鋼の錬金術師パロディ劇場・アルフォンス捜索隊珍道日記 第十五話「トリに願いを」






 は一本の柱に見入っていた。
「どうした?」
「・・・文字が刻まれてるの。『ネコの刻にトリに願えば、その願い、叶う』。」
その時だ。
ボーン・・・ボーン・・・ボーン・・・
時計が鳴り出した。が時計を見て、ハッとする。
「十時・・。あっ!ネコの刻って十時の事だ。トリ!トリは!?」
「何を願うんだよ?もしかして、オレの身長・・・。」
はエドを振り返った。
「無事、アルに会えるように!」
は心からアルとの合流を願っているのだ。エドは半分だけ嬉しかった。
「いた!」
はいくつかある神像の中の一つの腕に止まっている鳥を見つけた。と、言っても生きてる鳥じゃない。鳥の像だ。は鳥へと走り出す。エドも小走りで追う。
「よっ・・・と。」
は背伸びして、神像の腕の上のトリに手を伸ばす。わずかあと、5センチくらいだ。
「・・・・・・とどかん・・・。」
エドは苦笑する。多分、いつもは、アルがこういう自分を見ているのだろう、と。
「エド。届く?」
今度はエドが手を伸ばした。あと2センチ。
「・・・・・・とどかん・・・。(怒)」
二人はその場にペタンと座り込んだ。
「困ったね。どー・・しよー。」
「どーしよーもねーよ・・・。」
はうつむいた。
「せっかく、アルに会えると思ったのに。」
その時だ。二人の座っている床がミシリと音を立てた。そして、あっという間に亀裂が走り、床は砕けてしまった。その下は空洞だったらしく、ぽっかりと穴が開いた。
「げっ!」
「・・あ・・・っ!」
二人は穴へと落ちてしまった。
「うわああぁぁぁーっ!」
エドは声を上げた。しかし、は慌てず騒がずくるっと体を丸め、くるくると回転し、穴の底に着地した。エドもイズミの修行の賜物だろうか。何とか体勢を整え、上手く着地した。
「スゴイんだな、は。あんな高い所から落ちたのに。」
エドは上を見上げた。はるか上に穴が見える。
「体術やってたからね。力はなくても、身軽で、スピードと型は出来てるし。」
は大きく胸をそらした。半分は自慢してるらしい。エドは何か楽しそうにそれを見て笑い、立ち上がった。
「登るのはムリそうだし、他の所探すか。」
「うん。」
は大きくうなずいた。そして、二人は、地下を改めて見回した。そこはかなり広い空間だった。

                          第十六話に続く






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