鋼の錬金術師パロディ劇場・アルフォンス捜索隊珍道日記 第十三話「カーティス」







 「どーする?エド。手がかりなくなちゃったよ。」
「うーん・・・。」
の言葉にエドもうなる。その時だ。
ぐるぐるぐる きゅるるるるぅ〜
二人のお腹が二重奏を奏でた。
「とりあえず、飯にすっか。」
「う、うん。」
近くの食堂で食事をしつつ、二人はこれからどうするかを話した。それでもなかなかこれというアイデアはない。食事の後、店にいた客とが何か少し話していたが、エドは気にも止めなかった。
「んー・・・。あ、あそこなら。」
エドは以前、あるといった事のある情報屋のことを思い出した。
「よし。、情報屋の所に行くぞ。」
エドはの応えを待たずに路地へ入り、足早に歩き出した。はその後を慌てて付いていく。
「待ってよ、エド。それって路地の奥の情報屋さんでしょ。その人、今留守だよ。さっき、中尉さんにも、店にいた人にも聞いたけど、二、三日帰って来ないって。」
エドは足を止めて肩を落とした。
「・・・くそ。八方ふさがりかよ・・・・・・。」
「別の所、探してみよ?あ、図書館なんてどう?」
は励ますようにエドの顔を覗き込んだ。
「・・そう・・・だな。」
エドがうなずくのを待って、は図書館へと方向転換する。エドも続く。

 図書館にて。二人は思い思いの場所を探す。エドは錬金術関係。は動物の本だ。
「エドー。居た?こっちはいなかったよ。動物好きって聞いたから、いると思ったんだけど・・・。」
はエドの居る本棚の方へと顔をのぞかせた。
「いや・・・。」
エドは首を横に振った。何気なく、エドの方の本棚を見ていたが声を上げた。
「あっ。この本、読みたかったんだー。」
が手にしたのは、『夫の浮気を防ぐ方法』だった。エドは驚きに目を見開く。
「わーっ!これじゃなくて・・・!」
は慌てて本を取り替えた。エドは息をつく。
「・・・何だよ。間違えたのか。」
「これ、これ!ずっと貸し出し中だったんだ。」
新たにが手にしたのは、『錬金術のすべて〜熟練編〜』だ。エドは本のタイトルを見て、「ああ、あれか」と思い当たった。
「じゃ、オレ今度、こっち探すから。あっち頼むな。」
「うん。」
は奥へと、とてとて歩いていき、知っている人物に出会った。マリア=ロス少尉(以後、ロス)だ。
「あ、ロス少尉さんだー。こんにちはぁ。」
「あら。戻ってきてたの。」
「はいー。無事エドワードさんと会えて、今、同行させてもらってます。」
そのまま、はロスとしばし話し、ペコッと頭を下げると、エドの方へと戻ってきた。
「エドー。耳寄り情報GETしたよ〜。」
その言葉にエドはぴくっと反応した。
「耳寄り情報〜??」
はエドのそばに来ると、一泊おいてから話しだした。
「あのねっ。十日前に路地裏で猫数匹を戯れてる鎧が目撃されてるんだって。ね、アルっぽくない?一週間前はワンニャンフェスティバルに参加する鎧。六日前は酒場で愚痴りながら聞き込みをする鎧。四日目は書店をはしごする鎧。二日目は知れ部周辺を闊歩する鎧。こんなに目撃されてるんだよ。全部アルかな?」
エドはの言葉を復唱した。
「・・・猫と戯れる・・ワンニャンフェスティバル・・・愚痴る。聞き込み・・・・・・書店をはしご・・・司令部周辺を闊歩・・。おそらく、全部アルで間違いないな。」
そこでエドはうーんとうなった。
「いかにも怪しいけど、別に害はないからって、大佐さんの所には届けてなったんだって。」
「ふーん・・・。ん?」
エドは窓の外を見て、眉をひそめた。司令部の方で、天に向かって火柱が伸びていた。
「何だ、あれ?」
「ああ、あれ。中尉さんに手袋返してもらったみたいだね。昔からそーだよ。あたしを育て始めたときから、育児ストレスたまると、あーやって解消するの。大佐さんの炎の柱なんだ。」
はこともなげに答えた。
「何だ。大佐のかよ・・・・・・。」
エドは大きく息をついた。

「しっかし・・。今は、アルの奴、どこにいるんだか。」
「・・・そーいえばさあ。もう一つだけ、とっておきの情報があるの。」
「とっておき?」
エドはを見つめた。
「うん。昨日から旅行に来てる夫婦が、アルのこと知ってるみたい。名前は・・・えーっと・・・・・・。カーティスさん?」
は考えるような仕草をする。エドの顔がざあっと青くなる
「カ、カ、カ、カーティス・・・って・・。もしかして、その人、イズミ=カーティスって名前じゃ・・?」
「あー、うん。そうそう。そんな名前。あ、イズミってエドとアルの師匠と同じだねー。知り合い?イズミつながりかな?」
はイズミの苗字を知らなかった。
「あ、あれ?」
はエドの顔を見て気付いた。
「あー・・。もしかして、イズミ師匠本人?どーしよーかー?聞きに行く?」
エドはガタガタブルブル震えている。
「い、今、会ったら、こ、こ、ここここ殺される・・・ッ・・!」
は驚く。
「こ、殺されるって事は・・・ないでしょ?」
は知らないから、そんな風に言えるんだ!」
エドはに詰め寄って、そう言った。その時だ。
「何を騒いでいるんですかあ?」
十冊ほどの本を抱えたシェスカだった。
「あ・・・。図書館の、シェスカ・・?何で、こっちに?」
「はい。ヒューズ中佐のお使いで、三日前、こっちに来たんです。」
シェスカは本の虫とまで言われた本好きだ。一度読んだ本の文は忘れないとかで、今は、ヒューズのもとで、こき使われている。

                          第十四話に続く






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