鋼の錬金術師パロディ劇場・アルフォンス捜索隊珍道日記 第二十二話「女神に見守られし街」






 アルが拠点にしているらしい街は、山間にあった。それでも、ふもとをぐるっと回って、街へ直通のトンネルがあったので、わざわざ山登りする必要はなかった。
「この分なら、昼過ぎには着きそうだな。」
「うーみゅ。そう?まあ、エドがそう言うなら、そうなんだろうけど。」
エドの方から話を振る事も多くなりつつある事が、は嬉しかった。感情がストレートな分、突進してしまう事もあるが、エドが一緒だと、上手くブレーキがかかって丁度よくもなっていた。
「このトンネルも採光石を使ってるのね。」
「あー・・。そうだな。」
トンネルの中には、街灯のように所々に採光石が天井や壁に埋め込まれ、ほのかな光を放ち、トンネル内を照らしていた。やがて出口が見えてきた。
「あ、そろそろみたいだぜ。」
「うん。」
二人の足が自然と速くなる。そして、抜きっこするように歩き、しまいに二人は走り出していた。気持ちがはやると、よくこうなるものだ。
「・・おい。何で走ってんだ?オレ達・・・。」
「さあ・・・?」
エドの問いには苦笑しつつ首をかしげた。そんなことを話しつつも、やがて二人は全速力で走っていた。そんな二人が足を止めたのは出口だった。
「これ・・・女神像だ。」
出口の脇にデーンと巨大な像が立っていた。その眼下には、山間の街が広がっている。
「女神に見守られ・・・・・・エド?」
はエドの何かイヤそうな表情に気付く。
「・・イヤな事、思い出しちまった。」
「リオール?」
このときのは何だか冴えていた。女神像の大きさは、あのリオールにあった神像と同じくらいで、いやに彷彿とさせるのであった。
「まさか、ド三流の教主がいたりしねーだろーな・・・。」
「か、考えすぎだよぉ・・・?」
「何で疑問形なんだよ!」
二人は改めて、街を見下ろした。そこで、エドがつぶやいた。
「・・・何か、変じゃねーか?」

                        第二十三話に続く






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