「アレン、神田知らない?」
「神田ですか?いえ、見てないですが」
いきなりクンッと服の裾を引っ張られたアレン。
振り向いた先に居たのは、神田とかなり仲のいい少女────だった。
逢瀬
「うー……せっかく貰ったチケットが無駄になっちゃうよ〜」
二枚のチケットを手にしながら、うーうーと唸る。
あたりを見渡し、必死に目立つ容姿の神田を探した。
「どうしたんさー?」
「ラビ!神田見なかった!?」
「知らないさー」
かけられた声に、嬉しそうな笑みを浮かべる。
はラビの肩をしっかり掴み、前後に揺らしながら問い掛けた。
もしかしたら、ラビなら知ってるかもしれない、と。
けれど、その思いも無駄になった。
「なんだー……残念」
「居ない神田なんかほっといてさー、俺と遊びに行かないか?」
「い・や・だ・よ」
ラビの言葉に、イーと歯を見せて断る。
そんなの様子に、ラビは「やっぱり」と肩を竦めて苦笑した。
「何をしている」
「神田!」
かかった声が神田のものだと、はすぐに分かった。
パァァァァっと明るい表情を浮かべ、勢いよく振り返る。
「何をしてると聞いてる」
「神田を探してたんだよ!!どこに行ってたの!?」
むっと口を尖らせて、はズカズカと神田に近づいた。
そして、すぐに笑みを浮かべ二枚のチケットを差し出した。
「舞台チケット手に入ったんだけど、良かったら見に行かない?」
「はっ 何で俺がお前なんかと……」
「今日って神田の誕生日でしょう?今回の舞台、殺陣が凄いって有名のやつだよー?」
ニヤーっと笑みを浮かべ、チケットを神田の前で揺らす。
ラブロマンスとか、そういうのにはきっと興味を示さないと思っていた。
しかし、こういうのはどうだろうか。
「……何時からだ」
「え?」
「何時から始まると聞いている!!」
声を上げる神田に、はビクッと肩を竦めた。
慌ててチケットに視線を落とす。
「午後四時!」
「もうすぐじゃねぇか!!行くぞ!」
「へっ!?わっ……あわわわわわわわっ」
ガシッ
の手を掴み、神田は有無を言わさずに引きずるように歩きだした。
「あー……面白かったね!」
うーん、と腕を上へ伸ばしながら満足そうに告げはそう言った。
くるりと身体を神田の方に向け、にっこりと微笑む。
「ああ 結構な迫力だったな」
目の前で繰り広げられる殺陣は予想以上の迫力だった。
だからだろうか。
神田がとても上機嫌に見える。
「────……楽しかった?」
「まぁまぁだな」
「そっか」
それでも、十分に嬉しそうに見える神田。
言っていることと思っている事とは全く違うのが、何となく分かった。
「……神田、お誕生日おめでとう」
「……」
「プレゼントらしいプレゼント渡せなくて申し訳ないけど……」
少しだけ申し訳なさそうに、悲しそうに笑みを浮かべた。
そんなの頭を神田は優しく撫でた。
神田がするとは思えない、意外な行動だった。
「神田?」
「舞台だって、十分プレゼントだろ」
「〜〜〜〜〜〜〜っうん!」
嬉しそうには頷き、神田の腕に抱き付くように自らの腕を絡めた。
「ばっ!放せ!」
照れた神田の声が、静かに響き渡った。
...............end
六月六日は神田の誕生日という事で、フリー夢!!(*^_^*)
殺陣とかなら神田は見るかなーと……安易な想像でごめんなさい?
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