鋼の錬金術師パロディ劇場・アルフォンス捜索隊珍道日記 第十八話「風に誘われて・・・」






 息が上がっていた二人は、もう少し休憩することにして、小川のそばに並んで腰を下ろした。
「よく見たら、太陽の光じゃない。日だまりみたくなってるトコあるけど、これ石とか苔が光ってるんだ。」
はぐるりと上を見回す。
「採光石っていったかな。その石に囲まれているなら、こういう空間を作るのも出来るかもしれない。」
「よく、知ってるな。その石とか。まぁ、錬金術師ならそれくらいの知識はあるか。オレも、炭鉱の視察とかいったし。」
そのとき、さぁっとどこからか風が吹いて、エドの金髪との黒髪が揺れた。
「風?どこかにつながってるのかな?」
「どっちだ?一体どこから。」
二人は立ち上がって、辺りを見回す。そのうち、がハッとしたように上を見上げ、すぐさま下を見た。
「上で風が渦巻いて、壁・・。下だ!下から風が吹いてる!」
「下!?」
エドも足元を見る。は歩き出す。そして、ある所で足を止めた。
「こっちこっち。ほら、ここの真下。」
エドもそこへ行ってみる。すると、足元は通風口のようになっており、風の音がする。そして、時折強い風が吹き、二人の髪を上へと吹き上げる。そこはそんなに広くないが、二人はお互いをちろっと見て、苦悩した。しかし、こうしていても始まらない。二人は思考を切り替え、そこへ入ることにした。自分達が小さくて良かったとは、とても口に出来ない。あまり深く考えないに、エドのコンプレックスがコピーされつつあった。
「あたし、すごいかっこしてる・・・。ズボンでよかった。」
その中は途中から、上へと伸びており、両手両足を突っ張って登らなければならなかった。おまけに薄暗い。
「ホント、スカートじゃなくて良かった・・。」
のつぶやきにエドはすぐ応えた。
「スカートでも、光源そっちだろ。見えねーよ。」
「それでも、ヤ!・・なの!」
「ヘイヘイ。」
エドは息をついた。も女の子である。人並みの恥じらいくらいはあるのだ。やがて、の頭がポコッとどこかの穴から出た。辺りをうかがい、安全を確かめてから出る。二人がたどり着いたのは、草原だった。
「・・・あそこにあの教会が見えるな。」
「・・うん。」
エドの示した方に、あの廃教会があった。

             第十九話に続く






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