスはゆっくりと口を開いた。
「…さん、何か隠してますね?」
「うっ…!」
何故分かったの!?と言わんばかりには言葉を詰まらせていた。
敵同士である今“好き”と伝えてもゼロスの負担が増えるだけ。
しかも好きと伝えて“僕も”なんて言葉が返って来るなんて想像出来るはずもなくて。
「…ゼロス、私を消滅させて?」
「なっ…何言ってるんですか!?」
の唐突な言葉に当然驚きを隠せずに声を荒げた。
「言ってる事、ちゃんと私は理解してる。だから…貴方の手で、私を滅ぼして。」
真剣な瞳でジッとゼロスを見つめて、身体の横に下ろしていた両手はグッと拳を作って握り締めていた。
「分かってて、何故そんな事を言うんですか!?」
「…苦しいの。こんな状況がずっと続くのが……」
“苦しいのよォ…っ!”と掠れる声で涙を流しながらは呟き続けた。
そんな姿を見て、ゼロスはただ唖然と見つめるしかなかった。
「本当に…イイんですか?」
「…うん。ゼロスの手に掛かって…滅びるなら、本望だよ?」
1歩、また1歩と前に踏み出しながらゼロスはそう問いかけた。
その問いかけにニッコリと微笑みながら、全く怯える様子もなく答えた。
ゼロスとの力の差は歴然としていて、ゼロスがを滅ぼすのなんてたやすいこと。
もそれをキチンと理解していた。
「っ!」
一瞬目を離したが、すぐにゼロスはを真っ直ぐ見つめグイッとの身体を自らの方へ引き寄せた。
その瞬間、の身体をゼロスのアストラルサイドからの攻撃が襲い掛かった。
ゼロスの本体である黒い錐のようなものが虚空から突如現れ、の身体を貫いたのだ。
「…ありが…と、ゼロ…ス。」
途切れながらも、お礼を呟く
ずっとずっと願っていた事が、今ここで叶ったから。
「最後に…言わせて、ね。」
そう言うと、の顔がゆっくりとでも早く確実にゼロスに近づいていた。
そしてあっという間にの唇がゼロスの唇と重なり合っていた。
「……さん?」
「ずっとね…好き、だったの…私…ゼロスの、事ォ……」
ボロボロと涙を浮かべるに、ゼロスは目を見開き驚きを隠せずに居た。
「どうせ…叶わない恋だ…から…だったら…大好きなゼロスの手で……滅ぼして欲しか、たの…」
ゆっくりとは消滅していきながら、それでも言葉を止めることはなかった。
今止めてしまったら、声が出なくなってしまうかもしれないから。
「汚れ役、頼んじゃ…てゴメ…ね。」
そう言うと、の姿は黒い霧となり宙に消えていった。
サァァァァっと風の流れる音だけが聞こえる。
その風の中に“大好きだったよ…仲間だったら…良かったのにね…”というの最期の言葉だけが聞こえてきた。
風は優しく、ゼロスを包み込んだ。
貴方は悪くないのよ、と言うようにゼロスの心を守るように。











仲間だったら、どんな結末が待っていたのかな…?

幸せな結末?

それとも不幸せな結末?

結ばれたかもしれないし、どちらかが先に命を落としていたかもしれないね。

どちらにせよ、悲恋な事には変わりなかったかもしれないね…

だったら、はっきり胸を張って言えるよ…大好きだって。

愛の逝くままに…はっきりと、恥ずかしがらずに───…







.............The end




はい…という事であとがき、です。
あとがきったらあとがきなんですってばっ!!!(ゎ

さて…こんな感じの話に出来上がってしまいましたが…
こんな感じでよかったんでしょうか…それだけが心配です。
なんとも嫌ァな悲恋話に終わってしまいました。
リク内容は悲恋傾向だったのにィ……ごめんなさい!(平伏す
何度“ごめんなさい”と言っても、言い足りないほどです!
夢リクして下さった霞胡様のリク通りに…仕上がってるでしょうか…(ドキドキ

ええっと…えっと…楽しんで頂けたら幸いです…はい。
という事で、“BBSオンリー17万HITプロジェクト”のリクエストもう1つ解消という事で!
霞胡様のみお持ち帰りが可能です!






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