darkness of holy 第一話





「はぁはぁはぁはぁ・・・・・」
何者かに追われ、森の中を走り逃げていく一人の少女。
少女の名は
見た感じ16歳くらいの少女で、薄紫色のハイネックのノースリーブを着こしなし、デニムスリムパンツを穿いていた。
両耳に紫色の大きなダイヤの形をしたイヤリングに、紺色のショルダー・ガード。
そして真っ黒なマントを身に着けていた。
赤紫色のショートブーツを履いていた。
童顔で、目がパッチリしており、濃い紫色の瞳。
身長は普通の背丈より小さく、出ているところは出ている体系。
「待てっ!!今日そこはっ!!」
後ろからは追っ手らしき者が迫っていた。
「あたしが、あたしが何をしたって言うのよっ!!」
走りながら後ろに迫る追っ手に叫ぶ
「悪魔っ!!疫病神っ!!お前が村に居ただけで迷惑なんだっ!」
「なんで!?どうしてなのっ!?そんなにいけないことなの!?」
追っ手の男に向かって悲痛な叫びを浴びせる
「きゃっ!!」
後ろを見て走っていたは石に躓き、その場に倒れた。
その隙を見逃さなかった追っ手の男は、一気にとの距離を詰めた。
そして、手に持っていた紐での両腕を後ろで縛り上げた。
「お前を育てたクセートル=さんも馬鹿なもんだぜ。」
「あたしを育てたクセートル小母さんを殺したのは、貴方たち村人でしょっ!?」
グッと締め上げられ、身動きの取れないはそれでも声を上げて叫んだ。
「お前なんかを育てずに居たら殺されずにすんだのだよ。お前なんか見つけたときに殺していればよかったのさ。」
残酷な言葉を、何も思わずに発する村人。
「確かに・・・クセートル小母さんを死なせてしまったのには責任があるかも知れない。でも、貴方たちが言っている事は間違っているわっ!!」
「この状態でそんなことを言っても意味ないんだぜ?」
「くっ・・・」
の言葉に反抗する村人。
確かに、この時は囚われの身。
何を言っても、何も出来ないのだ。
「くくく・・・・これでお前を殺せば一石二鳥だな。」
そう言うと、腰に差していたショートソードを抜き、に向かって振り下ろした。
−くそっ!!
そう心の中で叫んだ瞬間だった。
「アイシクル・ランス!!」
一人の少女の声が響き、一本に集結したフリーズ・アローが村人が持っていたショートソードを直撃した。
「っ・・・・誰だ!?」
「誰だって良いでしょう?それよりも・・・あたしの目の前で何をやっていたか分かっているの?」
声のするほうをかろうじて動かせる首を動かし、見た。
そこには結構小さめの栗色の髪の毛の少女。
その栗色の髪の毛の少女よりも小さい黒髪の少女。
長身でハンサムな顔つきの金髪の青年。
白いフードで顔を覆った少年の四人が立っていた。
栗色の髪の少女が村人を指差し、声を張り上げて語っていた。
「お前には関係ないだろ?こいつは生きていちゃいけねぇんだよ。」
「どういうことよ。」
栗色の髪の少女はいけしゃあしゃあと話す村人に対して聞き返した。
「こいつの正体は────」
「言わないでっ!!!」
村人が言おうとした瞬間、が声を張り上げて止めた。
「と、とにかく。こいつを殺さねぇと依頼量貰え・・・はっ!」
途中まで言った口を抑え、村人はハッとした顔をした。
「依頼?どういうこと?」
は村人の顔をキッと睨みつけたまま問いかけた。
「クセートル小母さんを殺したのも依頼だったの?」
「!?」
「あぁ。そうさ。確か・・・・依頼者の名前は・・・・フーム。そう、フーム=イクソンってヤツだ。」
「クセートル小母さんも・・・あたしの・・・・せいで殺された?」
その言葉に栗色の髪の少女達は視線をに移した。
キッ!!
「ふざけないで!!命を何だと思っているの!?」
がそう叫んだ瞬間、の体を白と黒の光が包み込んだ。
ぶわっ!!!
その白黒の光が大きく膨れ上がり、腕を縛っていた紐が切れ、村人を吹き飛ばした。
「はぁはぁ・・・・」
「一体・・・・何が?」
はぁはぁと肩で荒い息をする
そんなを見つめる栗色の髪の少女たち。
ハッと栗色の髪の少女たちを見つめると、逆方向へ向かっていきなり駆け出し始めた。

「はぁはぁ・・・げほっ・・・・ごほっ・・・・はぁ・・・・」
森の奥にある大きな湖の前に膝を付け、水面に姿を映した。
「どうしてあたしは・・・生きていちゃいけないのよ・・・・」
小さく呟く
そんなの背後に一体の影が現われた。
「!?」
−気配を・・・・感じなかった。
「オ前、・・・・カ?」
−魔族っ!!
目の前に現れたのは真っ黒な体で瞳だけが赤く輝く魔族だった。
・・・殺ス・・・」
小さく呟くと、真っ黒な体に隠れていた手をあらわし、鋭い爪でを襲おうとした。
「待って!!」
ぴく・・・・
の言葉に反応した魔族はピタッと動きを止めた。
「何・・・・ダ・・・・?」
「あたしが狙われるわけを教えて・・・」
「オ前、スイフィード、ノ力持ッテル。魔ト神ノ融合体。狂ウカモシレナイ・・・ダカラ殺スンダ。」
魔族の言葉には自分の耳を疑った。
−スイフィードって・・・・・水竜王の事よね?あたしが魔族だってのは分かってたけど・・・まさか魔と神の融合体だったなんて・・・・・
そんなことを考えていた瞬間、魔族が攻撃を仕掛けてきた。
「わっ!?」
何とか間一髪で避けた
しかし、魔族は近くまで寄ってきていた。
「ヘルブラスト!!」
バッと魔族から間合いを取ったは、急いで唱えた魔法を発動させた。
暗黒の槍が魔族に激突し、魔族を葬り去った。
「一体・・・・ドウシテ・・・・」
黒い霧を上げ、消えていった魔族を見つめたまま、は立ち尽くしていた。
−あたしの命を狙うフームというやつが居て、あたしは神魔融合体・・・・それでもって狂うかもしれない?ふざけないでよ・・・あたしはあたしよ。
心の中で強く強く呟いた。
−これから・・・あたしの命を狙ってフームというヤツが刺客を送ってくるはず・・・何とかしてフームというヤツを探して倒さなきゃ・・・・
はそう呟くと、のいる森の中で一番近い町へ向かった。

カランカラン・・・・
「いらっしゃ〜い。」
店のドアを開けると、中から景気の良いおばちゃんの声がかかった。
「あ。貴方は。」
「あ・・・・どうも。」
そう声をかけられたは店の奥の方に座っていた栗色の髪の少女達に目線が止まった。
「こっちに来なさいよ。」
「じゃぁ・・・お言葉に甘えて・・・・」
栗色の髪の少女にそう言われ、少し戸惑いながらも席に向かう
「あたしはリナ。リナ=インバース。えーっと・・・」
よ。」
「あぁ、さんね。宜しく。」
「こちらこそ。」
手近なイスに手を掛け、座ろうとしながら自己紹介をする。
「私はアメリアです。アメリア=ウィル=テスラ=セイルーンです。宜しくです、さん。」
「俺はーガウリイ=ガブリエフだ。宜しくなーさん。」
「俺はゼルガディス=グレイワーズだ。」
リナに続いてアメリア、ガウリイ、ゼルガディスが自己紹介した。
「あ、おばちゃん。Aランチもらえる?」
「はいよー。」
の言葉に景気良く返事をする店のおばちゃん。
「貴方・・・フームという魔族に狙われているの?」
ぶぴっ!!
いきなりのリナの言葉に水を噴出したのは、だった。
「けほけほ・・・・ど、どうして?どうしてフームが魔族だって??」
「フームって言う魔族が居るのは結構有名よ。何せ降魔戦争の時に活躍した魔族だからね。」
の言葉に笑いながら答えるリナ。
その傍らではぁとため息を付くアメリアたちの姿があった。
「そ・・・そうなんだ・・・・」
机の上に置いてあった、コップの水を飲み干すと、小さく相槌を打つ
「それで、狙われているのね?」
リナの言葉に小さく頷く
「あなたはどうするつもり?」
「え?」
「だから、フームに命を狙われているんでしょ?さんはどうするつもりなの?」
リナの言葉に少々頭を回転させ悩んだ
「倒す。だって、あたしは殺されるために生まれたわけじゃない。だからフームを倒すわ。」
「そう。」
の言葉に相槌を打ち、リナはアメリアたちに視線を移した。
「ねぇ、アメリア、ガウリイ、ゼル。」
「あ?」
「あたしたち、今急ぎの用もないわよね?」
「最後確認することないだろ?」
リナの質問にあきれ気味に答えるゼルガディス。
「じゃ、あたしたちもご一緒させてもらっても良いかしら?」
「え?」
リナのいきなりの言葉に声を合わせて聞きかえすとアメリア達。
「だから、フームという魔族相手に一人で戦いを挑むつもり?魔族と戦ってきたあたしたちなら、力になるだろうし。」
「どうせ、また興味があるんだろ?いっつも厄介ごとに首を突っ込むからな・・・・」
リナの言葉をさえぎってガウリイが呟いた。
「あたしに関わらない方が身のためですよ?」
「それは、フームが刺客を送ってきて、命が危うくなるから?」
リナの図星の言葉に言葉を詰まらせる
「図星、のようね。それに関しては大丈夫よ。何度もそういう目にはあってるから。」
「でも・・・・」
リナの言葉に少し戸惑いながらも、やめたほうがという
「も〜う決〜〜めた。あたしがそういうんだから決〜めた。あたしたち、さん・・・いえ、の旅に同行させてもらうわ。」
いわば強引な決定にあっけにとられる
一方アメリアは「悪を滅する!私も賛成です!」と拳を握り締めて叫び始めた。
「・・・・死ぬかも知れないのよ?」
「そんなこと分かりきっていることですよ。」
の言葉にアメリアは優しく答える。
「・・・ありがとう。」
目にうっすらと涙を溜めて答える
そんなの方をポンポンとガウリイが叩いた。
「それじゃ・・・明日の朝にでもここ、出発しましょうか♪気軽にゆっくり旅をしましょ♪」
リナも席を立つとウインクを一つして会計へ向かった。




To be continued..............................





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