鋼の錬金術師パロディ劇場・アルフォンス捜索隊珍道日記 第六話「一人じゃない」








 「そう・・・だな。まぁ・・・一旦東部に戻って、情報集めるのと・・・・・・。アル探し・・かな。と会う前にアルとはぐれちゃってさ。」
エドは苦笑して、頬をかいた。
「・・・って、大変じゃない!落ち着いてる場合じゃないわ。アルフォンス君に何かあったらどうするつもり?!たった二人の兄弟じゃない!あたしも一緒に探すから。ああ〜。風の声を聞くだけで心配が募るわ。素直ないいこみたいだから、誰か悪い人に騙されたりしてなきゃいいけど・・・。」
は、自分の勝手な想像でオロオロした。エドは慌てる素振りは見せなかった。
「あぁ・・・まぁ、大変だけど。アルなら大丈夫だろ。そんなにやわな奴じゃないし・・・・・・ケンカはオレより強いし・・・・・・。アイツが悪い奴に騙されるほど落ちぶれちゃいねーよ。」
エドは苦笑したが、の様子を見て、さすがに心配になったのか、そわそわし始めた。
「アルフォンスくーん!どこにいるの〜?ああっ。何か事件に巻き込まれたとか。」
は泣き出しそうだ。
「エドってば、苦笑してるヒマがあったら探すよ!」
暴走寸前にまでなる。エドはツッコんだ。
「あ、あぁ。わかったから、暴走はするなよ?」
は我に返った。
「あ、ごめん。急に取り乱したりして。」
「いや、まぁ・・・誰でも取り乱す事はあるけどさ。」
エドはつぶやく。はふいに悲しそうに目を伏せた。
「・・時々、見たのよ。大佐さん達がいなくなっちゃう夢。どんどんあたしの周りから消えてって・・・。だから、誰かがいなくなると、もぉ、心配で心配で。大丈夫って信じていても、一人は怖いから。もう、一人になるのは嫌だから。」
だんだん涙声になるの頭に、ポンと軽くエドは手を乗せた。
「大佐達はいなくならねーよ。オレだって・・・・・・大佐や中尉とか少尉とか中佐とか少佐とか・・・いなくなるのは嫌だぜ?今は一人じゃねーだろ?オレが居るじゃん。」
エドは瞳を細めて優しい声で続けた。
「オレも・・・子供の頃は・・・・・・母さんがいなくなるの嫌だったなー・・・。だから、あんな事もしたわけだし。」
はエドの言葉が嬉しくて、明るい笑顔を取り戻した。
「こんなんじゃダメだよねっ。うん。大丈夫だよね。あたしが大丈夫って思うから大丈夫だってことあったし。そうだよね、アルフォンス君に限らず、そんな事あるわけないよね。さ!探そ。」
エドはその笑顔に安心した。
「そうそう。大丈夫って思えば大丈夫なんだよ!おっし。じゃあ、探すかっ。」
エドはトランクを持って、うーんと身体をのばした。
「そうだね・・。一人じゃないよね。こうして目の前にエドがいるもんね。」
「ああ!一人じゃない。そうそう。オレが居る居る。」
ニッコリ笑ったエドの左手をは両手できゅっと握って、自分の左胸にあてた。エドの鼓動がドキンと高くなった。
「同じように同じ時を、鼓動を感じるもんね。さっきから、額つつかれたり、頭に手を乗せられたり、すごく嬉しかったんだ。」
「・・・あんな事が嬉しかったのか?」
「思ってた通りの人で。キミがエドで。本当に会えてよかった。」
そこではエドの手をはなした。そして、ニッコリ笑う。
「さぁ、これからやれる事はいくらでもあるわ!まずは、アルフォンス君、探さなくちゃね。」
エドはキョトンとしたが、それは一瞬だった。
「あぁ。オレもと会えてよかったかもな。こうして、旅しながら楽しくバカやれるし、な。」
エドはクスッと笑い、の両ほっぺたをつまんだ。は直接ほっぺにさわられて、ドキドキした。
「ああ!ったく、アルの奴・・・いったいどこでほっつき歩いてるんだか・・・。」

                       続く






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