邪魔だった奴はもういない

あたしは自由!
本能のままに……突き進めるッ!!!

アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!










S.V 第三十四話









「邪魔なが消えてさぁ……あたし、凄い自由なんだ
 そう、本能のままに殺戮が出来るってワケェ!アッハハハハハハハ!」


楽しそうにケタケタと笑うアクマ。
そして、その笑い声が突如ピタリと止まった。


「だから……エクソシスト達、あたしの邪魔しないでくれないっ!?」


いかつい手が、エクソシスト達に向けられた。
開かれた手の平の前に、黒い丸いものが浮かび上がった。

吸い込む力。

それは、かつてが使用していた真空と酷似した力。


「しまっ───────!」


ラビがそう声を上げた瞬間、黒い球体は勢いよく『何か』を吸い込み始めた。
人の目には何も見えない。

ただ、強い風が黒い球体へと引っ張るだけ。
そして、ヨロリとその場に次々と人間たちが倒れていくだけ。


「いただきまぁ─────す」


楽しげにそう呟くと、次々と早く倒れていった人間たちから身体が砂と化していった。
それは、アクマの銃弾を身体に受けた時と同じ症状。



やっぱり……アイツはアクマなんさ



ギリ…

奥歯を噛みしめ、目の前で繰り広げられる惨劇に漸く認めたラビ。


「大槌小槌 満満満!」


ビュンッ

振り切られた槌はアクマの身体を直撃した。
そこに居る誰もが、勝ったと思った。


「ひっどいねぇ〜
 元仲間なのに、平気で破壊しようとするなんてさぁ あっはははははは!」


「なっ!?」


頑丈、そういうわけではなかった。
徐々に見え始める槌の先には、黒い空間が存在していた。

先ほど、何かを吸い込んでいた空間が。


「それじゃ…ここに居る、エクソシスト以外の人間の命……貰っちゃおうかなぁ〜
 アッハハハハハハハハハ!いっただっきまぁ──────っす」


楽しげな声が上がった瞬間、先ほどと同じ現象がまわりで起きた。
倒れ、砂と化す協力者(サポーター)の皆。

ミランダの技があっても、砂と化した者達は元には戻らなかった。
身体そのものが、この世から消失してしまったのだから。


「ククッ クククククッ!やっぱり殺戮は楽しいもんだねぇ!!」


っ」


アクマの声に、名前を振り絞るように呼んだのはアレンだった。

ギリッ

奥歯を噛みしめて、目の前のだったアクマを睨みつける。


「そんなにが大切だったァ?」


クスクスと笑みが零れる。


は僕達の仲間です!大切なのは当然でしょう!?」


「ヒッヒヒヒヒヒヒ!ヒャハハハハ!予想以上の反応だねぇ!」


アレンの反応に、アクマは高らかに笑い声を上げた。
大切だと認めるのはあり得るとは思ったが、ここまで過剰に反応するとは思っていなかった。


「じゃぁ、そんなあんた等に面白い事教えてあげるよ
 衝撃的な…だけど、きっと嬉しいだろう事実をねェ〜」


ククッと喉を鳴らす様に笑うアクマ。
その言葉にアレンとラビは顔を見合わせ、アクマを睨みつけた。


「その事実とやらを聞かせてもらおうか」


ジッとアクマの出方を伺いながら、ブックマンが口を割った。
その言葉に、アクマはニィっと笑みを浮かべた。


「今のこの身体…あたしだからこういう姿してるけどぉ……」


異様な雰囲気。
いかつく感じる出で立ち。


「この身体は、のものなんだよ?ダークマターじゃない
 このいかつい姿はねぇ、体内にあるダークマターが身体を強固にしてくれてる証拠なんだよぉ」


アクマの言葉に、アレンもラビもクロウリーもブックマンも、同時に似たような驚きの表情を浮かべた。
身体は同じ、けれど体内のダークマターが作用しているからアクマに見える。


「………の」


「身体のままさ?」


アレンの言葉に続き、ラビがそう言葉を漏らした。


「そ そんなあたしを──────」


ニマリ

嫌らしい笑みが、零れ落ちる。


「────あんた等はぁ…破壊出来るのかなぁ?」


クスクスと微笑んだ。


「破壊?そんなの、を…の身体を殺すのと同じじゃないですか!」


はもう死んでいる。
魂はすでに、アクマによって消されている。
だからこそ、アレンの言う言葉は正しいものだった。


「あれぇ?怒鳴られるとは思わなかったよぉ?
 あたしはてっきり……喜ばれると思ったんだけどぉ?」


クスクス

口元を盛大に歪め、アクマは怒鳴るアレンを見つめた。


「だって、アクマのあたしを破壊…ううん、殺せば……の身体は戻ってくるんだよぉ?」


皮をかぶっているわけではない目の前のアクマ。
アクマさえ倒せれば、身体だけは。


「それともぉ…の身体で殺戮を繰り返してほしい?
 結局さぁ……はすでに死んじゃってるんだよぉ アッハハハハハハ!キャハハハ!ヒャハハハッハハハ!」


死んでいる、という言葉にその場にいたエクソシスト全員が息をのんだ。


「それじゃ…手始めに、を大切な仲間だって言ってた……アレンから屠ってあげるよ」


ゆっくりとアレンに手を翳すアクマ。
黒い空間を、思い浮かべ息を呑みつつも対アクマ武器を構えるアレン。
その様子に、ビクリとアクマの身体が一瞬痙攣したかのように揺れた。


「チッ」


そして、次の瞬間舌打ちが聞こえアクマは空高く飛び始めた。


「え?」


「ノア達から収集かかったんだよ 仕方ないなぁ……
 この戦いは………また今度 それまでに覚悟を決めておくんだね!アッハハハハハ!」


高らかにそう笑いながら、アクマは空高く姿を消した。
今回ばかりは命を助けられたことに、アレンは大きく息を吐き、その場にしゃがみ込んだ。


が……死んで、た 中にいた…アクマがの身体のまま表に出てきてたなんて……」


空を静かに見上げた。
暗い暗い空が、修正されていく壊れた船に光を降り注ぐ。


「…僕達は、あのアクマと戦えるのでしょうか 殺せる…のでしょうか」


そのアレンの言葉に、誰ひとりとして返す言葉もなかった。
そんな空気の中、一つの助け舟の如く本部から通信が入った。


「みんな、聞こえるかい?至急教団本部に────────」













      














To be continued.........................




ちょっと違うアクマって感じで。
ヒロインの存在自体、異種的な感じだったのでアクマもそれでいいや!と。






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