な、嘘だよな?
お前が私たちの敵になるなんて……

に、私が刃を向けなきゃいけないなんて……






きっと、夢物語だ












儚き月見草 第九話












「無駄無駄ァ ノア様がアイツを連れてってる頃さァ」


目の前に居るアクマ達の声が、の脳裏に木霊する。
友達を連れて行かれた悲しさ。
気付いていたのにどうする事も出来なかったもどかしさ。

無力すぎる己に、は嫌悪感を感じていた。


「お前ハ捨てられたんだよ!!ヒャッハハハハハ」


嫌な笑い声が木霊する。
はその声を聞きながら、拳をぐっと握り締めた。



これは……が選んだ道だ……
あいつが、自分で……私と敵対する道を選んだ……

教団が嫌だと言っていた事を知っていて、私は教団に残ったんだから……



「こうなる事は……予測できたはずだ……」


意見の相違。
それは、きっと仕方のない事。
生きてきた場所も環境も違うのだから。

の心は多分、ズタズタだ。
この世界で唯一の知り合いが、敵に渡ったのだから。
それでも、引き返せない。

にだって守りたいものはある。
譲れないものはある。


「なあ、……敵同士になっても、私たちは友達だよな?」


そんな問い、に届かない事はも分かっていた。
それでも言わずにはいられなかった。
友達だと、信じたかった。


「最後の祈りは終わったかァ〜?」


その問いに、は返事を返さず睨みつけるだけに留めた。

この争いがあるからいけないんだ。

そんな思いを込めて。


「イノセンス……発動」


そう言葉にした瞬間、ののど元に不思議な模様が浮かび上がった。


「なんだなんだ、抵抗するのかー?」


「当たり前だろ!!」


叫ぶと同時に、超音波のような声がアクマを破壊した。
広範囲に広がる波動は、たくさんのアクマを破壊していく。

それでも、まだまだあふれ出てくるほどに──アクマはそこに存在した。












あれから、どれくらい経っただろうか。
いくらやっても足りないほどにあふれるアクマ。
破壊したと思っていたアクマが破壊出来ていなかったり、ちょっとしたミスを踏んだりと。

さすが、まだ新人エクソシストというだけの事はあった。


「く、そ……」


「だいぶ疲労が溜まってきたみたいだぜー?」


声を発するイノセンスは、予想以上に体力を消耗する。
いくら身体を動かし、鍛えてきたと言っても……まだなって間もないのだから仕方ない。

ダダダダダダダダ!!


「くっ ────!!!」


一つ息をのむと超音波のような声を放ち、攻撃ではなく今度は防御をした。
けれど、それも完璧ではなかったのかレベル一のアクマから放たれた弾丸がを掠める。

すると瞬時に浮ぶペンタクル。
ガクンと膝を折り、地面に跪く形になった。


「ヒャハハハハハハ!死ぬぞ!死ぬぞ!」


「残念……だったな」


楽しげな声を上げるアクマに、は不敵に笑った。
次第に広がり始めていたアクマの毒(ウイルス)侵食は引いていっていた。

もちろん、身体の傷は癒えないけれど。
それでも毒(ウイルス)に侵されないだけでも、助かるものだった。


「私は寄生型だ 効くはずがないだろう」


言いながら、はゆっくりと立ち上がった。


「気力だけでだって、私は立っていてみせる!」


そう言うと、また超音波のような声でアクマを破壊し始めた。
どんなに体力を削ろうと、生きて帰らなければならない。

悲しい報告を、したくもない報告を──しなくてはいけない。


「私は、ここでやられるわけにはいかないんだ!!!」












「……ハァッ ハァッ」


全てのアクマを片づけて、はその場にしゃがみ込んだ。
たくさんの量のアクマを寄こしてまで、ティキはを連れて行きたかったという願いの表れでもあったように思えた。


「くそっ 追おうと思ったのに、これじゃ追えないじゃないか!」


荒い息。
傷だらけの身体。

もう姿も見えないティキとを追うなんて、無謀としか言えない行動だ。
何より、どこに行ったのかも、ノア達の本拠地がどこにあるのかも……分からないのだから。


「……


ポツリと小さく名前を呼んで、は痛む身体に鞭を打つように立ち上がった。
帰らなければならない、は教団に。
そこが、今のの居場所だから。












「お帰りなさい、


出迎えてくれたリナリー。
けれど、の姿に目を見開き息を呑んだ。


!?大丈夫!?」


「ああ……なんとか、無事だ」


悲鳴に近い声を上げるリナリーには小さく頷き返すだけだった。


「それより、コムイは?司令室にいるのか?」


「そうだけど……一度医療班に手当てしてもらった方がいいわ」


「時間が惜しい 報告してから行くから大丈夫だ、リナリー」


早く報告をして、心の荷を下ろしてしまいたかった。
友人の尾行をしたなんて──そんな思いから、早く離れてしまいたかった。


「……ちゃんと、行ってね?」


「分かってる」


そう返事を返すと、は司令室に向けて歩き出した。
向かう最中にあれこれと考えてしまう。

ノアの事。
アクマの事。
伯爵の事。
教団の事。
エクソシストの事。

そして、自身の事。


「あーあ 気が重いな……」


これから先の事を思うと、気が重くなるのをは感じた。
ノアと敵対していく事を知っているからこそ、ノアの元へ向かったの事が気がかりなのだ。

そして、最終的に行きつくのは"敵"という枠組み。


「……今は考えるな 報告をするだけだ」


自分に言い聞かせるように心を落ち着かせると、は司令室の扉をノックした。
すると中から「入っていいよー」という呑気な声が上がる。












「……という感じだ」


尾行後にあった事を報告した。

を見つけ、前回の一緒に任務をした際に見つけた見知った人物と一緒に居た事。
もちろん、相手がノアだという事も、その相手がティキ・ミックだという事も伏せておいたが。
そして、その人物にが着いて行った事、アクマの足止めにあい追えなかった事。

全てを報告した。


「……やはり、くんは教団を裏切ったんだね」


話を聞いた結果、そこに行きつくのは自然の摂理かもしれない。
それでも、"裏切った"なんて思われたくなかった、言われたくなかった。


「違う!!!」


「違くはないだろう?現に、くんは自らその人物の元に向かったというじゃないか
 それに、そこにアクマも現れたとあれば……僕らの敵対する組織に近い存在になった事は確かだ」


「──っ」


ノアの事も、伯爵の事も口にはしていなかった。
ただ"アクマに足止めされた"という事だけを伝えたのに、ここまでコムイは話を理解する。

室長という肩書も、嘘じゃないという事だ。


「もう……戻っていいか?怪我の治療も受けたいし……疲れた」


心が悲鳴を上げそうだった。
友達を疑われ、そして結果──"裏切った"と判断された。
それは、教団側からすればそう考えるのは普通かもしれないがは耐えられなかった。
無言のまま頷くコムイに軽く頭を下げると、は司令室を後にした。

その後、が向かったのは医療班フロアだった。
そこで軽く怪我の治療を受けると、すぐさま部屋へ戻って行った。


「……なんか、凄い疲れたな」


部屋の扉をパタンと閉めた。
部屋の奥へと向かえば、使い慣れた空気が身体になじむ。

けれど、その部屋の中で馴染まないものが一つだけあった。


「──手紙?」


首を傾げ、机の上に置かれた封筒を見つめた。
それを手に取れば、封筒に書かれた『へ』という文字。


「……か?」


その文字は見覚えのあるもので。
カサカサと静かにその中にしまわれた便箋を取り出した。

──まず最初にごめんね。
  あたしも本当はと一緒に頑張りたかったけど、あたしにとって教団は地獄でしかなかったの。
  みんなが嫌いだったわけじゃないけど、教団が怖くてどんな手を使ってでも逃げ出したかった。
  伯爵側と教団側のどっちが正しいかはわからないけど、教団の考えややり方を強制して脅すのが正しいとは思えなかった。
  どんな理由があろうとも。
  でもティキは敵であるにも関わらずあたしの我儘を聞いてくれて、伯爵もそれを受け入れてくれた。
  イノセンスは嫌いだけど、こんなあたしを受け入れてくれた伯爵やティキ、ノアの人達の為ならあたしはこの力を使って教団側の敵になるかもしれない。

  ごめんね……。
  のことが嫌いになったわけじゃないから。
  これだけは誤解しないでね?
  優しい言葉をかけるけど、結局はエクソシストをやれっていうみんなが嫌だった。
  戦わないと命が奪われると聞いてから怖くて眠れなかった。
  何を信じていいかわからなくて、教団を抜け出すことばかり考えていた。
  本当に悪いと思ってる。
  けど、あたしはと同じ道は歩けない。
  歩きたかったけど、それは無理みたい。
  あたしにとっての行く道は地獄でしかなかった。
  道は違えちゃうけど、あたしは自分の幸せ・信じる道を進みたいと思う。
  こんなあたしを丸ごと受け入れてくれたティキと同じ道を歩いていきたいの──

それは、もう同じ道を歩む事のなくなってしまったからの最後の手紙だった。


「……そう、だよな 前から言ってたもんな……
 ごめんな、……何も出来なくて、こうやってティキの方に逃げる事しか出来なくさせて……」


その手紙をぐっと握り締め、呟いた。
涙は流さない。
だって、は歩みだしたから、自分の幸せに向けて。

にとっては悲しい出来事でしかないけれど、は幸せに向かって歩いているのだから。


「さてと……風呂でも入ってくるかな」


そう呟くと、手紙を机の上に置いては服などを容易すると部屋を出た。
別段取られるものもない状態な為、は寝る時以外はドアのカギを閉めない。

それが、命取りになるとも知らずに。


「……本当にいいんでしょうか」


の姿がなくなった事を見計らい、探索部隊(ファインダー)が二人の部屋の前に佇んでいた。
一人は女、一人は男の──コムイから何かを命令されて此処へ来たようだ。


「仕方ないでしょう 危険因子を教団に置いておくわけにはいかないわ」


そう言って、鍵の掛かっていないの部屋のドアノブに手を掛けた。


「室長も……酷な事をしますよね」


「仕方ないわ 彼女の友達であるさんが教団を裏切ったのだから」


「それは、分かりますが……」


そう言いながらも、部屋の中へと入っていく。


「これで、彼女の身の潔白が証明されれば此処に居やすくなるわ」


「……はあ」


「……何も出てこない事を祈ることね」


生返事を返す男に、女は苦笑を浮かべ部屋の奥へとたどり着いた。
だいぶすっきりとしている部屋には必要最低限のものしか置いていない。
まだここへ来て、街へ買い物に行ったりしていないのだから仕方がないと言えば仕方がないのだろうが。


「……不自然な手紙が一つ」


そして、女は見つけてしまった。
に宛てた手紙を。

カサ……と紙の音を立てて、女は封を開ける。
すでに開けられた封は容易く解かれ、中の便箋を取り出される。


「……決定的証拠、ね」


「はい?」


「彼女がさんの味方、という事は書かれていないわ 道を違えるという事も書かれている」


「では……」


女の言葉に男は喜びに満ちた表情を浮かべた。
けれど、女は険しい表情を辞めない。
それは……


「だけど、さんをスパイとして教団に残しておくための演技だとしたら?
 これが見られる可能性を含めて残したとしたら?
 完全にさんをシロと決めるのは、まだ早いわ
 いろいろと話を知っているコムイ室長に、判断を仰ぎましょう」


そう言うと、女は男に手紙の内容を書き写す事を命じた。
それは、がお風呂へ行くとなかなか戻ってこないという事を知っていたから出来た事。
もしも早く上がる人間だったのなら、手紙ごと持ち去るか、それこそ内容をニュアンスで覚えて去るしかない。


「……やはり、さんは……」


「まだ、憶測の域を出ないわ 書き終わったのなら、早急に立ち去るわよ」


「……はい」


そんな言葉を交わし、手紙を封に戻すと元の場所に戻した。
そして書き写した紙を懐にしまい、何食わぬ顔で部屋を出る男女。

その数十分後にが部屋へ戻ってきた。
湯気を立たせ、濡れた髪をタオルで拭きながら。











くん、くん 至急、司令室まで来てくださ〜い』


「……コムイ?」


翌日の昼時より少し早い時間に掛ったアナウンスに、の眠りは妨げられた。
眠い目を擦りながら、そのアナウンスの声の名を呼び大きく溜め息を吐く。

朝方ようやく眠れたにとって、お昼時より前に起こされるのは結構辛いものがある。
もちろん、エクソシストとして働いているのだから仕方がないと言えば仕方がないのだけれど。

もそもそと起き上がり、寝巻から普段着に着替えるとは部屋を出た。


「……?」


廊下を歩くに突き刺さる目が、なんだかいつもと違うように感じた。
は眉を潜めて辺りを見渡し、首を傾げる。

通り過ぎる誰もがじっとを見つめ、視線が合いそうになると逸らすのだ。



一体なんなんだ……?



わけがわからないと言わんばかりに溜め息を吐き、司令室までの道のりを急ぐ。
そんな中、ガヤガヤとしたざわめきの中──とある声が聞こえてしまった。


「あー、嫌だ嫌だ 裏切った奴と友達の奴が此処に居るなんてさ
 いつ裏切られるかもわかったもんじゃねぇよ」


その声に、ピクリとの米神が震えた。



裏切った奴?
いつ裏切られるかもわかったもんじゃない?



急いでいた足が次第に弱まり、ぴたりと止まる。


「おい」


低い声がの口から吐き出された。
ムカムカとする感情が、胸を渦巻く。


「誰だ、今の事を『裏切った奴』だって言ったのは」


「本当のことだろ?」


「お前か?言ったのは」


「ああ、そーだよ 悪いか?」


の問い掛けに出てきた男は、探索部隊(ファインダー)だった。
いかにも性格悪いですと言うような表情を浮かべ、を睨む。


「悪いに決まってるだろ!?は裏切ったんじゃない!!は──っ」


そこまで言って、言葉に詰まった。
裏切ったのではなく、に合った一番いい道を進んだ──そう言いたかった。
でも、それは結局は偽善な言い方なわけで結果としては『裏切った』事には変わりはない。


「なんだ?裏切ったんじゃないならなんだ?元々から敵対組織からのスパイだったとかか?」


「──!!!」


男の言葉に、の目が見開かれた。
感情的にイノセンスがいつの間にか発動されていた。
それに、は気付いていなかった。


「黙れ!」


その声は波動となり、男を壁へ吹き飛ばした。


「ってぇな……仲間相手にイノセンスの力を使うなんて、お前も裏切り者なんだろ!?
 てめぇも、あの裏切り者とグルなんだろ!?」


「だっ んぐっ」


黙れ、ともう一度叫びそうになった。
けれど、その言葉は男の手で口をふさがれた事で遮られた。


「っと これ以上攻撃されても困るからな」


へへっ、と嫌な笑みを浮かべる。


「ほら、室長が呼んでるんだろ?さっさと行けよ!」


そう言って、ドンッと突き飛ばされたはそのまま床に倒れ込んだ。
バランスを崩した身体は、受身を取る事も出来ずダンッと床に叩きつけられる。

あの戦いで負った怪我に響き、眉間にシワが寄る。
けれど、ここでこれ以上言い合っても意味がない。
今のやり取りではよくわかった、自分の立場がどれほど危ういかが。


「……絶対、今の発言、撤回させてやるからな」


発動を解き、それだけ言うとは司令室に急いだ。












「失礼します」


「……遅かったね、くん」


「途中で変な奴にとっ捕まったからな で……今度は私を疑うのか?」


キッとまっすぐにコムイを見つめて問いかけた。
何をどうしたら疑う事になるのか、分からなかった。
なぜ、が自分の思う道を選んだだけでこうも蔑まれなきゃならないのかが分からなかった。

なぜ、思うように行動していけないのかと。


「そうだね、そういう事になるね 僕らは、君がくんとグルなんじゃないかと考えている」


「……僕ら?」


「そう、僕ら 教団……全員だ」


「──っ」


そこでは理解した。
だから、ずっと嫌な視線を感じてきたのだと。

そして、ずっと仲間だと思っていたものから掌を返された事への──悲しみをも感じた。


「……なんで、そう思った?」


「初めは、くんだけを疑っていたんだけどね
 リナリーや神田くん、ラビに聞いていくうちに君も疑わしく思えてきたんだ」


「そんな勝手な……!!」


「それは重々承知の上だよ だけど、僕は教団を守らなきゃいけない立場にある
 少しでも危険だと判断出来る因子は、早急に摘まなきゃならない」


コムイの言うその理屈も、には理解出来た。
教団はいわゆる団体で動くものだ。
大と小を選ぶのなら大を取るだろう。


「アクマを従える見知った者と会っていて、君はその事を隠していた そしてくんはその人に着いて行った
 くんは何かを隠し企んでいたようだった そして、君は何かしら勘付いていたんじゃないのかい?」


その言葉に、は息を呑んだ。
確かに、自分の行動をはたから聞いていれば疑われても仕方のない行動を取っていたのかもしれない。

そして、コムイの口から「そして……」と続き心臓が軋んだ。



まだ、あるのか……



そんなにも疑う余地があるのかと、溜め息が出そうになる。


くんは教団に属していないうちからエクソシスト、イノセンス、アクマ……この事についてある程度知っているようだった
 そして、リナリーが聞いていたんだよ 君が詳しい事を言うのを嫌っていたとくんが言っているのをね
 素性を言う事を極端に嫌う……それはスパイとしては当然の行動なはずだ」


その言葉に、は目を見開いた。
たったそれだけの情報で、それだけの事を考えつく事に驚いていた。

けれど、どれもすべて憶測の域を出ない。


くんから君へ宛てた手紙……興味深いものだったよ」


「──!勝手に人の部屋を探ったのか!?」


押さえていたものが全てあふれ出て、はコムイの胸倉に掴みかかった。
ガシッと掴み、キッと睨みを利かせる。


「ティキにノア……そして伯爵 ティキとは、くんを連れ去った者の事だろう
 そして、ノアの人達という事は……一族か何かだろう そして、伯爵と関わりがあるという事は敵ということだ」


「その手紙が……私を疑う徹底的な要因だと?」


「そうだね この手紙には君はあくまでくんと敵対する立場にあると書かれているが……
 見つかってしまう可能性のある手紙をあえて置くて行くとは思えない
 となれば、見つかると踏んであえてこう書いた可能性もある」


コムイの冷たい言葉に、は拳を握りしめた。
どこまでも、どこまでも、を闇へ落としていく。

友達と離れ、仲間だと思っていた人達から疑われ──周りがすべて闇に染まっていくようだった。


「……何が何でも、私を疑うんだな」


「要因がある限りは……僕らは君を外に出せない
 もしも、本当に君が教団を裏切っているのなら……寄生型であるくんは、咎落ちに合うはずだ」


「……私が平然と生きていられるか、咎落ちするか……見極めるのか」


問いかけるの言葉に、コムイはただ静かに頷くだけだった。
もう、逃げる余地もなかった。
後ろにはコムイがいつの間にか呼んでいた探索部隊(ファインダー)の人たちが数名佇んでいて。


「……分かった、勝手にしろ 私は……咎落ちはしない」


それだけ告げると、は探索部隊(ファインダー)の人たちに連れられて地下の牢屋に軟禁させられた。

食事は三回ともきちんと運び込まれ、面会者が来れば合わせてくれるという。
それでも、牢屋の門番が付き四六時中監視されている生活は、辛いものがある。



なあ、……
おまえは今……幸せか?











to be continued........................






だいぶ長くなりましたが、とりあえずここまでに(笑)
友達に去られ、仲間に疑われ、軟禁されて……どんだけ落とすんだ、私は(-"-)
なんだかが可愛そうになってきたぞー……はははー(^_^;)
まあ、疑いだしたらきりがないって話ですね。

ちなみに、なぜ教団の人がの手紙を読めたのかと言うと、翻訳者がいるわけで。
で、なぜ翻訳できるかと言うと……この仮想十九世紀末という時代設定が要になってます。
十九世紀末だと今の文法に近い感じになってるみたいで、違いといえば送り仮名がカタカナになってるという所くらいでしょうか。
また、D.Gの公式ファンブックに報告書のページがあるんですが……そこには今の日本の文法で書かれているので分かるんじゃないかなーと。
多分、本当に昔にある漢文だとかそういう文法じゃないので、の手紙を読めた事にしました。
一応的な説明でした。






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