鋼の錬金術師パロディ劇場・アルフォンス捜索隊珍道日記 第十九話「正しい火の起こし方」






 「どうする?戻る?トリに願うには遅すぎだけど・・。」
が太陽の位置を確かめて言う。は雲が出てきたな、と思った。
「ネコの刻はとうに過ぎてるもんな・・・。」
二人はまた手がかりを失った。そのとき、雨が降ってきた。
ザアアァァーッ
あっという間にどしゃ降りだ。
「うわー。ついてねーな・・・・・・。」
「教会に戻る?」
「いや、また落ちても困るし・・・。」
エドは周りを見回し―――。
「お。あっちに小屋がある。今、屋根が見えた。」
二人はそちらへ走り出す。
「うひゃぁ。ずぶぬれ〜。雲が増えてきているとは思ってたけど。」
小屋はどうやらきこり小屋のようだった。小さいが暖炉もあった。エドはコートを脱いで、備え付けのハンガーにかけた。はこれといって上着はない。エドは暖炉の中の灰掻き出し用の棒で灰をざくざくやって探ってみるが、中にまきは残ってない。すると、がごろんと丸太を転がした。小屋の隅にあったらしい。
「わ、わわっ。エド、ごめーん。あっ。また・・・わああっ。」
丸太はごろごろ転がっていく。エドめがけて。
「わああぁぁぁっ!」
エドはとっさに丸太を薪へと練成した。とりあえず、薪は出来た。
「わー。エドすごーい。」
思わず、何となくはパチパチと拍手している。
「お前なー・・・。」
エドは息をついて、薪をくべた。
「えっと、火は・・。」
そばには何もない。
「まいったな。」
エドが頭をかくと、が荷から手袋を出した。ロイの所から持ってきたものだ。
「じゃあ、コレ使おうよ。奥に入れてたからぬれてないし。」
「・・・って、使えるのか?」
「何、言ってんの?あたし、錬金術は大佐さんと少佐さんに習ったんだよ。小さい火くらいなら、起こせるって!」
はウインクすると、手袋をはめて、指をパチン!とならす。小さな火花が散り、暖炉に火が灯された。
「ねっ♪」
、天才・・。」
今度はエドが拍手した。はキョトンとする。
「天才はエドでしょ?天才錬金術師殿。」
「いや・・・そーゆー意味じゃねーし・・・・・・。」
エドはつぶやいて、薪を暖炉に足した。

                          第二十話に続く






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