「ラビ!」


「おー、 どうしたんさ〜?」


後ろから盛大にはラビに抱きついた。
そのにラビは満面の笑みを浮かべながら、視線を向ける。


「今日って暇?任務は?」


「今日は何もないさ、休みさ」


「ほんと!?それじゃ、ちょっと付き合って!!」


ラビの答えを聞くと、はラビの手を掴み引っ張り始めた。
いったいどこに向かうのか、全く見えないラビは首を傾げるだけ。


「ど、どこへ行くつもりなんさ?」


「外!町だよ、町!」


「だから、何で?」


そう問い掛け続けるものの、ラビは行くことを抵抗するそぶりは見せていなかった。


「ラビくらいなら、今日が何の日か分かってると思ってたんだけどなぁ……」


その言葉で、ラビはピンと来るものがあった。












ご褒美












「じゃ、気をつけて行ってくるんだよ〜」


コムイの見送りを受け、ラビとは教団の外へと向かった。
任務ではないにしろ、いつアクマが襲ってくるのか分からないのが今の現状。
だからこそ、二人はいつでも戦闘態勢に入れるようにはしていた。


「で、いったいどこに行くんさ?」


「ついてきてからのお楽しみ〜♪数日前からずーっと温存してきてたんだから」


繋いだ手は仲良しの証。
指と指を絡める繋ぎ方は、恋人の証。
腕を組めないのは、まだ二人が引っ付く勇気を持てないから。


「なんだか凄い気になるさー」


わくわくしながらも、ラビはの向かう先へと着いていった。
ドンドン町の中へと入っていく。
まるで、町のことをよく知っているかのように。


、結構道知ってるんさね」


「まあね ラビを連れて来るんだもん、下調べしてるに決まってるじゃん」


隣を歩くラビには満面の笑顔。
その笑顔に、ラビの心が射抜かれ『ストライク』と内心叫んでいたことには気付かない。


「あ、あったあった!」


そういい駆け出した
ラビは慌てての背中を追いかけると、一つの大きな店に出くわした。
普段、入ることのない豪華なお店。


「……?」


「ここだよ、ここ 入ろ入ろ」


ラビの手を引き中へと入ろうとする
戸惑いを隠せないラビだが、それでものお願いなら聞いてしまうのも惚れている弱み。


「いったいなんなんさー?」


そう問いかけつつも、先に扉を開けることを進められたラビはガチャリと重い扉を開けた。
中から美味しそうな匂いが漂ってくる。


「トリックオアトリート!いらっしゃいませ、お客様」


目の前にいたのは、ズラリと並んだ従業人。
豪華な店なのにも関わらず、今日はどこの席にも客の姿が見えない。


「……、どういう事さ?」


「あのね、今日って何の日?」


「──……ハロウィン?」


「正解!」


ラビの問い掛けに問い掛けで返した
一瞬間を空けるものの、ラビは即座に思いついた単語を口にした。
十月三十一日。
それはハロウィンだと記録していたから。


「で、それがどうしたんさ?」


「お店の人にお願いして、今日だけこれから二時間貸切にしてもらえたんだ!
 二人だけのハロウィンパーティー!ってね♪」


満面の笑顔で呟くの言葉に、ラビは言葉を失うように絶句した。
それは驚きからではなくて、嬉しさから。


「ラビ、トリックオアトリート♪」


、トリックオアトリート」


二人は同時にそう呟くと、ふっと笑みを浮かべた。
それと同時に目の前に運ばれてくるのは、たくさんの料理。


「お菓子じゃないけど、いっぱい食べてね♪」


こそ、たーんと食べるんだぜ」


そういうと、また視線を交わらせ微笑んだ。
任務はいつ入るか分からない。
任務が入れば、無事帰ってこられるか分からない。
だからこそ、今を精一杯生きている。
そんな激務をこなす互いへの──ご褒美だったのかもしれない。









................end




二時間ばっかし貸切って出来るのかは知りませんが、とりあえずそういう事で。
ちなみに、互いへのご褒美とか言ってるけど、実際贈り物をしたのは主人公の方。(笑)
でも、主人公にとってデートを承諾してもらえて出掛けられたことがラビからの贈り物だったのかもと思って。

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