darkness of holy 第二話





?」
「え?」
いきなり後ろから掛かった声に驚き、は振り返った。
そこには寝巻きに着替えたリナの姿があった。
「こんなところでどうしたの?」
コトン手に持っていた宿屋の部屋の鍵を窓枠に置いた。
「ううん。何でもない。ただ・・・・」
「ただ?」
「うん・・・この満月を見ていると、思い出すの。」
「え?」
は深い紫色の瞳させて、月夜を見つめた。
「満月の日に・・・あたしは生まれ、クセートル小母さんに引き取られたの。そして・・・満月の夜に、クセートル小母さんはあたしのせいで殺されたの・・・」
ゆっくりとリナに向かって言った。
「そう・・・でも、そのクセートルさんが殺されたのは貴方のせいじゃないわ。気にしなくても大丈夫。今はフームを倒す事を考えましょ?」
リナは後ろからポンとの肩に手を置いた。
「・・・・うん。」
−でも・・・あたしの正体を知れば、そんなことを言っていられなくなるわ・・・
目に涙を溜めながら「うん。」と呟く
しかし、心の中では複雑な心情を語っていた。
そう、は魔族と神の融合体。
そんな人だなんて分かったら一緒に旅なんて出来ない。
そうは考えていたのだ。
「ねぇ、。」
「ん?」
「貴方・・・何か隠し事していない?」
リナのいきなりな発言には一瞬戸惑った。
「な・・・何を隠しているというの?あたしはただ、自分の命を狙うフームを倒そうと思っているだけよ。」
「それだけとは思えないのよね・・・貴方、本当はフームを知っているんじゃないの?」
リナの言葉にはビクンと体を振るわせた。
「やっぱり・・・ね。普通だったら命を狙われても逃げるだけだろうし・・・倒そうなんて考えないわ。」
「・・・リナは勘が鋭いのね。そうよ、あたしはフームを知っていた。だって・・・」
−だって、神魔融合体のあたしを生み出したのがあいつなんだから・・・フームはそんなあたしを恐れた。高位魔族とスイフィードの力を分け与えたため、普通の高位魔族よりかは強いから。だから狂ったら大変だと考え、あたしを殺そうとしているのだと。フームは、あたしをオモチャにするために生み出したんだ。そんなフームの元から奪い去ってくれたのがクセートル小母さんだった・・・・だから、だからオモチャとして生み出した・・・そんなフームをあたしは許せない!
途中まで言った言葉をさえぎり、心の中で呟き始めた
しかし、その言葉はリナには聞こえていない。
「どうやら・・・深いわけがあるようね。言ってくれる時まであたしは待ってるから。」
そう言うと、窓枠に置いた鍵を手に持ちそれをに渡した。
「それが貴方の部屋よ。どんな深いわけがあるか分からないけど、一人で悩まないでね。あたし達に話して良いんだからね。だって、一緒にフームを倒す仲間、でしょ?」
リナはに鍵を渡すと、自分の部屋へと向かおうと足を踏み出した。
そして、首だけを後ろに向け、ウインク一つ残し部屋へ向かった。
「リナ・・・・ありがとう・・・・」
ガクンと膝を床に付けると顔を両手で覆って声を押し殺しなき始めた。
−こんな人たちがあたしと一緒にフームを倒す旅をしてくれるなんて・・・ほんと、あたしは幸せ者ね。だから余計にフームを倒さないと・・・狂わないように気をつけないと・・・
心の中で小さく呟くとグッと拳を握り締めた。
そしてはゆっくりと部屋へと向かった。

チュンチュンチュンチュン・・・・・
「ふわぁ〜良く寝た〜」
背伸びをして、起き上がった
ゆっくりとした動きでベッドから足を下ろし、普段着に着替え始める
着替え終わり荷物をまとめると、ゆっくりゆっくり一階にある酒屋へと向かった。
「あ、〜?遅いわよ〜」
そこにはテーブル全体に皿を並べて、食事をしているリナたちの姿があった。
「え?もう食べているの?」
、お前さんは何にするんだ?」
リナの真正面に座るゼルガディスから声が掛かった。
「じゃぁ・・・・焼肉Aセットお願いするわ。」
そう言うと、あいている席に腰を下ろした。
ゼルガディスはの代わりに焼肉Aセットを頼んでいた。
「あっ!!ガウリイ、それあたしのっ!!」
「何言ってんだよ!俺が先に目を付けてたんだぜー」
リナとガウリイがいきなり食べ物の取り合いをはじめた。
「あの・・・・?こ・・・これは?と、止めなくても良いの?」
いきなりの出来事に驚いたは、アメリアとゼルガディスの方を見つめた。
「あぁ。いつもの事だからな。」
「放って置いて良いですよ。あ、来ましたよ焼肉Aランチ。」
ゼルガディスはハァとため息を付きながら水を飲み始めた。
一方アメリアはパタパタと両手を振って笑いながら答えた。
そして、店の人が焼肉Aランチを持ってきたのを見つけ、に伝えた。
「そうなの・・・・じゃぁ・・・気にしないで食べることにするわ。」
そう言うと、ニッコリ微笑んで答えた。
「初めてさんの笑顔見ちゃいました・・・・」
「あぁ。ビックリなもんだな。」
アメリアとゼルガディスはの笑顔を見た瞬間、ちょっと顔を赤くして小さく呟いた。
「え?え?どうしたの?2人とも顔、赤いよ?」
「な・・・何でもありませんっ!!」
はひょこっとアメリアとゼルガディスの顔を覗き込んだ。
しかし、アメリアは何でもないと言い張って顔を背けた。
ゼルガディスも何も言わずにに背を向けた。
「え?え?」
「アメリア?ゼル?・・・どうしたの?」
「え?あ・・・分からない。急に顔を真っ赤にしちゃって・・・・」
そう呟いてリナに助けを求める顔をした。
「リナさん、何でもありませんから、ほんとに。」
「本当に!?本当に大丈夫?」
アメリアの言葉に反応し、アメリアに聞き返す
「えぇ。本当です。ゼルガディスさんも大丈夫だと言ってます。」
「よかったぁ〜」
アメリアの言葉にニッコリと微笑んで答える
その笑顔を見たリナはアメリアと同じく顔を真っ赤にさせた。
しかし、ガウリイだけは平然との笑顔を見ていた。
「え?え?リ、リナ?どうしたの?」
「あのね・・・・。貴方の笑顔が可愛いからよ・・・・」
リナに聞く
そんなの顔を見ずに質問された事を答えた。
「可愛い?・・・・あたしがっ!?」
はリナの言葉に驚いた。
「そうよ・・・普通にしていれば普通の年頃の女の子よりは可愛いわよ、あんたは。」
「そうですよ。だって店の人たちさんに見とれたりしている人居ますよ。」
リナの言葉につないでアメリアも答えた。
「そ・・・そうなんだぁ・・・・でも、あたしはあたしだし。別に可愛いなんて思っちゃ居ないし。」
の言葉にプッと笑い出すリナ。
「え?あたしなんか変なこと言った?」
リナの事を心配そうに見る
「だって・・・がそんなこと言うなんて・・・・まぁ・・そういうことにしておくわ。」
リナはお腹を押さえたまま呟いた。
「もぉ、リナったら・・・あ、ねえ。」
「ん?」
「そろそろここを出ないと隣町まで間に合わないんじゃない?」
リナの背中を軽くポンと叩いた
そのとき目に入った時計はすでに三時を差していた。
「あ・・・そうね。じゃ、会計済ませてそろそろ行きましょうか。」
リナはそう言うと、伝票を持ってカウンターに居る酒屋の主人の元へ向かった。

「ん〜やっぱ美味しかったわ。ごちそうさまv」
にっこりと微笑みながら満足そうに歩く
そんなの笑顔にリナたちも慣れたのか、顔を赤くすることなく一緒に町を出た。
「ここから隣町だから・・・デェイルシティね。」
「デェイルシティか・・・」
「ねぇ、。フームの居場所について何か聞いていないの?」
リナの言葉に耳を傾け少々悩む
「山。ドラゴン。洞窟。この単語くらいしか・・・・・あっ!!」
途中まで呟いた
が、途中で思い出した事があり、声を張り上げた。
「な、何?」
「これっ!!」
そう言い出したのは一枚の紙。
「何、これ。」
「リナたちと初めて会ったときに襲ってきた魔族が落としていったものなの。」
そう説明し、リナは半分に折られた紙を開いた。
中には何かが書かれていた。
「これ・・・フームの居る場所なんじゃないの?」
リナがポツリと答えた。
「え?」
「ここに、丸印がついているでしょ?これ、フームの居るところじゃないの?」
「あ、確かにそうかもしれませんっ!!この丸印のあるところ、ドラゴンの住んでいる山です。確か洞窟もあったかと・・・」
リナに続いて話し始めたアメリアの言葉でフームの居場所の可能性が高くなった。
「行ってみる価値・・・ありそうだな。」
地図を見つめたまま、ゼルガディスが答えた。
「それで依存はないでしょ?ガウリイ。って・・・・寝るなぁぁぁぁぁ!!」
話についていけていなかったガウリイは立ったままスーカースーカー居眠りをしていた。
そんなガウリイの後頭部をスリッパで叩いていた。
「んあ?あ・・・行くのか?俺はリナに付いていくぞ。保護者だからな。」
「あのねぇ・・・・」
ガウリイのすっ呆けに手をフルフルと震えさせるリナ。
「じゃぁ・・・行ってみよ?」
のその言葉でリナの震えは収まり、
「そうね。一応の目的地はそこって事で、進路変更!!逆方向のクティーナルシティにレッツゴー!!」
ビシっと来た道の方を指差した。
「逆方向だったんだなー。リナ、方向音痴になったのか?」
まだボケているガウリイ。
そんなガウリイに突っ込みを入れる気力のないリナはハァと深いため息を吐き歩き始めた。
「リナー。待ってくれよー!!」
そんなリナの後ろをアヒルのようについていくガウリイ。
そんな光景を笑いながらは見つめていた。
−今は一人じゃない。死ぬかも知れないと分かっているのに一緒にフームに戦いを挑んでくれる仲間が居る・・・・クセートル小母さん・・・今まで育ててくれてありがとう。あたし・・・前に進んでいきます。
空を見上げては心の中で決心の言葉を呟いた。

「ここが・・・・・本当にクティーナルシティなの?」
リナは目の前に広がる光景に目を疑った。
「何で・・・こんなことになっているの?」
そうが呟いた瞬間だった。
「!?」
リナとは同時に何者かの気配に気がつき、左右に飛びのいた。
さっきまでリナとの居た場所が青白い炎を吹き上げた。
−バースト・フレア?
「誰!?」
攻撃を避けたリナが気配のするほうを見つめ、声を上げた。
「良く避けたな・・・・命、貰い受けに来た。」
そう言い現われたのは、一人の男だった。
その男が魔族だとは見た目ですぐに判断できた。
肩の部分から角のようなものが伸び、手足は異様に長い人型の魔族だった。
より人間らしく姿を変えられる魔族は強い。という事を知っているリナ達。
人型の姿をしている時点で油断は出来ない。
「私の名はカルド。。お前の命頂に参った。」
カルドの言葉を聞いたリナ達はバッとの前に立ちふさがった。
「何故人間共がを庇いだてする?」
カルドはリナ達をギロリと睨みつけ、低い声で呟いた。
「仲間・・・だからだろ。」
リナが口を開いた瞬間、ガウリイがカルドを睨みつけたまま言い放った。
「ほぅ・・・・そいつの正体を知らないようだな・・・」
「え?」
カルドの言葉に反応した瞬間、カルドの長い腕が鋭い刃物に変わり、襲ってきた。
「っ・・・・!!」
ガウリイとゼルガディスは剣を抜き放ちカルドの腕を薙ぎ払った。
「アストラル・ヴァイン!!」
ゼルガディスの声が響いた瞬間、赤い雷のような光がゼルガディスの剣に落ちた。
その瞬間、ゼルガディスの持っていた剣の色が真っ赤に変わり、魔力を秘めていた。
「光よ!!」
一方ガウリイも刃のない剣に持ち替え、そう叫んだ。
その瞬間、柄から青白い光が現われ、刃となった。
「伝説の剣、光の剣。もとい・・・烈光の剣、ゴルンノヴァ。なんでガウリイが?」
はガウリイが抜き放った剣、光の剣を見て小さく呟いた。
しかし、その言葉は誰も聞いては居なかった。
「よそ見をしていると、死ぬぞっ!!」
カルドの言葉に気づきハッとして前を見た瞬間、目の前に鋭い刃物に変わったカルドの腕があった。
−しっしまった!!
そう思った瞬間だった。
ずしゅっ・・・ばしゅどしゅっ!!
目の前でその腕は粉々に砕かれ、カルド自体も体のあちこちを貫かれていた。
「一体・・・何が?」
は地面に膝をつき呟くが、何が起こったのかは誰も見ていなかった。
リナ以外は────
「やな奴・・・・」
小さく呟くと、くるっとの方に向き直った。
「どうやらこっちであっているようね。」
リナの言葉には小さく頷いた。
「さ、この街を調べるわよ。何か残っているかも知れないからね。」
そう言うと、リナは街の中に一人で駆け出していた。
「あ、待ってくださ〜い!!」
アッとした顔をしてアメリアは叫ぶとリナの後を追って街の中へ入っていった。
その後をガウリイとゼルガディスとが追って行った。
「なんて所なの・・・・凄い滅びよう・・・・」
は街のあちこちを見渡しながら小さく呟いた。
「ゼルガディス。あたし、あの家の中を探してくるわね。」
「あぁ。気をつけろよ、。」
ゼルガディスに一言言うと、「大丈夫。」と言って家の中に入っていった。
「一応リナにも伝えておくか。」
そう言うとリナたちの後を追って駆け出した。

「ん〜やっぱりパッとするものはないわね・・・・何も残ってないって事はないわよね?」
軽めのガレキを退かしながらは小さく呟いた。
「あれ・・・・これなんだろ・・・・」
そう呟き取り出したのは一つの鏡。
『さぁ・・・これを覗いてごらん。』
鏡の中から声が聞こえてきた。
「なっ何これっ!!」
そう叫び、鏡を放そうと思った。
しかし、鏡はの手から離れなかった。
『鏡を・・・覗いてごらん。』
鏡は何度も何度も同じ言葉を繰り返した。
始はは「嫌だ嫌だ!」と叫んでいたが、徐々に意識を手放してしまい、鏡を覗いてしまった。
ずずずずず・・・・・
「!?」
変な音に気がつき周りを見渡した。
そこは真っ暗な風景しかなかった。
「なに・・・・ここ。」
が小さく呟いた。
「ここ?ここは鏡の中よ。」
「え!?」
鏡の中だと言われ驚く
そして、声のした方を見つめた瞬間、はまた驚いた。
「あ・・・あたし?」
「そう。あたしは貴方。貴方はあたし。」
の顔をしたがニッコリ微笑むと、そう呟いた。
「あたしの名前はレンテ。貴方の鏡。」
そう呟くと、レンテはの姿のまま鏡の外へ出ようとした。
「待って!!何をするつもり!?」
「何?決まっているでしょう?まず、邪魔な貴方の仲間を殺すのよ。貴方の姿のままでね。そして最後に貴方を血祭りに上げてあげるわ。」
そう言うと、レンテは鏡の外に出て行った。
「待っでぇっ!?」
はレンテの後を追おうと追いかけた。
しかし、鏡に遮られて外に出ることが出来なかった。
「と・・・閉じ込められた・・・・」
は鏡の中から外の様子を見ることしか出来なかった。

「リナァ〜アメリア〜ガウリイ〜ゼルガディスゥ〜!!」
全員の名前を読んでの姿をしたレンテは鏡を持ったまま近寄った。
「あ、。何処に行ってたのよ。さっきゼルに聞いた場所に行ったのに居ないんだもん。」
リナはプゥと頬を膨らませてレンテに文句を言った。
「ごめんごめん。でも、良いもの見つけたのよ。」
そう言うとレンテはスッと持っていた鏡を前に突き出し見せた。
「何これ・・・すごいもの見つけたのね・・・」
「でしょ?使い方も分かったのよ。こうやって使うの。」
ニッコリ微笑んで鏡を上に掲げた。
リナ達は何が起きるのだろうか。という顔で事の成り行きを見ていた。
その瞬間、レンテの持つ鏡から半透明な白い煙が現われた。
「なっ何それ・・・」
「これはね・・・こうやって使うのよっ!」
レンテがそう叫んだ瞬間、半透明な白い煙はリナたちに向かって突き進んだ。
そして、リナたちの体に張り付いた。
その瞬間、リナ達はガクッと膝を折り、地面に倒れた。
「な・・・・なん・・・・です・・・か?」
「何って・・・・この白い半透明な煙に命というか魂というか、そういうモノが吸い込まれて死ぬのよ。あははははは。」
アメリアの言葉に対して、レンテはあははははと声を張り上げて笑いながら答えた。
「あたし、貴方たちが嫌いなの。何が仲間?会って間もないのに・・・・あたしのこと何も知らないのに知ったかぶりしないでよっ!あんたたちなんて死んじゃえば良いんだ。」
レンテはくすくすと笑いながらリナ達の死に様を見つめていた。
「ラフ・・・・・ル・・・・・」
ガウリイは倒れたままを見つめて小さく呟いた。

「レンテ!!やめて!!」
は鏡の中から声を張り上げて叫んだ。
しかし、レンテには聞こえていないようだった。
「どうし・・・・!!」
そこまで呟くとはあることに気がついた。
「もしかして・・・レンテはあたしの影。あたしの鏡。・・・・あたしが心の奥底で思っていた事を言っているの?」
は小さく呟いた。
しかし、この質問に答える者は誰も居なかった。
「レンテはあたしの鏡、影・・・・なら・・・・・」







To be continued...................





darkness of holy 第二話は如何でしたか?
まだまだ短いですが・・・・お楽しみいただけたら嬉しいです。
一体は今後何をやろうとするのでしょうか?
それは・・・・まだ秘密です。
でも、どうしても知りたいって方にだけお教えいたしましょう♪♪
今後はネタバレになってしまいますので、反転いたします。
知りたい方だけドラックしてください。
レンテがの鏡で影。
というのは二話で話しましたよね?
実はは鏡の中で自分の胸を指すんです、近くに落ちていたガラスの破片で。
それで外に居るレンテは死んで、は鏡の中から出られるのですが・・・
死ぬ寸前の怪我をしていて、アメリアのリザレクションでは助かりそうにないのです。
そこにある人物が現われ、の傷を治してくれるのです。
という事で、後書きは終わりにしますね♪
次回をお楽しみに☆☆





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