儚き月見草 第四話








「…任務?」


昨日歓迎会をやってもらって、はしゃぎすぎたせいか眠くて疲れていた。
なのにリナリーに叩き起こされ、無理矢理コムイさんのとこに連れて行かれていた。
司令室とやらに来たはいいけど、すでに船を漕いでてギリギリだったり…(爆)


、ずいぶん酷い顔をしているな」


「ほっといて…、眠いんだよ〜……」


「だらしないな」


「あたしはと見た目は同年代だけど、実際は若くないんだよ……」


元々夜型でお酒がさめるのは早いけど、夜中までどんちゃん騒ぎして、お酒もいっぱい飲んで夜更かしすれば疲れるのは当たり前。



二日酔いはないけど、だるい感じがする……。



そんなあたしに対し、先に来ていたっぽいは溜息を吐いて言った。



仕方ないじゃん!!
10代と20代の壁は低いようで高いんだよ!!



っていくつなんさ?」


そんなことを思っていたら、の隣に当たり前のようにいたラビが興味津津と言った顔で聞いてきた。



あたしはあんまり気にしない方だけど、仮にも女に年を聞くなんて失礼じゃないか…?



「21だけど…?」


あたしがそう言うと物凄くオーバーに驚きやがった。


「分厚い本よ、ラビの頭に飛んでいけ!!!」


むかついたから力を使ってやり、そういうと本当に分厚い辞典のようなものが三連打でラビの頭に直撃した。
ラビは頭を押さえてうずくまっている。


「やめとけって……」


「ふんだ」


エクソシストになるフリをするだけだから、仲良くするつもりはない。



失礼な態度を取った方が悪いんだ。
が溜息吐こうが関係ないね。



「まぁまぁ、落ち着いて。本題に入ってもいいかな?」


実はずっとその様子を見ていたコムイさんが苦笑いしながら会話に入り、すぐ仕事モードに入り説明を始めた。


「まずリナリーとくん。ラビとくんに分かれて任務に行ってもらう。
 それが終わり次第リナリーは帰還し、くんとくんとラビで合流し、別の任務に行ってほしいんだ」


「ぇー、いきなりそんなハードなんですか?」


とりあえずエクソシストすることにしたけど、やっぱりできれば戦いたくないし連続なんて面倒すぎる。
あたしがあからさまに嫌な顔をしたからみんなそれに対して苦笑いをしていた。



…ほっとけよ。



「我儘言うなよ」


「エクソシストはとりあえずするけど、完全に納得したわけじゃないし」


「私もサポートするから」


「そういう問題じゃない」


リナリーが気を使ってくれたけど、正直だからなんだって感じだしありがたくもなんともない。
だからバッサリ切り捨てた。
周りがどんな視線で見ようと関係ない。


「申し訳ないと思う。けど、少しでも慣れてほしいし、君の力は強力だ。だから力を貸してほしいんだ」


「ここに属しはするけど慣れる気はない。
 命がかかってるっていうから任務には行くし、最低限のことはするよ。だけど、連続でやるほどの理由はないよ」


「ねぇ、任務が早く終わったら少し自由行動させてもらえない?」


「ぁあ、かまわないよ。ラビたちとの合流のタイミングもあるし、終わり次第調整しながら遊んでおいで」


「別にいいってば!!」


あたしの抵抗むなしくリー兄妹により例の如く勝手に話を進められ、強制連行されてしまった。
そして今は移動の汽車の中だったりする。



リナリーってあんまり好きじゃないし、居心地が悪すぎる…。



「で、任務って何をすればいいの?」


「AKUMAの出現が多い地域があって、探索隊だけじゃ手に負えないらしいの。あとイノセンスもあるかもしれない」


「ふーん。あたし冗談抜きでグロイものが苦手だから、戦うのも後ろでサポートする感じとかでいい?
 前線に立つとグロイもののオンパレードっぽいし」


「ぇえ、初めての任務だし無理しないで?」


そう言ってにっこり笑うリナリー。



てか、初めてのって初めてじゃなかったら無理しなきゃいけないのか?
なんか自分かなり捻くれてんな…。



そう言ってこっそり自嘲気味に笑う。


「ぁ、これラビ達との任務についての書類よ」


そう言ってリナリーに書類を渡された。
とりあえず目を通してみることにしたけど……


「ごめん、読めない。
 会話はなんでか通じるけど、文字は母国語と違うからわかんない」


これは本当。
イノセンスのおかげなのか、夢小説のお約束的展開なのかはわからないけど言葉の”音”は通じるけど、文字の方はさっぱりだった。
一応申し訳ないかなと思って苦笑いしていたら、読んでくれると言うのでリナリーに書類を渡した。


「えっと…。次の任務は調査らしいわ」


「それって探索隊の仕事なんじゃないの?」


「ぇえ。でもAKUMAが絡んでいたり、情報はあるのになかなか見つからない場合はエクソシストも駆り出されるの」


「へぇ〜」


戦いがないならいいかなと思い、読み上げてくれるリナリーの話を聞いておいた。
地名とか言われてもわかんなかったけど、まぁラビももいるしなんとかなるだろう。








「これって多いってレベルじゃなくない?!」


着いた途端にいきなりAKUMAに遭遇し、早速戦闘になったぐらいだ。
埒があかないのでイノセンスの力を使い、AKUMAにバレないようにし探索隊の元へと向かった。


「そうね…報告以上の数ね……」


「面倒臭い〜…。
 多分だけど、レベルの低いAKUMAならイノセンスの力でバレないようにできるけど、万が一高いのがいたら保障はできないよ」


「レベルとか、どうしては詳しいことを知っているの?
 この前も教団のことをわかっているようなことを言っていたよね?」


「ぁ〜、知らないわけじゃないから。詳しいことは言えないけど」


「どうして?」


が嫌がるから」


も知っているの?」


「さぁ? どの程度知っているか、あるいは知らないかもしれないけど、
 は素性を言うのを嫌っているからあたしがほいほい口にすることはできない。
 個人的には抵抗ないんだけどね。だからあの子が言う気になったら言うよ」



そのときまであたしがここにいるかはわからないけど。



心の中でそう付け足して言う。
に対する不信感も植え付けてしまったかもしれないけど、全てを言うよりマシだろう。
あの子はあたしと違ってここで生きていこうとしている。
それをぶち壊す理由も権利もない。



あたしはあたしで生きればいいんだから



そんなことを話して考えているうちに探索隊と合流できた。
通信機が壊され連絡が取れなかったので、調査結果を聞いているとイノセンスがある可能性は極めて低いとか。
でもAKUMAの数が多いのでとりあえず退治して任務終了となるだろうとのこと。


「じゃあさ、あたしが囮になって数集めて大まかにぶっ倒すから、細かいやつはリナリーがやってよ。
 スタイル的にその方が効率いいっしょ」


「そうね。ここは私達に任せて貴女たちは隠れていて下さい」


探索隊の人たちと待ち合わせ場所を決め、彼らにも姿を隠せるよう術?をかけその場を離れた。
適当に広くなっているとこまで出て、姿が見えるようさっきかけた言霊を解除した。



サポートするって自分で言ったのに、おもいっきり前に出てしまった…。
まぁ早く終わらせたいからいいんだけどねぇ……。



「我が身体よ浮け」


溜息を吐き、適当に見晴らしがよくなる高さまで浮き上がって辺りを見回した。
するとあっという間にAKUMAが集まってきて囲まれた。


「エクソシストがいるぜ!!」


「しかも1人なんてバカだな、こいつ」


数がいれば勝てるのか。
いかにもな下っ端発言に溜息が漏れる。


「ばっかみたい」


「我が声よ、生なき者を破壊せよ」


そう言うと空気が震え、あたしを囲んでいたAKUMAたちが爆発を起こし跡形もなく聞こえていた。
爆発音は近辺の色んな場所から聞こえてきた。
しばらく様子を見ていたけど、静まり返っていたので一度降りリナリーの元へと行った。


「凄いじゃない!! 全滅しちゃったわよ!!?」


「んー、意外と広範囲で対応するみたいだね」


「兄さんたちもきっと驚くわね」


嬉しそうに話すリナリー。
あたしは別にどうでもよかったけど、とりあえず合わせて笑っておいた。
探索隊と合流し、報告したら案の定驚き声が聞こえたがどうでもよかった。


「次の任務地に移動がてら時間もあるし、ゆっくり観光しておいで」


コムイさんの言葉に甘え、あたしとリナリーは道中を観光しながら次の任務地へと向かった。







to be continued....................




初任務の様子でした☆
今回は攻撃方法が波動って形で細かい指定をしなかったから、近くのAKUMA全てに反応しちゃったんです。
物を指定しちゃえばそれだけだけど、今回は細かい指定がなかったから予想以上に範囲が広かったみたいな。
最強ってわけじゃないけど、割となんでもありな能力です^^

あと作中でも触れてるけど、会話はイノセンスが声というか音に関するものだから通じます。
どこの国に行っても本人が日本語で話しても変換されて通じると思って下さい^^
でも文字とか視覚に関することはイノセンス関係ないので、読めないし理解できません。






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