終わったんだね、ゼロス?



そう言葉にして問い掛けたかった一人の少女。
少女の名前は
ゼロスと同じ魔族、けれど力はそこまで強くない者だった。

金髪の髪がゆらゆらと揺らめき、緑の瞳はまあるく一点を見つめる。
濃い紫をしたおかっぱ頭の後姿を。













昔も、今も、未来も












ずっとずっと、会えずに居た
会いたかったけれど、足手まといになるのが嫌で



ゼロスの後姿を見つめ、は静かに息を飲んだ。
終わったはず。
終わったはずなのだ、ゼロスの戦いは。

フィブリゾは破れ、ゼロスは漸く本当の上司の元へと戻ってこれたのだから。


「…ゼロ、ス?」


「ああ 居たのですか、さん」


その言葉にの胸はギュッと締め付けられた。
気付かれていない。
気付かれて、いなかった。

あんなにも気配を察知するのが得意なゼロスのはずが。
後ろに、あんなにも近くに居たの気配に気付いていなかった。


「何を、見つめているの?」


そう呟き、はゼロスの見やる先を見つめた。
そこに広がるは…─────


「…人間?」


そう呟いた瞬間、映り込んだのは栗色の髪の少女。
その姿にビクリとの肩は揺れた。

今回の任務でも関わりを持ったという相手。
ゼロスは何とも思っていないと言っていたけれど、にはどうしても…

好きな相手

と見えてしまう。


「…ゼロス、魔族なのに人間が好きなの?」


「…いったい何の話ですか?
 どうして僕が人間などを」


の問いかけに返す言葉は、いつものゼロス。
けれど、いつも浮かべる笑顔がゼロスにはなかった。



ねぇ、ゼロス
私を見て
私を………見つめて



どんなに願っても叶わない願い。
そう分かっているのに、はどうしても願ってしまう。
同じ魔族だから、全てに関して差のある人間よりかは…と。


「だって、ゼロス…いつもあの人間を見てる」


「ああ それは興味の対象だからですよ?」


「興味の…対象?」


ゼロスの言葉には静かに首を傾げた。
興味の対象となれば、ゼロスは自分を見てくれるのかとぐるぐる思考が回り始める

その様子に気付いたのか、気づいていないのか。
ゼロスはの腕をクイッ、と引っ張った。


「ゼッ、ロス?」


驚いたは、そう短く声を上げるしか出来なかった。
息が上がる。
息がかかる。
鼓動が、伝わる。

温かいぬくもりが、身体に広がっていく。


「あ、の……ゼロス?」


いつの間にか、の身体はゼロスの両腕ですっぽりと抱きしめられていた。
緩く、優しく、を抱き締めていた。


「僕が好いている相手がリナさんだと、さんは思ったのですか?」


「う…」



確かに、その通り…
私、リナって人間に…………醜い嫉妬を…してた…



ゼロスの図星の言葉には静かに息を漏らす事しか出来なかった。
恥ずかしそうに、抱き締めるゼロスを見上げ「違うの?」とは問い掛けた。
その言葉に、ゼロスは一瞬だけきょとん、としたような表情を浮かべたが。
次の瞬間には、いつもの笑みに表情は包まれていた。

その笑顔に、パッとは顔を下げた。


「僕が好きなのは……」


呟く言葉の終わりに、ゼロスの顔が近づいてきた。
何か、と思い視線を上げれば重なるは双方の唇だった。


「んんっ!?んっ……っ…は、あ…」


長い口づけの後、ゼロスの顔が離れた。
漸く息が吸え、大きく胸を上下に動かした。

潤んだ瞳でゼロスを見上げれば、苦笑を浮かべる顔があった。


「…今も昔も、さんしか僕は見ていませんよ?
 僕がキスをするのは、さんだけです」


その言葉に、は先ほどの口づけを思い出し顔を真っ赤に染め上げた。
蘇る感覚。
蘇る柔らかさ。



男の人でも…唇って柔らかいんだ…



そんな事を考えるほど、は余裕がなくなっていた。
いわゆる現実逃避。


「ゼロ、ス…本当、に?
 本当に私だけをゼロスは思ってくれてるの!?リナって人間じゃなくて…私をっ!?」


その言葉にゼロスはくすっ、と笑みを浮かべた。
抱き締める腕に力が籠り、はきゅっと目を閉じた。


「僕を…信じてもらえないんですか?」


「信じてるっ 信じてるよ?けど…なんだか夢、みたいで…
 いつかは覚めてしまいそうで…怖い」


「全く、さんは魔族らしくありませんね
 もっと、自分だけしか見れないようにするって冷酷になれませんか?」


「なっ!?」


ゼロスの言葉に、は口をパクパクと金魚の様に開閉させた。
その様子に、ゼロスはニッコリとほほ笑んだ。


「僕だったら、貴方が他の人を見ないように…見れないようにしますけどね」


「どうやって?」


「それは……秘密ですv」


その言葉の次の瞬間、またの唇にゼロスの唇が降ってきた。
柔らかい、唇が。


「んんっ つ、あ………んっはっ」


ゼロスの胸を押しのけ、身体を引き離せばようやく肺に入り込む空気。
肩で息をし、潤んだ瞳でゼロスを見る。


「ゼロスのエロス!
 ゼロスがこんなエッチィとは思わなかったよ!」


「こんな事でエッチだなんて言ってもらっては困りますよ?」


顔を真っ赤にさせ、叫ぶ
けれどそんな反応も予想の範疇だと言わんばかりにゼロスは言葉を返した。
くすくす、と笑いながらまるで逃さないと言わんばかりに。


「いったい、何をする気よお!」


「それは秘密に決まってるじゃないですか」


「秘密にするなあああああ─────!!!」


















......................end









ハイ。ごめんなさい。
ゼロスがゼロスじゃないです。一体誰!?みたいでごめんなさい…↓↓
ちょこーっとあるゲームにハマッてた所為で、そっち系にゼロスが向かってるっ!(汗)

てことで、ちょこーっと今まで小説で入れていなかった要素を取り込んでみましたよ?
とりあえずは、あの後ヒロインちゃんはゼロスに食われた…て事で。(待て待て待て)
全ては掛けないので、直前まで…みたいな感じで濃厚なキスシーンを。(笑)

ああ。ちなみにコレ、二十万HIT謝礼フリー夢小説です。
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コピペでお持ち帰り下さるのが一番手っ取り早いかと思います。






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