タスケ、テ……

それは前に、どこかで聞いたフレーズ─────……












S.V 第三十二話












ザ───ザザッ


『殺すのって────』


ザザザ───…

ガガッ

ピ────……ガガッ


『楽し─────』


ガガッ…

ザ──────


「あ?何か言ったか?」


聞こえた声に反応したのは、アクマの破壊が一時終わった神田。
しかし、通信から聞こえてくるのは返事ではなかった。


ガガッ…ザ……ザザッ


『やめっ─────』


ガガッ

ピ─────…ザザッ


「………?」


そこで何故、の声だと思ったのか。
それは神田にも理解不能だった。

ただ、本能がそう知らせているようでならなかった。


『デイ────リ─────』


ザザザ─────…ガガッ


『離──────』


『無理─────…ってる─────』


ガガガガッ

ピ──────…ジジジ…


聞こえてくる言葉は途切れ途切れ。
けれど、緊迫していたのはすぐに分かった。


「…返事しろ、 どうしたっ?」


しかし、その声に返答はない。


『─────…吸────』


ガガガガガガガガッ

ピ─────

ザ────────────


!!!!」


そこで通信は途切れたのだった。












暗い暗い──────────…闇。
落ちる落ちる──────────…底。


「さ……行くぞ」


その言葉に、の身体はの意思に関係なく歩んでいく。
の中にあるのは、嘆きだけ。
悲しいと泣き叫ぶ、嘆きだけ。


「あたしに指図しないでもらえるぅ?言われなくても着いてってるんだからさぁ」


の身体かららしからぬ声が聞こえる。
その言葉にノアと呼ばれた青年は苦笑を浮かべるだけだった。

青年の名は、ティキ・ミック。













パタパタ


「デイシャのゴーレムだ」


「…… …………」


マリの言葉に神田は何も言えずに居た。


やめっ─────


デイ────リ─────


思い出されるのは、途切れ途切れに聞こえた声。



やめて……そう言っていたのか?
デイシャ……あいつの名を呼んでいたのか……?



思い返せば、浮かぶ言葉。
目の前に逆さに吊るされたデイシャを見れば見るほど、鮮明に言葉が思い出される。
鮮明に、言葉が浮かぶ。


離──────


「───…離して」


「神田?」


思い出し、口に出す言葉にマリは首を傾げた。
しかし、今の神田には聞こえていなかった。


─────…吸────



吸??
吸………っ!!!



「まさか、あいつっ!!!」


思い当たるのは、ただ一つ。
神田には、それがたぶん正解だと分かっていた。



技を……使ったのか………っ



悔しさが込みあがる。
それと同時に、思い出されるもう一つの声。

それは。


無理─────…ってる─────


「デイシャの……声じゃ………ねェ」


ポツリ

神田の声が漏れた。
助けを求めるの声。
デイシャを離してと訴えるの声。

しかし、あの通信でデイシャの声が聞こえなかった事から、すでにデイシャはこと切れていた可能性が高かった。

それでも、は必死に助けを、救いを求めていた。
自分を地に追いつめてでも、デイシャを助けようと─────













「よく来てくれましタ
 まさかこんなに早くアクマになるとは我輩、思いませんでしタ」


ニマニマと笑う姿は、なんとも不気味。
耳はとがり、口は大きく、それがノア率いる千年伯爵。
通称、千年公だった。


「それもこれも………」


大きな口がつりあがった。
目の前に控える、千年伯爵に絶対服従のアクマを見つめ。


のお陰ですネェ」











To be continued......................




とうとうアクマになっちゃいました。(汗)
クライマーックス!になるといいな……いい、な…

てか、神田とのラブシーンがぁああぁぁぁぁぁ!(涙)






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