どうして、こんなことになってるんだろう?
私は特に、これといった事なんてしてないはずなのに……



「ねぇねぇ、


「なに?リナリー」


「アレンくんと付き合ってるって、ほんと?」



どうして、こんな噂が立ったんだろう



リナリーの問い掛けに、は唖然とした。
だって、が大好きなのは"神田ユウ"だけなのだから。











空穴来風











「……あの、神田?」


あの噂が流れてからと言うもの、神田の機嫌は思わしくなかった。
いつもの仏頂面が、更にも増して仏頂面になっている。



やっぱり……あの噂のことで不機嫌になってるんだぁ……



大きく溜め息が出た。


「おい」


「ん?」


突如掛けられた声に、隣に座る神田を見つめた。
ここは神田の部屋。
何もない、凄く寂しい、暗い部屋。


「あの噂……いったい何なんだ?」



あ、やっぱり凄い怒ってる〜っ



不機嫌になっていると思っていたにとって、今目の前にいる神田はそれ以上に不機嫌なように見える。
それはもう、本当に怒っていると思ってもおかしくはないくらいの表情だ。


「噂って、アレンと私が付き合ってるってやつ?」


「そうだ」


きょとんとして、神田を見つめた。



嫉妬……してくれてる、のかな?



その表情に、その感情に、あらぬ期待をしてしまう


「やだな、神田 私が好きなのは神田だよ?それに、私が付き合ってるのだって神田」


くす、と余裕のある笑みを浮かべた。
はス……と手を伸ばすと、その長い神田の髪に触れた。



やっぱり、神田の髪の毛は触り心地がいいなぁ……



なんて、柔らかい笑みを浮かべる。


「何であんな噂が流れたかしらないけど、噂なんてそのうち消えていくよ?」


「……お前、知らないのか?」


「へ?」


の言葉に、眉間にシワを寄せて神田は問いかけた。



知らないって、なんの事?



全く状況がつかめないは首を傾げ、神田の言葉を待った。


「あの噂、結構前から流れているんだぜ?」


「……う、嘘!?」


「嘘じゃねぇ 今のの言うとおりだったら、この噂なんてとっくに消えてる」



だから、神田はイライラしてたんだ……
噂なんてすぐに消えるはずだって、神田も思ってたから



神田の話を聞いて、は唖然とした。
ぽかんと、神田の顔を見つめて固まってしまう。


「な、なんでそんな噂がずっと流れてるわけ?」


「知るか」


どんどん機嫌の悪くなる神田に、ハラハラし始める。
何とかして機嫌を良くしないと、と思うのに何も案が出てこない。


「……おおかた、モヤシと必要以上に仲良くしてるんだろ?」


ピクリ


「図星か」


ギクリ


「分かりやすいやつ」


神田の言葉に肩を揺らし、表情を引きつらせてしまった
完璧に、神田の言葉通り思ったことを表情に出していた。


「だって、仲間だよ?一緒に戦う仲間なのに……やっぱり仲良くしないと」


「必要以上に仲良くする必要はないだろ」



それは……まぁ、確かに……そうではあるけど



神田の言葉に、は言葉を詰まらせた。


「空穴来風って言葉知ってるか?」


「へ?ああ、『隙を見せるから噂が流れる 火のない所には煙りは立たない』って意味でしょ?」


「分かってるなら話が早い そういうことだ」


四字熟語を出され、頭を回転させて意味を思い出す。
そしては「あ」と声を漏らした。


「私、アレンと付き合いたくて仲良くしてたわけじゃない!!」


神田に掴みかかるように言った。
神田の胸倉を掴むように、服をギュッと握り締め、顔を間近にする。
息がかかる距離に、少しだけ心臓の音が早くなった。


「分かってる、それくらい 俺だって長年お前と付き合ってきたわけじゃないからな」


溜め息混じりに、けれど優しげな柔らかさを持つ発言に、はホッと胸を撫で下ろした。


「俺はお前が好きだ お前も俺が好きなんだろ?」


「……うん」


問答無用な言い方に、は頷くだけだった。
けれど、そんな風に言い切ってくれる言い方が心地よくて、嬉しくて、微笑んでしまう。


「なら、その噂を上回るくらい仲のいいところを見せ付けてやればいい」


「──っ!?」


言うが早いか、口が早いか。
神田の唇がの唇を塞いでいた。



まったく……神田らしからぬ発言に行動
でも……



ゆっくりと、その口付けを堪能するように瞳を閉じた。



でも……そういう神田、凄く好き



愛しい人の温もりがすぐそばにある。
ゆっくりとベッドに埋もれるように傾いていく身体。
唇が離れ、瞳を開けると、重力にしたがっての方に流れる神田の髪。


……」


熱っぽい、甘い声。
温かい、神田の手。
すべてが愛しくて、すべてが心地よくて。


「ああっ!!」


甘い声をあげ、は快楽の中へと身を沈めていった。











.....................end







二十六万ヒットありがとうございます。m(_ _)m
ということで、フリー夢を仕上げました。
一応、これは十五禁になるのかしら?
まぁ……深く気にしない気にしない。(ぉぃ)

とりあえず、またまた四字熟語を題材に。
ついでに言うと、意味も物語の中で語られてるのであとがきではスルーの方向で。

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