鋼の錬金術師パロディ劇場・アルフォンス捜索隊珍道日記 第十七話「戦闘」






 と、二人の笑顔がスッと消え、目つきが鋭く、人よりは鷹に近いといえそうなものへと変わる。二人は小さくうなずきあい、立ち上がって、背中合わせになる。いつも、エドとアルがそうしているように。
「!」
二人の視線が走ったその先に、木々をなぎ倒し、合成獣が現れた。どうやら人は混じってないらしく、いくつかの獣が混ざった姿をしている。
「なんて事・・。あんな姿にされて。」
が悲痛な面持ちでつぶやく。
「一、二、三・・・。十二匹。何とかなるか。」
エドはつぶやくと、いつものように、胸の前で手をパン!と合わせ、機械鎧の右手の甲の部分を刃へと変えた。は銃を構えた。その仕草はリザにとてもよく似ていた。
「ホントに中尉仕込みなんだな・・。」
つぶやいて、エドは身構えた。合成獣が動く。エドが動くよりも早く、が動いた。
バンバンバン
は連射した。どれも一撃でしとめたらしく、三匹がばったりと倒れた。エドがリザ仕込みのその腕前に感心しつつ、右腕を振るって、合成獣を倒していく。
「エド!」
「何だよっ!」
「反対側からも来たよ!」
エドはの示した方へチラリと目を向ける。確かに、十匹ほど姿を見せている。
「しょうがない。見様見真似だけど、ちょっとだけ、本気でやる!」
「はあっ!?」
合成獣と組み合ったまま、エドは声を上げた。
「全てを拒絶する石の盾!」
は言うなり、手近の大石に飛びつき、自分に丁度いい大きさと重さの盾を練成した。エドが八匹目を切り伏せ、チラリと視線を送ると、は石の盾で攻撃と防御を同時にやってのけていた。アームストロングが両腕で攻撃を受け、それをそのまま押し返すという動作に似ている。
「少佐かよ・・・。」
エドは九匹目を切り裂き、つぶやく。は続く動作で、五匹ほど倒した。エドが残り三匹を切り伏せ、振り返ると、は盾をナイフのようなものに再錬成していた。後二匹だ。
「ていっ!」
は掛け声とともに投げた。それは合成獣に深々と突き刺さり、合成獣は全滅した。エドが駆け寄る。はエヘッと笑ってみせた。
「少佐さんとヒューズさんの真似、初めてしてみたんだけど、どうだった?」
「いや・・・・・・なんつーか。・・そっくり。」
エドは、感心と驚きの入り混じった表情をしていた。
「エドもカッコよかったよ。あの戦いっぷり。ホレボレしちゃうよー。」
「あー・・・。そ、そうか?オレにしちゃ、いつもの事だし。の方がすげーんじゃね?」
「そんな事ないよー。さすがエド!あたしはただの真似だもん。」
「・・ははっ。」
エドは少しテレつつ笑った。ここまで、ストレートに想いをぶつけてくる少女は、エドにとって新鮮だった。

                          第十八話に続く






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