鋼の錬金術師パロディ劇場・アルフォンス捜索隊珍道日記 第十四話「古えの教会」







 エドがあまりにもイズミを怖がるので、そっちはやめにして、ダメもとでシェスカにアルの事を聞いてみた。すると、意外にも手がかりがあった。
「大きな鎧姿の弟さんですか?それなら会いましたよ。この町の外れにある、廃教会へ行くって言ってましたけど。」
二人はシェスカにお礼を言って、図書館を出ると、街の外れへと向かった。途中でが首をかしげた。
「でも、この町の外れに教会なんてあったかなぁ?この町はあたしの庭みたいなものだったから、知らないはずないんだけど・・・。酒場の裏の落書きとか、角のパン屋の名物とか、鍛冶屋の十六連打とか。」
「庭・・?スゴイな、は。」
決して広くはないが、この町を知り尽くしているに、エドは感心した。は少し照れて、ほんのり頬を赤らめた。
「よ、よく、おとーさん達が散歩に連れてってくれたし・・・。」
「酒場の裏の落書きって、どんなだ?」
エドは何の気なしに聞いてみた。
「うーんとねー。『うえ〜ん。好きだったのに、ドコに行っちゃったんだよ〜。』だったかな?」
「・・・何だよ、そりゃ。」
「わかん・・・ないよぉ。」
エドの問いにが答えられようはずもない。が書いたわけじゃないからだ。
「ついでに言うと、角のパン屋の名物は、アニマルパン。恐竜とか、怪獣の形してるの。鍛冶屋さんの十六連打はやりすぎて、変な形の失敗した剣とかがいっぱいあるの。」
は淡々と暴露する。
「アニマルパンはともかく、十六連打ってなんの役に立つんだっつーか・・・・・・。失敗作ふやして、どーすんだよ・・・。」
エドは呆れた。その時、二人は町の外れの近くまで来ていた。
「あ。あれか・・?」
エドがやや遠くに見える古い建物を指差した。
「あー?うん。らしいね。」
が目を凝らした。確かに古い教会だ。
「とにかく、行ってみよ。」
「ああ。」
二人は古い教会へと向かった。

 「ふわあぁぁ・・・。」
間近で教会を見て、が欠伸のような驚きの声を上げた。の何となく間延びしたような、のん気な物言いに、エドは慣れてしまっていた。
「今時、こんな教会、ねーよな・・。」
その教会はレトロな造りをしていた。扉の周りには蔦が壁を這っており、いかにもな感じだ。
「と、とにかく、入ってみよーぜ。」
言って、エドは扉を開けた。
ギギイィィ・・・
扉はイヤな音を立てて開いた。は足元にしゃがみこみ、床を眺めた。埃がたまっている。
「・・・足跡がない。生活のにおいもない。何年も無人だったよ、ココ。」
「・・じゃあ、アルはここには来てないって言うのか?でも、シェスカの話だと、確かに、ここに行くって言ってたって聞いたぜ。」
はエドに困ったような顔を向けた。
「そんな事、言っても、ホントに人がいた形跡が全くないの。」
「アル・・・。どこ行ったんだ?」
エドは足元を見回して、足元で目を止めた。何か白いものが落ちている。エドはそれをつまみ上げた。
「なぁに、それ?」
はエドの手をのぞきこむ。
「チョークだ。アルのだ、これ。確かにアルはここに来たんだ。」
「チョーク?」
は首をかしげた。
「知らないのか?アルはいつもこれで練成陣をかいてたんだぜ。」
「へえぇ。・・・あ?」
はチョークを見つめた後、視線をさまよわせ、何かを見つけた。は教会の中へ入っていった。
「おっおい!?」
エドは慌てて後を追った。

             第十五話に続く






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