鋼の錬金術師パロディ劇場・アルフォンス捜索隊珍道日記 第十六話「束の間の休息」






 とりあえず、二人は奥だと思われる方へと、薄暗い空間を歩いていった。ガランとしていて、何もないが、進めば進むほど、地下へと入って行ってるような坂になっていた。
「上への道はねーのか?」
「そうみたいだね・・・。」
二人の声がやけに響く。は少し恐怖した。すると、それを察したエドがの右手をとった。
「オレがここにいるから。」
「うん♪」
に笑顔が戻る。二人連れ立って歩きつつ、周りを見回す。やがて、前方に灯火が見えてきた。近くには扉もある。
「出口?」
「かもな。」
二人はうなずき合って扉を開けた。そのとたん、視界が開けた。二人の目は点になった。
「へ?」
「ほへ?」
目の前に広がっていたのは、自然界。のどかな森の日だまり。そういった感じだ。
「ここって地下だよな?」
「だと思う。」
「これは何だ?」
「自然界。外の風景。」
新緑の木々。さらさら流れる清き小川。果実を実らせている木もある。花は咲き、蝶は舞い、小鳥は唄う。
「ここって、森の中の休息地みたいだね。」
バン!
大きな音に二人が振り向くと、扉が勝手に閉まり、かき消えた。
「消えちゃったぁ。」
「ま、いざとなったら、作ればいいし。」
「・・・大佐さんから聞いた通りだ。扉がなければ、作るまで!って。」
エドは少し複雑な表情をした。ロイに本質を見抜かれたようで、恥ずかしさ半分、悔しさ半分という所なのだ。は瞳をキラキラさせた。
「よ〜し!探検だー!」
「・・・・・・。」
エドは口元に笑みを浮かべ、「やれやれ」というように頭をかいた。
「エド〜。見て見て!これおいしそー。一緒に食べよ!」
は果実のなっている木の枝に据わって、両手いっぱいに果実を抱えていた。
「お、おい!危ないぞ。」
はぽーんっと果実をエドに向かって放る。
「わっ。・・おっ・・・とと。」
エドは慌てて受け止めた。
「あははっ。ナイスキャッチ!」
は果実を抱えたまま、ピョンと飛び降りた。
「あっ。おい、そこは・・・・・・。」
パシャン・・・
は小川へとダイブしてしまっていた。ずぶぬれだ。
「・・・あはっ。ミスっちゃった。」
はニパッと笑う。エドもの天然に、いよいよ慣れ始めていたが、彼女のそんな所が正直羨ましくもあった。
「ほら、上がって来い。服が乾くまで、ここで休憩だ。」
エドは手を差し出した。は迷わず、エドの手を借りて、小川から上がった。
「ありがと。エドは優しいね。」
そして、二人は、日だまりに陣取り、果実をかじって、一時の休息をとった。お昼近くで、おなかもすいてきていた二人はあっという間にいくつもの果実を平らげた。もちろん良はエドの方が圧倒的に多い。
「ふはー。食った食った。」
エドは久しぶりに満足感に浸っていた。がエドを見つめる。
「また、アル探し、頑張れそう?」
「ああ!」
エドは笑顔でうなずいた。も笑顔になる。

                           第十七話に続く






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