鋼の錬金術師パロディ劇場・アルフォンス捜索隊珍道日記 第二十九話「フォルティの別了(ビエラ)」







 孤児院は元々、シスターと子供達だけ居た所なので、その他四人で、そこを後にした。アルは子供達に好かれるだけの時間があったらしく、子供たちは別れを惜しんでいた。山はすぐ近くだった。草を掻き分けて進むと、小さな祠があった。中をのぞきこむと、すぐに大岩に道が塞がれていた。
「これは・・・。」
フォルティがつぶやいて石に触れた。そして、すぐに手を離す。
「お前達は入り口まで戻れ。この先は、私一人で行く。」
「プログラムか?エンヴィーの言っていた。」
「いや。この先には私しか入れない。私が一人で行くべき所なんだ。」
エドは言った。
「なら、『賢者の石』が手に入ったら、見せてほしい。」
「ああ。わかった。」
フォルティは振り返りもせずにうなずいた。エドとアルとが入り口の外に出ると、フォルティは石に右手を当てた。そして、振り向く。
「すまない。『賢者の石』・・・見せられそうにない。二度と会う事すらできない。黙っていて悪かった。私は霊魂。たった今、思い出した。」
「えっ!?」
が声を上げる。あるが口を開く。
「フォルティ!君は、国民はどこに・・。」
「とっくの昔にこの向こうでなくなった。国も、『賢者の石』も。すぐに離れろ。ここはすぐに崩れる。私は皆の所へ行く。」
「フォルティ!」
エドも叫ぶように声を上げる。
「最後にお前達に会えてよかった。人を信用することを思い出した。ありがとう。そして・・・・・・別了。」
フォルティは涙を浮かべ、微笑んだ。そして、すぐに地響きがして、祠が崩れた。
「フォルティーッ!」
三人の声がハモりつつ、響いた。

                        第三十話に続く






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