私は守る
命を賭けて…仲間を、家族を……
大切な人を─────
命を賭けるに値する者
「コームイさん♪」
「ああ、ちゃんか」
ひょっこり姿を現したに、コムイはズズズと珈琲を啜った。
その様子に苦笑を浮かべながら、ソファに座るコムイの隣に腰掛けた。
「また無理したんだって?」
「え?」
「アレン君から聞いたよ」
その言葉には『ゲ』という顔をした。
無理をして怪我をして、そんな事を繰り返すうちに教団内ではコムイに報告する事が通常となっていた。
に関してだけなのだが。
「アレンの馬鹿やろー なんで言うかなぁ」
「ちゃんが無理をするのがいけないね」
「だって、無理しなきゃ守れる者も守れやしない」
ムゥっと頬を膨らませたままコムイに言い切る。
守りたい者があるからこそ、無理してでも頑張れるのだ。
「自分を大切にしなくちゃ、守れなくなってしまうよ?」
「大丈夫ー 私はそんなに軟じゃなーい」
コムイの言葉にわははと軽く笑った。
パタパタと手首から先を上下に、おばさん達が世間話をするときにする手つきの様に手を動かしながら。
「コムイさんだって知ってるでしょ?私の実力 腕力だって、普通の女の子に比べれば数段あるんだから♪」
ふふん、と胸を張りながら言うにコムイはハァっと大きく溜め息を吐いた。
にとって、自信は無理へと繋がってしまっているようだった。
「そうだね キミは確かにそこらの女の子よりも力はある」
「でしょ?」
「だけど、それはそこらの女の子との比較だろう?」
認めるコムイの言葉に気分がいいのか、ニッと笑みを浮かべる。
隣に座るコムイに誇らしげに視線を向けると、続けられた言葉に表情は曇った。
「何が言いたいの?」
呟くの声は低かった。
不機嫌な時に発される、の声。
「しょせん、キミは女の子 って事だよ」
その言葉と同時にの身体は宙に浮き。
トサ…
ソファへと沈んだ。
天井が見えていた視界に、突如コムイの顔が現れる。
黒い髪がサラリと下に流れ、今にも沈んだの顔に掛かりそうだった。
「それでも、私には力がある その力を駆使して助けたい者が居る
なら、当然の行動じゃない?」
どいて、と言わんばかりにコムイの胸を押す。
けれどビクともしない事に、は内心恐怖していた。
「私が守りたいって人はね、私の命を賭けるに値する人なの」
グググ、と力を込めてもビクともしない。
コムイは何ともない表情を浮かべ、を見下ろし言葉を聞いていた。
「命を賭けてまで守ってもらって、その人は喜ぶのかな?」
「……」
コムイの言葉に何も言えず黙ってしまう。
分からない。
そんな事、本人じゃないのだから分かるはずもない。
そして、そんな事を本人に聞けるわけもないのだ。
「ボクは嬉しくないよ 命は一つしかないんだから、大切にして欲しい
そして、どちらも生き延びる事が…一番幸せだと思うよ」
そう言うと、コムイは静かにの上から退いた。
隠れていた天井がの瞳に飛び込んでくる。
「ま、勿論…アクマを破壊する事はそれ以上の必須条件だけどね」
まるでエクソシストであるに釘を差す様に。
「…そんな事分かってるよ」
ムッ、とする表情にコムイは笑う。
そうすれば、は余計にムッとしてしまう。
堂々巡りだ。
「で」
「?」
「その守りたい人っていうのは誰の事なんだい?」
「……気付いてない?」
コムイの発言に、は肩を落とした。
てっきり気付いているのかと思っていたのだから。
むしろ、あんな見え見えな態度を取っていて気付かれていないなんてどれだけ鈍感なんだと。
「だから誰なんだい?」
不敵な笑みを浮かべ問い掛けるコムイ。
分かっていないんだか、分かっているんだか微妙な表情。
「
コムイさんに決まってるでしょ?
」
その言葉に、予想通りの表情を浮かべてくれたコムイさん
あなたは…そういう人だったものね…
大好きだよ……コムイさん
この世界の誰よりも…貴方が
.........................end
コムイさんの口調がびみょー(笑)
そして、最後…コムイさんが分かっていたのか分かっていなかったのかは読者の方に委ねます。
その為、最後の文章もどっちつかずにしたのですから♪
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